建設中のUAEバラカ発電所 4号機の冷態機能試験が完了
20 May 2020
バラカ原子力発電所 ©ENEC
アラブ首長国連邦(UAE)で原子力発電の導入を担当する首長国原子力会社(ENEC)は5月19日、アラブ諸国やUAE初の原子力発電プラントとして建設中のバラカ発電所(PWR×4基)で、最終ユニットとなる4号機の冷態機能試験が無事に完了したと発表した。
2012年7月に1号機が本格着工した同発電所では、その後約1年ごとに後続ユニットの建設工事を開始。現在、4基の韓国製140万kW級PWR「APR1400」の作業が同時並行的に進められており、連邦原子力規制庁(FANR)は今年2月、1号機に対して60年間有効な運転許可を発給した。同炉ではその後、3月に燃料の初装荷が完了、今後数か月以内の起動に向けて準備作業は最終段階を迎えている。2~4号機の建設進捗率もそれぞれ95%、92%および84%以上に達するなど、発電所全体では94%以上完成したことになる。
ENECによれば、4基すべてが完成した場合、同発電所は合計560万kWのクリーンなベースロード電源としてUAEにおける総電力需要の最大約25%を賄いつつ、年間2,100万トンのCO2排出を抑制。これは年間320万台の車両が排出するCO2と同等であると強調した。
4号機に関してENECは、同プロジェクトの主契約者である韓国電力公社(KEPCO)とともにタービン発電機や炉内構造物の設置といった主要な作業を2019年末までにすべて完了した。冷態機能試験ではシステム内の圧力を通常運転時より25%上昇させ、同炉の品質の高さと耐久性を実証している。
また、冷態機能試験の実施に先立ち、ENECは同炉の原子力蒸気供給系に純水を流入したほか、圧力容器上蓋や冷却材ポンプ軸シールを設置。同試験の開始後は、原子炉冷却系の溶接部や連結部、配管・機器、関係する高圧システムについても確認を行った。
ENECのM.A.ハマディCEOはこのような作業の進展について、「新型コロナウイルス感染拡大に直面する中、バラカの作業が継続的に進められたことを誇りに思う」とコメント。パンデミックに対してUAEは確かな事前対策を講じており、それが発電所作業員の健康と安全の確保に向けて、タイムリーかつ安全最優先のアクションを取ることにつながったと述べた。また、そうしたアクションに優秀な作業員の努力が加わり、4号機の冷態機能試験は成功裏に完了。安全面や品質面、セキュリティ面においても、最も厳しい基準を満たしたと評価している。
(参照資料:ENECの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの5月19日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)