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フェンノボイマ社、ハンヒキビ1号機の建設許可取得に先立ち管理棟着工へ 

09 Jun 2020

管理棟の完成予想図 ©フェンノボイマ社

フィンランド西部のボスニア湾沿岸ピュハヨキで、ハンヒキビ原子力発電所1号機(PWR、120万kW)の建設計画を進めているフェンノボイマ社は6月8日、建設許可の取得に先立ち今年の夏から建設サイトで管理棟の建設工事を開始すると発表した。

同社は2015年6月に同発電所の建設許可申請書を経済雇用省に提出しており、原子力法に基づいて許可が発給されるのは2021年になる見通しである。現在、建設に入る前段階の準備として様々な作業を進めているところで、着工で急増する従業員への対処と事務スペースの確保を目的とした管理棟の完成は2022年初頭になる予定。プラントの初期コストや廃棄物管理費など、総投資額65億~70億ユーロ(約7,900億~8,500億円)でハンヒキビ1号機が営業運転を開始するのは2028年になるとしている。 

同炉では、建設プロジェクトを受注したロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社が第3世代+(プラス)の120万kW級ロシア型PWR(VVER)を供給するものの、プロジェクトには地元フィンランドのみならず、国際的な原子力関係企業が多数参加している。ロスアトム社傘下の総合建設請負業者RAOSプロジェクト社の主要下請け企業であるロシアのTITAN-2社は昨年10月、同炉の計装・制御(I&C)系製造・納入契約を仏フラマトム社および独シーメンス社の企業連合と締結。この頃、日本製鋼所(JSW)が発電機ローターの鍛造を開始しており、この鍛造品とGE社傘下のアルストム・パワー・システムズ社の低速タービン技術「アラベル」を使って、GEスチーム・パワー社がタービン発電機を製造する計画である。

管理棟の建設はフィンランドのレヒト・グループが担当しており、延べ床面積1万600平方メートルの6階建て建造物になる予定。300人規模の事務スペースや会議室のほか、スタッフ用食堂、訓練エリアを含む近代的オフィス空間となるほか、発電所の建設・運転段階では事務棟の役割を担う。同グループはまた、これとは別に5階建ての発電所事務所も管理棟の完成とともに着工するが、こちらは建設段階ではフェンノボイマ社のサイト事務所として使用。これら建屋の総工費は、3,000万ユーロ(約36億6,000万円)にのぼるとしている

(参照資料:フェンノボイマ社(フィンランド語)レヒト・グループ(英語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)

 

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