米規制委、オクロ社製SMRの建設・運転一括認可(COL)申請を受理
17 Jun 2020
©オクロ社
米原子力規制委員会(NRC)は6月15日、カリフォルニア州の原子炉開発企業オクロ(Oklo)社が今年3月に同社製の小型高速炉設計「オーロラ」(=完成予想図)について提出していた建設・運転一括認可(COL)の申請書を受理したと発表した。オクロ社は「先進的な原子炉は地球温暖化の防止対策としても重要なツールであり、そのための申請書が受け入れられたことは先進的原子力技術の商業化に向けたブレークスルーを意味する」と表明している。
オクロ社による申請は非軽水炉型の先進的小型原子炉としては初のもので、米エネルギー省(DOE)はすでに昨年12月、「オーロラ」を傘下のアイダホ国立研究所(INL)敷地内で建設することを許可していた。同社は今のところCOLの発給に必要な設計認証(DC)審査を「オーロラ」で申請していないが、NRCは2016年から同社と認可申請前協議を行っており、許認可申請前のガイダンス提供や潜在的課題の事前の指摘などを通じて申請の準備作業を支援。申請書が受理されても最終的にNRCがCOLの発給を承認するとは限らないが、オクロ社としては2020年代初頭から半ばにかけてINLで初号機の着工を目指す考えである。
「オーロラ」は電気出力0.15万kWのコンパクト設計で、熱も供給する。同炉では米国でこれまでに開発・実証されてきた先進的な金属燃料を使用するほか冷却水が不要であり、少なくとも20年間は燃料交換なしで熱と電気の供給を続けることができる。また、究極的には燃料をリサイクルしたり、放射性廃棄物からクリーン・エネルギーを取り出すことも可能。NRCの説明によれば、同炉の開発は安全確実な先進的原子炉の商業化という国益にかなうものであり、このことは先進的原子力技術改革への支援を促進する「原子力技術革新・規制最新化法(NEIMA)」の目的でもある。
NRCは今後、審査の準備がし易い効率的な審査日程を同社に提示するため、審査の初期段階として同設計の安全面や主要設計部分の作業に集中する。また、COL発給の可否に関する公聴会への参加要項を近いうちに連邦官報に掲載する。COLの発給により影響を受ける可能性のある者や利害関係者として参加を希望する者は、連邦官報で告知された後60日以内に参加申請手続が必要である。
なお、SMR関係の許認可手続としては、ニュースケール・パワー社が独自に開発した「ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)」について、NRCが2017年3月からDC審査を実施中。全6段階ある安全性関係の審査は、昨年12月時点で第4段階まで完了した。NPMの初号機も「オーロラ」と同様、INL敷地内での建設が予定されている。
(参照資料:NRCの発表資料①、②、オクロ社の声明文、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの6月16日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)