ロスアトム社、ベレネ原子力発電所建設計画への投資家選定入札でGE社、フラマトム社と協力
19 Jun 2020
ベレネ発電所の完成予想図 ©アトムエネルゴプロエクト社
ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社は6月18日、ブルガリアのベレネ原子力発電所完成計画における戦略的投資家選定手続きで、仏国のフラマトム社および米国のGEスチーム・パワー社と協力するための了解覚書を締結したと発表した。
フラマトム社とGE社はロスアトム社と同様、ブルガリア・エネルギー省が昨年12月に戦略的投資家の選定入札で絞り込んだ最終候補の5社に含まれているが、これら2社はともに、機器の供給を通じてプロジェクトに参加することを希望していた。このため、ロスアトム社が戦略的投資家に選定された場合、GE社は今回の覚書通りロスアトム社のパートナーとして、アルストム社が開発した世界最大級の低速タービン「アラベル」を含むタービン発電機一式とタービン室用の機器を同プロジェクトに供給する。また、フラマトム社は主要パートナーとして、計装・制御(I&C)系や電気システム、水素再結合器、換気装置などを供給。両社が協力して、ベレネ計画へのロスアトム社の参加を後押しすることになる。
ベレネ原子力発電所建設計画では、2006年にロスアトム傘下のエンジニアリング会社アトムストロイエクスポルト社(ASE)が主契約者に選定されたが、独RWE社の撤退後は資金調達の目途がたたず、ブルガリア議会は2012年3月に同計画の中止を決めた。その後、ブルガリア議会と内閣は2018年6月、政府による建設資金の保証や長期の電力買取契約なしで、エネルギー大臣が市場原理に基づいて同建設プロジェクトを遂行すると決定。計画再開のためブルガリア電力公社が2019年3月、戦略的投資家を募集すると発表していた。
同計画では第3世代の100万kW級ロシア型PWR(VVER)「AES-2006」の採用が決まっており、計画が中止された際に未使用のまま倉庫に保管した1号機の長納期品、および2号機の一部機器を活用する。ロスアトム社のK.コマロフ第一副総裁は今回の覚書締結について、「原子力産業界のリーダー達による国際協力で、ベレネ計画を実行する最高の条件が財政面と技術面で生み出された」とコメントしている。
ロスアトム社はすでに、ハンガリーのパクシュ原子力発電所Ⅱ期工事とフィンランドのハンヒキビ原子力発電所1号機建設計画にロシア型PWR(VVER)を供給するため、両社と協力中である。GE社とはさらに、トルコのアックユ原子力発電所とエジプトのエルダバ原子力発電所の建設計画に、タービン系統を供給する合弁事業体として協力している。
(参照資料:ロスアトム社とフラマトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの6月18日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)