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仏EDF、フェッセンハイム2号機を永久閉鎖

07 Jul 2020

フェッセンハイム原子力発電所 ©SFEN

仏国内すべての原子力発電所を所有・操業するフランス電力(EDF)は6月29日、ドイツとの国境に近い東部に立地するフェッセンハイム原子力発電所2号機(PWR、92万kW)を、同日夜11時に永久閉鎖したと発表した。同炉は国内で稼働中の原子力発電所としては最古となる1978年に営業運転を開始、昨年9月に公表されていた予定日より1日前倒しの閉鎖となった。

これは、2015年8月に成立した「エネルギー移行法」に基づき、現在約75%の原子力発電シェアを2025年までに50%に削減し、原子力発電設備も2015年レベルの6,320万kWに制限するための施策。これらの施策は元々、F.オランド前大統領が当時公約していたもので、手始めとして、フェッセンハイム発電所で1977年に運転開始した1号機(PWR、92万kW)が今年2月に永久閉鎖された。

2017年5月に就任したE.マクロン大統領はオランド前大統領の方針を引き継いだが、「2025年までにシェアを引き下げる」方針を現実的で制御可能、経済的かつ社会的にも実行可能な条件下で達成するため、2018年11月の「エネルギーと地球温暖化に関する仏国戦略」の中で目標期日を10年先送りすると発表した。その際、フェッセンハイム発電所の2基を含め、国内の58基中合計14基の90万kW級原子炉を2035年までに永久閉鎖する方針を明らかにした。

閉鎖の可能性がある90万kW級発電所は、トリカスタン(4基)、ビュジェイ(4基)、グラブリーヌ(6基)、ダンピエール(4基)、ルブレイエ(4基)、クリュアス(4基)、シノン(4基)、サンローラン・デゾー(2基)など。同大統領は、フェッセンハイムの2基の閉鎖後に国内の電力供給にリスクが及ばないと判断された場合、後続の2基を2025年から2026年の間に閉鎖する可能性を示唆していた。

なお、仏政府の環境連帯移行省は同日、フェッセンハイム2号機の永久閉鎖について「エネルギー消費量の中でも特に化石燃料による発電電力の消費量を削減し、温室効果ガス排出量の削減を目指した政策の一部である」と説明。これとともに再生可能エネルギー源の開発を通じて国内エネルギー・ミックスの多様化を図り、自然災害等に対する送電網のレジリエンス(回復力)も一層強化すると述べた。

一方、仏原子力学会(SFEN)のV.フォードン事務局長は一般紙のインタビューに対し、私見と断ったうえで、「フェッセンハイム原子力発電所が閉鎖されたことでCO2の排出量は年間約1,000万トン増えることになる」と指摘している。

(参照資料:EDFフェッセンハイム原子力発電所(仏語)仏環境連帯移行省(仏語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの6月30日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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