英計画審査庁、サイズウェルCの開発合意書申請を受理
09 Jul 2020
SZCの完成予想図 ©EDFエナジー社
英コミュニティ・地方自治省の政策執行機関である計画審査庁(PI)は7月7日、EDFエナジー社が5月下旬に提出していたサイズウェルC原子力発電所(SZC)建設計画の「開発合意書(DCO)」申請を6月24日付で受理したと発表した。この申請書は今後、PIが詳細に審査した上でビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)に勧告事項を提示、BEIS大臣がDCO発給の最終判断を下すことになる。
なお、これに先立ち英原子力規制庁(ONR)は6月30日、SZCの運転会社としてEDFエナジー社が設立したNNBジェネレーション(SZC)社が、同発電所の原子力サイト許可(NSL)を申請したことを明らかにした。こちらの申請書は審査を評価段階に進めるのに十分な完成度だったが、ONRの作業量が膨大であるため、少なくとも2021年末までONRとして最終的な判断を下すことはできないとしている。
PIによると、DCOの申請内容はイングランド地方の南東部サフォーク州にあるサイズウェルB原子力発電所(125万kWのPWR)の北側に、出力約167万kWのフラマトム社製・欧州加圧水型炉(EPR)(英国仕様版)を2基建設するというもの。主要な原子力発電設備のほかに、海上設備や発電所の建設と操業を円滑に進めるための設備などで構成される。また、サイズウェルB発電所の運転に関わる補助施設の中から、特定の既存設備を移設したり取り換えるなどして使用。建設工事は段階毎に分けて行われるため9~12年を要する見通しだが、完成すれば設計上の運転期間である60年間運転を継続し、その後は廃止措置が取られるとしている。
また、申請書の受理に際し、担当大臣が2017年のインフラ計画(環境影響評価)規制に基づき、このプロジェクトが周辺国の環境に及ぼす影響についてスクリーニング評価を行った。その結果、英国以外のいかなる国においても環境面で多大な悪影響が及ぶ可能性は低いと結論付けている。
英国政府はさらに、国連欧州経済委員会(UNECE)が1991年に採択した「越境環境影響評価条約(エスポー条約)」と1998年の「環境に関する情報へのアクセス、意思決定における市民参加、司法へのアクセスに関する条約(オーフス条約)」を考慮。EDFエナジー社が提案したプロジェクトの情報をこれらの締約国すべてとその市民に提供すると決定しており、これらの市民が公聴会などの意思決定プロセスに参加するよう呼びかけている。
(参照資料:英国政府、ONR、EDFエナジー社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの7月8日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)