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中国で建設中の田湾5号機で燃料の初装荷が完了 

14 Jul 2020

©CNNC

中国核工業集団公司(CNNC)は7月10日、江蘇省・田湾原子力発電所で建設中の5号機(111.8万kWのPWR)について、前日の9日に燃料の初装荷が完了したと発表した(=写真)。同国で建設されている原子炉の中では今年初の事であり、2021年末までには同国48基目の商業炉として営業運転を開始できると見られている。

田湾発電所では現在、I期工事の1、2号機とII期工事の3、4号機が営業運転中。これらはすべて100万kW級のロシア型PWR(VVER)だが、同発電所III期工事として2015年12月と2016年9月に着工した5、6号機の2基だけは、CNNCが仏国のPWR技術に基づいて開発した第3世代の100万kW級PWR設計「ACP1000」を採用。後続の7、8号機(IV期工事)については再び、ロシア製の120万kW級PWRを採用することが決まっている。

CNNCによると、同発電所で稼働中の4基はこれまでに2,000億kWh以上の電力を発電しており、これにともなうCO2の年間排出量削減効果は、揚子江デルタ地帯の7万ha以上のエリアで毎年植林したのと同程度。その意味で、20年以上の期間をかけて開発された田湾原子力発電所は、中国東部における重要なクリーン・エネルギー基地になったとしている。

第3世代+(プラス)の最新設計となる7、8号機の建設に関しては、ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社が2018年6月にCNNCと枠組み契約を締結。2019年3月には両炉の建設に関する一括請負契約を両者間で交わしており、ロスアトム社はすでに同年7月から両炉の原子炉容器に使用する鍛造品の製造を開始した。今年12月には当初予定より5か月前倒しで7号機の本格着工を目指しており、同炉から5~10か月遅れで着工する8号機とともに、それぞれ2026年と2027年の営業運転開始を見込んでいる。 

(参照資料:CNNCの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの7月13日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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