米USNC社のSMR開発に韓国原研と現代エンジニアリングが協力
05 Aug 2020
MMRの概念図©USNC
韓国原子力研究院(KAERI)は8月3日、米国のウルトラ・セーフ・ニュークリア社(USNC)が進めている小型モジュール式高温ガス炉(HTGR)「マイクロ・モジュラー・リアクター(MMR)」の開発に協力するため、現代エンジニアリング社を加えた3者で7月3日に相互協力協定を締結したことを明らかにした。
CO2を排出せずに電力とプロセス熱、および水素の効率的な生産が可能なMMRの開発で技術協力を促進し、国内外のMMR事業を効率的に推進できるよう協力の基盤を造成する考え。超小型炉に分類されるMMRの開発と建設のみならず、熱電併給が可能なHTGRと環境に優しい水素生産を目的とした超高温ガス炉(VHTR)の各技術の開発・利用について、今年7月から5年間にわたり共同作業を進めていく。米国内の報道ではまた、MMRを韓国に建設する可能性についても3者が連携して追求する方針だと伝えられている。
今回の発表の中でKAERIは、2004年から韓国政府の原子力研究開発事業の一環としてHTGRベースの原子力水素生産技術を開発中であると説明。今回の相互協力協定を切っ掛けに、産業界との協力を通じて現在進めている研究開発事業を成功に導きたいと述べた。KAERIはまた、USNCが完了したMMRの概念設計活動に参加していたことから、現在進められている基本設計活動においても技術協力を継続中。KAERIの朴院長は、「2社との協力により、原子力技術開発だけでなくビジネス・モデルを共同開発し、海外市場に進出する足場を固めたい」との抱負を述べた。
現代エンジニアリング社に関しては、今年3月に現代グループ内の複数企業が共同で大型建設機器用の水素燃料開発を開始した。同社自身も原子炉で水素と熱を生産する技術を開発中であり、MMRの実証炉建設に向けた基本設計活動にはKAERIとともに参加中となっている。
USNCのMMRは熱出力1.5万kW、電気出力0.5万kWで、シリコン・カーバイドで層状に被覆されたウラン粒子を燃料に用いる第4世代の小型モジュール式HTGR。20年の運転期間中に燃料を交換する必要がなく、いかなる事故シナリオにおいても、物理的な対応なしですべての熱が受動的に環境中に放出されるという。
カナダのエネルギー関係プロジェクト開発企業であるグローバル・ファースト・パワー(GFP)社は2019年3月、パートナー企業であるUSNC社のMMRをオンタリオ州のカナダ原子力研究所(CNL)チョークリバー・サイトで建設するため、SMRとしては初の「サイト準備許可(LTPS)」をカナダ原子力安全委員会に申請。現時点では環境影響評価が行われている。
また、CNLは2017年4月に公表した今後10年間の「長期戦略」の中で、2026年までにチョークリバー・サイトでSMRを建設するという意欲的な目標を設定。2019年7月にはSMRの研究開発と建設を支援するコスト分担方式の研究開発イニシアチブ(CNRI)を設置しており、最初の支援対象として選定したUSNC社のMMRについては、今年2月に同社の子会社と協力協定を締結している。
(参照資料:KAERIの発表資料(韓国語)、原産新聞・海外ニュース、ほか)