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米エクセロン社、経済的理由でイリノイ州の2つの原子力発電所を早期閉鎖へ 

28 Aug 2020

バイロン原子力発電所©エクセロン社

米国の原子力発電事業者としては最大手のエクセロン・ジェネレーション社は8月26日、イリノイ州で稼働するバイロン(120万kW級PWR×2基)とドレスデン(91.2万kWのBWR×2基)の両原子力発電所を2021年の秋に早期閉鎖する方針を明らかにした。信頼性の高い両発電所の運転により、同社はイリノイ州の北部約400万の世帯や事業所にCO2を排出しないクリーンな電力を供給してきたが、バイロン発電所は2021年9月、ドレスデン発電所については同年11月に永久閉鎖する計画である。

米国の電力市場が自由化された地域では、独立系統運用者(ISO)や地域送電機関(RTO)が運営する容量市場で卸電力の取引が行われている。バイロン発電所では現行の運転認可が満了するまで残り約20年、ドレスデン発電所でも10年ほど残っているが、どちらも近年はエネルギー価格の低迷や、北東部の代表的なRTOである「PJMインターコネクション(PJM)」の容量オークションで化石燃料発電に競り勝つことができず、数億ドル規模の歳入不足に陥っている。また同社によると、連邦エネルギー規制委員会(FERC)が最近指示したオークション関係の価格規則はクリーン・エネルギーに対する同州の財政支援策を台無しにし、容量オークションでも化石燃料発電を優遇しているため、両発電所の財政問題はさらに悪化している。

イリノイ州では2016年12月、州内の原子力発電所に対する財政支援策を盛り込んだ包括的エネルギー法案が成立しており、エクセロン社は早期閉鎖を予定していたクリントン(107.7万kWのBWR)とクアド・シティーズ(91.2万kWのBWR×2基)の両原子力発電所で今後少なくとも10年間、運転継続させることを決定した。しかし、近年はFERCの価格規則等により、今回の2つの原子力発電所のみならず同社が保有するラサール(117万kWのBWR×2基)原子力発電所とブレードウッド(120万kW級PWR×2基)原子力発電所についても、早期閉鎖のリスクは高いと同社は主張している。

同社のC.クレイン社長兼CEOは「エクセロン社全体でほかの雇用を維持するために、不経済なプラントを閉鎖しなければならないことを頭ではわかっているが、お粗末なエネルギー政策によって発電所の優秀な従業員が職を失うことになるのは胸が痛む」と述べた。しかし、エクセロン社は両発電所の早期閉鎖を回避できるよう、今後も州政府の政策立案者と協議を続ける考えであり、すでに会計帳簿も開示したことを明らかにしている。

バイロンとドレスデン両発電所の閉鎖により、イリノイ州は温室効果ガスの排出量削減目標の達成に向けた進展が鈍化するなど妨げられるが、エクセロン社としては正式決定後にPJMに事前連絡を行う方針である。需要のピーク時においても、両発電所の閉鎖がイリノイ州北部で発電容量不足を生じさせないことをPJMが確認できるよう、分析する猶予を与えなければならない。

同社はまた、原子力規制委員会(NRC)に対して30日以内に正式な閉鎖連絡を行うほか、両発電所を長期運転する際に必要とされていた設備投資プロジェクトを終結させる。さらに、今年の秋に両発電所で予定されていた燃料交換のための停止日程を縮減するとしている。

(参照資料:エクセロン社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月11日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

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