フィンランドのオルキルオト3号機の運転開始がさらに遅れ2022年2月に
31 Aug 2020
TVOのオルキルオト3号機©TVO
フィンランドのティオリスーデン・ボイマ社(TVO)は8月28日、オルキルオト原子力発電所3号機(欧州加圧水型炉=EPR、172万kW)の運転開始スケジュールがさらに遅れ、2021年3月から2022年2月にずれ込む見通しだと発表した。2005年から建設中の同機(OL3)では、これまで何度となくスケジュールが延期されている。
TVOは今年4月に、OL3に燃料を装荷する認可申請書をフィンランド放射線・原子力安全庁(STUK)に提出した後、6月に燃料の初装荷実施を予定していた。しかし、建設工事を請け負っている仏アレバ社と独シーメンス社の企業連合が伝えてきた基本スケジュールの改定版によると、OL3への燃料装荷が2021年3月よりも前に行われることはなくなり、これにともない送電網への接続は同年10月に遅延、営業運転の開始日程も現行スケジュールからさらに11か月遅れることになった。
この段階に来て運転開始スケジュールがさらに延期された理由について、TVOは①システム試験の進行速度が遅く、②これまでに実施した試験で技術的課題が浮上したこと、また③プロジェクトの遅れによりメンテナンス作業量が増加、④不足していたスペア・パーツの調達に時間を要したことなどを挙げた。これらのうち、技術的課題はすでに解決しており、すでに実施中の補修作業が今秋中に完了する予定。これらの具体的な内容は、加圧器安全弁のヒビ、非常用ディーゼル発電機の欠陥部品、加圧器サージラインの振動、自動機器キャビネットで探知されたケーブル絶縁体の不備などである。
TVOの発表によれば、昨今は新型コロナウイルスによる感染が世界的に拡大しているが、OL3の建設現場では特別な措置を取った上で作業を続行。燃料の装荷については準備が整いつつあるほか、残っているシステム試験やメンテナンス作業、補修作業に関しても、燃料の装荷前に完了する予定だとした。また現在、原子力の専門家約1,500人がプロジェクトの仕上げに当たっており、開始当初に約3,000項目あった起動試験も、今や数10を残すのみ。OL3は送電を開始した後、定常的な運転に入るまでに様々な出力で10億~30億kWhを発電する計画である。
なお、TVOが2018年3月にアレバ社の企業連合と締結した和解契約に従い、アレバ社の新しい経営幹部は現在、OL3完成までの保証期間を全面的にカバーするための資金を確保中。同企業連合に参加するアレバ社の系列企業2社とシーメンス社は、同保証期間が満了するまで契約上の法的義務を共有しており、この建設プロジェクトのためにアレバ社が設置した資金調達メカニズムを通じて、完成までにかかる経費を負担することになっている。
(参照資料:TVOの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの8月28日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)