ポーランド内閣、原子力開発プログラムの最新版を承認
12 Oct 2020
©Polish Government
ポーランドの気候・環境省は10月9日、同国における複数年の原子力開発プログラムを内閣が承認したと発表した。
それによると、原子力の導入はポーランドがCO2を出さない安定したエネルギー源を獲得するための道筋を付けるという意味で重要なもの。今回、第3世代あるいは第3世代+(プラス)のPWRを600万kW~900万kW分、建設することを確認した気候・環境省の決議が正式に認められ、最新の原子力開発プログラムは近日中に官報に掲載されることになった。
同省のM.クルティカ大臣は発表の中で、「原子力発電によってポーランドは国内のエネルギー供給を確実に保証できる」と表明。世界原子力協会(WNA)が先月に開催したパネル討論会では、「2033年に初号機の運転を開始した後は2~3年毎に後続の原子炉を起動、2043年までに原子力開発プログラムの6基すべての建設を終える」と述べており、CO2を排出しない強靱な電力供給システムを作り上げる方針を明らかにしていた。
同国の原子力発電開発利用では主に3つの目標の達成を目指すとしており、それらは①「エネルギーの供給保証」、②「気候変動対策と環境の保全」および③「経済性」である。①の説明として気候・環境省は、「供給保証を強化するため、原子力でエネルギー源となる燃料の多様化を図るとともに、CO2を大量に放出する古い石炭火力発電所を高効率のものに置き換える」としている。
②については、「発電部門から大気中に放出される温室効果ガスの量を原子力で劇的に削減し、環境保全面のコストを抑える」と説明。仏国やスウェーデン、カナダのオンタリオ州など、原子力発電開発が進んだ大規模産業国/地域の例を挙げ、「これらの国の原子力発電は、発電部門の効率的かつ早急な脱炭素化に貢献している」と指摘した。
同省はまた、③の説明として「原子力は顧客のエネルギー料金が増加するのを抑えるだけでなく、削減することさえ可能だ」と強調。投資家関係やシステム、送電網、地元住民の健康面や環境保全など原子力発電に関わるすべてのコストを考慮した場合、最も廉価な電源になるとしたほか、減価償却後も長期にわたって利用可能であるという事実に言及した。こうした背景から、原子力は個人顧客と企業顧客のどちらにも適しており、製鋼業や化学産業といったエネルギー多消費産業の発展には特に欠かせないとの認識を示している。
同省はさらに、世界では長年にわたって原子力発電所の運転が続けられている点から、原子力設備への投資は重要だと説明。例えば、1つの原子力技術に絞ったプロジェクトへの投資モデルではスケールメリットを享受できるほか、財務省が引き続き原子力開発プログラムの実施を監督することが可能だとした。
このほか同省は、国有企業が実施する政府プロジェクトでは、安全性や運転経験などで広範な実績のある100万kW級PWRの利用が可能になると指摘。建設サイトについては、2014年の原子力開発プログラムで特定したのと全く同じ地点(北部ポモージェ県のルビアトボ-コパリノ地区とジャルノビエツ地区)を明記したと説明している。
(参照資料:ポーランド気候・環境省(ポーランド語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)