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中国で建設中の小型高温ガス炉で冷態機能試験が完了

09 Nov 2020

HTR-PM ©CNNC

中国核工業集団公司(CNNC)は11月6日、山東省の石島湾で2012年12月から建設している小型の高温ガス炉(HTGR)実証炉(HTR-PM)で、1次系の冷態機能試験が3日付けで完了したと発表した。

電気出力20万kW のHTR-PM では、1つの発電機を共有する双子ユニット(各10万kW)の最初の1基で10月19日に冷態機能試験が完了、引き続きもう片方の1基で試験が開始されていた。CNNCはこれらの実証炉で、計測値のすべてが設計要件を満たしていることを確認しており、原子炉系統の機器に関しては製造と設置の品質の高さを確認。同発電所の建設プロジェクトは、国際市場が必要とする固有の安全性を備えた第4世代の原子力技術の開発を促進するとともに、加熱用蒸気と電力の併給が可能なシステムの合理化に役立つと強調している。

 HTR-PMの建設工事は科学技術関係の大型国家プロジェクトの1つであり、「華能山東石島湾核電有限公司(SHSNPC)」が中心となって進めている。同社には、中国の5大発電企業の1つである華能集団公司が47.5%出資しているほか、CNNCが2018年に経営を再統合した核工業建設公司(CNEC)が32.5%、付属の研究院で実験炉「HTR-10」を運転中の清華大学が20%を出資中。また、CNECと清華大の合弁事業体である中核能源科技有限公司(チナジー社)が、同工事のエンジニアリング・資材調達・建設(EPC)契約を請け負っている。

 CNNCの発表によると、HTR-PMの冷態機能試験では他のタイプの原子炉とは異なり、水の代わりに圧縮した空気を使用。空気を最大8.9MPaまで徐々に圧縮して1次系圧力境界の性能を試した後、1次系の漏洩率を計測するため、圧縮度を8.0MPaに下げた状態で24時間以上維持した。また、このような圧力下における1次系圧力容器の変形や位置のズレなどを最初の1基で調査した結果、支持システムの有効性が暫定的に認められたという。同試験を通じて、原子炉の主要システムとなる機器の製造やエンジニアリングの高い品質が確立され、HTGRの商業化を加速する確固たる地盤が築かれたとCNNCは指摘している。

なお、HTGRは電力供給だけでなく熱供給や脱塩、水素製造にも利用できるため、ポーランドが大型原子炉の建設計画と並行して導入の実行可能性を調査している。サウジアラビアも、韓国製小型モジュール炉などとともに中国製HTGRを建設する可能性を調査中。また、HTR-PMの出力を60万kW級に拡大した商業用のHTGRについても、広西省金端市その他の都市で建設構想が進展中と伝えられている。

(参照資料:CNNCの発表資料とWNAの11月4日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」、原産新聞・海外ニュース、ほか)

 

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