ハンガリー公益企業規制庁、電力法に基づきパクシュII期工事建設計画を許可
24 Nov 2020
パクシュ発電所II期工事の完成予想図 ©Paks II. Ltd.
ハンガリーでエネルギー関係プロジェクトの規制を担当する「エネルギー・公益企業規制庁(MEKH)」は11月20日、パクシュ原子力発電所II期工事(120万kWのPWR×2基)の建設計画を電力法に基づいて審査した結果、建設工事の実施を承認すると発表した。
MEKHは主に、同計画が国内の送電システムに及ぼす影響について、パクシュII開発会社が今年10月に提出した申請書を審査していた。今回、電力供給網のセキュリティ面に問題が生じることはないと判断し、電力法の義務事項に照らし合わせた発電実施許可を19日付で発給したもの。同建設計画の安全面については、国家原子力庁(HAEA)が今年7月からパクシュII開発会社の建設許可申請書を審査中であり、2021年7月頃に最終判断を下すと見られている。
同計画についてパクシュII開発会社側は、「建設前サイト準備許可」が取得できれば2021年から地盤の準備工事を始められると予想。早ければ同年9月に主要建屋の建設許可を取得して、本格的な工事を開始する方針である。
パクシュ原子力発電所では現在、I期工事の4基(各50万kWのロシア型PWR=VVER)が同国における総発電量の50%を賄っている。1980年代に運転開始したこれらの公式運転期間は30年であるため、運転期間を20年延長する手続きが4基すべてについて完了している。II期工事の2基は、最終的にI期工事の4基を代替することになっており、ハンガリー政府は2014年1月、ロシアと結んだ政府間合意に基づき、この増設計画をロシア政府の低金利融資で実施すると表明。両炉の設計には、第3世代+(プラス)の120万kW級VVERが採用されることになった。
しかし同計画については、欧州委員会(EC)が欧州連合(EU)域内の競争法における国家補助規則との適合性などを審査したため、プロジェクトの実施は当初計画から少なくとも3年以上遅延している。2017年3月までにこれらすべてについて承認裁定が下されたことから、HAEAは同月、パクシュII開発会社に対してサイト許可を発給、同社は2019年6月から付属施設の建設といった準備作業を開始している。
パクシュII開発会社によると、今回取得した発電実施許可は2基の本格着工に向けた重要ステップであり、これまでにHAEAから取得済みのサイト許可や環境許可、建設のための補助施設の建設許可と併せて、発電所建設に必要な要件になると説明している。
(参照資料:パクシュII開発会社とMEKH(ハンガリー語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの11月23日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)