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米エネ省、先進的原子炉実証プログラムで追加の支援対象5件選定

17 Dec 2020

WH社の「eVinci」設計© Westinghouse Electric

米エネルギー省(DOE)は12月16日、今年5月に設置した「先進的原子炉設計の実証プログラム(ARDP)」における支援対象として、新たにウェスチングハウス(WH)社など5社の設計を選定したと発表した。

これらの企業には、2020会計年度予算から差し当たり合計3,000万ドルを提供。分担金全体の少なくとも20%を産業界側がマッチング・ファンドで賄う一方、DOE側が今後7年間に拠出する総額は、これら5件で6億ドルを超える見通しである。

ARDPは、国内原子力産業界による先進的原子炉設計の実証を、政府がコスト分担方式で支援する官民連携プログラム。DOEの原子力局が担当しており、支援ルートは設計の成熟度に応じて以下に示すような3方式がある。すなわち、①「先進的原子炉の実証」ルート:5~7年の間に2つの先進的原子炉が確実に稼働できるよう支援、②「将来的な実証に向けたリスク削減」ルート:商業化の達成目標時期を①より約5年延長し、5件の支援対象設計について技術面や運転面の課題を解決、③「先進的原子炉概念2020(ARC20)」ルート:2030年代半ばの商業化を目標に様々な革新的設計の開発を支援――である。

①についてはDOEがすでに今年10月、テラパワー社が開発している「ナトリウム冷却高速炉」と、X-エナジー社の小型ペブルベッド式高温ガス炉「Xe-100」を選定。今後7年間で運転開始を実現するため、2020会計年度から8,000万ドルずつ交付することが決まっている。

今回、支援対象に決まったのは②ルートに区分されるもので、DOEは今後10~14年間に許認可手続きと建設工事を実施する可能性がある設計について技術的なリスクを削減し、安全かつ適正コストの原子炉開発を支援する。5件の対象技術や投資額、またDOE負担額等の概要は以下のとおり。

  • ケイロス・パワー社による「ヘルメス規模縮小版試験炉」、7年間の投資額6億2,900万ドル(うちDOE負担分3億300万ドル):ヘルメスは、商業規模の「フッ化物塩冷却高温炉(FHR)」開発につなげるためにケイロス社が設計、建設、操業を計画している設計。燃料として、3重被覆層・燃料粒子「TRISO」をペブルベッド方式で使用する。
  • WH社の極小原子炉「eVinci」、7年間の投資額930万ドル(うちDOE負担分740万ドル):2024年までに実証炉開発することが目標で、原子炉の冷却に使われる伝熱管の製造能力を改善するとともに、経済的に実行可能な燃料交換プロセスなどを開発する。
  • BWXTアドバンスド・テクノロジーズ社の「BWXT先進的原子炉(BANR)」、7年間の投資額1億660万ドル(うちDOE負担分8,530万ドル):輸送が可能な極小原子炉となる予定で、炉心に一層多くのウランを装荷するためTRISO燃料を使用。また、炭化ケイ素製マトリックスを利用できるよう炉心設計を改善する。
  • ホルテック・ガバメント・サービシズ社の「SMR-160」設計、7年間の投資額1億4,750万ドル(うちDOE負担分1億1,600万ドル):軽水炉方式となる同設計の開発を加速するため、初期段階の設計・エンジニアリングや許認可手続き関係の作業を支援する。
  • サザン・カンパニー・サービシズ社の「溶融塩実験炉(MCRE)」、7年間の投資額1億1,300万ドル(うちDOE負担分9,040万ドル):世界初の高速スペクトル型溶融塩原子炉として、設計と建設および運転を目指す。

このほか、開発の初期段階にある設計を支援する③ルートについて、DOEは今月末にも支援対象を公表するとしている。

(参照資料:米エネ省の発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)

 

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