米規制委の委員長にハンソン委員が就任
26 Jan 2021
©NRC
米原子力規制委員会(NRC)は1月23日、J.バイデン大統領が同委員会のクリストファー・T.ハンソン委員(民主党支持派)を委員長に指名したと発表した。前委員長のK.スビニッキ氏(共和党支持派)が今月20日付けで退任したことにともなうもので、NRC委員としての宣誓を昨年6月に済ませているハンソン氏は、直ちに委員長職に就任している。
ハンソン委員長はNRC入りする前、エネルギー省(DOE)の原子力局で上級アドバイザーを務めたほか、主席財務官室(OCFO)では原子力・環境清浄化プログラムを監督するなど、原子力や原子燃料サイクル、放射性廃棄物の問題に取り組んだ。また、議会上院の歳出委員会では、専門家スタッフとして民生用原子力プログラムや国家安全保障関係の原子力プログラムを監督。さらに、コンサルティング企業のブーズ・アレン・ハミルトン社ではコンサルタントとして勤務した実績があり、政府と産業界両方の原子力部門で20年以上の経験を有している。
委員長就任に際しハンソン氏は、「規制責任の遂行にあたり、今後も国民の安全と健康を適切に保護していく」とコメント。「原子力技術が進化し続け、放射性物質の利用も拡大するなか、前委員長の業績に基づいて新たな課題に取り組むだけでなく、新たなチャンスにも向き合いたい」との抱負を述べた。
新委員長の就任について、米原子力エネルギー協会(NEI)のM.コースニック理事長は同日、祝意を表明した。その中で、「米国議会とバイデン政権はともに地球温暖化防止政策を優先事項としており、NRCが果たす大切な役割をNRC自身が認識することは非常に重要だ」と指摘した。その上で、「バイデン政権が掲げる意欲的な温暖化防止目標を達成するには原子力が不可欠であり、当協会は解決策の一翼を担えることに誇りを感じている」と表明。「このような点を考慮しつつ、NRCが引き続き近代的な規制当局に変貌していくことは、米国が低炭素経済に移行する上で最も重要である」と述べた。
同理事長はまた、「世界でも最高位の規制当局と評されるNRCは、今後も継続して原子力産業界の技術革新を牽引すべきだ」と進言。今後10年以上の間に次世代原子炉が建設されるようになれば、無炭素エネルギー関係で高い技術力を必要とする雇用が創出され、地球温暖化を阻止しつつ国家経済をも後押しする。また、規制アプローチの近代化を図ることで将来の原子炉設計は先進的なものになり、CO2を排出しない原子力発電を持続させることになると説明。「こうしたことこそ新政権と議会が目指している米国の将来のエネルギー需要を満たす上で重要な役割を果たすに違いない」と同理事長は強調している。
(参照資料:NRCとNEIの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月25日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)