世界初の「華龍一号」、福清5号機が中国で営業運転開始
02 Feb 2021
©CNNC
中国核工業集団公司(CNNC)は1月30日、福建省で昨年11月から試運転中だった福清原子力発電所5号機(116.1万kWのPWR)が、世界初の「華龍一号」設計採用炉として営業運転を開始したと発表した。
同炉は2015年5月に本格着工、国内の商業炉としては49基目になる。中国の原子力発電開発において大きな節目となった同炉の運転開始により、中国は自らが知的財産権を保有する第3世代炉の開発国としては、米国、仏国、ロシアに次いで4番目(※)になったとCNNCは表明している。
「華龍一号」は、中国で過去30年以上にわたる研究開発と機器の設計・製造、建設・運転の経験に基づき、CNNCと中国広核集団公司(CGN)双方が開発した第3世代炉設計を一本化したもの。設計上の運転期間は60年で、運転サイクル期間は18か月となっている。安全系には動的と静的両方のシステムを組み合わせており、格納容器は二重構造。これらによって、国際的に最も厳しい最新の安全基準をクリアしたとしている。
同設計はまた、120万kW近い出力があるため、年間100億kWh程度の発電が可能。新興工業国であれば、これ一基で国民100万人分の電力需要に応えることができる。この発電量はさらに、標準的な石炭の消費量で年間312万トンに相当することから、CO2に換算して年間816万トンの排出を抑えられるとCNNCは指摘した。
CNNCの余剣鋒董事長によると、CNNCは今後一層多くの「華龍一号」の建設を加速する。同設計の輸出促進とCO2排出量の実質ゼロ化という目標の達成に向けて、様々な技術を新たに開発していく考えである。
中国国内では福清6号機もCNNCが「華龍一号」の実証炉プロジェクトとして2015年12月から建設中。同炉は年内にも運転開始が見込まれている。CGNも、CGN版の「華龍一号」実証炉プロジェクトとなる広西省の防城港3、4号機を、それぞれ2015年12月と2016年12月に着工。これらは2022年に運転を開始すると見られている。
また、これらに続く「華龍一号」として、CNNCが福建省のショウ(さんずいに章)州1、2号機を2019年10月と2020年9月に、CGNが広東省の太平嶺1、2号機を2019年12月と2020年10月にそれぞれ着工した。さらに国外では、パキスタンでCNNCがカラチ2、3号機を建設中であり、2021年から2022年にかけて営業運転を開始する見通しとなっている。
注※:CNNCのプレス発表原文のまま
(参照資料:CNNCの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月2日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)