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米WH社、ポーランド民生用原子力プログラムへの投資を計画

17 Mar 2021

WH社のフラグマンCEO(=左)とポーランドのナイムスキ特任長官 ©Westinghouse Electric

米ウェスチングハウス(WH)社は3月15日、ポーランドが進めている民生用原子力発電(導入)プログラムへの協力で、米国から技術移転することや米国企業による包括的投資構想の策定などを計画していることを明らかにした。

これらは、今月初旬にポーランドの原子力発電プログラムの実施に向けた両国の政府間協力協定(IGA)が発効したのを受け、同社のP.フラグマンCEOがポーランドの首都ワルシャワで、P.ナイムスキ戦略エネルギー・インフラ特任長官と協議した後、発表された。WH社がポーランドの原子力パートナーとして選定された場合、同社はポーランド国内で2,000名以上の関係雇用が創出されるよう原子力サプライチェーンの構築に尽力し、質の高い原子炉機器や専門的知見の提供を保証するとしている。

ポーランドでは、2月初旬に内閣が燃料・エネルギー部門における2040年までの重要政策「PEP2040」を正式承認した。この中の「改定版・原子力発電プログラム」は同国の戦略的プロジェクトの1つと位置付けられており、国内で閉鎖された石炭火力発電所の代わりとして、2043年までに第3世代あるいは第3世代+(プラス)のPWRを合計6基(600万~900万kW)建設すると明記。2033年に初号機が運転開始した後は、2~3年毎に後続の5基を起動していく計画である。

この分野における米国とポーランドの協力については2020年10月、米エネルギー省(DOE)のD.ブルイエット長官(当時)がIGAに署名している。その後、ナイムスキ特命長官による署名も含め、ポーランド側の手続が完了したことからIGAが発効。双方が発効要件すべてを満たしたことが、両国の外交文書で確認されている。

30年間有効な同IGAに基づいて、両国は今後ポーランドの原子力発電プログラムを実行に移すための方策や資金の調達方法について18か月にわたって協議し、報告書を作成する。この報告書は、ポーランドの原子力発電所建設パートナーとして米国が長期的に同プログラムに関与し、原子力発電所の国内建設でポーランド政府が最終決断を下す際の基盤となる予定である。

今回の発表の中でWH社のフラグマンCEOは、「CO2の排出量や大気汚染、信頼性の高いエネルギーに対する需要の高まりといった課題に取り組むポーランド政府の姿勢や統率力を当社は高く評価している」と表明。その上で、「当社には原子力の技術革新で長年にわたる成功の伝統があり、ポーランドにおける今後のエネルギー供給保証や雇用の創出といった課題への取り組みに連携協力していく体制は整っている」と強調した。

WH社によると、同社が開発した「AP1000」設計は高い安全性と操作性を原子力市場に提供。同設計を採用して中国で稼働中の発電所は今後も、卓越した設備利用率や燃料交換のための停止期間短縮などで、業界記録を容易に達成するとしている。

(参照資料:WH社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの3月16日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

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