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仏電力、フラマンビル3号機の1次系ノズル3か所で設計異常を報告

24 Mar 2021

©ASN

仏原子力安全規制当局(ASN)は3月18日、建設中のフラマンビル原子力発電所3号機(163万kWの欧州加圧水型炉:EPR)(FL3)で1次系配管のノズル設置部3か所に設計上の異常が認められたことから、事業者のフランス電力(EDF)に対し根本原因の究明と対処方針の提示を求めたと発表した。

ASNはこの件について意見表明を行う前に、異常の探知や是正措置が遅れた理由についても解明していく方針。その中でも特に、1次系の他の部分で異常がないことを確認したいとしている。また、これにともない、EPRを開発したフラマトム社が22日、正確な原因の特定と適切な対処計画の提案に向けてEDFチームをサポートすると表明。安全基準に照らし合わせて、ノズル部の特性を再評価するとしている。

ASNの発表では、EDFはこの異常に関する報告を今月3日に行っていた。それによるとEDFは2006年、1次系の主要配管と複数の補助系を接続するノズルを3か所で設置するのに際し、設計の変更等を検討した。初期設計ではこれらのノズルと溶接ビード(2つの溶接部材が溶融して出来た帯)の位置が非常に近くて点検し難いため、溶接部の直径を広げる形で設計を変更。2011年にこの変更に沿ってノズルを溶接する作業が行われ、要件との適合性もチェックされた。

しかし、関係する配管が製造された2013年、EDFとフラマトム社は直径15cm以下の小口径ノズルでは溶接部の設計に異常がともなうことを確認した。EDFは2014年、この溶接部に「故障か所の除外プロセス」を適用して処理すると決定したものの、ASNは2017年にこのプロセスの基本要件と1次系主要配管の適合性を調査するようEDFに指示。ノズル部で設計変更が行われた2006年当時は、溶接部の直径が安全調査で検討された大きさを上回るなど、破断の発生を考慮していないという認識はなかったが、ASN自身もEDFが2020年末に提示した対応を2021年1月に審査した結果、これらのノズル溶接部が要件すべてに適合していないことが判明したとしている。

FL3の建設工事は2007年12月に始まったが、仏国内では初のEPR建設であるため、土木エンジニアリング作業の見直しや原子炉容器の鋼材組成異常、2次系配管溶接部の品質上の欠陥などにより、完成は大幅に遅れている。それでも2020年2月には温態機能試験が完了し、ASNは初装荷燃料の敷地内への搬入を許可。2022年末に燃料を装荷した後、2023年に送電開始できると見られていた。

(参照資料:ASNの発表資料フラマトム社の発表資料、EDFの発表資料(仏語)、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの3月23日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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