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米規制委、サリー発電所で2回目の運転期間延長を承認

06 May 2021

サリー原子力発電所 ©Dominion Energy

米原子力規制委員会(NRC)は5月4日、バージニア州のサリー原子力発電所1、2号機(各87.5万kWのPWR)について、ドミニオン・エナジー社が申請していた2回目の運転期間延長を承認したと発表した。この承認により、これら2基はそれぞれ2052年5月と2053年1月まで80年ずつ運転継続することが可能になった。

NRCはこれまでに、フロリダ州のターキーポイント3、4号機(各76万kWのPWR)とペンシルベニア州のピーチボトム2、3号機(各118.2万kWのBWR)について、2回目の運転期間延長を承認。運転開始後80年間の運転継続が許された原子力発電所は、今回のサリー発電所で3件目となる。

サリー1、2号機はそれぞれ1972年と1973年に営業運転を開始しており、NRCは両炉について2003年3月、初回の運転期間延長として当初の運転認可期間の40年に20年追加することを承認した。その後、ドミニオン・エナジー社は2018年10月にさらに20年間ずつの運転期間延長をNRCに申請。NRC事務局は今回この申請を承認した根拠として、2020年3月に同申請の安全面について最終安全性評価報告書(FSER)で最終的な確認をしていることと、環境影響評価について2020年4月に補足文書の最終版(FEIS)を発行したことを挙げている。また、NRCの原子炉安全諮問委員会(ACRS)も別途、同申請の安全面について審査を行い、今回の事務局と同じ結論を得ている。

ドミニオン・エナジー社はこの承認について同日、「バージニア州でサリー発電所が電力供給している41万9,000世帯に対し、2033年以降も引き続き信頼性の高い廉価なクリーンエネルギーを供給できることになった」とコメントした。同社はサリー発電所に続き、同じバージニア州のノースアナ原子力発電所1、2号機(各約100万kWのPWR)についても2020年9月に2回目の運転期間延長を申請。これら2つの原子力発電所は、同社がバージニアとノースカロライナの両州で供給する電力の約三分の一を賄っているほか、バージニア州においては無炭素電力の92%を供給していると強調した。

ドミニオン・エナジー社のD.ストッダード原子力部門責任者(CNO)は、「顧客だけでなく地球環境や地元経済にとっても良いニュースだ」と表明した。同CNOによればサリー発電所の運転期間延長は、バージニア州の「クリーン経済法」が義務付けた「2045年までに州内の電力を100%無炭素化する」という目標の達成上非常に重要。また、同州では引き続き経済成長が促され、米国南部や中部大西洋地域におけるクリーンエネルギー生産をバージニア州が主導するための一助になる。同発電所ではさらに、900名分以上の高給雇用が確保され、経済面や税制面でも追加の利益がもたらされると指摘している。

(参照資料:NRCドミニオン・エナジー社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの5月5日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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