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フィンランドのポシバ社、廃棄物の実処分に使用する坑道の掘削を開始

10 May 2021

ONKALOで始まった坑道の掘削作業©Posiva Oy

世界初の使用済燃料最終処分場を2016年11月からフィンランドで建設中のポシバ社は5月7日、実際の最終処分に使用する処分坑道の掘削作業を開始したと発表した。

ポシバ社は、国内で原子力発電所を運転するティオリスーデン・ボイマ社(TVO)とフォータム社が使用済燃料最終処分の実施主体として設立した事業体である。同社は2000年、フィンランド南部のユーラヨキ地方にあるオルキルオト原子力発電所の近郊を同処分場の建設サイトに選定し、2004年からは、同地点の地下450m部分の岩盤地質や水文学特性を調査する地下の研究施設として「ONKALO」を着工。同施設は最終的に処分場の一部になることから、ポシバ社は今後18か月の間にONKALOで最初の坑道を5本掘削し、2020年代半ばには処分場としての操業開始を目指すとしている。

ポシバ社によると処分坑道の掘削は、フィンランドの岩盤に適した建設方法の研究開発で同社が2004年以降、積み重ねてきた活動の集大成となる。掘削作業の開始に至る前に、すべての前提条件が満たされていることをフィンランド放射線・原子力安全庁(STUK)が確認したと強調した。

同社はまた、2019年6月に処分場の地上設備となる「使用済燃料封入プラント」の建設に着手しており、今年3月には総合機能試験の2023年の実施に向けて試験用の処分坑道を掘削すると発表した。この計画で、同社は100年という処分場の操業期間中に合計約100本の処分坑道を掘削するが、1本の処分坑道の長さが最大で350mであるため、その全長は約35kmに達する見通し。各処分坑道の幅は約3.5mで、高さは約4.5mになる予定である。

同社によると、1本の処分坑道の床面に約30の処分孔を掘削し、それぞれにキャニスターを1本ずつ縦置きで定置する方針。キャニスターの総数は処分孔の数で変化するものの、それぞれの処分坑道で処分されるキャニスター30本分の使用済燃料は約65トンになるとしている。

なお、今回掘削することになった最初の5本の坑道は、2020年代中の処分場の操業開始を実現するため同社が2019年から5億ユーロ(約662億円)の予算で進めている「EKAプロジェクト」の一部分である。EKAプロジェクトは最終処分に必要な施設のすべてをカバーしており、使用済燃料封入プラントの建設に加えて、最終処分の開始前に必要となるサプライチェーンの整備やONKALO地下設備における最終処分システムの設置などを促進。これらを通じてポシバ社は確実に、世界で最初の使用済燃料最終処分場の操業者となる見通しである。

(参照資料:ポシバ社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの5月7日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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