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韓国の規制当局、新ハヌル1号機に運転認可を発給

13 Jul 2021

新ハンウル原子力発電所©KHNP

韓国原子力安全委員会(NSSC)は7月9日、韓国水力・原子力会社(KHNP)が慶尚北道蔚珍郡の北面で建設している新ハヌル原子力発電所1号機(PWR、140万kW)に対し、条件付きで運転認可を発給すると議決した。

韓国では2017年の「エネルギー転換のロードマップ」で原子力発電所の運転期間延長を認めず、段階的に削減していくことを閣議決定したが、すでに建設認可が降りていた新ハヌル1、2号機と新古里5、6号機までは完成させる方針である。

新ハヌル1号機は出力140万kWの韓国製PWR「APR1400」で、韓国電力公社(KEPCO)の率いる企業連合がアラブ首長国連邦(UAE)のバラカ原子力発電所で建設したのと同型設計。2012年7月に本格着工しており、KHNP社は2014年12月に同機の運転認可をNSSCに申請した。これを受けてNSSCは、韓国原子力安全技術院(KINS)を通じて2020年5月まで、申請書の審査と同機の使用前審査を実施したほか、特別専門委員会は2020年6月から10月まで追加検討を行った。

NSSCはまた、2020年11月以降、公式会議で申請書の評価作業を開始したが、同機ではこの間、過酷事故時の水素爆発を防止する「静的触媒式水素処理装置(PAR)」の安全性やテロ対策などが問題となっていた。このためNSSCは、合計18回の公式会議等でこのような主要課題を審議したほか、今年2月には現場での検査を実施。今回、同機のPARについては「韓国原子力研究院(KAERI)が水素除去率等の追加試験を早急に行い、2022年3月までに最終報告を提出すること」などを義務付けている。

新ハヌル1号機の運転認可申請審査では、航空機衝突事故の防止対策や加圧器逃し安全弁(POSRV)の漏えい低減措置の妥当性なども詳細に検討された。同機が原子力安全法・第21条の基準をみたしていることを確認した上でNSSCは運転認可の発給を決定する一方、同法の第99条に基づき、同機の安全確保に必要な措置として以下の条件を追加した。

①PARの追加試験は、経済協力開発機構・原子力機関(OECD/NEA)がドイツの「THAI模擬格納容器」を使って行った「THAIプロジェクト(水蒸気濃度の再結合効率などPAR性能に対する影響を評価)」と同等のものを実施し、最終報告書を提出する。また、必要に応じてフォローアップを行う。

②航空機の衝突事故発生の可能性を低減するため、飛行回数の制限措置などについて関連機関と協議を実施し、最初の予防保全計画を策定。必要に応じてフォローアップを行う。

③予想可能な航空機の衝突事故について、被ばく線量制限値を超える放射能漏れ災害の発生頻度の評価手法を開発する。

④最終安全解析報告書(FSAR)の第15章について、営業運転の開始日までに改訂版を提出する。

なお、NSSCは今後、新ハヌル1号機の燃料装荷や試運転に際しても、安全性を事前に徹底的に確認するとしている。

(参照資料:韓国原子力安全委の発表資料(韓国語)、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの7月12日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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