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韓国のサムスンC&Tが米ニュースケール社のSMR事業に参加 

27 Jul 2021

投資契約の調印式©NuScale Power

米国で小型モジュール炉(SMR)を開発中のニュースケール・パワー社は7月22日、韓国のサムスンC&T社(サムスン物産)が同社に株式投資することになったと発表した。

サムスン物産はこの投資でニュースケール社のSMR開発事業を支援していくが、これに加えてサムスン物産のエンジニアリング・建設グループは、ニュースケール社の主要株主であるフルアー社(大手の設計・調達・建設(EPC)企業)と「業務提携契約」を締結する方針。この契約を通じてサムスン物産は、ニュースケール社が今後世界中で展開するSMRの建設プロジェクトに対し、協力の可能性を広げていく。

サムスン物産は化学薬品や鉄鋼、電子素材、エネルギーなど6つの事業分野に携わる総合商社で、建設ゼネコンの一つでもある。韓国電力公社(KEPCO)の企業連合がアラブ首長国連邦(UAE)からバラカ原子力発電所(140万kWのPWR×4基)建設計画を受注した際も、これに参加した。韓国国内ではハヌル5、6号機(各PWR、100万kW)の建設工事に加わったことから、同社はこのような経験を生かして、ニュースケール社やフルアー社の戦略的パートナーとして将来のSMR建設プロジェクトに協力する考えだ。

ニュースケール社のSMR「ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)」は、開発が進展していくにつれ1モジュールあたりの出力が徐々に増加。5万kW版のNPMについては2020年9月、原子力規制委員会(NRC)が設計認証(DC)審査で、SMR設計としては初めて「標準設計承認(SDA)」を発給しており、同設計は現時点で米国におけるSMR商業化レースの先頭を走っている。最新のNPMの出力はモジュールあたり7.7万kWで、これを最大で12基接続した場合の出力は92.4万kWとなる。

サムスン物産は今回、「SMRは環境に優しい次世代技術であり、業務提携契約を締結すれば当社が今後大きく成長するための重要ステップになる」とコメント。ニュースケール社に投資することで、CO2を排出しない発電技術を世界中に広める機会を追求していきたいと述べた。

ニュースケール社も、「原子力エンジニアリングと建設のパートナーとして、サムスン物産の確かな実績を当社の事業に活用できることは喜ばしい」と表明。サムスン物産の投資金と同社が保有する原子力事業の専門的知見は、ニュースケール社の革新的クリーンエネルギー技術を市場に送り出す上で非常に有益だと強調した。

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は2017年6月、国内の原子力発電所を徐々に削減して2080年頃までに脱原子力を達成すると宣言する一方、原子力輸出や海外の原子力事業への参加については産業界を積極的に支援する方針を表明。国内で残される原子力分野が廃止措置や放射線関係に限られていくなか、産業界や人材を維持する観点から政府は原子力輸出等への産業構造転換を促している。ニュースケール社の投資については斗山重工業が7月20日、同社への支援を継続するため、国内の投資家らとともに追加で6,000万ドル相当の出資を行うと発表している。

(参照資料:ニュースケール社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの7月23日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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