フィンランドのオルキルオト3号機、タービン点検で営業運転の開始は2022年6月に
25 Aug 2021
OL3©TVO
フィンランドのティオリスーデン・ボイマ社(TVO)は8月20日、オルキルオト原子力発電所で2005年から建設している3号機(OL3)(欧州加圧水型炉=EPR、172万kW)の完成スケジュールがさらに遅延することになったと発表した。新しいスケジュールでは、OL3は2022年1月に臨界条件を達成する予定。翌2月から送電を開始し、営業運転を始めるのは同年6月になるとしている。
これは、建設工事を請け負っている仏アレバ社と独シーメンス社の企業連合からTVOに伝えられたもの。最新の完成スケジュールから延期する期間、建設サイトではタービンの総点検が行われる。
TVOが2020年8月時点で発表した基本スケジュールによると、OL3は2021年10月に送電を開始し、2022年2月から営業運転を開始することになっていた。これのスケジュールにともない、同機では今年3月に燃料の装荷作業が行われており、TVOはその際、2018年5月に完了した温態機能試験を改めて実施する方針を明らかにした。
今年5月になると、TVOは当初予定していた2009年の完成が大幅に遅れている同プロジェクトの完了条件について、同企業連合と合意に達している。これは、プロジェクトの遅れにより生じた損害の賠償について、両者が2018年3月に締結した包括的和解契約を修正したもの。2022年2月末までにOL3が完成しなかった場合、同企業連合は追加の補償金を支払うことになり、両者は6月3日にこの合意文書に正式調印した。
その後、6月30日付けの発表によると、TVOは起動前の最後の大規模試験として温態機能試験を実施中で、臨界条件の達成に備えて炉内構造物や圧力容器蓋の設置作業などを行っていた。しかし、7月30日に同社は「温態機能試験の結果から、タービンで総点検を行う必要性が生じた」と発表。この時点で、OL3の送電開始と定常運転の開始日程は最新スケジュールから1か月延期され、それぞれ2021年11月と2022年3月に再設定された。
今回、このスケジュールがさらに3か月遅延することになったもので、企業連合側はすでに始めていた低圧タービンの点検作業をさらに詳細に行うため、3台すべての低圧タービンを点検すると決定。これにともない、点検期間も延長することになったと説明している。
(参照資料:TVOの発表資料①、②、③、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの8月23日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)