キーワード:カナダ
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米WE社 カナダで主要機器製造へ
米ウェスチングハウス(WE)社とBWXTカナダ社は12月12日、カナダ国内外における原子力発電の新規建設プロジェクトを支援する覚書(MOU)を締結したことを明らかにした。WE社は、新規建設プロジェクト遂行のため、カナダにおけるサプライチェーンの構築を進めている。今回のMOUは、BWXTカナダ社による、WE社製AP1000と小型モジュール炉(SMR)であるAP300の原子炉容器、蒸気発生器、熱交換器などの主要コンポーネントの製造を想定している。加オンタリオ州ケンブリッジに拠点を置くBWXTカナダ社は、PWR向け蒸気発生器、核燃料および燃料関連機器、重要プラント機器・部品など、原子力発電設備の設計、製造、試運転、関連サービスにおいて60年以上の経験とノウハウを有している。本社は米国にあるBWXテクノロジーズ社で、米国、カナダ、英国に事業所を置く。WE社は、カナダには西側諸国で最強の一つとされる原子力サプライチェーンがあり、米国のサプライチェーンと組合わせることで、新規建設を迅速に行う強力なプラットフォームになると考えている。WE社はカナダのオンタリオ州において、AP1000を4基建設するプロジェクトを計画しており、早ければ2035年までに完成するとしている。経済効果は建設段階で287億加ドル(約3.1兆円)、運転中に年間81億加ドル(約8,717億円)のGDP増となると試算している。なお、カナダ国外での建設ではカナダのサプライチェーンを通じて、1基あたり約10億加ドル(約1,076億円)のGDP増を見込んでいる。また、カナダ国内に12,000人の高賃金のフルタイム雇用が創出されるという。
- 19 Dec 2024
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カナダ 深地層処分場サイトが決定
カナダの核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は11月28日、同国の使用済み燃料を処分する深地層処分場の建設地をオンタリオ州北西部のワビグーン・レイク・オジブウェイ・ネーション(WLON)–イグナス地域に決定したと発表した。カナダでは、原子力発電所の使用済み燃料を再処理せずに深地層処分する方針であり、2002年に設立された NWMOが、カナダの中・高レベル放射性廃棄物の安全かつ長期的管理を任務とし、2010年から使用済み燃料の深地層処分場のサイト選定プロセスを開始した。当初、22自治体が処分場の受入れに関心を表明し、NWMOは集中的な技術研究を重ね、これら自治体の他、候補地がその領土内に位置する先住民族との関与を深め、徐々に候補地を絞っていった。2020年までに、オンタリオ州北西部のワビグーン・レイク・オジブウェイ・ネーション(WLON)–イグナス地域と、同州南西部のソーギン・オジブウェイ・ネーション(SON)–サウスブルース地域の2地点が候補地に残った。NWMOは今年11月中旬、先住民族であるWLONがイグナス地域の西およそ48kmのレヴェル湖エリアに処分場の誘致意思を示したと発表。イグナスの議会は今年7月、住民投票の結果、処分場の誘致に前向きであることを決定していた。一方、サウスブルース自治体は今年10月、住民投票の結果、僅差で処分場誘致を支持したが、SONは2025年まで決定を下さないとしていた。サイト決定を発表したNWMOのL. スワミCEOは、「本プロジェクトはカナダの環境問題を解決し、気候目標を支援するもの。カナダ人と先住民が主導し、同意に基づく立地プロセスで推進された。これが歴史を作るということだ」とその意義を強調した。カナダのJ. ウィルキンソン・エネルギー・天然資源相は、「WLON–イグナスの各コミュニティとサイト選定プロセスに関わった、多くのコミュニティのリーダーシップと積極的な関与に深く感謝し、NWMOの長年にわたる努力を称賛する」と述べた。オンタリオ州のS. レッチェ・エネルギー・電化相は、「オンタリオ州は、原子力のライフサイクルのあらゆる分野で世界のリーダーとしての地位を固めつつある。NWMOによるこの成果は、その最新の例だ」とサイト決定を称えた。サイト決定を受け、今後は規制評価段階に入る。処分場の建設には、カナダ原子力安全委員会(CNSC)による建設許可とカナダ環境影響評価庁(IAAC)による環境影響評価が必要。CNSCはNWMOに規制上のガイダンスを提供するとともに、地層処分場のコンセプトに関するプロジェクト前の設計レビューを実施したという。NWMOはまた、先住民も参加した規制の評価と承認プロセスにも同意しており、このプロセスはWLONによって開発・実施される。NWMOは処分場の建設許可が2033年までに発給されると見込む。その後の建設期間を経て、2040~2045年に操業を開始したい考えだ。サイトとなるレヴェル湖エリアの結晶質岩層の特性にもよるが、処分場は地下約500m、面積約6㎢に建設される予定であるという。
- 06 Dec 2024
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カナダ 原子力発電所でのRI生産を拡大へ
加ブルース・パワー社は11月1日、過去2年間の同位体生産システム(IPS)による医療用放射性同位体(RI)のルテチウム177(Lu-177)の生産実績に基づき、医療用RIの生産能力を拡大する計画を発表した。ブルース・パワー社は、加原子力安全委員会(CNSC)に書簡を送り、同社のブルース原子力発電所7号機(CANDU、87.2万kWe)におけるルテチウム177の生産実績に基づき、他の原子炉にもIPSを設置する計画を示した。ルテチウム177は、神経内分泌腫瘍や前立腺癌など、様々ながんの治療に使用される医療用RI。ブルース・パワー社は、需要のある他の医療用RIも生産するため、2025年に運転認可の修正を申し入れる計画だとしている。ブルース・パワー社のJ. スコンガック副社長は、「カナダは医療用RIの生産において世界でも超大国。当社のCANDU炉は、電力の安定供給をしながら、大規模かつ一貫した規模で同位体を照射する能力がある。コバルト60とルテチウム177の生産能力を最大限に高め、需要のある他の医療用RIの生産の追加を検討し、世界中のがん患者のために社会的責任を果たしていきたい」との考えを示した。ブルース・パワー社は2019年にIsogen社(Kinectrics Inc.とFramatome Canadaの共同出資会社)と提携し、ルテチウム177を生産するIPSを7号機に設置した。IPSは2022年10月に稼働、今年10月には2番目の生産ラインが稼働した。7号機は運転期間延長に向けて主要部品交換(MCR)を伴う大規模改修を2028年後半に開始する予定にしており、停止中もRIのサプライチェーンを維持できるよう、2027年までに6号機に2つ目となるIPSの設置を計画する。2029年には生産容量の拡大のため、ブルースA(1~4号機)の原子炉に3つ目のIPS設置の可能性を検討する予定だ。ブルース・パワー社は、医療用RIの販売大手である加ノルディオン社とのパートナーシップを通じて、医療器具・機器の滅菌や脳腫瘍や乳がんの治療にも使用されるコバルト60を長年にわたり安定供給している。ブルースB(5~8号機)のMCRによる停止期間中でも、運転期間延長期限である2064年までコバルト60の供給を確保しており、今回の改修により生産量の増加が見込まれている。なお、加オンタリオ州のS. レッチェ・エネルギー電化大臣は11月8日、ブルース発電所サイトを訪問。ブルース・パワー社とパートナー企業が、がん治療用RIを処理するホットセル施設を設置することを発表した。同大臣は、「これにより、短寿命のルテチウム177の処理能力が向上し、世界中のがん患者にタイムリーに届くようになる。がん治療用RIの生産と処理における世界的リーダーであるオンタリオ州の地位をさらに確固たるものにする」と語った。ブルース・パワー社とパートナー企業のIsogen社は、ブルース発電所サイトまたはIsogen社の施設のいずれかにホットセルを設置する計画だ。ホットセルは、機器の制御・操作が可能で安全な封じ込め機能を持ち、RIから人体を保護するシールド施設。これにより、ブルース発電所の7号機で製造されたルテチウム177の初期処理が可能になり、全体の処理時間を短縮、生産から2週間以内に患者への投与が可能になるという。
- 18 Nov 2024
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カナダ企業 米国製プラントの製造サプライヤーに選定
このほど、米ウェスチングハウス(WE)社は、カナダのバンクーバーを拠点とするシースパン(Seasupan)社を、米GE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社は、モントリオールを拠点とするヴェラン(Velan)社を、それぞれ自社が開発・展開する原子力プラントのコンポーネントや部品の供給者に選定した。WE社は10月10日、同社製大型炉AP1000および小型モジュール炉(SMR)AP300のカナダ国内外での展開に向けて、シースパン社とスプール配管や鋼鉄構造物などの原子炉コンポーネント製造に係る了解覚書(MOU)を締結したことを明らかにした。シースパン社は太平洋北西部で造船事業のほか、船舶修理や海上輸送を手掛けている。WE社によると、同社には大型造船および複雑な修理・オーバーホールのプロジェクト実施に関し長年の蓄積されたノウハウがあり、AP1000やAP300などの大規模建設プロジェクトの要件にも合致しているという。WE社はまた、カナダ国外で建設されるAP1000×1基ごとに、カナダの450以上のサプライヤーを活用して約10億加ドル(約1,089億円)の国内総生産(GDP)をもたらすと指摘。さらに、カナダ国内でAP1000×4基建設した場合、建設期間を通じて287億加ドル(約3.1兆円)の経済効果を生み、稼働を開始すれば、GDPが年平均で81億加ドル(約8,818億円)増加し、1.2万人もの高レベルな雇用をカナダ国内に創出すると試算している。一方、GEH社は10月10日、GEH社製SMRのBWRX-300の初号機建設に向け、ヴェラン(Velan)社をエンジニアリングサポートとバルブのサプライヤーに選定したことを明らかにした。ヴェラン社は発電、化学および石油化学などの分野で使用される産業用バルブの製造会社。オンタリオ州営電力のオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社は、BWRX-300×4基の建設を同社のダーリントン原子力発電所の隣接サイトで計画中で、初号機の着工に先立つ事前準備作業はすでに完了している。カナダ原子力安全委員会(CNSC)から建設許可が発給されれば、2025年に着工、2029年末までに営業運転を開始する予定。4基の完成は2034年の予定で、GEH社とヴェラン社は初号機のほか、残り3基へのバルブ供給の協力も視野に入れている。GEH社は、ヴェラン社との協力によってカナダの原子力サプライチェーンがさらに強化され、同国に経済的利益がもたらされると強調。ヴェラン社を戦略的サプライヤーとして位置付け、BWRX-300の世界展開を目指すとともに、引き続きカナダのサプライヤーと協力する機会を模索するとしている。
- 22 Oct 2024
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カナダ 原子力関連の雇用が急増
カナダ原子力協会(CNA)は9月24日、国内原子力関連の雇用が急増しており、熟練労働力の需要は今後も増大し続けるとの予測を発表した。カナダの原子力産業における就業人数は現在、89, 000人で、2019年比17%の大幅な増加。これは実質、GDPに年間220億カナダドル(約2.3兆円)に貢献しており、国家経済における原子力産業の重要な役割を示すものとなっている。この増加は、原子力発電所の改修プロジェクトの成功事例や、ネットゼロの達成とエネルギー安全保障の強化における原子力の重要な役割に対する認識の高まりなどに起因するとみられている。なお、就業者の44%が40歳以下であることも明らかとなり、この産業の将来性と新世代の労働者にとっての魅力が強調されている。またCNAは、原子力部門は雇用の増加だけでなく、その質においても際立っていると指摘。原子力関連の仕事の89%は、大学の学位を必要とする専門職および専門的な技術職の両方を含む、高度なスキルの必要な職に分類されていることを強調した。さらに、カナダが野心的な脱炭素化目標に向けて前進するにつれて、熟練した原子力労働者の需要がより一層高まると予測。カナダの原子力産業界は、革新的な小型モジュール炉(SMR)の開発および大型炉新設の可能性もあることから、将来のプロジェクトを支える人材を惹きつけていると分析。人材育成に積極的に取組み、高スキルの人材雇用に焦点を当て、次世代の原子力専門家の育成にコミットすることで、クリーンエネルギーの未来のために重要な役割を果たしたいとの考えだ。
- 02 Oct 2024
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ポーランド SMR展開支援に向け北米企業と協業へ
ポーランドのオーレン・シントス・グリーン・エナジー(OSGE)社は6月28日、米GE・日立ニュクリアエナジー(GEH)社製小型モジュール炉(SMR)である「BWRX-300」(30万kW)のポーランドにおける展開支援に向け、「BWRX-300」のサプライチェーン・グループ3社と契約を締結した。今回契約を締結した3社は、アトキンス・リアリス社(旧SNC-ラバリン社)、建設大手エーコン(Aecon)社、GEH社で、OSGEはこれら3社と協業契約を締結、さらにアトキンス・リアリス社とエーコン社とは「BWRX-300」の建設分野に係る2つの枠組協定を結んだ。OSGE社は、ポーランドの建設・エンジニアリング企業にSMR建設に係る知識や技術が不足しているなか、経験豊富なカナダ企業のノウハウを活用していきたい考えだ。なお、エーコン社は、オンタリオ・パワー(OPG)社のダーリントン・サイトでの「BWRX-300」建設プロジェクトの建設を担当しており、さらにアトキンス・リアリス社とともに、現在OPG社とブルース・パワー社が保有するCANDUプラントでの大規模な改修工事も手がけている。今回の契約について、エーコン社のT. クロシャー原子力担当副社長は、エネルギー移行において、SMRの導入は重要な役割を果たすとし、「ポーランドにおけるクリーンで信頼できる安価な電力供給に貢献する」と今回の協働の意義を強調。一方、アトキンス・リアリス社のI. エドワーズ社長兼CEOは、世界の電力需要が2050年までに3倍に増加し、新たに1000基規模の原子炉市場が生まれると予測した上で、「大型原子炉だけでなくSMRが今後の新規建設の一画を担う」との見方を示した。ポーランドの大手化学素材メーカーとポーランド最大手の石油精製企業の合弁会社であるOSGE社は2023年4月、首都ワルシャワを除く国内6地点における合計24基の「BWRX-300」建設に関する原則決定(DIP)を気候環境省に申請。同省は同年12月、これら発電所に対するDIPを発給した。DIPは、原子力発電所建設計プロジェクトに対する最初の基本的な行政判断で、DIP発給によりプロジェクトが正式に認められたことを意味する。OSGE社は、2030年代初めにも「BWRX-300」の初号機を完成させたい考えで、今年に入って、ポーランド環境保護総局(GDOŚ)は同プロジェクトに関する環境影響評価(EIA)の報告書作成に向けて取り組むべき分野を提示。これを受け同社は、ポーランド南部のスタビ・モノフスキエ(Stawy Monowskie)地点での「BWRX-300」建設に向けた環境・立地調査を開始する。また、ポーランドの規制当局である国家原子力機関(PAA)は2023年5月、「BWRX-300」の安全評価に関する包括的な見解を長官名で公表し、同炉がポーランドの関係法に基づく安全要件に適合していることを確認した。「BWRX-300」は出力30万kWの次世代原子炉で、2014年に米国の原子力規制委員会(NRC)から設計認証(DC)を取得したGEH社の第3世代+(プラス)炉「ESBWR(高経済性・単純化BWR)」をベースにしている。
- 05 Jul 2024
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新型炉MONARK カナダ経済を押し上げる可能性
カナダのアトキンス・リアリス社は6月21日、カナダ型加圧重水炉(CANDU炉)の新型炉「MONARK」(100万kWe)×4基構成の原子力発電所が、カナダにプラスの経済効果をもたらし、数千人の雇用を創出する、との調査報告を明らかにした。アトキンス・リアリス社(AtkinsRéalis、旧名:SNC-ラバリン=SNC-Lavalin)は、ケベック州モントリオール市を本拠地とし、世界各地で様々な産業向けに、エンジニアリング・調達・建設(EPC)事業を展開する。今回、同社の委託により、カナダ大手のリサーチ機関Conference Board of Canadaが実施した調査によると、「MONARK」×4基のプロジェクトが実現すれば、機器製造、エンジニアリング、建設のプロセスで、カナダの国内総生産(GDP)が409億加ドル(約4.8兆円)増加、運転の段階で495億加ドル(約5.8兆円)増加する。合計で計904億加ドル(約10.6兆円)の増加となり、税収は市、州、連邦政府全体で291億加ドル(約3.4兆円)の増加が見込まれるという。また、70年以上の運転期間を通じて、年間3,500人のフルタイム相当の雇用を創出。さらに、「MONARK」の知的財産権は100%カナダが所有しているため、カナダのサプライチェーンは、「MONARK」の海外輸出・建設1基ごとにカナダのGDPに48億加ドル(約5,700億円)の増加とカナダ人2,200人以上の雇用をもたらすと予測している。「MONARK」は、アトキンス・リアリス社が昨年11月下旬にパリで開催された世界原子力展示会(WNE)で発表した新設計のCANDU炉。CANDU炉では最大出力の第3世代+(プラス)炉に分類され、水素製造やアイソトープ製造が可能だ。CANDU炉は、連邦政府直轄のカナダ原子力公社(AECL)が主体となり、カナダが独自に開発し実用化した重水炉。カナダの他、アルゼンチン、中国、韓国、ルーマニアで稼働中である。カナダでは現在国内で稼働する19基(50万kW級~90万kW級)すべてでCANDU炉を採用。国内250企業以上、専門的および熟練したスキルを有する76,000人もの従業員を抱える一大サプライチェーンが確立されている。アトキンス・リアリス社のG.ローズ・カナダ原子力担当副社長は、「オンタリオ州は2050年までに合計1,800万kWeの新規原子力発電の導入を目指しており、CANDU炉のような大型炉は予測される需要に対応するカギとなる」と指摘している。
- 03 Jul 2024
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カナダ 米WEがエンジニアリングハブを開設
米国のウェスチングハウス(WE)社は6月11日、カナダのオンタリオ州キッチナーにグローバルエンジニアリングハブを開設した。同ハブのサイト面積は約1,200m2。CANDU炉や海外の新設プロジェクトのサポートに特化した設計エンジニアリングチームのカナダ唯一の拠点となり、同社製の「AP1000」、小型モジュー炉(SMR)の「AP300」、マイクロ炉の「eVinci」の世界展開を支援する。ハブには、最先端のトレーニング施設や防火エンジニアリング・サービスの研究所も設置される。開設記念式典に出席したオンタリオ州経済開発・雇用創出・貿易省のV.フェデリ大臣は、「オンタリオ州は北米で2番目に大きな技術者集団の中心地。多くの優秀な技術労働者がキッチナーおよびウォータールー地域に居住している。WE社のキッチナーのエンジニアリングハブへの投資は、オンタリオ州の原子力の新たな進歩を約束するもの」と指摘した。同じく式典に出席したWE社のP.フラグマン社長兼CEOは、「現在、当社にはカナダを拠点に250人以上の専門家がいる。キッチナーの新しいエンジニアリングハブには、2025年までに約100人のエンジニアを増員予定。強固な国内サプライチェーンと実証済みの技術で何世代にもわたりカナダのクリーンエネルギーのニーズに応えていく」と強調した。キッチナーのサイトは、WE社の5つのグローバルエンジニアリングハブの1つ。このサイトが選ばれた理由は、クライアントや多くのサプライヤーに近いだけでなく、理工系で有名なウォータールー大学など優秀な人材の育成機関に近接しているためだという。なお、今年2月末、コンサルティングファームである英プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が、「カナダにおけるウェスチングハウス(WE)社製AP1000プロジェクトの経済的影響」を発表し、WE社がオンタリオ州に4基の「AP1000」を導入した場合の大きな経済的影響を示した。さらに、WE社とサスカチュワン研究評議会(SRC)は、カナダ初となるマイクロ炉「eVinci」の初号機をサスカチュワン州に2029年までに建設する計画だ。
- 18 Jun 2024
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加サスクパワー SMRサイトを選定
カナダ中西部サスカチュワン州の州営電力であるサスクパワー社は5月31日、州内初となる小型モジュール炉(SMR)であるGE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社製の「BWRX-300」建設サイト候補地として、エステバン地域の2箇所を選定した。2025年初めに最終的なサイト選定を行う予定である。エステバン地域は州の南東、米国との国境近くに位置し、同地域内のバウンダリーダム、ラファティ貯水池近くの2箇所を建設サイトの候補地に選定した。調査エリアの分析は、エステバン地域の他、同地域から北西に400kmほど離れたエルボー地域でも行われた。サスクパワー社のR.パンダャ社長兼CEOは同日発表した声明の中で、「エステバン地域は、技術的適性に加え、エステバン市に近く、既存のサービス、熟練した労働力、宿泊施設、緊急サービス、インフラ、道路、送電網へのアクセス面で多くの利点がある」と強調した。サスクパワー社は2024年中に各候補地の詳細なサイト評価作業を完了し、2025年初めには最終的なサイトを選定したい考えだ。その後、同社の最終投資決定(FID)は2029年を予定している。今後数か月の間に、地下水と地質工学的な詳細情報を収集するため追加調査を開始する。なお、エルボー地域についても将来の原子力開発の可能性を考え、土地権利者、先住民族や地方自治体のリーダー、コミュニティのメンバーと連携して調査を継続していくとしている。サスクパワー社によると、今後、環境影響評価や、サイト準備、建設、運転に係る許可を得て、2029年にFIDで建設プロジェクトを進めることが決定された場合、順調に行けば2030年には「BWRX-300」(BWR、30万kWe)初号機を着工し、2034年に完成させる計画だ。同サイトに2基目を建設する可能性もあるという。同社はSMR導入にあたり、オンタリオ・パワー(OPG)社と包括的な評価作業の実施で緊密に協力。OPG社のダーリントン・サイトにおける「BWRX-300」導入を参照することで、初号機建設にともなうリスクを回避するため、2022年6月、サスカチュワン州で建設する初のSMRとして、同じ「BWRX-300」を選定した。
- 12 Jun 2024
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コンステレーション社 原子力向けにグリーンボンドを発行 米国初
米国最大のカーボンフリー電力の発電事業者であるコンステレーション・エナジー社(以下、コンステレーション社)は3月18日、同社の原子力プロジェクトの資金調達向けに9億米ドル(約1,350億円)相当の環境債(グリーンボンド)を発行したと発表した。同社は今後、調達した資金をCO2の削減やクリーンで信頼性の高い原子力発電の維持/拡大、運転期間延長などの投資に充てる予定。グリーンボンドは、地球温暖化対策や再生可能エネルギーなど、環境分野への取組に特化した資金を調達するために発行される債券で、私企業による原子力プロジェクトの資金調達に利用できるものとしては米国初。最近では、グリーンボンドは、持続可能なプロジェクトへの投資を求める投資家の間で人気が高まっているという。今回のグリーンボンド発行について、コンステレーション社取締役副社長兼CFOのD. エガース氏は、「市場の大きな反響は、原子力が今後数十年にわたって重要な役割を果たすユニークなクリーン・エネルギー技術であり、投資家が安全で長期的な投資であると認識している証左」とコメント、原子力への投資は、長期的な持続可能性への投資であることを強調している。グリーンボンドをめぐっては、カナダのブルース・パワー社が2021年11月、原子力発電向けに世界で初めてグリーンボンドを発行、これまでに3回の募集で累計17億加ドル(約1,900億円)のグリーンボンドを発行している。さらに、カナダの州営電力であるオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社も2022年7月、ダーリントン原子力発電所(CANDU-850×4基)の改造工事の資金調達用に3億加ドル(約340億円)のグリーンボンドを発行しているほか、フランスでは2023年11月、フランス電力(EDF)が既存の原子力発電所の資金調達に特化した10億ユーロ(約1,600億円)のシニアグリーンボンド(低リスクの債権)を発行している。メリーランド州・バルチモアに拠点を置くコンステレーション・エナジー社は全米で14サイト・計21基、1,900万kW以上の原子力発電設備容量を保有する電力会社。同社によれば、原子力発電のほか、水力、風力、太陽光による発電事業により、米国の1,600万世帯以上の家庭や企業に電力を供給し、米国全体で生産するカーボンフリー電力の約10%を賄っている。
- 25 Mar 2024
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加アルバータ州へのSMR導入 電力2社が提携
カナダのキャピタル・パワー社とオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社は1月15日、電気出力30万kWの小型モジュール炉(SMR)「BWRX-300」のアルバータ州での建設を目指し、協力することで合意した。技術面だけでなく事業運営も含めた実現可能性を検討する。実現可能性評価は、2年以内に完了するが、その後の取り組みでも協力を継続する。この合意により、アルバータ州、オンタリオ州、サスカチュワン州、ニューブランズウィック州政府が2022年に発表したSMR導入のための共同戦略計画が前進することになる。キャピタル・パワー社は、アルバータ州エドモントンに本社を置く、北米の電力会社。アルバータ州、ブリティッシュコロンビア州、オンタリオ州、および米国10州に、火力、太陽光、風力など約760万kWの発電設備容量を所有している。カナダ・オンタリオ州の州営電力であるオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社は、北米初のSMRをオンタリオ州のダーリントン原子力発電所サイト内に建設するため、準備作業を実施している。採用炉型は、GE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社製のBWRX-300で、計4基建設予定。1基目の建設は2028年末までに完了し、2029年末までに運転を開始する計画だ。キャピタル・パワー社のA.デイCEOは、「SMRはアルバータ州にとって、安全で信頼性が高く、柔軟性があり、手頃な価格で重要なクリーンなベースロード電源になる。この合意は長期的な戦略的パートナーシップの基礎を築くものである」「30万kWのSMRは、アルバータ州の電力市場にとって適切なサイズであり、OPG社の原子力発電の経験を活かし、アルバータ州でのSMR導入を加速させる」と期待を寄せる。同社は、2030年から2035年にかけて最初のSMRの設置を目指している。OPGのK.ハートウィックCEOによると、ダーリントン原子力発電所サイト内での新しいプラントの建設許可取得の規制手続きを完了し、2025年初頭までにSMR全4基のコストを公表できるだけの情報が十分に揃うという。初号機は少し高価になるが、後続機はコストが低減されるという。なお、この提携同意の発表式典には、アルバータ州とオンタリオ州の関係政府機関の大臣も列席。アルバータ州政府のN.ノイドルフ公共事業担当大臣は、「SMRはクリーンで信頼性が高く、手頃な価格の電力を供給するための適切なエネルギーミックスを求めるアルバータ州にとって、大きな役割を果たす可能性がある」とし、「このパートナーシップは、オンデマンドのベースロード電力を維持しながら脱炭素化を目指す我々にとり、エキサイティングで重要な前進である」と述べた。同大臣は、SMRを1か所あるいはそれ以上の場所に設置するかは実現可能性の段階で検討されるが、SMRの魅力は、原子炉をフリート化したり、より離れた場所に単独で設置したりと両方が可能なことだ、と指摘する。アルバータ州は2023年9月、同州のオイルサンド事業へのSMR導入に関する複数年にわたる調査に700万カナダドル(約7.7億円)を投資すると発表。アルバータ州政府のB.ジーン・エネルギー鉱物資源大臣は、SMRはクリーンな発電供給ミックスの重要な要素であり、オイルサンド事業にとって有望であると語った。オンタリオ州政府のT.スミス・エネルギー大臣は、「世界トップクラスのオンタリオ州の原子力の専門知識を活用した次世代のSMR技術の推進を期待する」「SMRは高賃金の雇用を創出する新たな投資を確保し、安全で信頼性の高い電力を供給、地域社会の増大するニーズに対応する」と述べた。折しも、発表式典の2日前、週末のアルバータ州の気温はマイナス45度近くまで下がり、高い電力需要により輪番停電の可能性が発生、住民に節電が要請された。スミス大臣は、アルバータ州の州都エドモントンからソーシャルメディアに投稿。風力発電や太陽光発電がほとんど稼働せず、輪番停電の可能性があることに触れ、オンタリオ州の原子力に関する専門知識をエネルギーの自立と安全保障を求める世界中の地域に輸出していきたい、と発信している。
- 19 Jan 2024
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加NB州 合計60万kWのSMRを建設へ
カナダ北東部のニューブランズウィック(NB)州政府は12月13日、安価なエネルギーを提供しつつ、同州経済の成長とクリーン・エネルギー化の促進を目指した新しいエネルギー戦略「Powering our Economy and the World with Clean Energy -- Our Path Forward to 2035 」を公表した。クリーン・エネルギーへの移行に向け、2035年まで12年間のロードマップも盛り込まれており、原子力に関しては同年までに州内のポイントルプロー原子力発電所(カナダ型加圧重水炉、70.5万kW)内で合計60万kWの小型モジュール炉(SMR)を建設すると表明している。同戦略のなかでNB州政府は、手頃なエネルギー価格と信頼性の高いエネルギー供給、新たなエネルギー技術や発電戦略等に合せたエネルギー市場改革、および州経済の成長という4点に重点を置いた。その結果、太陽光や風力などの再生可能エネルギーと、無炭素なベースロード用電源としてSMR等の原子力利用を大幅に拡大する方針を明示。これらを使って、ピーク時の電力需要に十分応えられる発電設備を州内で確保するほか、水素やバイオ燃料などの新しいエネルギー源を輸送部門に適用、さらなる省エネ対策やエネルギーの効率化を進めていく産業部門の電化は温室効果ガスの排出量削減で主要な役割を担うが、州政府の試算によると、NB州では2022年の年間電力需要の145億kWhが、2035年には234億kWhに拡大するため、発電設備を約60%増強する必要がある。カナダでは商業炉がNB州とオンタリオ州のみで稼働しており、NB州唯一の原子力発電所として州内の発電設備容量の15%を占めるポイントルプロー発電所は、過去40年以上にわたり同州の主要なベースロード用電源だった。NB州は2022年、オンタリオ州とサスカチュワン州、およびアルバータ州とともに、SMRを開発・建設していくための共同戦略計画を策定。NB州は、小型でモジュール式のSMRは従来の大型炉と比べて建設コストが低いだけでなく、太陽光など間欠性のある再生可能エネルギー源を補える柔軟なエネルギー源と認識しており、州営電力のNBパワー社と協力して、同社が運転するポイントルプロー発電所にSMRを2035年までに60万kW分新たに建設する。差し当たり2030年頃までに、最初の15万kW分の運転を開始して電力需要の増加に応えるほか、2035年までに残りを完成させて発電部門の脱炭素化を促す方針である。NBパワー社はすでに今年6月、ポイントルプロー発電所に米ARCクリーン・テクノロジー(ARC)社製の先進的SMR「ARC-100」(電気出力10万kW~15万kW)を建設するため、ARC社のカナダ法人と協同で「サイト準備許可(LTPS)」をカナダ原子力安全委員会(CNSC)に申請した。2030年頃に送電開始し60年にわたって運転していく計画で、この「ARC-100」も含めた60万kW分のSMR建設によって、同州の原子力発電設備は2035年に現在の約2倍に拡大する見通し。これと同時に、同州政府は既存のポイントルプロー発電所の運転効率や信頼性を向上させる考えで、NBパワー社がパートナーらと協力してこれを進めていくとしている。(参照資料:NB州の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの12月15日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 19 Dec 2023
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加サスカチュワン州 マイクロ炉の建設に向け補助金
カナダのサスカチュワン州政府は11月27日、ウェスチングハウス(WH)社製のマイクロ原子炉「eVinci」の州内建設に向けて、同州が一部出資している公共企業体「サスカチュワン研究評議会(SRC)」に8,000万カナダドル(約87億円)の研究補助金を交付すると発表した。SRCとWH社が2022年5月に結んだ協力覚書に基づくもので、この補助金を活用して同州の規制要件や許認可関係の手続きを行い、2029年までに初号機を建設。そうした経験を基盤に、将来複数の「eVinci」を州内の様々な産業や研究、エネルギー源に利用できるか実証する。建設サイトについては、規制手続などプロジェクトの進展にともない決定する方針だ。SRCはカナダで第2の規模を持つ技術研究関係の公共企業体で、年間収益は2億3,200万加ドル(約252億円)。過去76年にわたり、農業・バイオテクノロジーやエネルギー、環境、および鉱業などの分野で、世界22か国の約1,600の顧客に科学的なソリューションを提供しているという。また、同州中央部のサスカトゥーン市にあるSRC環境分析研究所では、電気出力20 kWの研究炉「SLOWPOKE-2」を2021年11月に閉鎖するまで約38年間運転した実績がある。WH社の「eVinci」は電気出力が最大0.5万kW、熱出力は1.3万kWで、遠隔地や鉱山等における熱電併給を目的としている。8年以上燃料交換なしで運転することが可能で、炉外復水器となる部分の周囲にチューブを環状に巻き付け、主要熱交換器とする設計だ。カナダ政府は2022年3月、国内での将来的な「eVinci」建設に向けて、2,720万加ドル(約30億円)をWH社のカナダ支社に投資すると発表。イノベーション・科学・研究開発省(ISED)の「戦略的技術革新基金(SIF)」から資金を拠出し、SMRの持つ「いつでも利用可能で運搬も容易な低炭素エネルギー源」としての能力を活用するほか、カナダの経済成長や2050年までにCO2排出量を実質ゼロ化するという目標の達成に多大な貢献を期待するとしていた。また、今年6月からは、「eVinci」について、カナダ原子力安全委員会(CNSC)の「許認可申請前設計審査(ベンダー設計審査:VDR)」が本格的に始まっている。10月には米エネルギー省(DOE)が、WH社も含め米国内でマイクロ原子炉を開発中の3社と総額390万ドルの基本設計・実験機設計(FEEED)契約を締結。アイダホ国立研究所(INL)内にある国立原子炉イノベーション・センター(NRIC)の新しい「マイクロ原子炉実験機の実証用テストベッド(DOME)」を用い、3社の設計作業や機器製造、5分の1サイズの実験機建設と試験を支援する方針である。なお、サスカチュワン州の州営電力であるサスクパワー社は2022年6月、オンタリオ州のオンタリオ・パワー・ジェネレーション社の例に倣い、サスカチュワン州で将来建設の可能性がある初の小型モジュール炉(SMR)として、同じくGE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社製の「BWRX-300」を選定。現在、建設サイトを選定中で、2029年に建設実施の判断が下れば、2030年代半ばまでに最初のSMRを運開させるとしている(参照資料:サスカチュワン州、SRC、WH社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの11月27日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 29 Nov 2023
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加ブルース・パワー社 増設に向け情報提供依頼を産業界に呼び掛けへ
カナダ・オンタリオ州のブルース・パワー社は11月22日、ブルース原子力発電所(CANDU炉×8基、各80万kW級)における最大480万kWの大規模増設と州経済の発展に向けて、2024年初頭に「関係情報の提供依頼書(RFI)」を発出し、産業界等に協力を求める方針であることを明らかにした。増設計画で採用する炉型の評価が主な目的で、同社はその一環として地元の産業界やビジネス界のリーダー、製造業や電気事業関係の労働組合幹部など、11名で構成される諮問委員会も設置。同社が様々な原子炉について技術面の評価を行う一方、諮問委員会は地元経済の発展や関係サプライチェーン、労働力など、オンタリオ州における原子力産業発展の長期的な見通し等を審査する。同社はまた、増設の社会的な影響を評価(IA)するプロセスも技術評価と並行して行う計画で、州営電力のオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社や独立系統運用者(IESO)との協力により、州内の他の地域での原子炉建設についても実行可能性調査(FS)を実施する。FSはRFIで得られた情報を活用し、2024年末までに完了させる予定である。オンタリオ州政府は今年7月、州経済の成長に必要な電力を長期的に確保する構想「Powering Ontario’s Growth」を公表した。同州の経済成長のほか、地球温暖化の影響緩和や州内の電化にも資するクリーンで安価な電力を増産するため、ブルース・パワー社や州内の独立系統運用者(IESO)と協力し、同発電所で増設計画の実施前段階の準備作業を開始すると発表。同じく州内のダーリントン原子力発電所では、小型モジュール炉(SMR)初号機に3基を追加建設すると表明していた。10月には、同社はブルース発電所で前記のIAプロセスを実施する計画や、将来的なサイト準備許可(LTPS)の申請方針もカナダ原子力安全委員会(CNSC)と連邦政府のカナダ環境影響評価庁(IAAC)に正式に連絡。その際、この増設計画を「ブルースC原子力発電所計画」と呼称している。今回のRFI呼びかけは実施前段階における準備作業の一部であり、10月にこの増設計画への「関心表明(EOI)」の募集を開始したのに続く措置。「Powering Ontario’s Growth」でブルース発電所が担う役割を下支えするため、ブルース・パワー社は以下の5原則を表明した。既存の8基で、クリーン・エネルギーや医療用アイソトープの生産を2064年以降も続けられるよう、運転期間を延長する。運転期間の延長プログラムと2030年までの投資計画を通じて、2030年代に既存炉8基のピーク時におけるネット出力を、大型炉1基分増強して合計700万kWとする。ブルース発電所で480万kW追加する可能性評価のため影響評価(IA)を実施し、いかなる決定を下す際も、これに先立ち先住民コミュニティや地元3郡の地域、および一般市民を対象にオープンで透明性のある協議を行う。堅実な技術評価作業を踏まえ、将来の意思決定やマイルストーンに際し健全な助言を提供する。地元経済の発展とそのための協力、地元産業への技術移転、地元におけるサプライチェーンと労働力の活用を、農村部の開発においては特に、重要な優先事項と位置づける。同社の説明によると、ブルース発電所では「主要機器の交換 (MCR) プロジェクト」が予算の範囲内でスケジュール通り順調に進んでいることから、「Powering Ontario’s Growth」構想でも新規建設評価の対象に選ばれた。カナダ最大の原子力発電所における同社の安全運転実績や、信頼性の高いクリーンな電力の供給実績、複数の送電線を備えた広大な敷地、コスト面の競争力が高く評価されたことを強調している。(参照資料:ブルース・パワー社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの11月21日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 27 Nov 2023
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加オンタリオ州 サスカチュワン州のSMR建設へ協力拡大
カナダ・オンタリオ州の州営電力であるオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社は11月20日、100%子会社のコンサルティング企業であるローレンティス・エナジー・パートナーズ(Laurentis Energy Partners=LEP)社とともに、サスカチュワン州の州営電力であるサスクパワー社の小型モジュール炉(SMR)建設プロジェクトへの協力を強化すると発表した。OPG社はカナダで稼働する全19基の商業炉のうち18基を所有しており、原子力発電所が立地しないサスカチュワン州のSMR導入計画を引き続き支援するため、これまで実施してきた原子力関係の協力を拡大。LEP社とサスクパワー社が今回締結した5年間有効な「マスター・サービス協定(MSA)」を通じて、OPG社が原子力発電所の運転で蓄積した経験や専門的知見、技術的資源などをサスクパワー社と共有するほか、今後協力の可能性がある分野としてプロジェクト開発や発電所の運転などを挙げている。3社の発表によると、この協定はサスカチュワン州におけるSMR開発の効率化を目的としたもので、両州間の長期的な戦略協力の基盤になる。LEP社は具体的に、建設プログラムの管理や許認可手続き、発電所の運転に向けた準備活動等に集中的に取り組むとしており、両州の産業サプライヤーを調整してカナダで複数のSMR建設を可能にするほか、両州の大学や職業訓練校とも協力して技術力を改善。サスカチュワン州がクリーンで信頼性の高い原子力を電源ミックスに加えられるよう、サポートしていく考えだ。OPG社は2021年12月、オンタリオ州内のダーリントン原子力発電所で建設するSMRとして、GE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社製の「BWRX-300」を選定。今年7月には追加で3基建設すると表明しており、2028年末までに初号機を完成させた後、2029年末までの運転開始を目指している。サスクパワー社は2022年6月、同州で建設する可能性がある初のSMRとして同じく「BWRX-300」を選定したが、これはオンタリオ州の方針に追随することで初号機建設にともなうリスクの回避を狙ったもの。現在、建設候補地を選定中で、2029年に建設実施の判断が下れば、2030年代半ばまでに最初のSMRの運転を開始する。3社の今回の発表に同席したオンタリオ州エネルギー省のT.スミス大臣は、「OPG社が培ってきた知見やサプライチェーンを活用し、サスカチュワン州のみならずカナダ全土や世界中でSMRの建設計画を支援する準備ができている」と表明。サスカチュワン州のD.ダンカン・サスクパワー社担当大臣は、「今回の協定は両州にとって有益なだけでなく、今後数十年にわたりカナダのエネルギー供給保障を持続的に支えていく」と強調している。カナダでは2019年12月、オンタリオ州とニューブランズウィック州、およびサスカチュワン州が「多目的SMR開発・建設のための協力覚書」を締結しており、2021年4月にアルバータ州もこれに参加。2022年3月には、これら4州でSMRの開発と建設に向けた「共同戦略計画」を策定している。(参照資料:OPG社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの11月21日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 22 Nov 2023
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加ブルース・パワー社 増設計画の影響評価開始へ
カナダのブルース・パワー社は10月20日、オンタリオ州のブルース原子力発電所で検討している最大480万kWの増設計画について、周辺住民や環境等に対する潜在的な影響の評価(IA)プロセスを開始し、将来的にサイト準備許可(LTPS)を申請する方針を、カナダ原子力安全委員会(CNSC)と連邦政府のカナダ環境影響評価庁(IAAC)に書簡で正式に伝えた。オンタリオ州政府は今年7月、州経済の成長に必要な電力を長期的に確保する構想「Powering Ontario’s Growth」を公表。経済成長のほかに、地球温暖化の影響緩和や州内の電化にも資するクリーンで安価な電力の増産に向けて、ブルース・パワー社および同州の独立系統運用者(IESO)と協力し、この増設計画について開発前段階の準備作業を開始すると発表していた。その後、ブルース・パワー社は今月17日から、この増設に向けて関連企業から「関心表明(EOI)」の募集を開始。参加を希望する原子力サプライヤーから書面で申し込みを受け付け、炉型を含むそれぞれの提案の技術的側面を評価する考えだ。ブルース・パワー社は今回、この増設計画を「ブルースC発電所」と呼称。世界でも最大規模であるブルース原子力発電所のA発電所(CANDU炉×4基、各83万kW)とB発電所(CANDU炉×4基、各約90万kW)に続くものと説明している。同発電所では1990年代末にA発電所の4基で大掛かりなバックフィット工事を実施しており、2000年代にこれらが順次再稼働したことで、同州が2014年に達成した石炭火力発電所の全廃に大きく貢献した。ブルース・パワー社によると、1977年以来の稼働実績を有する同発電所ではすでに環境影響評価が実施されており、人や生態系に不当なリスクが及ばないことは、規制当局による数次の評価作業と各種の許認可により実証済み。また、送電設備や増設に十分な932ヘクタールのスペースがあることに加えて、熟練の労働力や周辺コミュニティの強力な支持にも支えられている。開発前段階の準備作業では、ブルース・パワー社はIAプロセスの実施に向けた初期段階の活動として、地元の住民や先住民のコミュニティとの意見交換を開始する。これらのコミュニティが増設計画に抱いている懸念事項にきめ細かく対応し、同計画が提供するメリット等を説明する。同社はこうした交流のフィードバックを取りまとめて、2024年初頭にIAACとCNSCに提出予定の「計画の当初説明書(IPD)」に反映させるほか、IAプロセスにも取り入れて環境影響声明書(IS)を作成する方針だ。ブルース・パワー社で運転サービスを担当するJ.スコンガック上級副社長は、「地元住民と早い段階からコンタクトし、IAプロセスを前向きかつ透明性のあるやり方で進めていく」と表明。「カナダは今、重要な岐路に差し掛かっているが、クリーン・エネルギー供給オプションを長期に確保するための投資を通じて、地球温暖化の影響を緩和し経済成長を促す」としている。(参照資料:ブルース・パワー社の発表資料①、②、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月23日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 24 Oct 2023
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加ブルース・パワー社 ブルース発電所での大型炉増設に向け関心企業を募集
カナダのブルース・パワー社は10月17日、オンタリオ州のブルース原子力発電所(CANDU炉×8基、各80万kW級)で検討している計480万kWの原子炉増設に向けて、関連企業から「関心表明(EOI)」の募集を開始したことを明らかにした。EOIは、同増設計画への参加に関心を持つ原子力サプライヤーから、書面で申し込みを受ける。ブルース・パワー社は各炉型の技術的側面を評価するとともに、地元自治体への経済波及効果も考慮する。オンタリオ州政府は今年7月、ブルース・パワー社の既存サイトで約30年ぶりに大型炉を増設するため、同社と開発前段階の準備作業を開始すると発表していた。今後ブルース・パワー社は、連邦政府の規制に基づき増設計画が及ぼす可能性がある様々な影響を、市民も交えて評価する。この影響評価(IA)手続きを正式に開始するため、今後数か月以内に「計画の当初説明書」をカナダ環境評価局に提出する計画だ。同社はまた、IA手続きを進めるにあたり、ブルース発電所の所有者であるオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社や同州の独立系統運用者(IESO)、地元の先住民が保有する企業などと協力。OPG社とIESOはEOIで得られた情報を基に、オンタリオ州における原子力発電の将来的な実行可能性調査を行う。同社はさらに、クリーン・エネルギー技術の事業展開機会を分析評価するため、独立の非営利組織である原子力技術革新協会(NII)や米電力研究所(EPRI)とも協働することを予定している。EPRIのN.ウィルムシャースト上席副理事長は、「カナダの脱炭素化を支援する一環として、ブルース・パワー社の評価作業にも協力したい」と表明。「先進的原子力技術を採用することはCO2排出量の削減に有効であり、カナダ国民や世界中の人々にとって重要なエネルギーを生み出すことになる」と述べた。ブルース・パワー社のM.レンチェック社長兼CEOは、オンタリオ州が2013年に州内の石炭火力発電所を全廃したことから、「世界で最もクリーンな送電網を持つ地域」と評価。同州では引き続き、電化と経済成長への需要が高まっていることから、「この優位な立場を維持していくためにも、当社は数十年にわたる原子力発電所の運転経験や、十分整備されたサイトと熟練の労働力、設備拡大に十分なスペース、周辺コミュニティの強力な支持といった好条件に支えられて、原子力設備の増設を進めていく」としている。(参照資料:ブルース・パワー社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月18日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 19 Oct 2023
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カナダ SMR等で2州の石炭火力を廃止へ
カナダの連邦政府と北東部に位置するノバスコシア(NS)州およびニューブランズウィック(NB)州の両政府は10月16日、これら2州の石炭火力発電所を2030年までに段階的に廃止しクリーンで安価な電源に移行するため、小型モジュール炉(SMR)等の活用を含めた政策を共同で進めていくとの声明を発表した。カナダの送電網の脱炭素化は、経済面や環境面におけるカナダの基本目標であることから、連邦政府と2州は石炭火力の廃止に加えて2035年までに両州の発電部門から排出されるCO2を実質ゼロ化、2050年までには両州の産業全体からの排出量も実質ゼロとする方針だ。連邦政府はこれら2州のクリーン・エネルギーへの移行に合計で約2,000万カナダドル(約22億円)を支援する。内訳として、NB州がポイントルプロー原子力発電所内で計画している米ARCクリーン・テクノロジー(ARC)社製SMR「ARC-100」(電気出力10万kW~15万kW)の建設について、連邦政府は支援金として700万加ドル(約7億7,000万円)を提供すると表明。「ARC-100」については、NB州北部のベルドゥーン港湾管理局(BPA)もグリーン・エネルギー・ハブとなることを目指して導入を計画しているため、連邦政府はサイトの準備調査費用として約100万加ドル(約1億1,000万円)を提供する。これら3者の共同声明は同日、連邦政府のエネルギー・天然資源相、公共安全・民主主義制度・州政府間関係相、住宅問題・インフラ・コミュニティ相のほか、NB州とNS州から両州の首相(知事)と天然資源関係の大臣を交えた協議の後に公表された。3者の合意事項として、共同政策は二重(ツートラック)のアプローチで進めることになっており、まず2030年までの石炭火力廃止に向けて投資が必要な項目を特定。具体的には、NB州におけるSMRの建設やベルドゥーン石炭火力発電所のバイオマス発電への転換、NB州営電力が所有するマクタクアック水力発電所の運転期間延長、風力発電と太陽光発電設備の増設、NB州のポイントルプローからソールズベリおよびNS州のオンスローまでを結ぶ送電線の敷設などが挙げられた。もう一方のアプローチとして、3者は2035年までに発電分野からのCO2排出量を実質ゼロ化する協力のなかで、特に重要となる分野を確認。NB州におけるSMR建設計画とNS州の海上風力発電計画を引き続き進めるほか、両州で再生可能エネルギー源と蓄電池の統合、スマートグリッドの管理ツールや水素にも対応する複数燃料混合発電機の開発などを実施する。また、連邦政府はカナダ・インフラ銀行の活用のほかに、クリーン・エネルギー源の開発や電化の促進に特化した複数の税額控除プログラム等を通して、財政支援を実施する。3 者はさらに、2州の周辺に位置するケベック州やニューファンドランド・ラブラドール州、プリンスエドワード・アイランド州と送電網を結ぶことや、エネルギーを融通し合うための機会も模索。これに向けて、連邦政府と各州間のエネルギー協力イニシアチブである「地域エネルギー・資源テーブル(Regional Energy and Resources Tables)」を引き続き活用していく考えだ。NB州のB.ヒッグス首相は今回、「脱炭素化等の目標を達成するには、連邦政府から多額の資金援助が無ければ不可能」と強調した。公共安全省のD.ルブラン大臣は、「NB州とNS州に周囲の2州を加えた大西洋岸の4州にとって、クリーン・エネルギーは莫大な経済的利益をもたらす可能性がある」と指摘。連邦政府はこれらの州との協力を継続し、一層クリーンで強靭な送電網を築く意向を示した。(参照資料:カナダ政府の発表資料①、②、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月17日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 18 Oct 2023
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加アルバータ州 オイルサンド回収へのSMR活用調査に助成金
カナダのアルバータ州は9月19日、州内の石油・天然ガス総合企業であるセノバス・エナジー(Cenovus Energy)社が実施する「オイルサンド回収事業への小型モジュール炉(SMR)の適用可能性調査」に、州の「技術革新と温室効果ガスの排出削減基金」の中から700万カナダドル(約7億7,000万円)を助成すると発表した。アルバータ州は天然資源が豊富なカナダの中でも特に、石油や天然ガスなどの資源に恵まれているが、セノバス社が同州北部で手掛けるオイルサンド(からの超重質油)回収事業では非常に多くの温室効果ガスが排出される。このため州政府は、総額2,670万加ドル(約29億3,600万円)を要するというセノバス社の複数年の調査に資金協力し、州内のオイルサンド事業が排出するCO2の削減にSMRを安全かつ経済的に適用可能か、また、産業界がSMR建設を決定した場合の規制承認手続など必要な情報を探る。同州ではすでに、これに向けた規制枠組の構築準備が進められている。オイルサンドからビチューメンのような超重質油を回収するには、油層内に水蒸気を圧入し、その熱で超重質油の粘性を下げて重力で回収するという方法が複数存在する。このうち回収率の高い「スチーム補助重力排油法(SAGD)」については、カナダのエンジニアリング・開発コンサルティング企業であるハッチ(Hatch)社が今年8月、アルバータ州の公的研究イノベーション機関である「アルバータ・イノベーツ」やセノバス社のために、SMRをSAGDに活用した場合の実行可能性調査(FS)報告書を提出した。州政府によれば、この調査結果は、産業界から排出されるCO2の長期的な削減方法としてSMRが有効か見極めるための最初の一歩。州政府としては、セノバス社の今回の詳細調査に協力し、今後の事業化可能性に関する議論を本格化させたい考えだ。アルバータ州政府のR.シュルツ環境・保護地域担当相は、「数年前まで原子力を産業用に拡大利用する発想は後回しにされてきたが、最早そうではない」と断言。「SMRには当州のオイルサンド事業に熱と電力を供給するポテンシャルがあり、同時にCO2の排出量を削減することで、当州の将来的なエネルギー供給の選択肢になり得る」と述べた。また、州政府の助成金は、「アルバータ排出量削減機構(ERA)」を通じてセノバス社に提供される予定で、ERAのJ.リーマーCEOはSMRについて、「オイルサンド事業のみならず、異なる様々な産業用にも無炭素なエネルギーを供給できる」と指摘した。セノバス社のR.デルフラリ上級副社長は、「当社の事業から排出されるCO2を2050年までに実質ゼロにするため、複数の有望技術を検討模索中だがSMRはその中でも有望だ」と表明している。カナダでは、オンタリオ州とニューブランズウィック州、サスカチュワン州、およびアルバータ州の4州が2022年3月、SMRを開発・建設していくための共同戦略計画を策定。アルバータ州はその後、SMR開発を進めているカナダのテレストリアル・エナジー社や米国のX-エナジー社、ARCクリーン・テクノロジー社、韓国原子力研究院(KAERI)などと、それぞれのSMRの州内建設に向けて了解覚書を締結している。(参照資料:アルバータ州の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの9月21日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 22 Sep 2023
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加サスカチュワン州 SMRサプライチェーンの構築に支援金
カナダ・サスカチュワン州が所有するクラウン・インベストメント・コーポレーション(CIC)は8月24日、同州内で小型モジュール炉(SMR)のサプライチェーンを構築するため、「サスカチュワン産業鉱業サプライヤー協会(SIMSA)」に総額47万9,000カナダドル(約5,157万円)の支援金を提供すると発表した。SIMSAの会員企業やパートナー企業が同州やカナダ国内、あるいは世界中で行われるSMRの開発事業に参加できるよう支援するのが目的で、CICは今後2年にわたり資金を提供する。具体的には、州内のSMRサプライチェーンに属するスペシャリストをSIMSAに迎え入れるほか、先住民電力公社(FNPA)にも資金の一部を提供して、先住民がカナダの電力部門で経済的利益を得る機会を模索。また、カナダ原子力産業機構(OCNI)が一部の州で、SMRサプライチェーン構築のために進めている「Ready4SMRプログラム」にも協力していく。サスカチュワン州政府は、2030年までに州内の温室効果ガス排出量を2005年レベルから50%削減し、最終的には2050年までに実質ゼロ化を目指している。この目標の達成に向けた活動の一環として、同州はオンタリオ州およびニューブランズウィック(NB)州とともに2019年12月、出力変動が容易で革新的な技術を用いた多目的SMRを国内で建設する協力覚書を締結。2021年4月にはこの覚書にアルバータ州も加わり、これら4州は2022年3月にSMRを開発・建設していくための共同戦略計画を発表している。その後、サスカチュワン州の州営電力であるサスクパワー社は2022年6月、2030年代半ばまでに建設するSMRとしてGE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社製の「BWRX-300」を選定。州内の建設候補地2地点((南部ロアバーン地方自治体内のエルボー村、および南東部のエステバン市。))も2022年中に選定済みである。SIMSAはサスカチュワン州内の製造や建設・エンジニアリングなどの産業部門、鉱業部門、エネルギー部門に属する300社以上のサプライヤーで構成される非営利団体。SIMSAはCICとの協力を通じて専門人材を集め、州内で原子力関係の製造能力や建設能力を有する企業を育成していく方針だ。OCNIはカナダ原子力産業界の主要サプライヤー200社以上で構成される非営利団体で、カナダ型加圧重水炉(CANDU炉)や軽水炉の機器設備を設計・製造する企業やエンジニアリング・サービス企業などが参加している。OCNIが昨年夏に始動した「Ready4SMRプログラム」は、NB州など北東部の大西洋に面した4州((ニューブランズウィック州、プリンスエドワード・アイランド州、ノバ・スコシア州、ニューファンドランド・ラブラドール州の4州。))を中心に、地元企業が原子力産業に参入してNB州が州内で進めるSMR建設プログラムに参加するよう働きかけるプログラム。カナダ連邦政府も、大西洋地域開発庁(ACOA)を通じて同プログラムを支援している。OCNIのB.ウォーカー理事長兼CEOは、「サスカチュワン州でSIMSAやFNPAが当方の『Ready4SMRプログラム』に協力してくれるのは非常に有難く、世界中でSMRの建設計画を牽引するカナダの中でも、サスカチュワン州がクリーン・エネルギー・ミックス構想の一部としてSMR計画を実行することに期待する」と表明。「OCNIの役割はカナダ全体で原子力サプライチェーンを構築することだが、サスカチュワン州のようにすでにサプライヤーとしての確かな基盤を有する州にも、経済発展の機会をもたらしたい」としている。(参照資料:サスカチュワン州政府、SIMSAの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの8月25日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
- 29 Aug 2023
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