キーワード:風評
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day3 | 浜通り3days
10:00 富岡ホテルを出発! 施設名 富岡ホテル TEL 0240-22-1180 web https://www.tomiokahotel.jp/ 住所 福島県双葉郡富岡町駅前27 3日目のスタートはもちろん、富岡ホテルから。 富岡ホテルでは、宿泊者には朝食が無料でサービスされる。地元産の食材を中心に供され、和・洋食が選べるスタイルだ。ぜひ楽しんでいただきたい。 朝食を終えて準備を整え09:30にロビー待ち合わせのはずが、運転役のイシノリが一向に現れず。「あれ、時間まちがってましたっけ?」といった顔をして09:50に登場するというハプニングがありつつも、次の目的地大熊インキュベーションセンターへ出発である。 旅先での会話を読む 清潔感があふれ快適なシングルルーム 寝心地の良いセミダブルのベッド アツシ イシノリさん困ります!09:30だと昨晩お伝えしたはずです!プンプン! イシノリ ごめんごめん。 脳内で10:00に変換しちゃったみたいで、もうしわけない(笑) 寝心地がよくってさぁ。 アツシ まったくもう!本日もスケジュールはギチギチなんですからね。 とにかく出発いたしましょう! はーい 10:30 大熊インキュベーションセンター 施設名 大熊インキュベーションセンター TEL 0240-23-7721 web https://okuma-ic.jp/見学コースあり(事前予約) 住所 福島県双葉郡大熊町下野上清水230 大熊町立大野小学校の旧校舎を改装し、2022年7月、「大熊インキュベーションセンター(OIC)」として生まれ変わった。 浜通り地方に新たな産業基盤の構築を目指す国家プロジェクト「福島イノベーション・コースト構想」。OICは大熊町における復興の要として位置づけられるだけでなく、同構想の一翼を担うべく、多くのスタートアップ企業が入居するビジネスセンターだ。 ピカピカに磨き上げられた校舎もとい建屋内部は、小学校の教室そのもののような部屋(中会議室)もあれば、プロジェクター、wifiなど高速ネット環境が整備され、web会議もこなせる部屋(大会議室)もある。誰もがふらふらっと集まりそうな共有スペースには売店もあり、AIが商品を判別し会計をするシステムも導入されている。コンビニのセルフレジのようにバーコードを読み取るのではない。商品そのものを読み取って判別しているという。これならばバーコードを付けない商品も気軽に売れるではないか!どういう仕組みかはわからないが。 このようにOICでは、懐かしの小学校と最先端のテクノロジーが同居している。 くわえて、シャワールームや休憩室も完備。わたしたちは思った。「住める」と。 若いスタッフさんが、施設内を案内してくださった。彼女はOICの運営を担当する東京の会社からの、いわば転勤組。「物価が安い!」などと大熊での生活のメリットを語っていただいたが、同時に「もうちょっと遅くまでコンビニが開いていれば...」というのも本音だという。 しかしこれから大熊町にはデータセンターが複数建設される計画もあるようで、続々と住民が増えつつあるようだ。OICの最寄り駅である大野駅周辺も、急ピッチで再開発が進んでいる。今度OICを訪れた際には、一体どれほどの進化を遂げているのだろうか? それを確かめるのも楽しみになってきた。 旅先での会話を読む アツシ いかがでしたか? 大熊町商工会の蜂須賀禮子会長イチオシの大熊インキュベーション・センターは。 イシノリ 正直に驚いた。 これまで福島関連の講演やプレゼンで、OICのことは耳にはしていたのだけれど、実際にこの目で見ると、想像のはるか上を行っていた。 テル 私もです。 これからの浜通り地方を考えるとき、帰還者だけでなく新たにやって来た移住者の視点も無視できなくなる、とお話ししましたけど、ここOICは典型だなと思いました。 多様な方々が大熊町に溶け込んでいます。 タケコ OICでは、昔からの小学校の教室と、最新設備を備えた会議室が同居しています。ここでも多様性を感じますね(笑) イシノリ タケコ、うまいな。 ある部屋にあった黒板に、チョークの殴り書きで“Data rules the world!”って書かれていたんだけれど、ここには純粋にそういった人たちが集まっているんだな、と認めざるをえなかった。それがいいとか、悪いとかでなく、不便なことを何とも思わない人たちが、何もないことを「ゼロから始めるようでやりがいがある」と前向きに言ってのける人たちが、集まってきているんだな、と思った。 国家プロジェクトの「イノベーション・コースト構想」は、何かハコモノを造って終わりじゃない。そこにいる人間も変えつつある、ということを肌身で感じて、ちょっと震えてる。 OIC正門は学校そのものだ。一行は懐かしさを憶えながらも、緊張の面持ちで門をくぐる 校舎入り口ならぬ、OICの建屋入り口 利用者が自由に過ごせる共有スペース バリエーションに富んだ共有スペースの本棚。左上にみえる「一発屋芸人列伝」が気になり、イシノリは帰京後に購入している 共有スペースには物販コーナーも 入居者が開発した無人販売システムで運営されている コワーキングスペースのデスク 廊下の掲示板をチラ見。とてもチラ見で済まされる内容ではなかった(笑) シャワー室の外には、マッサージ・チェアが。1台ごとにスペースが区切られている OICでは入居者同士の交流の場を、積極的にセッティングしている 教室そのものな「中会議室」 最新設備をまとった「大会議室」 町内での新しいモビリティ(移動手段)を模索する試みも 快適な施設に思わず「ここからテレワークしたい...」と本音が テル 私はOICでテレワークしたいですね。 アツシ アタクシもこちらの充実した福利厚生ぶりに、大いに惹かれました。 マッサージ・チェアの置かれた休憩スペースなんて、アタクシの東京の部屋よりも広いかもしれません! タケコ スタッフさんが、あとは病院やスーパーが遠いのがなんとかなれば、とコボしてましたね。 イシノリ なんとかなる、いや、なんとかしそうだよねあの人たちは。 福島ロボットテストフィールド(RTF)で見たドローンが宅配してくれたり、自動運転のバスが周ったり。OICに思わせぶりにいろいろな乗り物が置いてあったけど、何か革新的なモビリティが生まれそうな気がする。 アツシ さ、お名残り惜しいですが、そろそろ次の目的地へ移動しますよ。 実はもう10分押してます。 はーい 11:30 震災遺構 浪江町立請戸小学校 施設名 震災遺構 浪江町立請戸小学校 TEL 0240-23-7041 web https://namie-ukedo.com/見学コースあり(事前予約) 定休日 火曜 営業時間 9:30~16:30 住所 福島県双葉郡浪江町請戸持平56 請戸小学校は、東日本大震災による津波の被害を受けたが、全員が無事に避難することができた奇跡の小学校として知られている。倒壊を免れた校舎に刻まれた脅威と、全員避難することができた経験を伝えるため、2021年10月より震災遺構として一般公開されている。 校舎の窓ガラスの多くは窓枠ごとなくなっており、残った数少ない窓枠は変形していることから、津波の強さがうかがえる。また、東日本大震災時の津波浸水高さの看板が校舎に貼り付けられており、1階天井の高さ以上に津波が押し寄せたことがわかる。 旅先での会話を読む テル 実際に津波の惨状を目の当たりにし、言葉を失いました。 先生も生徒も誰一人欠けることなく1.5kmも離れた大平山へ避難されたわけですから、心の底から安堵しました。 タケコ 実際に目にしてカラダが震えました。 1階部分の壁は、剥がれ落ちてました... 校舎の1階部分は、窓はおろか壁も失われているところも 校舎2階部分に「津波高さ」を示す看板が見える 校舎の1階の様子 校舎2階の黒板 アツシ 東日本大震災による津波の映像はテレビのニュースなどで見ておりましたが、実際に惨状を目の当たりにすると言葉を失います。見聞きして知っていたことでも、現場で自分の目で見ると、津波の被害を知った気になっていたことに気づかされました。 イシノリ 2階の教室の黒板に、行方不明者の捜索に当たった自衛隊や警察、消防、建設業者さんたちからの励ましの言葉や、卒業生たちからのメッセージが残されてました。 「負けんな!」「頑張れ!」と白チョークで力強く書かれた文字が目に飛び込んできました。 多くの方に震災遺構となった請戸小学校を訪れていただき、私の言葉だけでは表現できない多くのことを、感じ取っていただきたいです。 アツシ ええ。多くの方にご自身の目で見に来ていただきたいですね。ではそろそろ次へまいりましょう。 10分押してます。 はーい 12:10 ファミリーマート双葉町産業交流センターS(サテライト)店 店名 ファミリーマート双葉町産業交流センターS(サテライト)店 TEL 0240-25-8026 営業時間 7:00~20:00 住所 福島県双葉郡双葉町中野高田1-1 これは行程を組んだ時点からわかっていたことなのだが、どうしても請戸小学校から中間貯蔵工事情報センターへ行く途中で、ランチを取る時間が取れなかった。 そういう時は、みんな大好きコンビニの登場である。 お邪魔したのは、双葉町産業交流センター(F-BICC)に入っているファミリーマートさん。お隣には昨日お伺いした「東日本大震災・原子力災害伝承館」があるという立地環境だ。 これまたお昼休み真っただ中に到着したため、コンビニは都内のコンビニ同様に大混雑であった。浜通りではもう、こんな当たり前な光景が、当たり前に展開されている。 旅先での会話を読む テル ファミリーマートさんには助けられましたね。こちらで各自昼食を購入し、F-BICCの飲食可能スペースでいただきました。 タケコ こちらのコンビニでは福島県の桃ジュースなども販売されてました。お土産の追加購入にも利用できますね(笑) イシノリ ただし、営業時間は7:00~20:00と24時間営業ではないので注意が必要です。 アツシ 近くのビジネスホテル「ARM双葉」さんへ宿泊する際には、気をつけたほうがいいかもしれませんね。 さ、それでは次へ急ぎますよ!すでに10分押してます。 はーい 12:45 中間貯蔵工事情報センター 施設名 中間貯蔵工事情報センター TEL 0240-25-8377 web https://www.jesconet.co.jp/interim_infocenter/見学コースあり(事前予約) 定休日 日曜日/月曜日 営業時間 10:00~16:00 住所 福島県双葉郡大熊町小入野向畑256 一般に原子力業界で「中間貯蔵施設(interim storage facility)」というと、一時的に使用済み燃料を貯蔵しておく施設のことを指す。だがここでいう「中間貯蔵施設」は、福島第一原子力発電所事故の除染作業により発生した土壌等を最終処分するまでの間、安全かつ集中的に貯蔵するための施設のことである。 中間貯蔵施設は大熊町および双葉町に整備されており、福島県全59市町村のうち52市町村から除去土壌等を貯蔵している。かつて福島県内には1,400か所の除去土壌等の仮置場があったが、2022年度中にほとんどの除去土壌等を中間貯蔵施設に運び入れた。現在は、飯館村、南相馬市、浪江町、双葉町、大熊町、富岡町からの除去土壌の運び込みが引き続き行われている。2024年8月末時点において、1,393万㎥の除去土壌等を中間貯蔵施設に運び入れており、東京ドーム11杯分の容量となる。2045年3月までに福島県外で最終処分することが決まっているが、その場所はまだ決まっていないのが実情である。 県外での最終処分に向けては、除去土壌等のボリュームを減らすこと(減容化)が重要となる。減容化の方法としては、放射能濃度が比較的低い除去土壌等を道路整備等で盛土(下地材)として利用することが挙げられる。除去土壌等の約73.2%を占める8,000ベクレル/kg以下の土に関しては、再利用できると考えられており、中間貯蔵施設の敷地では、除去土壌等を実際に道路の盛土として使用し、放射線の遮へいや耐久性を検証している。 ここ中間貯蔵工事情報センターは、中間貯蔵施設工事(特に除去土壌等の輸送や施設整備工事)について、その概要、工事の進捗状況、安全への取組等を紹介するPRセンターだ。月に何度か、中間貯蔵施設見学会も開催されており、事前に予約すれば中間貯蔵施設を見学することが出来る。 今回我々が参加したのも、こちらの見学会である。 センターで概要の説明を受けた後、用意されたマイクロバスに乗って、中間貯蔵施設や盛土の実験施設等を見学する。中間貯蔵施設の管理区域に入る際には、警備員がバスに乗り込み入域者に身分証明書の提示を求め本人確認が行われる。 コースにもよるが、2~3時間はかかると想定して行程を組むとよいだろう。 国道6号線が中間貯蔵施設の西側の境界線であり、東側には中間貯蔵施設などが位置しており、ゲートで入域管理を行っている。中間貯蔵施設は、大熊町の14%、双葉町の10%の敷地を占めている。震災前は950世帯2,700人が住んでいたが、住民の8~9割の方が先祖伝来の土地を国に譲ってくださり、中間貯蔵施設が整備された。 なお、中間貯蔵工事情報センターは2025年3月に、大野駅近郊へ移転する計画がある。大野駅が復興再生拠点区域になることから、大きな建物かつ人が集まりやすいエリアへ移ることで、より多くの方に中間貯蔵施設や最終処分の課題を知ってもらうのがねらいだ。 旅先での会話を読む テル 大変勉強になる見学会でした。「中間貯蔵施設」といっても、土壌貯蔵施設、受入・分別施設、減容化施設、廃棄物貯蔵施設に分かれているとは、これまでまったく意識しておりませんでした。 タケコ しかもすでに仮置場に置かれていたほとんどの除去土壌等は、中間貯蔵施設への運び入れを完了しており、これまでの大規模な受入・分別施設は解体されています。 今後運び込まれる土の量はかなり減りますので、大規模施設ではコストがかかり過ぎてしまい、建て替えた方がコストを抑えられるとの判断だそうです。 イシノリ 減容化施設では、フレコンバックや可燃物を焼却します。煙突にフィルターがあり、放射性物質が飛散する心配はありません。その後さらに出てきた灰を1,500~1,800℃の高温で溶かします。最終的な灰の残りかすは、煤塵、スラグ、メタルの3つです。このうち「スラグを再利用できないか」、ということになり、道路盛土実証事業で検討しているそうです。 アツシ 廃棄物貯蔵施設では、減容化施設で発生した灰の残りかすを鋼製の角形容器(1.3m×1.3m×1.0m)に封入して貯蔵されます。施設のサイズにもよりますが、約15,000個または約30,000個の鋼製の角形容器を貯蔵できるそうです。 国道6号線沿いに大きく看板が立つ。こちらが入り口である マイクロバスに揺られて最初に案内されるのが、地元で信仰されている鎮守神 足元の「土壌貯蔵施設」の構造を説明 もちろん数値は問題ない 手前の整地された小山が「土壌貯蔵施設」。奥に福島第一サイトが見える 「道路盛土実証エリア」では除去土壌活用のため、幹線道路を模したスロープのある道路を作っている テル ご案内いただいた正八幡神社は、平安後期に創建されたそうで。震災で鳥居が倒壊してしまったのですが、氏子の皆さんによって再建され、復興祈念碑が設置されていました。 祈念碑には、「長きに亘りこの地を離れることを強いられるが、(中略)再び、人々の営みが蘇ることを願い、この鳥居を建立する」と刻まれており、地元の鎮守神として、多くの方々から愛されているのだということがよくわかりました。同時に、地元の方々がどのような思いで先祖伝来の土地を手放したのかも、痛いほどわかりました。 タケコ 地元の方々の思いに応えて、1日でも早い最終処分場の決定に向け、真剣に考えていきたいです。 そのためにも、道路の盛土に除去土壌を活用するための検証が、もっと進んでほしいです。 アツシ 除去土壌の多くは田畑の土ですので、水分を多く含んでいます。道路盛土実証エリアでは、50メートルある道路を半分に分け、それぞれの盛土を、①除去土壌のみ、②除去土壌にスラグや生石灰を混ぜ合わせたもの──にわけて、耐久性の違いを検証しているそうです。 テル 環境省さんが、新宿御苑などで除去土壌等の再利用の実証事業を検討していたのですが、住民説明会で周辺住民の意見もあり、難航しているようです。 タケコ 福島第一原子力発電所の電気を使用していたのは東京・関東圏なので、東京の人からの否定的な意見は残念ですね。 イシノリ 子供のころから東京に住んでいないと、わからないのだと思います。東京がどれだけ地方にお世話になっているのかということを。 小学校の社会科の授業で習うのですよ。たとえば私の住んでいた千代田区の麹町というエリアでは、「電気は福島。水は朝霞(埼玉)」と習いました。すごくおおざっぱだとは思いますが。 テル 理解が広がるよう、我々も情報発信を頑張らないといけませんね。 むしろ今現在東京で育っている次世代層の方が、よく理解しているのかもしれませんよ。 タケコ ちなみに、見学終わりのバス降車時に、GM計数管式サーベイメータで見学者の靴裏の表面汚染を測定します。 測定値は最大で150cpmで、除染が必要となる13,000cpmを大きく下回りました。なお比較対象として計測したほかのものは、塩=220cpm、肥料=258cpm、花崗岩=156cpmでした。 アツシ 全く問題のない数値ですね。 最終処分場が早く決まり、浜通りの方々が1日でも早く安心できることを祈念しつつ、我々も帰ることにいたしましょう。ここで得た多くの思いを皆に伝えないと。 すでに10分押してます。 はーい 17:40 福島駅に到着 施設名福島駅住所福島県福島市栄町1-1 3日間の旅もいよいよフィナーレ。ちょっとした距離を走行し、「福島駅」へ帰還である。運転担当のイシノリが「運転していただけなのに、なんだか全身が気ダルい」とコボしていたので、くれぐれも無理のない行程を組んでいただきたい。レンタカーを「福島駅」ではなく「いわき駅」に返却してJR常磐線で帰るという手もある。 なお夕方の上り新幹線の窓側座席は、高確率で埋まっていることが多い。ここでちょっとしたTipsなのだが、「やまびこ」の車輛ではなく、「つばさ」の車輛を狙うと窓側席が比較的空いている、ような気がする。そう、福島駅では東北新幹線の車輛に後ろから、山形新幹線の車輛が連結されるのである!と、鼻息荒く語ったところで鉄道に関心のない層にはあまり響かないかもしれないが、知っておいて損はないだろう。や、それくらい帰りの新幹線は混んでいますぜ、という話なのであります。 旅先での会話を読む テル みなさん、3日間おつかれさまでした。 さきほど高速道路へ乗る前に立ち寄った「帰還困難区域」のゲートですが、だいぶ少なくなったとはいえ、まだこうしたエリアが残っていることを私たちは忘れてはいけないと思いました。 イシノリ 記事の中で「帰還困難区域」のゲートを前面に出すと、「復興は未だ遠し」との印象になる。一方で大いに変わりつつある浜通りの新しい動きを取り上げると、「新しい福島」をアピールすることができる。そのどちらも現実だというのが、状況をとても複雑にしているような気がしています。 でも今回の取材で、「前向きに取り組んでいる人たちがいるかぎり、我々も臆することなく前向きな姿勢で臨もう」との、強い決意を固めることができました。 タケコ はい。今回多くの若い方々に出会いましたが、地元の出身であろうとなかろうと、みなさん、生まれ変わる浜通りを夢見て懸命に取り組んでいらっしゃいましたよね。 そういった方々を前にして、これを応援しないという選択肢はありませんよね。 テル おっしゃる通りですね。帰還できない方々がいらっしゃることも認識しつつ、それでも浜通り地方の新しい取組を大いに応援したい、そんな思いでいっぱいです。 原子力産業界としても率先して浜通り地方を訪問し、新しい浜通り地方を世界へ発信していってほしいですね。 アツシ 浅野撚糸の浅野社長のセリフではありませんが、世界はまだまだ「福島」という言葉の響きを誤解しています。実際に現地を自分の目で見て、自分の足で歩き、その体験を周囲に伝えていってほしいですね。 アタクシ、4月の原産年次大会以降、今回のツアー企画実現を夢見ておりました。こうしてようやく達成できて、感無量であります。 是非とも産業界の皆さんにもご賛同いただき、いろいろな「浜通りツアー」に挑戦していただきたいです。3日間、おつかれさまでした! おつかれさまでした!楽しかったですね(笑) 1日を動画で見る
- 25 Jan 2025
- CULTURE
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day2 | 浜通り3days
08:40 ほっと大熊を出発! 施設名 ほっと大熊 TEL 0240-23-5767 web https://okumakouryu.jp/hotokuma 定休日 なし フロント営業時間 6時00分~22時00分 住所 福島県大熊町大川原南平1207番1 2日目のスタートは宿泊させていただいた「ほっと大熊」から。まずは近所のコンビニ(7:00~20:00)で朝食を買い、腹ごしらえ。コンビニは、「ほっと大熊」の目の前にある「おおくまーと」に入居している。 同一エリアに開設された宿泊温浴施設「ほっと大熊」、商業施設「おおくまーと」、交流施設「linkる大熊」の3施設は、大熊町の交流ゾーンとして、帰還者や新規移住者をはじめ、町を訪れる方々との交流が盛んになることで、町の復興をより一層進めることが期待されている。実際に来てみると、存分にその役割を果たしていることがわかる。 旅先での会話を読む アツシ 「ほっと大熊」ではプラス350円で朝食(おにぎりのセット)をつけることもできます。もちろん近所のコンビニで、好きなものを購入してもいいですね。 タケコ ちなみにお部屋は、1~2名が宿泊できる洋室が8室、2~4名が宿泊できる洋室が4室、5~12名が宿泊できる和室が1室、ご用意されています。 朝ご飯を共有スペースへ持ち込んでもいい 落ち着いた内装の共有スペース テル 実にいいお部屋でした。平屋ですので天井も高くて、リラックスできましたね。 イシノリ リビングルームで団欒できますし、ご家族連れにも最適ですね アツシ さぁ今日もスケジュールが山盛りです。張り切って参りましょう。 はーい。 09:00 東日本大震災・原子力災害伝承館 施設名 東日本大震災・原子力災害伝承館 TEL 0240-23-4402 web https://www.fipo.or.jp/lore/ 研修コース あり(事前予約) 定休日 火曜日 営業時間 9時00分~17時00分 住所 福島県双葉郡双葉町中野高田39 東日本大震災・原子力災害伝承館は2020年9月に開館。2024年7月には来館者数が30万人に達した。原子力産業新聞ともなじみの深い、長崎大学原爆後障害医療研究所の高村昇教授が館長を務めている。 地震、津波、原子力発電所事故という複合災害をテーマにした施設。事故発災当時のリアルな状況が分かる展示物が多く展示されており、多くの人が涙をこらえられない。学校に飾られていたお習字の「原子力の利用」という文字や、町に掲げられていた原子力広報の文字パネル「原子力 明るい未来のエネルギー」が掲示されていた写真を見ると、原子力発電は地元の方々のご理解の上に成り立っていたことが、再認識できるだろう。 展示されていた写真に添えられた「震災に終わりはないから、これからもずっと思い続けます」という言葉が印象的だ。震災で悲しい体験をした方々の気持ちに寄り添った形で、町の復興が進むことを切に願う。 伝承館では、個人来館者向けに毎日4回、語り部講話(40分)が実施されているが、スケジュールの都合上、我々は聴講していない。聴講する場合、滞在時間を2時間弱程度確保しておいた方がよい。 旅先での会話を読む アツシ 私はここ(伝承館)には何度も来ているのですが、子供たちが書いた「原子力の利用」という書道の文字を見ると、原子力に対して理解を示してくれていた地元の方々のことを思い、胸が苦しくなるんです。なんだか申し訳なくて。 テル わかります。それもあってわたしたちは浜通りに来ても、東京電力さんの廃炉資料館ばかりに足が向いてしまうのかもしれません。 イシノリ 廃炉資料館で技術的な課題を認識して、そこだけに意識を集中した方が、気持ちは楽ですからね。 テル 本当はもっともっと、こちらの伝承館に来て、浜通り地方の背景のようなものを知っておくべきだと思いました。 「復興」「復興」と口にするのだったら、コミュニティについても知っておくべきでした。反省です。 学校生活の展示物が 郷愁と涙を誘う 看板のレプリカも屋外に展示されている イシノリ 原子力の標語看板、胸にズシリとくる... テル 原子力広報の標語を掲示したパネルはもともと、公民館があった国道6号線に沿った場所と、双葉町役場庁舎前に設置されていました。ですが設置から約30年が経過し、老朽化し倒壊の危険が生じたため2016年に撤去されました。 伝承館にあるパネルは、レプリカです。 アツシ 福島県の内堀知事によるメッセージが展示されておりましたが、「光と影が入り交じる福島のありのままの姿をしっかりと受け止め、前へと進んでいく」とありました。なかなか印象深かったです。 タケコ 「風評」をテーマにした展示も、考えさせられました。 農林水産業や観光への影響が、いまだに根強いようです。わたしたちも頑張らないとと思いました。 アツシ 立ち去りがたいですが、すでに10分押してます。 はーい。 10:30 ワンダーファーム 施設名 ワンダーファーム TEL 0246-85-5105 web http://www.wonder-farm.co.jp/ 定休日 月曜日 営業時間 9:30~17:00 住所 福島県いわき市四倉町中島広町1 常磐道「いわき四倉インター」を降りて直ぐという便利な場所にあるワンダーファーム。ショップ、トマト狩り施設、バーベキュー、レストランおよびドッグランが併設されている。県内外からの多くの来訪者があり、我々が訪問した日もバーベキュー施設は満席だった。 ショップ「森のマルシェ」では、ミニトマトの量り売り、トマト製品、福島県のお土産などが並べられていた。売上No.1は、令和4年度ふくしま満天堂グランプリを受賞した商品の「とまと味噌」とのこと。同商品を、福島県・内堀雅雄知事がPRするポップが置かれ、試食も可能となっている。 原子力産業新聞では以前、ワンダーファームの元木寛代表にインタビュー取材を実施したことがある。今回の訪問では、元木代表にはお会いできなかったが、快く施設内外での写真撮影を快諾していただいた。 旅先での会話を読む テル お味噌もジュースも、試食および試飲もさせていただきました。もちろん即座にお買い上げですよ。 アツシ 「とまと味噌」は、いわき市のフラガールトマトを使用した調味料で、トマトの酸味が味噌に加わることでまろやかに仕上がっています。 タケコ 塩分が控えめのため色々な料理に合いやすく、炊き立てのご飯はもちろん、お肉・野菜炒めなどにも使えますね。 トーストに「とまと味噌」を塗り、チーズをのせて焼くと、ピザトーストになりますよ。 いろいろと試食させていただきました。ごちそうさまでした! 広い敷地内にはBBQエリアも イシノリ テルさんが相当気に入っていた100%トマトジュースの「ワンダーレッド」ですが、想像を超えるトマト感でしたね(笑) テル 「ワンダーレッド」は、サンシャインというトマトを収穫後1週間以内に絞っており、もちろん食塩不使用。トマト本来の甘みを味わえ、スッキリとした後味で美味しかったですね。 アツシ 食塩が入っていないので、トマトジュースが苦手な方でも飲みやすいかもしれませんね。 なお、トマト狩りは、土日および祝日に、夏休み限定で開催されています。 テル ぜひご家族でお越しください! イシノリ あ、そういえばあのトマト神社って、なんだったんだろうね? タケコ あそこだけ唐突、というか、不思議な空間でしたね(笑) なにか由緒があるのでしょうか? レストランもある どこでもドア?の先に、謎のトマト神社 アツシ おっと、その手の話はこの辺で。すでに10分押してます。 はーい。 12:10 いわき・ら・ら・ミュウ 施設名 いわき・ら・ら・ミュウ TEL 0246-92-3701 web https://www.lalamew.jp/ 営業時間 9時00分~18時00分 住所 福島県いわき市小名浜辰巳町43-1 ランチは小名浜にある「いわき・ら・ら・ミュウ」でいただく。小名浜港に隣接した観光物産センターである。巨大な道の駅を想像してもらえばいいだろう。施設内にはお土産の海産物はもちろん、魚介類を扱う多くの食堂が立ち並んでいる。 このエリア一帯は、水族館「アクアマリンふくしま」などもあり、福島県でも屈指の観光スポット。食堂にも「東京から高速バスで来た」という若者たちが、平日にもかかわらず数多く押し寄せ、賑わっていた。 さて、ここ小名浜の食堂の特長はと言えば、「ドカ盛り」である。行って見て驚いたのが、食堂がどこもかしこも(と言っては言い過ぎかもしれないが)ドカ盛りなのだ。 今回お邪魔したのは「いくらの大五郎」さん。店頭からいきなり海鮮丼のタワー盛りを推しており、我々の胃袋に挑戦状を叩きつけてくる。受けて立とう。というわけでこちらを実食である。 各種メニューがドカ盛りのレベルごとに、1丁目から4丁目までわかれており、4丁目が最大級である。そして案の定、アツシが「かに・いくらタワー丼」4丁目を顔色も変えずにペロリと完食。すると店員さんが駆け寄ってきて「昨日から食材の量を増量したばかりで、完食された方の写真を飾りたい」とのこと。光栄であります。 ちょっとした芸能人ばりに写真をパシャパシャ撮られて、アツシはニコニコ。「あの量をこんなにきれいに食べていただけるとは!」と、店員さんも写真を撮りながらニコニコ。お店のオーナーである仲卸「丸秀水産株式会社」の森田裕会長も「最近は東京や神奈川から多くのお客さんが来てくれている。『(ALPS)処理水』放出でお客さんが来なくなるかと心配したが、たくさんのお客さんが来てくれるようになって本当にありがたい」とニコニコ。 みんなニコニコなランチタイムなのであった。もちろん海鮮は間違いのない美味しさですよ。 旅先での会話を読む イシノリ いやはやすごいな小名浜は。どこもかしこも「ドカ盛り」だらけ。 タケコ そうじゃないお店もありましたけどね。 みなさんが大盛のお店にばかり吸い寄せられてましたね... アツシ いえいえ。ここ小名浜は「ドカ盛り」で突き進む決意を固めたんですよ。アタクシには、その気持ちよくわかります! イシノリ おお、さすが写真を小名浜に飾られている男、アツシ。 言葉の重みが違う。 テル 実際、高速バス等でお越しの東京の若者たちは、「ドカ盛り」目当てでしたね(笑) もちろん海鮮ですので、いずれもお安くはないのですが、なかなかみなさん見上げたものです。 イシノリ 覚悟を決めた者が一心不乱にどんぶりに向かう姿は、神々しいですな。 店頭の壁面に写真付きのメニューが並ぶ 覚悟を決めた猛者たちが、暖簾をくぐり、食券機に向き合う イシノリ でもここの海鮮丼、サービスしすぎなんだよ。途中から会話がなくなったもの。 2丁目くらいがちょうどいいかな。 タケコ 私は1丁目でも、いっぱいいっぱいでした... タケコの「甘海老・かに丼」1丁目。なかなかの盛り具合で早くも不穏な空気が漂う テルの「いくら丼」2丁目。流石にいくらは積み上がらない(笑) イシノリの「トロサーモン・いくらタワー丼」3丁目。キナ臭くなってきた アツシの「かに・いくらタワー丼」4丁目。写真ではうまく伝わってこないが、圧巻のボリューム ゴキゲンな森田会長 メガネを外し、キメ顔で写真撮影に臨むアツシ タケコ 丸秀水産の森田会長、大変お喜びでしたね(笑) イシノリ 大食いは見ていて気持ちいいから。 あそこまで喜んでいただけると、大食い冥利に尽きるね。 テル 森田会長から「ALPS処理水放出は来客数へほとんど影響がない」、と言っていただけて、ホッとしましたね。 アツシ 私たち以外にもお客さんが大勢いらっしゃいましたね。ですが「いわき・ら・ら・ミュウ」はキャパが大きいですから、もっともっと多くの方にいらしていただかないと! イシノリ 小名浜の海鮮を食べ尽くす勢いで。 アツシ 食べ過ぎて苦しくなってまいりましたが、もう10分押してます。 はーい。 14:40 道の駅 ならは 施設名 道の駅 ならは TEL 0240-26-1126 web https://www.michinoeki-naraha.jp/ 営業時間 9時00分~21時00分 住所 福島県双葉郡楢葉町山田岡大堤入22-1 「道の駅ならは」は2001年6月に福島県7番目の道の駅としてオープン。東日本大震災後は営業を休止し、双葉警察署の臨時庁舎として利用されていたことを、憶えていらっしゃる方も多いだろう。道の駅は2019年4月より、営業を再開している。 道の駅ならはには、フードコート、温泉施設があるほか、物産館も併設している。物産館では、お土産の雑貨やお菓子が品揃え多く並べられているほか、地元の野菜や日用品も販売されている。 アイスショップ「ウィンディーランド」では、楢葉町産の手作りジェラートを販売している。なお「ウィンディーランド」は次の目的地、天神岬スポーツ公園にもお店を構えている。 旅先での会話を読む テル 浅野撚糸のスタッフさんに「とにかく桃が美味しい!」と言われていた影響もあり、「白桃クッキー」を購入しました。ほかにもいろいろとお土産を買わせていただきました。 アツシ アタクシは「ほっと大熊」でのウェルカム・サービスでいただいた、イチゴの飲むこんにゃくゼリー「おおくまベリー」を購入しました! タケコ 私は楢葉の「ゆずコロッケ」を食べるのを楽しみにしていましたが、おなかがいっぱいで何も食べれませんでしたorz イシノリ お昼に食べた海鮮丼がジワジワと効いてきてるのよね。クルマのシートベルトのせいなのかもしれないけれど。 ジェラートを食べたいのだけれど、ちょっとまだおなかが許してくれないようなので、次に行く天神岬で食べようっと。 道の駅の目玉、地元産の野菜もゴロゴロ タケコが食べ損ねた「ゆずコロッケ」 浜通りのお土産はたいてい置いてある もちろん楢葉産のものも アツシ さぁさぁ買い物も済んだことですし、次へ参りましょう。 実はもう10分押してます。 はーい。 15:25 天神岬スポーツ公園 施設名 天神岬スポーツ公園 TEL 0240-25-3113 web https://naraha-tenjin.net/ 定休日 不定休 住所 福島県双葉郡楢葉町大字北田字上ノ原27-29 海岸沿いの崖の上に広がる広大な公園。展望台からは太平洋を一望できる。南方に目を向ければ、JERA広野火力発電所を見ることができる。 スポーツ公園と名付けられただけはあり、アウトドア方面のアクティビティにはうってつけの公園だ。クルマでやってきてキャンプをするもよし。サイクリングのベースキャンプとしても活躍する宿泊施設やレストランもある。 イシノリは2018年にこちらの宿泊施設「展望の宿 天神」に宿泊したことがあり、「レストランで食べた夕食が実に美味しかったことが忘れられない」そうだ。というわけで今回はイシノリの強いススメでお邪魔したのであった。 旅先での会話を読む イシノリ 天神のご飯をあわよくばもう一度!と思ったのだけれど、おなかがパンパンに膨れている上に、15時台というハンパな時間。レストランは営業を終了しておりました。もちろん宿泊客は夕食を食べられますので、お越しになる方は、こちらに宿泊して夕食を食べるスケジュールを組むことを、強くおすすめしますデス。 今回はジェラートだけ食べることが出来ました。 アツシ ジェラート、美味しかったですねぇ。「ウィンディーランド」はこちらが本店なのかしら?可愛らしい一軒家のイタリアン・ジェラート屋さんです。 テル イタリアンとはいえ、完全に純・楢葉産です。 たとえばジェラート「楢葉の風」は、日本酒「楢葉の風」の酒粕を使用しています。 タケコ ジェラート「ホワイトいちじく」は、楢葉町の農家が育てた皮ごと食べられるいちじくをジェラートにしたものだそうです。 すっきりとした甘さで美味しかったです。 あいにくの空模様だったが、壮大な景色が楽しめた お子様が楽しめる遊具もある イシノリ この公園はお天気が良くないと良さが十分に伝わらないと思うので、ぜひ皆さんもご自分の目でご確認ください! テル ドッグランもありますよ。 アツシ おっと、また一雨来そうですので、そろそろおいとましますか。 実は10分押してます。 はーい。 16:30 富岡ホテルにチェックイン! 施設名 富岡ホテル TEL 0240-22-1180 web https://www.tomiokahotel.jp/ 住所 福島県双葉郡富岡町駅前27 原子力関係者の多くが耳にしたことがあるであろうホテルが、「富岡ホテル」である。富岡駅前に立地し、交通面でのアクセスがいい。ホテルから10数分歩けば、ショッピングセンターの「さくらモールとみおか」がある。 なお、「さくらモールとみおか」内のフードコートは、ランチのみの営業であることに注意が必要だ。さくらモール内のスーパーマーケットは、19時まで営業している。 ともすれば「泊まるだけ」になりがちなビジネスホテルだが、日没前であれば強くおススメしたいのは、お散歩である。震災後の富岡駅前の風景を映像等で目にしたことのある人も多いと思うが、再整備された駅周辺を自分の足で歩くと、何かしら感じるものがあると思う。 さて「富岡ホテル」だが、館内は清潔で、至極快適に過ごせる。事前の予約が必要だが、宿泊者以外でも、食堂で昼食をとったりテイクアウト用のお弁当を御用意していただけるので、視察団等の編成の際にはとても助かる。 またフロントのスタッフさんが大変親切である。困ったことがあると、親身になって対応してくださる。今回は大いに助けられた。ありがとうございました。 旅先での会話を読む アツシ ハイ!アタクシ、やらかしてしまいました。 富岡ホテルの公式サイトからネット予約していたのですが、実は予約に不備があり... テヘペロ タケコ フロントのスタッフさんの親身なご対応のおかげで、助かりましたね(笑) アツシ 助けられました! 感謝感激であります! イシノリ ここは深く突っ込まないのが、武士の情けですな。 海も近い こうした予期せぬ絶景に出会えるのも、お散歩の醍醐味 テル 私は踏切を渡って海の方まで歩いてきました。途中の道路工事の現場を通り過ぎると、美しい太平洋が広がっていましたね。 タケコ 私も海まで歩いてきました。 津波が来たことも承知してはいるのですが、海が静かで、とても美しい景色に感じました。 アツシ 駅前のロータリー周辺もきれいに再整備され、生まれ変わりましたね。 駅舎では、地元産の食材を販売する「マルシェ」のようなスペースが開かれていました。 イシノリ 2015年に取材で富岡駅周辺を撮影したことがあります。倒壊した駅舎の鉄骨部に、ステッカー(?)のような白地に墨書きで「富岡は負けん」と書かれていました。 その時の感極まるような感情が長いこと脳裏から離れなかったのですが、生まれ変わった駅前のロータリーを歩き、ここまで復興させた富岡のみなさんに喝采を送りたくなりました。 アツシ そろそろおなかもすいてきました。夕食のお店を探しましょうか。実はもう10分押してます。 はーい。 17:30 串揚げ居酒屋 串誠 店名 串揚げ居酒屋 串誠 TEL 0240-23-6360 web https://kushisei.com/ 定休日 日曜日 営業時間 16時00分~22時00分 住所 福島県双葉郡富岡町駅前21 こちら「串誠」さんは、富岡ホテルの斜め前に立地する。 富岡駅周辺は、徒歩圏内に夕食をとることのできるお店が数か所しかない。そのため予約はマストである。 事前に予約をして入店。案の定、食事をしているうちに店内は満席となった。店内は大賑わいで、あちこちから楽し気な声が響く。「被災地」という勝手なイメージで来店すると、度肝を抜かれるであろう。都内の居酒屋とまったく同じ光景である。 タブレット端末から注文するスタイル。メニューは、串揚げ以外にも、お刺身、サラダ、肉吸い、煮込み、スペアリブ、プリンなどバリエーション豊富である。 お会計も今風に支払機にて。支払い方法も豊富で、QRコード決済も可能だ。 旅先での会話を読む テル いや予約取れてよかったですねぇ。あやうく夕食難民になるところでした。 アツシ そうなんですよ。実はアタクシ、これまで海外の方々の随行で何回かこのお店を利用しておりまして。 ホテルの目の前なので助かるんですよね。タブレット端末による注文方式も、海外のお客さんからは「わかりやすい」と好評でした。 今風のテーブル風景 満席の店内 手前はアツシ タケコ 新しいお店のせいか、東京にいるときとあまり感覚は変わりませんでしたね。 ちょっとスペースが広いかな、程度の違いはありますが。 イシノリ ほかのお客さんたちの盛り上がりっぷりもよかったね。 このお店にいる人たちはもう、みんな普通に楽しんでる。 震災のちょっと前にエネルギー館(現・東京電力廃炉資料館)の取材で富岡に来たことがあって。偶然見つけた小さな喫茶店のようなお店で、洋食ランチを食べたことを強くおぼえてるんだよね。 その次に富岡へ来たときは、津波の影響で、その喫茶店がどこだかわからなくなっちゃってた。 だからこうして居酒屋さんが普通に盛り上がっているのを見ると、ホッとする。 テル おっしゃる通りで、これがあるべき姿ですものね。 私も周辺を歩いてみて、まだ復興途上のところもあるけれども、着実に再起を遂げているところもある、と強く感じました。 タケコ それとごはんが、美味しいですね(笑) アツシ さぁさぁ、おなかもいっぱいになったところで、明日に備え、早めにお開きとまいりしましょ~。 はーい。 Jヴィレッジ 施設名 Jヴィレッジ TEL 0240-23-7311 web https://j-village.jp/ 住所 福島県双葉郡楢葉町山田岡美シ森8 Jヴィレッジは福島県にあるサッカーナショナルトレーニングセンター。スポーツ利用のみならずビジネス利用もできるホテルや、さまざまなスポーツやイベント開催もできる全天候型練習場が新設された。 1997年に開設された日本サッカーの拠点施設で、特に日本代表チームが多くのキャンプを行った場所としても知られている。その後、福島第一原子力発電所の事故を受けて一時閉鎖されたが、復興の象徴として2019年4月に全面的に再開された。サッカー専用のグラウンドに加え、トレーニングジムやプールなど、総合的なスポーツ施設として多様な利用が可能。キャンプや合宿の開催のほか、企業の研修やイベントスペースとしても活用できる。 Jヴィレッジが再開したことで、周辺地域の観光業やサービス業の活性化が期待され、地域活性化や雇用創出に大きく貢献している。 旅先での会話を読む テル 原子力関係者にとっては多くの思いが詰まった施設、それがこのJヴィレッジです。私もさまざまな思いが去来します。 アツシ 今回の取材では残念ながら行程の関係で、立ち寄ることはできなかったのですが、アタクシにとってもここは思い出多き地であります。 タケコ みなさん、いらしたことがあるのですね。 イシノリ 再開される以前に来たので、こんなに綺麗になった芝生のピッチを見たのは初めて! Jヴィレッジ全景 ピッチ全景 天然芝のNo.3ピッチ ビジネスにも快適なシングルルーム リゾート感覚でくつろぐツインルーム 仲間たちと英気を養うフォースルーム アツシ こんな素敵な施設になっていたとはつゆ知らず。恐れ入りました! タケコ リゾート施設と見まがうばかりのお部屋ですね。 ジムもレストランもありますし、合宿でなくても1日中楽しめそうですね! イシノリ プールもあるしね! それと、ここは大浴場が気持ちいいんですよ。 テル 見事としか言いようのない復興を遂げていて、頭が下がります。 是非ともあらゆる機会をとらえて、利用してみたいですね。 アツシ 今回はお邪魔できませんでしたが、またあらためてお邪魔して、もっと詳しく拝見いたしましょ~ はーい! 1日を動画で見る
- 25 Jan 2025
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day1 | 浜通り3days
10:30 福島駅を出発! 施設名 福島駅 住所 福島県福島市栄町1-1 原子力産業界の福島出張の定番は「いわき駅」スタートなのだろうが、わたしたちは今回「福島駅」からスタートである。 新幹線で東京から「やまびこ号」または「つばさ号」で、およそ1時間半で到着。新幹線を降りると、広々とした駅の西口に出る。早速、予約したレンタカーの店舗へ移動しようとするが、GoogleMapいわく、目指す店舗は徒歩13分。ちょっと待て。危ない危ない。素直に店舗からの送迎バスを待とう。 もちろんレンタカー会社によっては、駅前に店舗もある。下調べは大事だなぁ。 旅先での会話を読む アツシ 福島まであっという間ですね。パソコン開いてちょっと作業してたら、もう着いてました。 テル 同じく新幹線駅であるお隣の「郡山駅」という選択肢もありますが、今回は県庁もある「福島駅」スタートとしました。 もっとも新幹線経由で目的地の浜通り地方に行くには、ここからクルマ移動になってしまいますが。 イシノリ 今乗ってきた新幹線は旅行客が多かったですね。あまり福島では降りてくれませんでしたが。 テル 福島は、というか浜通りは、今ダイナミックに変化を遂げており、それを感じられるのは今だけだと思います。 もっともっと多くの人に、福島へ立ち寄っていただかないと。 アツシ 4月の原産年次大会「福島セッション」でも、その点が強調されていました! 議論だけで満足せずに、次は行動です。原子力産業界は、社員旅行、研修旅行、慰安旅行等で何か理由をつけて福島に来るべきです。 タケコ 実際に現地を自分の目で見て、自分の足で歩くことで、わかることがあると思います。その体験を周囲にジワジワと拡げていってほしいですね。 イシノリ そそ。芸能人だけにまかせてないで、我々も行動しないとね。 タケコ 福島には初めて来たのですが、きれいな駅ですね。ちょっと静かですけど。 テル 新幹線改札のある「西口」と比べると、在来線側の「東口」はもっと賑やかですよ(笑) アツシ おっと、そうこうしているうちに送迎バスも来たようです。実はもう10分押してます。 はーい。 12:00 フランス料理店 ポン・ヌフ 店名 フランス料理店 ポン・ヌフ TEL 0244-24-3314 営業時間 11時30分~14時00分 住所 福島県南相馬市原町区日の出町206-1 浜通り地方のメインストリート「国道6号線」沿いに古くから佇む老舗フレンチ。福島第一原子力発電所事故後も早い時期から、洋食屋として営業を再開し、人々のおなかを支えたのは有名な話。 交差点、しかも通りに面した一軒家のお店である。駐車場の入り口がなかなかわかりにくいが、迷うことなくハンドルを切ろう。国道沿いではなく脇道側に入り口がある。 お店の外からは店内の様子がわからず、戸惑うかもしれない。しかし「営業中」の札がかかっていれば、間違いなく営業中なのだ。「注文の多い料理店」然とした佇まいに臆することなく、扉を開こう。きっと、店内いっぱいのお客さんを見て胸を撫で下ろすことだろう。紳士とマダムが切り盛りする「フランス料理店 ポン・ヌフ」は、絶品な洋食を味わえる人気レストランなのだ。 メニューは幅広く、たいていの洋食は揃っている。数多くのレビューがネット上にあるので、ここで多くは語らないが、実に美味しい。テルさんは「エビピラフ」、アツシとタケコは「ビーフシチュー」、イシノリは「ビーフストロガノフ」を注文したが、どれもとても美味しかった。特にビーフストロガノフは、ゴロゴロとステーキ肉が投入されており、食いしん坊も大満足である。 店主のお人柄も特筆すべきだろう。 実は店を辞去した後、クルマで移動中にイシノリが「社員証がない!」と大騒ぎ。どうやらいつも首からぶら下げている「迷子札」状のパスケースを紛失したとのこと。即座にクルマを停めて、全員の撮影写真に映り込んだイシノリを確認しながら、どの時点まで「迷子札」を持っていたか解析がスタートした。「新幹線で落としたかも...」と半ベソになりながら絶望のズンドコに沈むイシノリを囲みながらワイワイやっているうちに、東京にいる副編集長から電話が。 「イシノリ!あなたレストランに行った?」「うん... お肉、食べた...」「お店の人から電話があって、社員証を忘れていったそうよ」「MA・JI・DE!」 すぐさまクルマで取って返して、ポン・ヌフの扉をたたいたところ、マダムが申し訳なさそうに「駐車場に落ちていたのよ。ごめんなさいね。気づいてあげられなくて。社員証とクレジットカードが入っていたから、これは大変と思って、会社に電話しちゃった」 その節は誠にすみませんでした。平謝りしつつ、感謝感激のイシノリであった。 旅先での会話を読む アツシ いやいや、噂にたがわぬ名店でしたね。美味しい上にボリュームもあって、食いしん坊でも大満足。 イシノリ 福島出張時の「影の目玉」になりますな。 あそこまでゴロゴロと立派なステーキ肉が入っているビーフストロガノフは、初めて。 タケコ ビーフシチューもほんのりと酸味があって、とてもやさしい味でした。 ほかのメニューも食べてみたくなります。 テル ランチ営業しかされていないのが、実に惜しいですね。 もっと多くの方が遊びに来るようになれば、ディナータイムも開けてくれるんじゃないかなぁ。 「営業中」の札が輝いている ごちそうを前に撮影する面々。イシノリの迷子札が確認できる タケコ ポン・ヌフさんの魅力は、店内に入ると一層感じられますね。 テル 一軒家をぐるりと緑で囲まれており、この落ち着いた雰囲気が私は好きですね。 アツシ 中が見えないだけに、店内に入った瞬間のあたたかさは形容しがたいですね。お店のあちこちに猫ちゃんの置物が置かれていましたが、猫好きな人はやさしいといいますよ。 イシノリさんの「迷子札」騒動でも、大変親切な対応をしていただきましたし。 イシノリ おっしゃる通りです。 アツシ もうご存じでしょうが、そのせいで10分押してます。 イシノリ 面目ない... 13:20 福島ロボットテストフィールド 店名 福島ロボットテストフィールド TEL 0244-25-2473 web https://www.fipo.or.jp/robot/ 見学コース あり(事前予約) 定休日 土曜日/日曜日/祝日 営業時間 9時00分~17時00分 住所 福島県南相馬市原町区萱浜 新赤沼83南相馬市復興工業団地内 浜通りの産業回復・復興に留まらず、新たな産業基盤の構築を目指す国家プロジェクトである「福島イノベーション・コースト構想」。福島ロボットテストフィールド(RTF)は、その一つとしてロボット/ドローン分野を集積させた一大拠点である。 2020年3月31日に全面オープンしたRTFは、東西に1㎞、南北に500m、約50haの敷地(東京ドーム10個分)を誇る。インフラや災害現場などの実際の使用環境を再現した21の施設があり、無人滑走機エリアには9施設、開発基盤エリアには5施設、インフラ点検・災害対応エリアには5施設、水中・水上ロボットエリアには2施設が配置されている。また、13㎞南には、RTFが所有する浪江滑走路・格納庫がある。 広大な施設ではあるが、おおよそ1時間規模の見学コースが用意されている。 RTFのミッションは、福島復興に貢献することおよび、ロボットの社会実装である。ミッション遂行のため、世界トップレベルのロボット実験環境を技術者に提供しており、ロボットの安全性確保・社会実装のためのルールやガイドラインといった仕組み作りに取り組んでいる。また、企業や大学など国内外のロボット研究開発運用者の交流・連携を促進しており、ロボットに係る次世代の人材育成にも取り組んでいる。RTFでは、こうした取り組みを通じて、中長期的な福島の復興支援をおこなっている。 旅先での会話を読む アツシ こちらがアタクシのイチ推し、「福島ロボットテストフィールド」です。 施設の規模もさることながら、倉庫に置かれた人型ロボットなど、なんかこう、グッときませんか? イシノリ わかる 真っ暗な倉庫のライトが点いて、目の前にアレがいた時は、たしかに鷲掴みにされた(笑) 「人機一体」だっけ?センスいいよねぇ。両肩に入った「JR西日本」とか「日本信号」とかスポンサーロゴも、なんだかリアルでカッコイイ。 これが「人機一体」 右端が 案内してくださったRTFの木幡さん テル 単なるスポンサーなだけでなく、共同開発者らしいですよ(笑) それと福島県はそもそも、ドローン関連もなかなか有名なんです。ドローンを使った配送実験とか、テレビでご覧になったことありませんか? イシノリ ありますあります。牛丼配達でしたっけ?南相馬の テル はい。福島県は長崎県とともに全国に先駆けて2024年度にドローン配送の実現に向けた地域課題解決連携“絆”特区に指定されているんです。 無人地帯で目視外飛行することを「レベル3飛行」と呼びます。「レベル4飛行」はさらに段階が上がって、有人地帯での目視外飛行が可能です。これまではルートごとに申請が必要でしたが、特区指定に伴い、エリア単位の申請でレベル4飛行が可能になりました。 アツシ ただし、ドローンの特区を活用する場合、飛行できるドローンは、国の認証を受けた機体に限定されています。 イシノリ となると、ますますドローンの活用が増え、浜通り地方が全国に先駆けた先進地域になりそうですね。 テル 無人滑走機エリアの緩衝ネット付飛行場は、高さ15mまでネットが張られています。天井のようにネットが張られたことで、屋内施設扱いとなり、ドローンから投下したりする場合なども、航空局への申請不要でドローンの実証ができるんですって。 タケコ 毎回申請するのは、大変ですものね。 アツシ あまりにも見どころが多くて1時間では回りきれませんが、10分押してます。 はーい。 15:00 haccoba 小高駅舎醸造所 &PUBLIC MARKET 店名 haccoba 小高駅舎醸造所 &PUBLIC MARKET web https://haccoba.com/ 定休日 月曜日 営業時間 12時00分~17時00分 住所 福島県南相馬市小高区東町1丁目140−1 無人駅の駅員の詰め所を改装して、醸造所兼店舗として活用している。レンタカーを駅前の無料駐車スペースに停め、店舗へ向かう。なんと、入り口が駅のホーム側にあり、改札を通らないと入ることが出来ない。無人駅とはいえ黙って改札を通るのは少々抵抗がある。というわけで、駅のインターホンで繋がった別の駅の駅員さんに確認したが、「入店のため、駅の改札を通ってかまわない」とのことだった。安心されたい。 haccobaでは、お米と一緒にさまざまな素材を発酵させてお酒をつくっている。例えば、コーラの作成過程で発生したコーラ粕に他の粕を掛け合わせて新たなお酒を製造したり、チョコレートの製造過程で発生するカカオハスク(カカオの外皮)からお酒を製造したり、梅酒の製造で使用した梅の実(梅酒粕)をお米と一緒に発酵させてお酒を製造している。 haccobaは自社の醸造技術と何かを掛け合わせて(コラボして)、新しいものをつくっていることに特徴がある。ガラス越しに、駅員の宿直室だった部屋に配置された醸造設備を確認することが出来る。 下校時刻になると、駅を利用する地元の高校生たちで店内も賑わうという。 旅先での会話を読む テル haccobaの佐藤代表が4月の原産年次大会「福島セッション」に登壇された際に紹介した「はなうたホップス」は、当協会の懇親会でも何度かお出ししたのですが、大変人気が高かった一品です。 今回は、梅酒粕を用いた「五香梅(ウーシャンメイ)」を購入しました。 アツシ 梅とスパイスの香りがよく、とても飲みやすいお酒でしたね。これは仕事やプライベートを問わず、ボクの周りに薦めたい一品です! 小高駅の入口 ホームに面して店舗入口がある タケコ haccobaのお酒は、また飲みたいと思うだけじゃなく、ほかのお酒も飲んでみたいと思わせる不思議な魅力がありますよね。 イシノリ お酒以外にも、地元福島産の雑貨類が販売されており、ここに来ればいろいろと手に入るね。 タケコ オリジナルのコーヒーや化粧品、キーホルダーやグラス。そのほかにも浜通り地方のオリジナルTシャツなど、ローカルな商品がいっぱい置いてあります。 私もたくさん買わせていただきました。 イシノリ それと驚いたのは、店内に“オープンスペース”があって、そこで靴を脱いでのんびりおしゃべりできるところ。かなりフリーダムね。 店内にはくつろげるスペースもあり、電車待ちの高校生が自由に楽しめるそうだ うん。たしかにこんなに自由で人が温かい駅はない テル 勝手に作っていく「小高マップ」なんて典型ですが、このように場を提供するだけで、あとは高校生たちが自由に楽しみながら地元・小高をアピールしてくれる。 頼もしいですよね。 イシノリ 誰に強制されたわけでもないのにね。 佐藤代表が、「現在進行形で新しいカルチャーが生まれている」とおっしゃってましたが、これは楽しい! 説明してくださった三村さん 地元の高校生のアイデアも採用している アツシ おっと盛り上がってるところ恐縮ですが、10分押してます。 はーい。 16:00 浅野撚糸フタバスーパーゼロミル 施設名 浅野撚糸フタバスーパーゼロミル TEL 0240-23-7648 web https://asanen.co.jp/dakishimetefutaba/ 見学コース あり(事前予約) 定休日 月曜日 営業時間 10時00分~18時00分 住所 福島県双葉郡双葉町中野舘ノ内1−1 クルマで走っていると双葉町の再開発エリアに、一際異彩を放つ建屋が現れる。クルマから降りてエントランスへ近づくと、ガラス張りの建屋がショッピングモールのように明るい。ここが浅野撚糸株式会社の新工場だ。 岐阜を本拠とする同社の浅野雅己社長は、福島大学で青春時代を過ごした。震災後に被災地を訪れた際に地元・双葉町長の復興へ向けた力強い言葉に、強く胸を打たれ、双葉町に工場を新設することを決意したという。そして同社の新工場「フタバスーパーゼロミル」が、2023年4月、スタッフ20名でスタートした。当初は地元からの採用が思うようにいかず、岐阜から人員を派遣していたが、現在では、定期的な地元スタッフの採用に成功しており、現在22名が働いている。 こちらは工場見学のコースが2種(40分コース/70分コース)整備されており、広報担当スタッフがじっくりと工場の概要を説明してくれる。設備を目の前で見ることができ、すべてオープンで、撮影もOKだ。我々は今回70分コースをお願いした。 工場は9名のスタッフで交代しながら、24時間稼働(深夜は無人で機械のみ稼働)している。ベトナムからの技能実習生も受け入れており、我々が訪れた際にも実習生が合糸機等の稼働状況の確認作業をしていた。 スーパーZEROという糸は、通常の糸およびお湯に溶ける糸(水溶性の糸)を撚ったのち、高温の蒸気をあてて、糸の縮れを固定しタオル製造段階で水溶性の糸を完全に溶かすことで、それまで掛かっていた解け残った糸が膨張するという原理を利用している。この膨張した糸により、吸水性が飛躍的に高まるのだ。 糸を撚る機械は、廃業する同業者たちから譲ってもらった20〜30年以上も前のシロモノで、今ではもう手に入らない。地下約220mの地下水をくみ上げて140℃まで高め、蒸気として使用している。試行錯誤を重ねた結果、撚糸の中心部まで蒸気をあてる方法として、1つずつ人の手で穴を開けた段ボールに撚糸を入れるという現在の方法が編み出された。なお、140℃のスチームを出す機械(スチームセッター)は、ここ双葉町と岐阜本社の2か所に設置されている。 旅先での会話を読む テル 施設見学の冒頭、同社の土屋所長補佐よりお話がありましたが、「工場の設備だけでなく働くスタッフを見てほしい」と。その言葉の意味がよくわかりました。 タケコ この工場は人で成り立っていましたね。 案内してくださった子安さんは、入社2年目だそうですが、入社早々に地元の岐阜から福島へ派遣されたそうです。 見知らぬ土地で、「不便なこともあるけれども、双葉の未来を作っているようで楽しい」とおっしゃっていたのが印象的です。 1年と言われていた双葉町への派遣期間を、自ら延長を申し出て、2025年3月まで双葉町で働くことになっているそうですよ。 撚糸機の説明をする子安さん 撚った糸に高温の蒸気を当てるスチームセッター アツシ 設備もすべて丸見えで撮影OKですし、事務所に至っては「ガラス張り」で丸見えでしたね。 子安さんが「ちょっと恥ずかしい」とおっしゃっていたのもよくわかります。 イシノリ すべてオープンにしていく、心意気ですかね。 こうして訪れた人たちの心をガッチリと掴む(笑) 1Fに広がるショップでは、多様な素材の製品が販売されている 2Fのアウトレットショップ アツシ こちら、工場を見学できるだけでなく、きちんとショップも併設されています。2Fにはアウトレットショップも イシノリ 貧乏性でアウトレットにばかり足が向いてしまいました。 こちらで購入したエアーカオルを、ジムでもヘビーユースしています。たしかに吸水が違う!水泳で使用する吸水シートと違い、肌触りもいいですね。 はちみつりんごみるく 1FにはKEY’S CAFÉもあり、お食事もできる タケコ 1Fにはカフェも併設されています。広々とした空間で居心地がいいので、ついつい長居してしまいました。 こちらのカフェも、浅野撚糸さんの社員さんが担当されているそうです。 テル 私も子安さんイチ推しの「はちみつりんごみるく」をいただきました。これが実に美味しい。 福島県産のリンゴを使用されているそうですよ。 下から見てもよくわからない屋根だが 上から見るとこのようにデザインされている イシノリ そういえばこちらの施設、上空から鮮やかな「0」のマークが見えるようですが、本来は「町のシンボル」として道路からも見えるはずだったそうです。 「設計ミスで見えなくなっちゃった」って(笑) しかも看板は補助金対象外なので、全額自己負担! アツシ おっと、その手のウラ話はやめていただいて! 実はカフェに長居しすぎて、10分押してます。 はーい。 18:00 ほっと大熊にチェックイン! 施設名 ほっと大熊 TEL 0240-23-5767 web https://okumakouryu.jp/hotokuma フロント営業時間 6時00分~22時00分 住所 福島県大熊町大川原南平1207番1 大熊町役場に隣接する「大熊町交流ゾーン」。その一角を占めるのが、宿泊温浴施設「ほっと大熊」だ。 「ほっと大熊」周辺には、コンビニ(7時00分~20時00分)もあれば、飲食店もある。 さらに万が一に備え、「ほっと大熊」施設内も充実している。広い共有スペースには、電子レンジやちょっとした調理器具が揃っている。それにくわえて、カップ麺、冷凍食品、アルコール類、おつまみ系の自動販売機が充実している。 フロント営業時間外でも、スタッフは常駐しているので安心である。大熊を拠点に動く場合、ぜひとも泊っていただきたい。 ただし、かなりの人気施設なので御予約はお早めに。 旅先での会話を読む ほっと大熊の入り口。なんだかあたたかい 広々とした共有スペースがあり、設備は自由に使える アツシ こちらはとにかく大人気で、なかなか予約が取れないんですよ! 今晩はファミリールームに男子3名が、ツインルームに女子1名が宿泊です。 イシノリ 温浴施設にくっついた宿泊所だというのであなどっていたら、なんのなんの。リゾートホテルばりのお部屋で驚いた。 到着したのが夜だったからわからなかったけど、あのテラスはヤバい。気持ちよさそう。 テル ぜひ家族で訪れたいですね。 子連れには、共有スペースにあるさまざまな設備もうれしい。 タケコ あちらの共有スペースは飲み物がすべてフリーで供されています。お菓子も好評だそうですよ。 それとフロントのスタッフさんが優しくて、地元に帰ってきたような気分になれますね。 ファミリールームにはテラスも ファミリールームには2寝室のほか、広々としたリビングルームもある。ここでゆっくり談笑できる イシノリ それと温泉コーナーの目玉の一つ、無料マッサージチェアね。 なかなかの高級機だというウワサは聞いてた。 アツシ 期待値をはるかに上回ってきましたね。 外界から遮断され、からだ全体が包まれる。まさにモビルスーツのコックピット! テル 我々3機が並んだ姿はさしずめ「黒い三連星」ですかな(笑) イシノリ アハハハ カッコいい! この勇姿をタケコに撮ってもらえばよかった(笑) アツシ アタクシ、「オルテガ」を名乗らせていただいてもよろしいでしょうか!! タケコ マッサージチェアの置いてある方から元気いっぱいな声が聞こえて、何事かと思っていましたが... みなさんだったのですね。楽しそうで何よりです。 イシノリ で、でたな。京言葉! 19:00 食事処 池田屋 店名 食事処 池田屋 TEL 090-2936-7322 定休日 日曜日 営業時間 11時00分~21時00分(要確認) 住所 福島県双葉郡大熊町下野上金谷平542-2 神奈川県から移住した店主が、2024年5月に大熊町でオープンした定食屋兼居酒屋さん。大熊町に住む人や復興に携わる人にとって、待ちに待った飲食店だったという。しかも夜は居酒屋として営業しており、暗闇に輝くお店の明かりが、地域の防犯にも貢献しているそうだ。 「孫をいい自然環境で育てたい」との思いで移住を決意した店主。当初はお店をやるつもりはなかったが、あまりに周りに何もなくて不便であることから、「みんなのためにもお店を開くことにしました。以前も飲食店をやっていたから」とにっこり笑う店主。あたたかい。 上述の通り、「ほっと大熊」のある「大熊町交流ゾーン」には、居酒屋さんや食堂が複数軒あるが、大熊町を訪れる人々は少なくない。どのお店にせよ、事前の予約を強くお勧めする。 実は我々も油断しており、「大熊行けばお店が何軒かあるよ~」との声に安心しきっていたのだが、当然のごとくドコモ満席である。誰もが美味しいものを食べたいのだ。 そんな経緯で出会えた「池田屋」さん。定食以外にも数多くのサイドメニューがあり、ガツガツといかせていただきました。ごちそうさま。 旅先での会話を読む アツシ いやいやアタクシとしたことが大変な失態で。「ほっと大熊」周辺のお店はどこもかしこも満席でしたね。 そりゃそうですよねぇ。 イシノリ 「ほっと大熊」の駐車場見て驚いたもん。クルマだらけで。 「交流ゾーン」を我々のようなサラリーマンが、1日の仕事を終えてニコニコしながら歩き回ってるから、イヤな予感したのよね。 案の定どこのお店もお客さんでいっぱい。正直、コンビニ弁当も覚悟した。 テル 大熊町の帰還が進まないとはいえ、復興作業に携わっていらっしゃる方々が大勢いらっしゃいますからね。 今回はその“勢い”の一端を垣間見ましたね。この町は元気がいい。 タケコ 池田屋さんにお電話して「どうぞ!」と言われたときにはホッとしました。 アツシ そんな我々をあたたかく迎えてくださった「池田屋」さんの店主さんですが、大熊町のお隣、浪江町のご出身で、30年ほど前から神奈川県で生活されていたそうです。 震災から再び立ち上がった大熊町の姿を見て、そしてなによりも孫をのびのびとした環境で育てたいとの思いで、ここならばと移住を決意されたそうです。 テル このように移住された方が、地元の人々や大熊町を訪れた人々の食事処として、町を支える重要な役割を果たすというケースもあるのですねぇ。感じ入りました。 避難された方々の帰還が思うように進まない中、これからはこうした移住者の方々による新しいまちづくりという要素も、無視できなくなってくるかもしれません。 食券機にはガッツリ系の定食メニューが並ぶ 店内の壁に貼られた一品料理も注文可能だ タケコ 地元の食材だというサラダが、とても美味しかったですね。福島県はトマトの産地ですものね。 明日お邪魔するワンダーファームさんも確か... イシノリ 元木さんのワンダーファームね! あそこはトマト三昧よ。以前取材したとき、「トマト神社」もあった(笑) アツシ そうです。みなさん、明日もスケジュールはいっぱいいっぱいです。 今晩も早めにお開きとまいりしましょ~。 はーい。 1日を動画で見る
- 25 Jan 2025
- CULTURE
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人口に膾炙する福島
毎年師走になると、過去に起きた大きな災害を振り返ることにしています。その度に、当時紙面を賑わせた大きな災害が、別の災害の記憶で塗り替えられていることに驚きます。他者の不幸を記憶し続けることは辛く、時に面倒なことでもありますから、それはやむを得ないことかもしれません。しかし記憶の劣化は、必ずしもその災害の歴史が終わることではないのでは。今福島で起きている災害後の世代交代を見て、そう感じています。格式なき伝統私が相馬市に住んでいた時、700年以上の歴史ある城下町なのに老舗が少ないことを不思議に思ったことがあります。その理由を地元の方に尋ねた時に返ってきた答えは、「代が変わると、和食から洋食とか、料理自体変えてしまうことも多いからねえ」というものでした。当時は半信半疑だったのですが、最近それを目の当たりにする機会がありました。郡山で行われた「テロワージュふくしま」というイベントに参加させていただいた時のことです。テロワージュとは「テロワール」と「マリアージュ」を組み合わせた造語で、その主旨は地元のお店で地域の食材・料理・お酒のマリアージュを楽しむ、というものです。会場となった和食店「丸新」は、名前の上では4代目。しかしその業種は米屋、蕎麦屋と変遷し、当代になってから和食店に転じたそうです。その場に日本酒「南郷」を提供されていたのは40代で官僚から転職したという矢澤酒造。こちらは先代の名を継ごうとしたところ、むしろ「あなたの味なのだから名前を変えなさい」と勧められ、やむなく酒造にご自身の名前をつけたとのことでした。ちなみにその厨房では若い板前さんが、調理用白衣にヘッドフォンという斬新な姿で、「和食と音楽を一緒に楽しみたい」と、ノリノリでDJを務めておられ、既に次世代への変化の芽を感じさせる空間でもありました。世代と共に業種が変わり、店が変わり、名前が変わる。それは格式ある伝統とはかけ離れています。しかし恐らくそれこそが、福島の「文化継承」の在り方なのだと思いました。ものがたりの始まりでは、過去に拘泥しない代替わりは、歴史もまた風化させてしまうのでしょうか。私はむしろ、ある出来事は代替わりして初めて歴史になるのでは、と感じています。2011年の災害を風化させぬよう、記録を残そうとする活動はこれまで数多くなされてきました。その中で、当時のことを紙芝居にして語り継ぐ、という活動があります。迫力のある絵と共に情感込めて語られる紙芝居は今も人気を博しており、昨年は東京国際映画祭でも上映されたほどです。なぜ忠実な史実ではなく、紙芝居が世界に受け入れられたのか。それは、その語りが時代と共に変化し得る隙間を持っているからだと思います。「伝記は断じて小説になってはならないが、つねに小説的であるべきである」という言葉があります。伝記に限らず、1度きりしか起こらなかった事実が歴史となるためには、小説的な面白みをもって何度も読み返される必要があるのだと思います。災害は本来辛くて何度も思い出したくない出来事です。それを正しく記録・伝承するだけでは、それは何度も読み返したい歴史にはならないでしょう。そう考えれば、災害が歴史となるためには読者がその歴史に自分自身を投影できる、「行間」が必要なのだと思います。過去を忠実に再現することにこだわらず、むしろ倒木更新のように過去を糧にする。そうやって、今ようやく福島の災害は、何度でも読みたい福島へと昇華しつつあるのかもしれません。未だ倒木たりえず反対に、風化を恐れる人々が、解釈の隙間を与えない事実ばかりを発信し続ければ、むしろその事実が人口に膾炙(かいしゃ)されることを阻んでしまうでしょう(そもそも人口に膾炙の意味もまた、なますやあぶり肉のように何度も食べたい美味しいもの、という意味があります)。私自身の反省でもありますが、「自分こそが過去の事実を知っている」と驕る人々が「福島」「原子力」を語り続けることで、むしろ事実が他の方の口に上る機会を奪っているかもしれません。「科学的事実に基づいた議論」ばかりが先行するコロナ禍の経験談も同様です。限られた専門家の口で繰り返されるものがたりは、小説からも旨いものからも程遠く、すぐに古色蒼然とした思い出に過ぎなくなってしまうのではないでしょうか。柳緑花紅の福島を何度も読み返しながら、未だ倒木たりえない自身を反省する日々です。
- 12 Dec 2024
- COLUMN
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「宇宙開発フォーラム」宇宙と原子力の関わりを議論
9月6日より3日間、学生団体「宇宙開発フォーラム実行委員会」(SDF)が主催する「宇宙開発フォーラム2024」が日本科学未来館(東京都江東区)で開催された。7日に開催されたパネルセッションでは、石井敬之氏(原子力産業新聞・編集長)ら4名のパネリストが登壇し、「宇宙開発と市民理解(宇宙における原子力利用を例に)」について議論を交わした。同フォーラムは、宇宙開発の現状や今後の展望について、業界内外に広く発信することを目的としており、今年で22回目の開催。原子力利用をテーマとして取り上げるのは今回が初めての試みだったという。議論に先立ち、セッションの企画者であり、モデレーターを務めるSDFの山口雪乃氏(国際基督教大学2年)が、企画の趣旨を説明。「原子力」や「核エネルギー」という言葉に抱くネガティブな印象から、宇宙での原子力利用にも反射的に拒否感を示す人々がいる現状を紹介し、新しい技術への市民理解を促すためにはどのような伝え方ができるか、と問題提起した。宇宙原子力の開発は、1977年に宇宙探査機ボイジャー1号に原子力電池が搭載されるなど、米国で先行して取り組まれてきた。日本でもようやく、今年4月に発表された文部科学省による宇宙戦略基金事業に原子力電池の要素技術の開発が組み込まれたが、高木直行氏(東京都市大学理工学部・教授)は、同事業で「原子力電池」が「半永久電源システム」と称されていることを指摘。国の事業においても、「原子力」という言葉の使用が避けられている現状を強調した。石井氏は「現代の宇宙エンジニアたちと同じく、かつての原子力エンジニアたちも未来に夢を描いていた」とした上で、今後の宇宙開発においても、社会から理解を得られなくなる事態になることが十分予想できると指摘。放射線照射によって誕生した「あきたこまちR」への風評被害や、食品添加物に対する誤解を例に挙げ、科学面でのリテラシー不足こそが、新しい科学技術への市民理解を得る上で最大の課題だと懸念を示した。また同氏は、ゼロリスクの追求が社会を歪めているとの見解を示し、「安全ならば安心する、という正しい感覚を持つべきであり、『安全だけど安心じゃない』が通用する社会を許してはいけない」と、強く訴えた。「未知、または未来の技術への市民理解を促進する上で必要なことは何か」との問いに石井氏は、業界の垣根を越えて「科学リテラシー全体の底上げ」に取り組むことであると主張。ニーメラーの警句を引用し、「『世間が宇宙業界を叩いた時、宇宙業界のために声を上げるものは一人もいなかった』とならないよう、日頃からアンテナを高く伸ばし、宇宙分野以外にも広く意識を向けて、積極的に発言してほしい」と学生たちに呼びかけた。
- 12 Sep 2024
- NEWS
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原子力発電所の〝耐震安全性〟報道に 第三者的なファクトチェックを!
二〇二四年四月二十二日 「原子力発電所の耐震性は民間住宅よりも劣る」。こんなまことしやかな言論がいまも聞こえてくる。このことを記事にする記者も後を絶たない。能登半島地震をきっかけに、ようやく電気事業連合会が「Enelog」(vol.63)で解説したが、やはり誤解に満ちたニュースに対しては、第三者的なファクトチェックの重要性を改めて痛感する。樋口氏はいまもメディアで人気 今年一月、「小島さん、原子力発電所の耐震性は民間住宅よりも劣ることを知っていますか」。旧知の食品科学者が驚いた様子でこんなことを尋ねてきた。ニュースで見たという。情報源を聞くと、二〇一四年に関西電力大飯原発の運転差し止めを命じた樋口英明裁判長(当時)の主張だった。樋口氏はいまなお各地で講演会を続け、大活躍している。 今年に入ってからも、一月に茨城県つくば市で、三月には京都府京丹後市で、四月には新潟県柏崎市で講演会を行っている。その都度、地元の新聞記者が取材し、樋口氏の主張をそのまま記事にしている。四月八日付け朝日新聞デジタル記事によると、「原発を再稼働させない柏崎刈羽の会」主催で四月七日に行われた講演会は約百六十人の満席だった。記事からはどんな内容の講演だったか分からないが、樋口氏の主張は「地震大国日本では原発に高度の耐震性が求められる」との言葉で紹介されていた。 京丹後市で三月二日に行われた講演会は毎日新聞が地方版で報じた。見出しは「原発の本質は国防だ」だった。ロシア軍に占拠されたウクライナのザポリージャ原発にふれ、「原発は人が管理し続けないといけない。そして暴走した時の被害はとてつもなく大きい」との内容が載っていた。原発の耐震設計は民間住宅より劣る? このように樋口氏は「原発を止めた裁判長」として、朝日新聞、毎日新聞、東京新聞(東海地方では中日新聞)などでは常にヒーロー並みの扱いで記事になる。私も直接、樋口氏の講演を聞いたことがあるが、いつも気になっていたのは、以下のような内容だ。 「大飯原発の耐震設計基準は、東京電力福島第一原発事故後、当初の四〇五ガルから八五六ガルに引き上げられた。原子力規制委員会は厳格化した新規制基準に適合すると判断したが、大手住宅メーカーには三〇〇〇ガル台や五〇〇〇ガル台の地震に耐える一般住宅があり、それに比べると原発は著しく低い」(二〇二一年五月六日毎日新聞経済プレミア)。 ガルとは地震の強さを表す加速度の単位だ。樋口氏の主張は、一般住宅が三〇〇〇ガル以上の地震に耐えられるのに対し、原発は九〇〇ガル以上に耐えられないという理屈である。二〇二一年当時、数多くのメディアの記者たちはこの主張に驚き、次々に記事にしていた。 その後、しばらく落ち着いていたかと思ったら、能登半島地震で志賀原発の変圧器などが壊れたことで再び、樋口氏の主張が注目され、ニュースが増え出した。その中で私の知人の食品科学者は初めて樋口氏の主張を知った。「これって本当なのか」。驚いた知人はネットで調べたが、原発の耐震設計が民間住宅より劣るかどうかについての適切な解説は見つけ出せなかった。それで私に尋ねたというわけだ。電力会社の回答 実は三年前、私も樋口氏への反論がないかネットで探そうとしたが、見つけられなかった経験がある。電力業界のウェブサイトを見ても、それらしき反論は見当たらない。そこで東京電力と関西電力に聞いてみたところ、「原子力発電所は固い岩盤に建っているのに対し、一般住宅はそれほど固くない地盤の上に建っている。硬さの異なる地盤地点における数値(ガル)を比べることは適切ではない」との回答を得た。 要は、岩盤での加速度(数値)と柔らかい地盤での加速度(数値)を同列に論じることはできないということなのだが、十分に納得した気持ちにはなれなかった。以来、ずっと分かりやすい解説がほしいと思っていた。固い岩盤は軟らかい地盤の二分の一~三分の一 そうしたもやもや感を抱いていたところ、つい最近、発行された電気事業連合会の冊子「Enelog」で、能登半島地震規模の地震が発生した場合の耐震安全性に関するQ&Aを見つけた。そこに以下のような記述が見られた。 「一般建築物が建設される地表面に近い表層地盤の方が、原子力発電所が建設されている強固な岩盤よりも地震による揺れが大きく増幅されることから、志賀原子力発電所の岩盤面の揺れの大きさとして設定された現在の基準地震動(六〇〇ガル)と、表層地盤の上に設置する一般建築物の揺れの大きさ(ハウスメーカーが耐震実験を行っている約五〇〇〇ガルなど)を単純に比較することはできません」図1©FEPC このQ&Aの解説には、イラスト図(図1参照)が添えられ、「堅固な地盤(岩盤)での揺れは、表層地盤に比べて、1/2~1/3程度」という解説があった。これなら確かに理解できる。第三者的な解説が必要 そして、改めて関西電力のウェブサイトを見ていたら、「巨大地震に備える」という項目で以下のような解説があった。 「平成二十八年四月に大きな揺れが観測された熊本地震において、熊本県益城町では、四月十四日の前震(マグニチュード六・五)において、軟らかい地盤の地表で観測された揺れの強さは、一五八〇ガルでしたが、地下の硬い岩盤の中では最大で二三七ガルでした。原子力発電所は、大きな揺れになりにくい硬い岩盤の上に建設しており、地震が多い日本ではその他にも、耐震安全性を確保するために、各種対策を実施しています」 この説明だと、一般住宅が建つ表層地盤と固い岩盤とでは、ガルの数値に約七倍の差がある。これを読めば、原発の耐震と一般住宅の耐震を数値だけで比較しても意味がないことがさらに理解できる。 残念なのは、地震学や地質に詳しい第三者の専門家による解説がないことだ。ネットを幅広く調べれば、どこかにあるのかもしれないが、これだけ樋口氏の主張がニュースになっていながら、原発関連会社や団体のウェブサイトにちゃんとした解説(反論)がないのは不思議でしようがない。日頃から、原発やエネルギー関連ニュースで誤解を与えるような言論を見つけたら、すぐに第三者の専門家に分かりやすい解説を依頼して載せるというファクトチェック活動が必要だろう。そうしないと誤解はいつまでも人々の記憶に残り続ける。
- 22 Apr 2024
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玄海町町議会・委員会が地層処分施設の「文献調査」請願書を審議
玄海町議会は17日、原子力対策特別委員会を開き、地層処分施設立地の「文献調査」受け入れを求める地元3団体からの請願書について審議を始めた。請願書は玄海町の旅館組合、飲食業組合、防災対策協議会の3つの団体から提出されていた。「文献調査」は地層処分施設の立地選定の第一段階となる事前調査で、これまでに応募があった北海道の寿都町と神恵内村での調査が2020年11月から開始されている。17日の会合では資源エネルギー庁からエネルギー政策、地層処分の実施主体である原子力発電環境整備機構(NUMO)から地層処分の安全性や「文献調査」の内容などについての説明が行われ、出席した議員との間で脱炭素をめざすエネルギー政策の現状と課題、また北海道の寿都町と神恵内村で実施中の「文献調査」の進捗状況や地域住民との対話活動、風評問題等をめぐって質疑が行われた。風評被害に関してNUMOは、すでに調査が行われている2町村で現状、風評問題は起こっていないことを説明し、今後も風評被害を招かないように分かりやすく丁寧に理解活動を進めていくとした。同委員会は来週中にも開催を予定しており、請願の紹介議員から趣旨説明を受けたうえで審議を行う。玄海町議会に請願書が提出されたことに関してNUMOは15日、「地層処分について、地域の皆さまに関心をもっていただけることに深く感謝申し上げます。当機構では今後も、玄海町をはじめとする全国の皆さまに地層処分の仕組みや日本の地質環境などについてご理解を深めていただくため、引き続き全国での対話活動に取り組んでまいります」との理事長コメントを発表した。NUMOでは「対話の場」などを通じてオープンな形での理解活動を、2町村はじめ全国で実施している。地層処分の技術・安全性を含む事業内容や文献調査の進捗状況・結果だけでなく、事業が地域の産業に及ぼしうる効果やリスクなども幅広く説明、加えて地域の経済発展ビジョンについても議論するため継続的な対話を進めてきている。寿都町と神恵内村で「文献調査」が開始されたことを受けて、経済産業省は「文献調査段階の評価の考え方」を昨年11月までにとりまとめた。透明性を確保しながら丁寧に議論を進めるという方針のもと、地層処分技術WGを設置して今年2月からNUMOがとりまとめた文献調査報告案の検討に着手している。
- 17 Apr 2024
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福島の山菜は本当に危ないのか? 基準値の意味を正しく伝えたい
二〇二四年三月二十五日 福島県内で採れる山菜を食べたら、本当に危ないのだろうか。毎日新聞が三月十二日付け朝刊で「『山菜の女王』復活へ試行錯誤 福島・飯舘村セシウム減らせ」と題した記事を載せた。基準値の意味を正確に伝えていないため、あたかも山菜を食べたら健康に影響があるかのような印象を与える、ミスリーディングな内容だ。では、記事のどこがおかしいのだろうか。コシアブラは依然として一〇八五ベクレル 記事を見てまず引っかかったのは、小見出しの「依然基準値の10倍」(写真1)だった。記事の骨子はこうだ。飯舘村が測定した山菜(ワラビ、ウド、フキなど)の放射性セシウムの濃度(二〇一四年~二〇二三年分)は二〇一一年の原発事故から低下しつつあるが、コシアブラだけは二〇二三年になっても、一キログラムあたり一〇八五ベクレル(二〇一四年は同二〇五五八ベクレル)を示し、基準値の十倍に上った。写真1 その理由は、森林の大部分が除染されていないため、多年生植物のコシアブラはセシウムの多い地表から十数センチのところに根をはり、しかもセシウムは根などに蓄積して植物体を循環するため、シーズンをまたいでも減りにくいのだという。そこで記事は「基準値を下回るにはさらに10年以上かかるだろう」という地元住民の言葉を載せた。 さらに、「山菜を塩水でゆでたあと、一時間、水に浸すとセシウムの量は調理前の三五~四五%程度に低減する」という方法を紹介している。 ちなみに、ベクレルは放射性物質が放射線を出す強さを表す単位で、一ベクレルは一秒間に一つの原子核が崩壊することを表す。セシウムの基準値は各国で異なる 放射性セシウムの現状を伝える記事自体に誤った記載があるわけではない。ただ全体を読んでいて誤解を与えかねないと感じたのは、一〇〇ベクレルという基準値にこだわるあまり、一〇〇ベクレルを超えた山菜を食べると健康に影響するかのような印象を与える点だ。 知っておきたいのは、基準値は健康影響をはかる指標値ではないということだ。そのことは各国の放射性セシウムの基準値を見ればすぐに分かる。図表1を見てほしい。日本の一般食品の基準値が一キログラムあたり一〇〇ベクレルなのに対し、EU(欧州連合)は一二五〇ベクレル、米国は一二〇〇ベクレル、コーデックス委員会(世界食糧機関と世界保健機関によって設置された国際的な政府間機関・百八十八か国加盟)は一〇〇〇ベクレルだ。 なんと欧米諸国の基準値は日本よりも十倍も緩い。記事は「コシアブラの一〇八五ベクレルは基準値の10倍」と書いたが、このコシアブラは欧米諸国では堂々と流通できる。確かに日本では一〇〇ベクレルを超えると出荷制限(販売禁止)がかかるが、欧米では基準値以下なのでそのまま流通するのだ。ということは、仮に欧米人が一〇八五ベクレルの山菜を食べても、健康に影響することはないことを意味する。 いうまでもなく、基準値の緩い(数値が高い)欧米の人たちがセシウムの影響を受けにくい体質をもっているわけではない。毒性は食べる「量」いかんで決まる もうひとつ押さえておきたいのは、基準値の一キログラムあたり一〇〇ベクレルという意味だ。これは一キログラムあたりの数値なので、一キログラムあたり一〇八五ベクレルのコシアブラの場合、十グラムしか食べなければ、体内に摂取されるセシウムはその百分の一の約10ベクレルで済む。逆に基準値以下のコシアブラでも、2~3キログラムも食べれば、体内摂取量は100ベクレルを超えてしまう。 この例でわかるように、基準値以下の食品でも大量に食べれば、基準値を超える。食べた人に健康影響が生じるかどうかは、食べる「量」によって左右され、基準値を超えたかどうかではない。つまり、一〇〇ベクレルという数値は、健康に影響するかどうかの指標ではなく、生産者に対して「出荷の際に気をつけてもらうためのシグナル」なのである。年間一ミリシーベルト以下が上限 では、健康影響をはかる指標値は何か。図表1の二段目にある「追加線量の上限設定値」の年間一ミリシーベルト(シーベルトは放射線が人体に及ぼす影響を表す単位)である。もちろん一ミリシーベルトを超える放射線を浴びたからといって健康影響が生じるわけではない(低線量による影響はいまも科学的な議論が続く)が、放射線の影響を管理する数値としては、年間一ミリシーベルトが世界的な標準管理値となっている(ただし米国は年間五ミリシーベルト)。 ここで強調したいのは、セシウムの基準値は各国の事情によって異なるが、健康影響の指標はほぼ同じという点である。欧米人も日本人も同じ人間なので、健康影響を測る数値が大きく異なるはずはない。一〇〇〇ベクレルの山菜を食べても影響はない では、仮に一キログラムあたり一〇〇ベクレルのセシウム(半減期が約三十年のセシウム137と仮定)が検出された山菜を一キログラム食べた場合、人体への影響(内部被ばく)はどれくらいになるだろうか。計算すると〇・〇〇一三ミリシーベルトである。一〇〇〇ベクレルのコシアブラを一キログラム食べた場合は、十倍の〇・〇一三ミリシーベルトとなる。仮に一〇〇〇ベクレルのコシアブラを一キログラム(そもそも一キロも食べる人はいないだろうが)食べても、一ミリシーベルトをはるかに下回り、健康への影響はないことが分かる。 EUの基準値が一二五〇ベクレルでも、西欧人の健康を守ることができるのはこれで分かるだろう。そもそも私たち日本人は自然界から年間約二ミリシーベルトの被ばくを受けながら生活をしている。それと比べても、山菜から摂取するセシウム量は極めて少ない。 実はこうした考え方は農薬も同じである。農薬の残留基準値は各国の気候や風土で異なるが、健康影響をはかる指標値の一日許容摂取量(ADI)は世界共通である。このあたりのからくりは、拙著「フェイクを見抜く」(ウエッジ)をお読みいただきたい。「安全・安心」のために一〇〇ベクレルを設定 では、なぜ日本は欧米よりも十倍も厳しい基準値を設定したのだろうか。福島第一事故後にセシウムの基準値がどのように決まっていったかを、私は現役(毎日新聞)の記者として当時、熱心に取材していた。そもそも事故が起きる前の一般食品の暫定基準値は、一キログラムあたり五〇〇ベクレルだった。厚生労働省や食品安全委員会などで活発な議論が行われたが、結局、「より一層、食品の安全と安心を確保する観点から」という理由で一〇〇ベクレルに決まった。 許容していた年間追加線量も、事故前は年間五ミリシーベルトだったが、一ミリシーベルトに引き下げられた。一〇〇ベクレルが導き出される計算式の裏には、日本国内の食品(流通する食品の半分と仮定)はすべてセシウムに汚染されているという非現実的な仮定があった。これに対し、EUの一二五〇ベクレルは、流通量の一割が汚染されているという現実的な条件で計算されている。当時は旧民主党政権。結局は政治的な思惑もあって、「安心」を重視した政治的な決着となったのだ。一九六〇年代はもっとリスクが高かった 原発事故から十三年もたつと、セシウムの基準値が政治的に決められていった経過を知る記者は、少なくなっている。毎日新聞の記事について言えば、一〇〇ベクレルは健康影響をはかる指標値ではなく、たとえ一〇八五ベクレルのコシアブラを一キログラム食べたとしても健康への影響はない、という解説を入れてほしかった。 今後、セシウムの影響を伝える場合は、中国などが核実験を行っていた一九六〇年代のほうがよほど健康へのリスクは高かったという事実を、記者たちは頭の片隅に刻んでおいてほしいものだ。福島第一原発の処理水の海洋放出は今のところ順調に進むが、魚介類からいつ何時一〇〇ベクレルを超えるセシウムが検出されるかもしれない。その際に冷静に「一〇〇ベクレルを超えても健康影響とは関係ない」と、記者たちがしっかりと書いてくれることを期待したい。
- 25 Mar 2024
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消費者庁調査 食品中の放射性物質に対する意識が最小に
消費者庁は3月7日、東日本大震災後の農林水産物に対する消費者意識の実態調査結果を発表した。調査は2013年2月の初回以降、ほぼ年1回行われている。17回目となる今回は、被災地域(岩手、宮城、福島、茨城の各県)および被災県産農林水産物の主要な仕向け先(埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫の各都府県)に居住する20~60代の男女約5,000名を対象として、2024年1月~2月にインターネットを通じて実施。その結果、普段の買物で産地を気にする理由として「放射性物質の含まれていない食品を買いたいから」と回答した人の割合は9.3%となり、前回の10.5%を下回り、これまでで最小となった。同様に、放射性物質を理由に購入をためらう産地として「福島県」、「被災地を中心とした東北」、「東北全域」、「北関東」と回答した人の割合も減少傾向を示し、それぞれ、4.9%、3.4%、1.3%、1.1%と、いずれもこれまでの調査で最小を記録。「食品中の放射性物質の検査が行われていることを知らない」と回答した人の割合は61.5%で、2020年度調査で急増後、最近4年間は横ばい傾向にある。また、風評を防止するために行うべきこと(複数回答可)としては、「それぞれの食品の安全性に関する情報提供」をあげた人が45.9%で最も多く、これに次いで、「食品に含まれる放射性物質に関する科学的な説明」が30.6%、「それぞれの食品の産地や産品の魅力に関する情報提供」が29.7%、「海外と比較し厳しい安全対策を実施している旨の内外への情報提供」が26.7%となった。一方で、「何もやっても安心できるとは思わない」との回答割合は18.7%を占め、前回調査の14.8%から3.9ポイント増加。消費者庁では、食品安全委員会や厚生労働省とともに、生産者・流通関係者・消費者団体を招いた食品リスクコミュニケーションに係るシンポジウムを全国都市部で継続開催し、理解・対話活動に努めているが、「風評の固定化」に係る懸念も浮き彫りとなっている。今回の調査結果を踏まえ、消費者庁では、引き続き関係府省庁や地方自治体とも連携し、意見交換会の開催、多言語によるパンフレット活用などを通じ情報発信に取り組んでいくとしている。
- 08 Mar 2024
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汚染土の行方にも影響する「あきたこまちR」問題 いまは関ヶ原の戦いなり!
二〇二三年十二月六日 今回も放射線育種米の「あきたこまちR」への反対運動にこだわる。この問題は福島第一原発事故後の除染で発生した汚染土の処理の行方にもからむ。「あきたこまちR」は科学的には全く問題がないのに、反対運動が起きている。ここでもし、このコメの普及が阻止されるような事態が起きれば、科学と政治の大敗北と言ってよいだろう。記者経験から見て理解不能な反対 単純なクイズを出そう。あなたは「発がん性物質のカドミウムがほとんど含まれていないコメ」と「カドミウムが多く含まれるコメ」のどちらを買いますか。 なぜ、こんなバカげた質問を出すのかといぶかる人もいるだろう。だれだって、カドミウムの含有量がほぼゼロのコメを選ぶはずだからだ。ところが、驚くべきことにカドミウムの多いコメを「消費者の権利」として支持する反対運動が起きている。毎日新聞社で約45年間、記者稼業を続けていたが、この「あきたこまちR」に反対する運動は、これまでに経験したことがない理解不能、そして摩訶不思議な領域に属する。 カドミウムは人の肝臓や腎臓などに蓄積する重金属である。国際がん研究機関(IARC)はヒトでの発がん性の証拠が十分にそろっているとするグループ1に分類している。体内への高い摂取量が長期間続けば、腎機能の低下など健康障害が生じるリスクもある。米国政府は、日本のコメはカドミウムとヒ素(発がん性物質)が多く含まれるため、乳幼児向けの摂取は制限するよう勧告しているほどだ。 日本人はカドミウムの約四~五割をコメから摂取している。それだけに、土壌中のカドミウムをほとんど吸収しない新品種「あきたこまちR」は、日本人のカドミウム摂取量を減らす画期的な品種なのである。カドミウムのリスクは意外に高い コメに含まれるカドミウムのリスクがどれくらいかを知れば、その画期的な点がさらにわかるはずだ。では、食品に含まれる残留農薬や食品添加物のリスクと比べてみよう。 ある化学物質の摂取量が健康に影響するかどうかは、実際の摂取量が健康影響の指標となる一日摂取許容量(ADI)をどれだけ下回っているかどうかで判断する。厚生労働省や内閣府食品安全委員会のサイトを見ればわかるように、食品に含まれる残留農薬や食品添加物の平均的な摂取量は、一日摂取許容量の百分の一~千分の一以下というのが普通だ。摂取量が許容量の百分の一以下(車の速度制限で言えば、六〇キロ制限の道路を〇・六キロで走るようなもの)なら、だれだって安全だと分かる。 では、カドミウムはどうか。カドミウムは意図して使う農薬や食品添加物と違い、許容量という言葉ではなく、耐容量という言葉を使うが、意味は同じだ。 食品安全委員会によると、健康影響の目安となるカドミウムの週間摂取耐容量(耐容週間摂取量ともいう。一週間あたりの摂取量がこれ以下なら安全だとみなされる目安)は、体重一キロあたり七マイクログラム(マイクロは百万分の一の単位)である。これに対し、日本人が平均的に摂取している一週間あたりの摂取量は体重一キロあたり約二マイクログラムだ。摂取量(約二マイクログラム)が耐容量(七マイクログラム)を下回っているため、コメを食べても確かに安全だといえる(食品安全委員会のリスク評価サイト参照)。しかし、食品中の残留農薬の摂取量が許容量の百分の一~千分の一以下というリスクと比べると、カドミウムのリスクは耐容量の三分の一程度なので、相対的なリスクはかなり高いといえる。だからこそ欧米は基準値を低く設定している。 このカドミウムのリスクを低くしてくれるのが「あきたこまちR」なのである。EUの基準値を楽々クリア 日本のコメのカドミウムの含有量が高いことは、カドミウムの基準値を決める国際会議でたびたび指摘されてきた。基準値の厳格化を求める欧米に対し、日本は肩身の狭い思いを味わってきたわけだ。現在、EU(欧州連合)のコメのカドミウムの基準値は〇・一五ppm(ppmは百万分の一の単位)だ。それに対し、日本は〇・四ppmと高い。日本がEU並みの〇・一五ppmを採用できないのは、それを受け入れると基準値を超えてしまうコメが出てくる可能性があるからだ。 しかし、「あきたこまちR」なら、EUの基準値を確実にクリアできる。カドミウムの含有量が〇・〇一ppm以下だからだ。カドミウムがほぼゼロであれば、今後は海外に輸出する活路も見えてくる。ついでに言えば、水管理が楽になり、地球温暖化の原因のひとつにもなっているメタンの発生量も少なくなる。であれば、秋田県が二〇二五年度から「あきたこまちR」に切り替えるのは当然であり、日本国民にとっても大歓迎すべきことである。アベプラでも俎上に このように、「あきたこまちR」を避ける理由は全く見当たらないが、今年九月、秋田県に約八〇〇〇筆の反対署名が届くなど反対運動が起きている。立憲民主党や社会民主党の一部国会議員も、東京の反対集会に顔を出し賛同している。日頃、食の安全を訴える国会議員がなぜ、カドミウムの高いコメを消費者に食べさせようとするのか理解に苦しむが、タイミングよく、この問題はインターネットテレビ局「ABEMA Prime」(アベプラ)で取り上げられ(十二月一日放送)、私はゲストとして出演した。 コメンテーターとして、経済学者の竹中平蔵氏や福島原発問題で独自の情報を発信するお笑いタレントのカンニング竹山氏ら四人が議論に加わった。四人とも「あきたこまちR」の画期的な品種性に納得し、反対運動に疑問を呈した。竹中氏は「何に対しても反対する人たちはいるなあ」とあきれた様子だった。 その番組で印象に残ったのは、カンニング竹山氏の「この問題は福島第一原発事故で発生した汚染土の再利用にも反対運動が起きて、行き場を失っているのと似ている」という内容の発言だった。確かにそうだと思う。「NEWSポストセブン」は名指しで反対運動を批判 いまのところ、メディアは「あきたこまちR」に批判的な姿勢を見せていない。小学館が運営するニュースサイトの「NEWSポストセブン」は日頃、食品添加物の危険性を煽る記事を載せているが、この「あきたこまちR」に関しては、極めて異例の記事を配信した。見出しは「カドミウム吸収を抑えた画期的なコメの新品種『あきたこまちR』 福島みずほ議員らの〝安全性への疑問〟は妥当なのか」(二〇二三年十一月二十七日・筆者はライターの清水典之氏)だった。国会議員を名指しして、反対運動に疑問を投げかける記事である。結びの内容はこうだった。 「長年の技術の蓄積、研究の成果である画期的な新品種に、風評被害や差別につながるようなレッテル貼りをする行為は、慎みたいものである」。 国家議員が風評被害に加担していると思わせる異例の記事である。やはりだれが見ても「あきたこまちR」は優等生なのである。科学の名において一丸となれ! 「NEWSポストセブン」にあるように、福島みずほ参議院議員は「消費者の権利を守りたい」とX(旧ツイッター)に投稿していた。確かに、「あきたこまちR」を食べたくない消費者もいるだろう。カドミウムの多い従来のコメを食べる権利も、権利には違いない。その選択は尊重したい。 ならば、その権利を他の消費者や生産者にも認めるべきだろう。なぜ、「あきたこまちR」を食べたいと思う私のような消費者の権利を反対運動によって阻止しようとするのだろうか。左派リベラルの人たちは日頃、多様性が大事だと主張する。しかし、その多様な選択を壊そうとしているのはどちらなのか。 気になるのは、秋田県内で「あきたこまちR」を栽培しようとする生産者に対しても、栽培をやめるよう抗議する運動があることだ。選択の権利は生産者の側にもあるはずだ。なぜ、外部の市民が生産者の栽培する権利を阻害するような圧力行為に出るのか。常軌を逸しているとしか思えない。ちなみに「あきたこまちR」の切り替えに反対する一部国会議員は福島の汚染土の再活用にも反対している。反対の根っこはいつも同じようだ。 結論。仮に「あきたこまちR」の普及が反対運動で滞るような事態が起きれば、科学と政治の大敗北である。だれが見ても画期的な「あきたこまちR」が阻止されるようでは汚染土の受け入れに未来はない。いずれ他のコメの品種にもカドミウム吸収抑制の特性が広がっていくことを考えると、「あきたこまちR」は秋田県だけの問題ではない。全省庁、全自治体が科学の名にかけて、「あきたこまちR」を守りぬくことが必要だ。いまはまさに関ヶ原の戦い(天下分け目の戦い)である。
- 06 Dec 2023
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全国各地の魚介グルメが一堂に 26日まで
全国各地の魚介グルメが堪能できる「SAKANA & JAPAN FESTIVAL」(実行委員長=近藤豊和・産業経済新聞社上席執行役員)が11月26日まで、東京・お台場で開催されている。東日本大震災からの復興応援を目的に、「常磐もの」と呼ばれる福島の魚介を使った料理が味わえる「発見!ふくしまお魚まつり」、北海道・三陸エリアを中心に厳選した魚介料理を集めた「食べて応援!ニッポンの幸」エリアも併催・併設。会場内には約80の店舗ブースが設けられ、会期中(11月23~26日)、約15~20万人の来場者が見込まれている。23日の会期初日は、晴天に恵まれ、祝日でもあったことから、10時の開場前から入場待ちの列ができ、家族連れや若者同士、近隣のアウトドア系イベントへの参加がてらに立寄るサイクリストや愛犬家など、多くの来場者で賑わった。ノドグロ、ヒラメ、アナゴ、メイプルサーモン、ネギトロ、生エビと、「常磐もの」をふんだんに盛った「ふくしま全部のせ丼」(かに船)を提供する海鮮丼ブースには、開場から間もなく長蛇の列ができる盛況。定評ある「福島の地酒」飲みくらべコーナー(福島県酒造協同組合)も、魚介類と相性のよい品種を揃え、人気を博していた。開会挨拶に立った土屋品子復興相は、風評が懸念される一方、多くの飲食店が福島産の魚介類の活用に積極的なことを「本当に嬉しく思う」と述べた上、その安全性について「国内外にしっかり発信していく」と強調。栄養士の資格を持つ同相は、海鮮丼やポーポー焼き(サンマのすり身に味噌と薬味を混ぜて串刺し団子にした漁師飯)を試食し、「日本料理は世界でも注目の的で、健康に直結する。是非、お魚を食べる習慣をつけてもらいたい」とも話した。マグロ解体ショーの模様昨今、輸出減が憂慮されるホタテを使った料理も、北海道、青森、宮城から多数出店しそれぞれの味を提供。宮城県石巻産のホタテを使った「ホタテクリームコロッケバーガー」(Bon Quish)は、和洋中3種類の味が楽しめる。会期中の毎日、数回行われる本マグロの解体ショー(豊洲かんぺい会)も見どころだ。さばきたての新鮮なマグロの赤身、中トロ、大トロをのせた「本まぐろの大とろ入り三色丼」も味わえる。また、食品の安全性に関する理解に向け、会場内では、専門家による放射性物質検査の実演・説明が行われている。会場入口は、新交通「ゆりかもめ」東京国際クルーズターミナル駅(旧 船の科学館駅)からすぐ。開催時間は、24、25日が午前10時~午後8時、26日が午前10時~午後6時。入場無料(飲食代は別途)。
- 24 Nov 2023
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放射線を活用したコシヒカリの画期的な育種に反対運動 いまこそ放射線教育を!
二〇二三年十一月十六日 みなさんは「コシヒカリ環1号」という名の品種をご存じだろうか。人体に有害なカドミウムをほとんど吸収しない画期的なコメである。しかし、放射線を当てて育種したコメのためか、一部の生協や市民団体から反対運動が起きている。まさか、放射線を活用した育種にまで反対運動が起きるとは、予想もしていなかった。原子力関係者はこうした動きに無関心であってはいけない。イオンビームで画期的なコシヒカリが誕生 植物に放射線を照射して遺伝子に突然変異を作り出し、その中から有用な品種を選抜して育てていく品種改良は一九五〇年代から行われてきた。放射線(ガンマ線)を当てて生まれた、ナシ黒斑病に強い「ゴールド二十世紀」(一九九一年に品種登録)は、放射線育種の有用性を示す代表的な例である。 最近では、カドミウムをほとんど吸収しない画期的な稲の品種「コシヒカリ環1号」が生まれ、二〇一五年に品種登録された。農研機構農業環境研究部門の研究グループが開発した。なぜ、カドミウムを吸収しないコメが重要かと言えば、もともと日本のコメは他国に比べて、カドミウムが多く含まれる。鉱山の採掘や金属の製錬などでカドミウムが高濃度に含まれる土壌が各地にあるからだ。カドミウムが原因で起きたとされる富山県の神通川流域の「イタイイタイ病」はそうした弊害の典型的な例である。 意外に知られていないが、日本の主食のコメに含まれるカドミウムの濃度は、総じて他国よりも高い。そして、そのコメのリスクは、食べ物から時々検出される残留農薬のリスクよりも確実に高いことは、専門家の間でよく知られた事実である。 こうした背景を考えると、少しでもカドミウムの含有量の少ないコメが普及したら、日本人の健康度を上げることは間違いない。その意味で、農研機構の研究グループがコシヒカリの種子にイオンビーム(人工放射線の一種)を照射して突然変異を作り出し、その中からカドミウムをほとんど吸収しないコメを選抜育種したのは歴史的な快挙と言ってよい。 この画期的な品種は、照射によって、カドミウムの吸収にかかわる遺伝子(OsNRAMP5)が欠損して生み出された。植物の成長に必要なマンガンの吸収が低くなるという弱点(肥料としてマンガンを与えれば、この問題は解決される)はあるものの、すぐれた品種なのは間違いない。「あきたこまちR」も誕生 最近は、この「コシヒカリ環1号」と「あきたこまち」を交配させた「あきたこまちR」も生まれた。これは、カドミウムをほとんど含まない「あきたこまち」で、味、品質とも従来の「あきたこまち」と変わらない。すでに「あきたこまちR」は秋田県の奨励品種になり、二〇二四年度から種子生産が始まり、二〇二五年度から一般作付けが始まるという。 秋田県にはかつて鉱山があり、カドミウムの多い土壌が残る。実は、「コシヒカリ環1号」は秋田県出身の研究者が中心となって開発した。その意味でカドミウムのきわめて少ない「あきたこまちR」は秋田県民だけでなく、全国民待望のコメだと言ってよいだろう。秋田県が「あきたこまちR」に全面的に切り替えるのは極めて理にかなったことである。どう見ても、農業生産者、そして消費者にとって大きな朗報である。放射線育種に反対運動 ところが、悲しいことに、こういう素晴らしき品種改良に対しても反対運動が起きている。 秋田県が「あきたこまちR」を導入しようとしていることに対して、今年夏、秋田県で反対派による学習会がいくつかの地域で開かれた。他県でも「コシヒカリ環1号」の導入に対して、「自然派」と名のつく一部生協や市民団体が反対運動を始めた。十月三十一日には食品照射に反対する全国集会(主催・照射食品反対連絡会)が衆議院会館で行われ、立憲民主党の議員らが参加して気勢を上げた。 反対理由は①「自然界ではありえない致死量の重イオンビームを使って、人為的に遺伝子を破壊して生まれた品種は、従来の育種とは一線を画する。安全性の評価もない」②十年後、二十年後にどんな影響が起きるか予測できない③秋田県産のコメに対する風評被害が起きる──などだ。突然変異は自然界でも起きている 筆者から見れば、言いがかりとしかいいようのない反対である。そもそも植物の遺伝子の突然変異は、自然界において太陽の紫外線や宇宙線、大地からの放射線によっても生じている。放射線を人為的に当てて起こした突然変異も、自然界で起きている突然変異と何ら差はない。このことはほぼ科学者の共通認識だと以前から思っていた。反対運動が起きるとは夢にも思っていなかったが、筆者の認識は甘かったようだ。 いうまでもなく、植物の育種の最初の段階で一度だけ、致死量の放射線を当てたからといって、その種子から生まれてくる次世代以降の植物に放射線が残っているわけではない。後代の植物が放射線を出すこともない。食品照射は西欧でも認可 育種に限らず、食品に放射線を当てて殺菌する技術は世界50か国以上で認められている。英国、フランス、イタリア、オランダなどではタマネギやニンニク、ジャガイモ、シリアル類、冷凍エビなど幅広く照射されている。英国やドイツ、オランダなどでは健康食品類の約三割が照射されていたという調査結果があるくらいだ(「食品照射の海外の動向」等々力節子氏参照)。 もちろん、照射された食品や育種の最初の段階で放射線を用いた後代の植物が、健康被害をもたらしたというデータは存在しない。むしろ、カドミウムの含有量が極めて少ない「あきたこまちR」でいえば、カドミウムの残留基準値を厳しくしている海外への輸出も可能になり、販路拡大のチャンスにもなりうる。 放射線は人のがん治療でも大きく貢献している。人が全身に浴びれば致死的な量になるレベルの放射線を、がんの患部に当てて治す治療法まで行われていることを考えると、植物の育種の段階で放射線を活用する照射に対して、なぜ反対運動が起きるのか不思議でしようがない。植物への照射と人への影響は全く無関係である。放射線利用のジャガイモ供給が終了 ただ残念なのは、世界では常識となっている食品への照射が、日本では食品衛生法によって原則として禁止されていることである。その中で例外的に、一九七四年から北海道の士幌町アイソトープ照射センターで、ガンマ線を利用した芽止めジャガイモが出荷されてきたが、昨年で使命を終え、((運用開始から五十年を経過し、老朽化のため今年三月に閉鎖された。建て替えも検討されたが、昨今の建設費高騰や、線源であるコバルト60のコスト高の影響等で採算が見込めず、見送られた。))施設の解体が始まった。このジャガイモに対しても、市民団体は「反対運動の勝利」と自らの活動をたたえている。 原子力の平和利用は、エネルギーだけではない。放射線を用いた育種や食品照射も重要な貢献分野である。ジャガイモの放射線利用がなくなったことで、日本での食品照射はなくなった。かつて海外並みに日本の香辛料にも照射を認めてほしいという事業者の活動もあったが、反対運動によって頓挫した。こんなことで本当によいのだろうか。小学生から放射線教育を 日本は遺伝子組み換え作物を大量に海外から輸入しながら、自国ではだれ一人として栽培していない。いや栽培できない。反対運動があって、栽培できないからだ。これと似たことが食品照射でも起きていると言ってよいだろう。そして今度は、放射線を利用した育種にも反対運動が襲いかかる。 放射線育種に反対している人たちは、原子力発電だけでなく、遺伝子組み換えやゲノム編集食品にも反対している。このままだと日本では新しいテクノロジーの芽が生まれないのではないか。そんな危機感を痛烈に覚える。原子力に関係する人たちは、エネルギーとしての原子力だけに関心を持つのではなく、放射線育種や遺伝子組み換え技術にももっと関心を持つべきだろう。いわずもがなだが、しっかりとした放射線教育が小学校の段階から必要だとつくづく感じる。士幌町のアイソトープ照射センター
- 16 Nov 2023
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明日まで開催「ホタテ祭り」 東京電力
東京電力は、安心・安全な北海道・三陸常磐エリアの水産物をPRし、国内での消費拡大を推進すべく、JR御徒町駅前・おかちまちパンダ広場(東京・台東区)で、「緊急プロジェクト! ホタテ祭り in おかちまちパンダ広場」を10月5日まで開催している。日本の国産水産物は、中国政府による輸入停止措置の影響により大きな打撃を受けている。現在、特に、国産ホタテが行き場を失っており、漁業関係者を中心に損害が発生している状況だ。今回のイベントでは、北海道産ホタテを中心に加熱調理し販売。「1トン相当のホタテ(殻付きで約5,000個)を食べつくす!」を目標に、ホタテに合うお酒として、福島県産の地酒やクラフトビールも提供。立食も可能だが、ゆっくりと北海道・三陸常磐の味を堪能してもらえるよう、テーブル席(要予約)が用意されている。ホタテは定番の浜焼き屋台販売がメイン。会場直近のJR御徒町駅高架ホームにまで、熱々の香ばしさが漂い、背中にホタテ貝を描いたネイビーブルーのTシャツに身を包むスタッフらの威勢の良い呼び込み声が聞こえてくる。東京・六本木のスペイン料理店「アサドール エル シエロ」もキッチンカーを出店し洋食風に調理し販売。イベント初日の3日、16時の開場前から入場待ちの行列ができ、開始後2時間ほどで用意されたホタテは完売する大盛況ぶりだった。開催時間は、4日が16~21時、5日が16~20時(ラストオーダー19時30分)。雨天決行・荒天中止。〈詳細は こちら〉
- 04 Oct 2023
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「社説ワースト3」その後 共通項は「福島への温かい眼差し」の欠如
二〇二三年九月二十七日 福島第一原子力発電所の処理水の一回目の海洋放出が無事終わり、近く二回目の放出が始まる。懸念された国内の風評被害はいまのところ、起きていない。だが、安心は禁物だ。メディアが風評に加担する恐れがあるからだ。以前に書いた「地方紙の社説ワースト3」は、その後、どう変わったのだろうか。いまなお「汚染水」にこだわり このコラムで今年一月、地方紙の社説を取り上げた。ワースト1は琉球新報の社説(二〇二二年五月二十一日)だった。当時、琉球新報は「『汚染水』放出は無責任だ」と主張し、「汚染水」という言葉を使っていた。それから一年余りたった今年七月四日の社説の見出しは「原発『処理水』放出迫る 強行は重大な人権侵害だ」だった。「汚染水」から「処理水」に変わっていた。しかし、中身を読むと処理水という言葉について、「『希釈した汚染水』というのが妥当ではないか」となおも汚染水という言葉にこだわりを見せていた。 さらに、「中国政府の『日本は汚染水が安全で無害であることを証明していない』という批判を否定できるだろうか」と書き、中国政府の心情をくみ取った形で「汚染水」という言葉を使った。やはり何としても「汚染水」と言いたい心情が伝わってくる。 そして、放出が翌日に迫る八月二十三日の社説では、中国の輸入禁止措置にも触れ、「放出開始前の対抗措置は強硬な手段だが、それだけ懸念が根強いのだろう」と書き、ここでも中国の心情に寄り沿うかのような内容だ。さらに「いくら安全だと説明されても、放射性物質が及ぼす影響への恐れは簡単に払拭されない」と書き、海洋放出に納得できない心境を吐露する。 この八月二十三日の社説には、さすがに「汚染水」という言葉は出てこない。ここへ来て「汚染水」という言葉を使い続けると世論の反感を買うと考えたのだろうと推測する。「トリチウムが残る限り汚染水である」と言っていた昨年五月二十一日の社説に比べると、言葉の上では改善された跡が見られるが、社説の論調自体は依然として、海洋放出によって魚介類に影響があるかのようなニュアンスを伝えている。立憲民主党の一部議員と通底 中國新聞はどうか。昨年七月二十四日の社説では「処理水に含まれる放射性物質トリチウムなどが健康被害をもたらす可能性は否定できない。…政府は『原発の排水にも含まれている物質』と危険性の低さを強調するが、体内に蓄積される内部被曝(ひばく)の影響まで否定できるものではない」と書いていた。まるで内部被ばくが起きるかのような論調だ。 一年余りたった今年八月二十三日の社説では、内部被ばくという言葉は出てこないが、相変わらず漁業者の反対を楯に「このまま放出に踏み切れば、将来に禍根を残す」と手厳しい。そして、「約千基のタンクが廃炉作業の妨げになっているのは確かだ」と言いつつも、「政府もIAEAも『国内外の原発の排水にも含まれる物質』と説明するが、通常運転の原発の排水と、デブリに触れた水では比較になるまい。トリチウム以外の放射性物質も完全に取り除けるわけではない」とやはり放射性物質の影響があるかのような主張だ。 「比較になるまい」という突き放した言い方がとてもひっかかる。この言葉から類推すると、中國新聞は「事故を起こした日本の処理水は海外の処理水に比べて危ない」と言いたいことが分かる。立憲民主党の一部議員は「海外の処理水と日本の処理水は異なる」という理由で「汚染水」という言葉を使い続けている。中國新聞は汚染水という言葉こそ使っていないものの、立憲民主党の一部議員と相通じる思考をもっていることが分かる。説明責任はメディアの側にある 中國新聞は九月四日の社説でも処理水問題を取り上げた。「処理水を巡っては、国際原子力機関(IAEA)が「国際的な安全基準に合致している」と評価したと殊更に強調するだけでは、好転しない。トリチウム以外の放射性物質も含まれる点や、その長期的な影響など、重ねて検討が必要な要素は多い。海洋放出が妥当なのかを検証しつつ、責任を持って説明を続ける姿勢が日本政府には求められる」と書く。処理水という言葉を使っているものの、長期的には処理水の影響が人や環境に及ぶかのような内容だ。 海洋放出が妥当かどうかはすでに政府内で検証され、政府は幾度も海洋放出の妥当性に関する説明を行ってきた。いまこの時点で中國新聞が「海洋放出が妥当ではない」と主張したいならば、その根拠を示す説明責任は中國新聞の側にある。海洋放出を批判する論説があってもよいだろう。だがそれを書くからには、どのような長期的な影響があるかについて科学的なデータを示しながら、詳しい情報を示してほしいものだ。「さすが中國新聞は違う」と科学者を唸らせるくらいの重厚な社説なら大歓迎である。 しかし、ただ脅すような言葉を並べているだけの主張では、福島産の魚介類に悪いイメージ、つまり風評被害をもたらすだけだ。海洋放出は社会的合意の問題 佐賀新聞はどうか。昨年七月二十三日の社説では、処理水について「トリチウムなど取り切れない放射性物質が含まれる汚染物質であることに変わりはない」と書き、さらに「海洋放出に関してより重要なのは、これらの科学的、工学的な評価ではなく、社会的な合意という問題だ。東電は『地元の合意なしには放出はしない』としている…」と書いていた。 約一年たった今年八月二十三日の社説では、昨年の「地元の合意なしには放出はしない」という部分が「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わず…」となり、誤りだった「合意」は正しい「理解」という言葉に訂正されていた。ただ、どの読者もそうした知らぬ間の訂正に気づいていないだろうと思う。筆者は昨年と同じ共同通信の論説委員だ。 今回の社説は東京電力と政府への批判が大半を占めた。「…詳細な科学的、技術的な議論もないまま、三百四十五億円もの国費を投じて建設された凍土壁の効果も限定的だ。今回、過去の約束をほごにせざるを得なくなった最大の原因は、政府や東電が長期的なビジョンなしに、このようなその場しのぎの言説と弥縫(びほう)策を繰り返すという愚策を続けてきたことにある。…被災者の声を無視した今回のような事態を目にし、復興や廃炉を進める中で今後なされる政府や東電の主張や約束を誰が信じるだろうか。首相は今回の決断が将来に残す禍根の大きさを思い知るべきだ」。 海洋放出の問題は社会的合意の問題だとして、政府や東京電力の姿勢を批判するのはよいとしても、問題が科学的な評価ではないというならば、海洋放出に反対ではあっても、「福島産の魚介類に風評を起こしてはいけない。食べて応援しよう」くらいの一文があってもよさそうだが、この社説からは福島への温かい心情が全く伝わってこない。 不思議なことに同じ佐賀新聞でも、九月八日の社説は同じ処理水を論じていながら、論調はかなり違っていた。日本からの水産物の全面輸入禁止措置をとった中国に対して、「今回の中国の措置は、科学的根拠を欠き、貿易によって圧力をかける「経済的威圧」で、責任ある大国にふさわしい振る舞いにほど遠い。日本側が即時撤回を要求したのは当然だ。交流サイト(SNS)をきっかけに、中国から日本への嫌がらせ電話が殺到したのも常軌を逸しており、それを抑えようとしなかった中国指導部の姿勢も合わせ〝嫌中感情〟が増幅した…」と書いた。最後の筆者名を見ると、先に紹介した2つ(昨年七月二十三日と今年八月二十三日)の社説とは異なる記者だと分かった。同じ共同通信でも筆者が違うと、こうも論調が違うのかと驚くばかりだ。福島への温かい眼差しが見えない 今年一月のコラムでも書いたように、地方紙はおしなべて海洋放出に批判的なトーンが目立つ。北海道新聞は社説(八月二十六日)で「政府は風評被害で水産物需要が落ち込んだ際に、漁業者団体の一時的買い取りや冷凍保管を基金から全国的に支援するという。これでは問題の先送りだ。食卓に並ぶ見込みもつかぬまま金だけ渡すやり方は漁業者の誇りを傷つけよう。人材難に拍車がかかり水産業を衰退させかねない」と書いた。 政府はお金だけを渡すやり方をしているわけではない。各地でさまざまな支援イベントを行い、福島産などの水産物が食卓に並ぶよう努めている。北海道新聞の社説はどう見ても傍観者的である。水産業の衰退が心配なら、新聞社自らが支援キャンペーンをはって、漁業者が誇りをもてるようにすることのほうが大事なのではないだろうか。 地方紙の社説の多くを読んでいて常に感じるのは、すべての責任は政府や東京電力にあり、自分たち(メディア)は関係ないといった傍観者的な立ち位置だ。海洋放出に関して、「汚染」と書けば、結果的に「福島の海は汚染され、そこの水産物は危ない」という差別的なメッセージを送ることになるという想像力が足りないように思う。福島に自分の家族や友人・知人が住んでいたら、軽々に「汚染」と口にするだろうか。結局のところ、福島への温かい眼差しが足りないのだ。これが地方紙の多くの社説に見る最大の問題点だと悟った。
- 27 Sep 2023
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社員向け販売会に国産ホタテ加工品も 東京電力
東京電力は9月13日、東京都千代田区の本社本館で、福島県産品・宮城県産品を中心に取り扱う社員向け販売会「復興大バザール」を開催した。会場には僅か3時間のうちに750名の社員が詰めかけ、完売。レジ待ちの行列で一時、入場が制限されるなど大盛況だった。同社は2013年3月より、社員食堂や社内販売会などで福島県産品・宮城県産品を取り扱い、被災地の復興を強く後押ししてきた。87回目となる今回の販売会では特に、通常品目である農産品、農水産加工品、菓子、酒類に加え、宮城県産・北海道産の「国産ホタテ加工品」も登場。特設コーナーでは、同社の小早川智明社長自らが売り場に立ち、会場にいる社員に国産ホタテ加工品を試食販売するなど、ALPS処理水放出にともなう中国の禁輸措置などを踏まえ、同社としても、影響を受ける水産品の販売支援を拡大していく強い意欲を示した。会場の社員たちは「微力ながら福島の商品を買うことで応援したい」、「品揃えがデパートの物産展並みに豊富で、毎回楽しみ」と述べながら買い物を楽しんでいた。小早川社長は「福島第一での事故当初から、会社を挙げて、食べて応援する取り組みを進めている。社員全員が福島や三陸常磐ものの美味しさを実感し、日頃から、食べて応援している」と強調。そのうえで、「風評に打ち勝つため、社内販売会や食堂、イベントでの即売会など、東京電力グループを挙げて取り組んでいきたい」と、力強く語った。
- 13 Sep 2023
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もはや「ポリコレ」扱いの処理水、そのリスクの相場観を知っておこう!
二〇二三年九月十三日 「処理水」か「汚染水」かをめぐって、政治の世界で争いが起きているようだが、この件は立憲民主党代表の一声で決着がついたといえよう。これからは、処理水の海洋放出によるトリチウムのリスクをいかに分かりやすく伝えていくかが課題だ。新聞ではあまり報じられていないリスクの相場観を考えてみたい。泉氏の発言は歴史的な転換点 八月二十四日、福島第一サイト内のタンクに貯蔵されている処理水の海洋放出が始まった。その一連の報道で一番注目したのは、野村哲郎農相(当時)が八月三十一日に「汚染水」と失言したことへの野党の反応だった。立憲民主党の泉健太代表は九月一日の会見で「不適切。今、放出されているものは処理水だ。所管大臣として気が抜けた対応で資質が感じられない」(産経新聞など参照)と批判した。 いつものことながら、岸田政権を批判する狙いで言ったのだろうが、「大臣としての資質が感じられない」という言い方を聞いて、とっさに同じ立憲民主党の中で堂々と「汚染水」と呼んで反対デモを行っている議員の姿が思い浮かんだ。 同じ政党にいる仲間よりも先に与党の大臣に向かって、「汚染水ではない。処理水でしょう」と詰め寄った意義はとてつもなく大きい。個人的には、この泉氏の発言は処理水報道の歴史に残る大転換点だとみている。 敵方の与党大臣に向かって、「資質が感じられない」と言った以上は、「汚染水」と呼んでいる仲間に対しても「あなたたちは議員の資質が感じられない」と言わねば帳尻が合わない。おそらく泉氏は、韓国の野党と一緒になって、処理水の海洋放出に反対するデモに加わっている一部議員に対しても、暗に「資質が感じられない」と内心では思っていたのだろうと勝手に空想をふくらませた(もっとも一部議員から見れば、泉氏の発言のほうが失言だと思ったかもしれないが)。 野村農相の失言に対して、中国政府は「事実だから」と擁護した。だが、さすがに社説で海洋放出反対を書いた主要な新聞でさえも、「野村農相の発言は事実なのだから、謝罪する必要はない。汚染水と呼んでいる一部議員のほうが正しいのだから、泉氏の批判は的外れだ」といった論陣を張ったケースは見られなかった。主要新聞は泉氏と同じく「処理水」に同意したわけだ。 政府を批判する立場の最大野党の立憲民主党代表が「処理水だ」と断言(お墨付きを与えた)してくれたおかげで、もはや「処理水」は最近のはやり言葉で言えば、良い意味でポリティカル・コレクトネス(直訳すると政治的正しさ=ポリコレ)並みに昇格したと言ってよいだろう。九月八日に開かれた衆参両院の閉会中審査で野村農相が再度、謝罪した際に野党から追及がなかったことを見ても、もはやポリコレ確定となったようだ。 泉氏の発言は、野村農相の失言がなかったならば、聞けなかった可能性が高い。その意味では野村農相の失言は、泉氏の歴史的な発言を引き出した点において、偉大なる怪我の功名といえよう。 泉氏の発言とそれを批判しなかった主要新聞のおかげで今後、言論と政治の世界では「処理水」は確たる言葉として流布していくだろうと予測する。トリチウムは核実験で一九六二年がピーク とはいえ、メディアに身を置く私としては、一部議員や記者、市民が「汚染水」だと公言すること自体は言論の自由があり、認めたい。発言まで禁止したら、それこそ自由のない、どこかの独裁国家と同じ三流国家になってしまう。大事なのは、汚染水だといっている人たちの言動に煽られないことだ。 では、海洋放出に伴うトリチウムのリスクを分かりやすく伝える方法はあるのだろうか。ここで大事なのは、リスクのおおよその大きさをイメージできる「リスクの相場観」をもつことである。 そこで紹介したいのが、二枚の図だ。ひとつは、環境省がホームページの「第2章 放射線による被ばく 身の回りの放射線」という解説欄に載せている「トリチウムの放射性降下物の経時的推移」と記された図だ(図1)。これを見ると、中国などが核実験を盛んにやっていた一九五〇年代~六〇年代には、いまとは比べものにならないくらいに、トリチウムを含む放射性降下物が地球全体に降り注いでいたことが分かる。トリチウムによる個人の平均被ばく線量がピークに達したのは一九六二年で、その量は七・二マイクロシーベルトに達していた。当時は、放射性セシウムやストロンチウムなども環境中に放出されていた。 一九六二年と言えば、東京オリンピックが開かれる二年前だ。愛知県犬山市に住んでいた私は小学五年生だった。学校の先生や親から「雨に当たらないように。髪の毛が抜けるから」と言われていたのを思い出す。当時はトリチウムが雨に混じって落ちていたのだ。現に一九六三年には、降水中のトリチウムの濃度が一リットルあたり百ベクレルを超えていた(日本原子力学会誌「アトモス」Vol.60など参照)。また、私たちはいまよりも濃度の高いトリチウムが含まれた飲み水を飲んでいたのだ。 その後、個人の被ばく線量は少なくなり、一九九九年になって、ようやくピーク時の七百分の一の〇・〇一マイクロシーベルトに下がった。つまり、私のケースで言えば、生まれてから高校を卒業(一九七〇年)するまで、いまよりもはるかに多いトリチウムにさらされていたということだ。核実験でも悪影響はなかったようだ では、一九六二年のピーク時に浴びていた七・二マイクロシーベルトとは、どれくらいの大きさだったのだろうか。資源エネルギー庁によると、福島第一の処理水が海に放出されたあとの被ばく線量は、多めに見積もっても、おおよそ〇・〇二マイクロシーベルト(〇・〇〇〇〇二ミリシーベルト)と推計されている。私が子供のころに浴びた七・二マイクロシーベルトは、その約三六〇倍にあたる。 ちなみに、〇・〇二マイクロシーベルトは、私たち日本人が自然界で浴びている自然放射線(宇宙線やラドン、大地、食物など)からの被ばく量(約二・一ミリシーベルト)のおおよそ十万分の一前後に過ぎない。処理水放出によるトリチウムのリスクがいかに小さいかが分かるだろう。 核実験で降り注いだトリチウムの影響について、環境省は同ホームページ(二〇二一年三月三十一日更新)で次のように解説している。 「トリチウムの公衆被ばくの影響に関して、これまでの疫学研究からは、トリチウム特有のリスクは確認されていません。また、一九六〇年代前半の核実験が盛んな時期以降においても、小児白血病の増加が認められていないことより、トリチウムの健康リスクが過小評価されている可能性は低いとされています」。 核実験の影響をもろに受けた私は幸いながら、新聞社を退職(二〇一八年)するまで健康を害することもなく、仕事を全うすることができた。「当時のトリチウム濃度が高かったのだから、いまの程度なら我慢すべきだ」と受忍論を主張しているのではない。海洋放出後のトリチウムのリスクを知る上で、過去の状況を知ることは、リスクの相場観を持つのに役立つのだということだ。イオンの自主基準は七千ベクレル もうひとつの図は、流通最大手イオンが公表している図だ(図2)。「福島鮮魚便」と称して、福島県内で水揚げされたヒラメなどを積極的に販売しているイオンは八月下旬、「これからも福島県産水産物を応援してまいります」とコメントしたうえで、トリチウムの自主検査を実施して、その結果をサイト上で公開すると公表した。 注目したいのは、国際的な基準よりも厳しい「自主基準」を設定した点だ。その自主基準を超えた場合には販売を見合わせるという。 イオン独自の自主基準値は、一リットルあた七千ベクレルである。世界保健機関(WHO)の飲料水に関する一リットルあたり一万ベクレルよりも低い。魚に含まれる水分をどのように測定して検査するかまでは分からないが、イオンのホームページによると、仮に七千ベクレルを毎日摂取し続けたとしても、国際的に安全管理目安とされる年間 一ミリシーベルト(追加被ばく線量)の十分の一になるよう設定したという。つまり、イオンの自主基準はより安全サイドに立った数値といえる。公開された図では、国際的な基準値と自主基準値と魚介類のトリチウム濃度の数値が視覚的に分かる。 これまでに福島県沖で検査された魚介類のトリチウム濃度はいずれも検出限界(百ベクレル)以下である。食品に関するトリチウムの公的な基準値はない。イオンが自主基準を設定して安全な魚介類を提供することは、消費者に安心感を与える上でもその意義は大きい。 東京電力は処理水に含まれるトリチウムの濃度を一リットルあたり千五百ベクレル未満で放出している。イオンの自主基準と比べても低いことが分かる。これもリスクの相場観を知る上で参考になるのではないか。
- 13 Sep 2023
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水産業支援 基金総額1,000億円超へ
福島第一原子力発電所で発生するALPS処理水の海洋放出を理由に、一部の国・地域が輸入規制を実施している。それに対抗するため、政府は9月5日、水産業への緊急支援に向け、2023年度予備費から207億円の充当を閣議決定した。既存の基金800億円と合わせ、総額1,007億円の予算措置が図られることとなる。ALPS処理水の海洋放出が8月24日に開始され、東京電力は同日、これに伴う外国政府からの禁輸指示に対する国内事業者への賠償について発表。政府としては、全国の水産業支援に万全を期すべく、既に800億円の基金で対応している。岸田文雄首相は8月31日、それらに加え、特定の国・地域に依存した輸出市場の分散、世界の和食ブームをとらえた生業・事業の発展を促すべく、関係閣僚に対し、水産業を守る支援策について、政策パッケージの取りまとめを指示した。これを受け、農林水産省、経済産業省、復興庁、外務省は9月4日、国内消費拡大・生産持続対策風評影響に対する内外での対応輸出先の転換対策国内加工体制の強化対策迅速かつ丁寧な賠償――を5本柱とする政策パッケージを発表。このほど閣議決定された207億円の予算措置は、この政策パッケージの一部で、輸出減が顕著な品目の一時買取り・保管や新規販路の開拓、加工・流通業者の機器導入、人材活用の支援などに充てられる。2022年の水産物輸出額は総額3,873億円。国・地域別には、中国(食用)が836億円、香港(同)が498億円で、この2か国・地域(同)で全体の3割を占めている。そのうち、中国で輸出額の大半を占めるホタテは、中国で殻むき加工後、米国や東南アジアに輸出されている量も多いことから、今回の予算措置を通じ、国内における殻むき機の導入支援や、その人員確保など、加工体制を整備し直接販売できるようにする。この他、ふるさと納税を活用した国内消費拡大運動の展開などにも充てられる見通し。松野博一官房長官は、9月5日の記者会見で、日本産食品について、「安全性は科学的に証明されている」と強調し、輸入規制を講じている国に対し早期撤廃を求めていく考えをあらためて述べた。
- 05 Sep 2023
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中国の理不尽な全面禁輸措置で「風評被害」の風向きが変わり始めた
二〇二三年九月一日 福島第一原発の処理水の海洋放出が八月二十四日、始まった。どの新聞を見ても、大きな懸念は「風評被害」だった。だが、中国が日本からの水産物輸入を全面的に禁止したことで、風向きが変わってきた。その後のテレビを中心とする報道を見る限り、今後の課題は国内の風評被害というよりも、いかに日本の国民が福島および国内産の水産物を買い支える連帯精神を発揮できるかどうかにかかってきたようだ。テレビのバラエティ番組が風評被害の抑制に貢献 毎週日曜日午前に放送されるTBSのジャーナリズム・バラエティ番組「サンデージャポン」(八月二十七日)を見ていて驚いた。風評を抑えようとする意図がはっきりと見えた番組構成だったからだ。日本からの水産物輸入を全面禁止した中国に対して、日本よりもはるかに多くのトリチウム量を放出している中国の原子力発電所の地図(フリップ)を見せたのだ。ゲストのタレント女性は「中国が日本よりも多くのトリチウムを放出していることを初めて知った。こういう情報をみんなが知ればよいのに」といった内容のコメントを寄せた。 さらに、同番組に専門家として出演した小山良太・福島大学教授は「通常の原子力発電所や再処理工場でもトリチウムは放出されている。これはあまり報じられてこなかったが」と話し、福島だけが特別ではなことを強調していた。 驚きは続いた。実業家の堀江貴文氏が自身のYouTubeチャンネルで、「アホが大騒ぎしている。こいつら本当に頭が悪すぎて、薄めるっていう概念が理解でないみたい。…お前ら中学からやり直せ。化学の教科書を読め…」と、内外の海洋放出批判を一喝する映像を公開したのだ。同映像は「サンデージャポン」の中でも紹介された。個人的な印象だが、堀江氏が怒りをあらわにしてまで、処理水の安全性に問題はないと訴える姿は、風評を打ち消す効果がかなりあると感じている。堀江氏があそこまで怒るからには、自身の意見に相当の自信があってのことだろう。この堀江氏の映像はエンタメ系やスポーツ新聞系のネットニュース(写真参照)でも紹介された。この威力は無視できないほど大きいだろう。 週明けて、八月二十八日に放映されたTBSの「ひるおび」でも処理水問題が特集として取り上げられた。番組全体のトーンは、中国が科学的根拠を無視して、無理難題を押し付けてくるという印象を伝えたように思う。ゲストの若い女性が「処理水(トリチウムの濃度)が国際基準を下回っていることはIAEA(国際原子力機関)も認めている。国際基準を守っているのに、なぜ中国はここまで批判してくるのか」といった内容のコメントを話した。 聞いていて、「中国だって、トリチウムを海へ放出しているのに、日本に文句をいう資格はないよね」といったメッセージに聞こえた。そこまで中国が文句をつけるなら、中国に依存せずに日本国内で水産物を消費すればよい。そんな気持ちを生じさせる番組だった。 これらの放送は、専門知識のない一般視聴者に対して「処理水は心配なさそうだ」という十分なメッセージを送ったのではないか。中国の強硬措置で連帯心喚起か? 風評被害は一般に、国内の大手スーパーなどによる「福島産の魚介類を販売しない」といった具体的なアクションと、それに同調するメディアと、消費者の連鎖が重なって生じる。ところが今回は、新聞やテレビ報道を見ている限り、そのような動きは一切出ていない。逆に、中国の理不尽な輸入禁止措置がオモテに出てきたことで、「負けてなるものか!」と、団結心を呼び起こすような声が強い。 現に、元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏はフジテレビ『日曜報道THE PRIME』(八月二十七日)で、強硬な中国に対して「武力を使わない、ある意味、中国との戦(いくさ)ですよ。いままで日本は、こういうときに黙っていたけど、ここは絶対に勝たないといけない」と持論を述べた。橋下氏は、「僕、ホタテ大好きなんで、食べますよ。国民のみなさん、朝昼晩、必ずホタテをひとつ食べるとか、給食で使うとか」とも述べている。これを機に食料安全保障を強化することも可能だという見解はSNSで賛同が多かったようだ。 今回の中国の強硬措置で多くの日本人は、橋下氏と似た気持ちになびいたはずだ。何を隠そう、私も同様の気持ちを抱いた。 いまこそ日本は連帯心を発揮すべきだといったトーンは、八月二十八日夜に放映されたNHKの「クローズアップ現代」の処理水特集でも見られた。桑子真帆キャスターの「今後、日本はどうすればよいか?」との問いに対して、開沼博・東京大学大学院情報学環准教授は「中国への水産物の輸出額は千六百~千七百億円なので、国民一人が福島産の魚介類を一年間で千六百~千七百円、余分に買えばよい」と提案した。 この極めて分かりやすい具体的な提案を聞き、「そうだ。その通りだ!」と拍手喝采を送りたい気持ちになった。新聞はもっとこういう具体的な提言を盛り込んだ記事を、どしどし載せるべきだと感じた。 福島への応援を呼び掛ける訴えは、八月二十六日に放映された読売テレビの報道番組「ウェークアップ!」でも見られた。キャスターの野村修也・中央大学法科大学院教授は中国の禁輸措置を念頭に「いまこそ福島産魚介類を対象に、Go To Eat キャンペーンをやるべきだ」と提唱した。全くその通りだ。 岸田首相はいますぐ、「福島産魚介類を対象に大々的に『Go To Eat キャンペーン』をやります。みなさんの力で福島の復興を支えましょう」と強烈なメッセージを発信すべきだろう。その力強いリーダーぶりを見せれば、支持率も上がるだろう。朝日新聞や毎日新聞も 新聞は相変わらず、これまで述べてきた通り、朝日新聞、毎日新聞、東京新聞の三陣営と読売新聞、産経新聞の二陣営に分かれ、前者の陣営は放出反対を訴える漁業者の声を大きく取り上げている。しかし、中国の傍若無人ぶりが見えてきたことで様相は少し変わってきた感じがする。 朝日新聞は八月二十五日付朝刊で、処理水放出に反対する漁師や市民団体の動きとともに、風評被害を防ごうとする企業の活動についても、三つの事例を二段見出しで紹介した。これまではあまり見かけなかった記事だ。 毎日新聞の社説(八月二十六日)は、中国が水産物を全面禁輸したことに、明確に反対する主張を載せた。その理由が面白い。「トリチウムを含む水は、中国など各国の原子力施設から海や河川に放出されている」と書いた。中国がトリチウム水を放出していることをもっと以前から大々的に書いてほしかったが、さすがに中国の身勝手な振る舞いがここまでくると「中国もトリチウムを放出しているじゃないか」と言いたくなるのだろう。そして、同社説は「国際原子力機関(IAEA)は包括報告書で国際的な基準に合致すると処理水の安全性にお墨付きを与えている。日本政府は専門家による協議を呼びかけてきたが、中国は拒んできた」と書いた。一般的に新聞は「お墨付き」という言葉を否定的かつ皮肉っぽく解釈して記事を書く習性がある。ところが、中国の理不尽さに対抗するための武器として、この社説ではIAEAのお墨付きという言葉を肯定的にとらえている。 やはり中国の全面禁輸措置は日本人の連帯心に火をつけたのではないか? もはや国内の風評被害云々よりも、威圧的な中国に負けてなるものかとの気持ちが強くなっている。私のように、「福島産を買って応援したい」と思っている人は多いはずだ。ただ、いつ、どこで、どういう支援イベントがあるかが分からない。新聞はぜひとも、具体的な支援イベントの告知をどしどし載せてほしい。いまこそ新聞の力を見せるときだ。
- 01 Sep 2023
- COLUMN
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処理水海洋放出 引き続きIAEAと連携
8月24日に福島第一原子力発電所で発生するALPS処理水の海洋放出が開始された。〈既報〉西村康稔経済産業大臣は25日、IAEAのラファエル・グロッシー事務局長とオンライン会談。廃炉が完遂するまで日本政府として責任をもって取り組んでいく考えを述べた上、引き続き長期にわたるIAEAによる安全性確保への協力を要請。また、林芳正外務大臣も同日、グロッシー事務局長と会談し、ALPS処理水の安全性確認に係る日本・IAEA間の協力・連携関係を対外的に示す文書を早期作成・公表することで一致した。ALPS処理水の安全性に関しては、IAEAが7月に「海洋放出は関連する国際安全基準に合致しており、人および環境に対し、無視できるほどの放射線影響」とする包括報告書を日本政府に提出している。ヨークベニマル各店舗に掲示されているポップには、関係省庁と並び弊紙記事へのリンクもまた、西村経産相は8月24日に放出後の東京電力、環境省、水産庁による海水や魚のトリチウム濃度の分析結果の公表とともに、地元水産業の風評影響に備えた対応や漁業者らの生業の継続支援に取り組むとの談話を発表。28日には、太田房江副大臣とともに、福島県を訪問し、東日本大震災被災地の水産物「三陸・常磐もの」の魅力発信・消費拡大に向けた取組の一環として、県内の流通・小売事業者との意見交換・試食イベントを福島市内のスーパー「ヨークベニマル南福島店」で行ったほか、復興再生に関する地元関係者との協議会に出席。「ヨークベニマル」では、ALPS処理水の安全性を科学的根拠に基づき説明すべく、「連携しながら県産品の魅力発信に力を入れていきたい。安全性を確認しデータを公表することが一番の風評対策になる」と強調。海洋放出後に福島県相馬市で水揚げされたヒラメやホッキ貝の刺し身を試食するなどした。東京電力は、24日のALPS処理水の海洋放出開始後に、発電所から3km以内の10地点で海水試料を採取。すべての地点でトリチウム濃度は検出下限値(10ベクレル/リットル程度)未満であることが確認された。なお、海水による希釈後のトリチウム濃度は1,500ベクレル/リットル未満とされている。東京電力は、海洋放出の状況を知りたいというニーズに応え、ALPS処理水に関するポータルサイトを刷新。経産省も、福島第一原子力発電所近傍における海水中のトリチウム濃度の分析結果について、「異常なし」は青丸表示、「放出停止判断レベルを超える」ときは警告表示と、一目でわかるウェブサイトを公開した。
- 28 Aug 2023
- NEWS
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福島第一 ALPS処理水の海洋放出開始
東京電力は8月24日13時過ぎ、福島第一原子力発電所で発生するALPS処理水の海洋放出を開始した。〈東京電力発表資料は こちら〉同社では、22日に行われた福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策に関する関係閣僚会議が示したALPS処理水の海洋放出の開始時期に係る判断を受け、準備に着手。風評影響を最大限抑制すべく「海洋放出の実施に当たっては、周辺環境に与える影響等を確認しつつ、慎重に少量での放出から開始」とする政府の基本方針に従い、当面の間、第1段階「希釈後のALPS処理水のトリチウム濃度を確認」、第2段階「設備の健全性および運用手順を確認するための放出」の2段階に分けた放出を計画。初回放出の第1段階として、同日、ALPS処理水が想定通り希釈されていることを確認するため、ごく少量のALPS処理水(約1㎥)を海水(約1,200㎥)で希釈し、放水立坑に貯留した後、放水立坑の水を採取しトリチウム濃度を測定。その結果、24日までに分析値が1,500ベクレル/リットル(国の規制基準の40分の1)を下回っていることが確認され、今朝の気象・海象を踏まえ第2段階に移行した。2023年度の計画では、約7,800㎥ずつ計4回の放出が行われ、トリチウム総量は約5兆ベクレル(事故前の放出管理値は年間22兆ベクレル)となる。初回放出分は1日当たり約460㎥、約17日間で実施する見通しだ。東京電力では、データ公開に努めるべく、ALPS処理水の海洋放出における各設備での状況を1つにとりまとめたポータルサイト「ALPS処理水 海洋放出の状況」を開設した。なお、同社では23日、ALPS処理水の海洋放出開始に関する社内体制の強化に向け、関係部署を横断的に統括する体制を整備すべく、社長直轄の「ALPS処理水統合対策プロジェクトチーム」、および「ALPS処理水影響対策チーム」を設置。小早川智明社長は、これまでより頻度を上げて現場に足を運び、状況を確認することとしている。今般のALPS処理水の海洋放出開始について、原産協会の新井史朗理事長は、「福島第一原子力発電所の廃炉の大きな一歩となる」とのメッセージを発表した。
- 24 Aug 2023
- NEWS