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スウェーデン 新規原子力実現に向けた動きが活発化
スウェーデンでは今年8月下旬から9月初めにかけて、新規建設に向けた動きが相次いでいる。スウェーデンは2035年までに小型モジュール炉(SMR)や大型炉を含む新規原子力発電設備容量を250万kWe、2045年までに1,000万kWeの拡大をめざしており、新規建設向けの政府の支援制度が2025年8月1日から施行されていることが背景にある。政府融資や差金決済契約(CfD)など、リスクと利益の分担を通じて事業を支える国家補助の枠組みが整備され、複数の事業者がプロジェクトを政府に申請する段階へ移行している。まず8月25日、同国の先進炉開発企業であるブリカラ(Blykalla)社は、ウプサラ県ティエルプ市のウントラ(Untra)に、同社が開発を進める先進モジュール炉(AMR)の鉛冷却高速炉「SEALER」(5.5万kWe)×6~8基、最大合計出力44.0万kWeの建設計画について、政府に承認を申請した。年間発電電力量は約36.8億kWhと想定される。同社は今年5月に、イェヴレボリ県イェヴレ市のノルスンデット(Norrsundet)で「SEALER」×6基、合計33.0万kWeの同国初となる先進炉を採用した商用発電所の建設計画の承認申請をしており、ウントラでの計画はそれに次ぐもの。国内で複数の原子力パークを展開する動きの一環である。8月31日にはブリカラ社が全額出資するプロジェクト会社のウントラ・ニュークリア・パワー社がウントラでの建設計画に対する国家補助を申請した。8月27日には、フィンランドの電力大手フォータム(Fortum)社傘下で、スウェーデンにおける新規原子力発電のプロジェクト会社であるNuCore Energi社が、同国南部のオスカーシャム市で計画する新規建設に向けて国家補助を申請した。建設規模は120万kWe~340万kWeで、SMRと大型炉の双方を選択肢として検討している。フォータム社は2年間にわたる新規原子力発電の実行可能性調査の結果、大型炉ではフランス電力および米ウェスチングハウス(WE)社/韓・現代E&C社、SMRでは米GEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社との協力を強化。2025年6月にそれぞれ先行作業契約(EWA)を締結している。NuCore Energi社は今回の政府への申請を契機に、支援条件などに関する協議を開始する方針。なお、国家補助の申請はブリカラ社とNuCore Energi社の申請を含め、今年8月末の時点で6件となっているが、国家補助対象は最大約500万kWe、およそ大型炉4基分相当と限られている。9月3日には、スウェーデンの原子力技術サービス企業スタズビック(Studsvik)社の主導下で、GVH社、韓国サムスンC&T(サムスン物産)などがGVH社製SMR「BWRX-300」(BWR, 30万kWe)×4基、計約120万kWeの建設プロジェクトを共同開発することで合意した。建設候補地はスタズビック社の既存の原子力施設がある同国南部ニショーピング(Nyköping)とヴァルデマルスヴィーク(Valdemarsvik)のマルメ(Målma)の2か所。複数の拠点で展開する新規原子力開発プログラム「ReFirm」の初プロジェクトとして、いずれかのサイトで2030年代半ばには初号機を運転開始する計画だ。今回の合意により、独占交渉期間中に、商業面や技術面、規制面、資金調達面などに関する共同作業を開始する。スウェーデンの新規原子力発電開発では、制度整備の段階から複数の事業者が具体的な建設案件を競う段階に入った。大型炉だけでなくAMRやSMRも計画されており、今後は政府による支援案件の選定や許認可、資金調達などが焦点となる。
- 10 Sep 2026
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遺伝子組み換え作物と原子力発電所の輸出・再稼働、世界から遅れる共通要因は何か!
二〇二六年九月九日 遺伝子組み換え(GM)作物が世界で流通し始めて、今年でちょうど30年になる。日本は海外から大量のGM作物を輸入し、家畜の飼料や食用油など幅広く利用しているものの、いまだに日本国内では商業目的の栽培(花を除く)は実現していない。この「失われた30年」の背景を考えてみると、意外にも原子力発電所の輸出・再稼働にも共通する要因が浮かび上がった。それは何か。GM作物はすぐれたテクノロジー 遺伝子組み換え(GM=Genetically Modifiedの略)作物の栽培・流通は1996年、米国とカナダで始まり、その年から日本も輸入するようになった。GM作物とは簡単に言うと、別の生物から有用な遺伝子を取り出して細胞に組み込み、新しい性質を持たせた作物のことだ。 たとえば、害虫が茎や葉をかじると死ぬGMトウモロコシ(害虫を殺す微生物由来の遺伝子が作物に組み込まれているが、この殺虫たんぱく質は有機農業でも利用されており、人への安全性も確認されている)がある。これだと殺虫剤を使わずに済む利点がある。また、特定の除草剤を撒いても枯れないGM大豆がある。このGM大豆だと雑草退治が楽になる。つまり、雑草が生えてきたら、さっと除草剤をまくだけで雑草だけが枯れ、大豆は収穫できるというすぐれたテクノロジーなのだ。世界30ヵ国で栽培 これまでの数々の研究報告では、GM作物には「農薬の使用量の削減」「収量の増加」「生物多様性の増加」「土壌流失の防止」「開発途上国の農家の収入の増加」「地球温暖化の防止」など数多くのメリットがあるとされる。 その結果、現在、世界では米国、カナダ、ブラジル、アルゼンチン、インド、中国、フィリピン、スペインなど約30カ国で栽培されている。米国ではトウモロコシ、大豆、ナタネ、綿の9割以上はGM作物に切り替わっている。ブラジルやアルゼンチンでは大豆の100%近くがGMだ。 当たり前のことだが、農家にとっては栽培するメリットが大きいから、GM作物をどんどん栽培する。GM作物を輸入する側にとっても、非組み換え作物よりも価格が低いため、リーズナブルな価格の商品を生産できる。輸入する側の日本では、すでに家畜飼料のほぼ100%がGM飼料であり、もはやGM作物の輸入なしに日本の家畜産業は成り立たないといってもよい。国や自治体に反対運動を跳ね返す力なし 不思議なのは、ここからだ。これだけのメリットがありながら、日本ではいまだに商業的な栽培が行われていないことだ。農業生産者に栽培意欲がないわけではない。かつて「バイオ作物懇話会」(最大約700人)の生産者が茨城県などで試験的にGM大豆を栽培しようとしたが、一部の過激な反対派が畑に侵入し、トラクターでつぶしてしまった。犯罪行為だったが、刑事事件にもならず、以来、生産者たちは試験栽培を断念してしまった。 国や県(岩手や愛知など)の公的研究機関も「病気に強いGM稲」など国産のGM作物を独自に開発しようとしたが、市民団体による強力な反対運動(訴訟も含む)に勝てず、研究開発は次々に中止へ追い込まれていった。あろうことか反対派や反対議員の動きに押された地方自治体(北海道、新潟、岩手、兵庫など)までが事実上、GM作物の栽培を禁止する条例までつくり、GM作物の栽培や研究開発にブレーキをかけた。その流れで民間企業も次々に撤退していった。 とどめを刺したのは、2009年に誕生した旧民主党政権だった。当時、農水省はGM稲を栽培する計画まで立てていたが、あっけなく中止され、研究開発予算も削られた。GM作物を科学的に分かりやすく解説した副読本も大量に廃棄された。政権を担う自民党の政治家も無関心だった。結局、国に長期的な展望がなかったため、国産のGM作物は実らなかった。かといって「失われた30年」を総括する空気もなく、国の責任もあいまいなまま今日に至っている(詳しくは筆者の編著『バイテク農業の未来・遺伝子組換え作物とゲノム編集食品』をお読みください)。原子力輸出の好機を逃す 当時、私は現役の記者(毎日新聞社)だった。メディアが流すニュースは、私の記事を除き、ほとんどネガティブだった。こういう動きをみていて、世界で普及していくGM作物がなぜ、日本では全く足踏み状態になるのか。そこに、日本独自のGM作物を開発するんだという強い国家的な意思・覚悟がなく、研究機関とメディアの連携もなく、政治家も無関心だったことが、「失われた30年」を生み出したのだと気づいた。 翻って、原子力発電所の状況を見たとき、似た構図が見えてくる。そう思っていた矢先、その思いにぴったり合う名著『新・世界エネルギー戦争』(講談社)に出合った。日本の深刻な状況を思い知り、日本の将来が心配になって体が震えた。著者の吉井英生氏は東京電力や日立製作所での勤務経験を持つ、エネルギー問題の実情に詳しい専門家だ。 同書によると、いま世界中で原子力が再評価されている。フランスは新規の原発建設を国家戦略として宣言し、米国は数十年ぶりに原発の新設認可を出した。英国は小型モジュール炉の導入に踏み切り、ロシアは中東やアジア、中国はアフリカに自国製の原子炉を売り歩く。脱炭素とエネルギーの安全保障を両立できる電源として、世界は原子力という技術を選び始めているのだ。ところが、日本はこの国際的潮流に取り残され、33基ある原発のうち、稼働しているのはたったの15基(26年6月時点)。日本は技術も、人材も、燃料サイクル設備もあるのに、その能力を使いきれていない。英国の挫折 例として、英国への原子炉輸出の挫折がある。日立製作所の子会社であるホライズン・ニュークリア・パワー社は、ウェールズのアングルシー島に英国版の改良型沸騰水型原子炉(UK-ABWR)を2基建設する計画だったが、2020年に建設プロジェクト事業から撤退してしまった。日本政府の原発輸出戦略の一環として進められていたのだが、メディアでは総事業費が3兆円規模に膨らむことなど、事業リスクを指摘する報道も目立った。このプロジェクトに対して、吉井氏は「世界的に見て極めて条件のよい原子力案件だった。しかし、プロジェクトを成立させることの国際的な意義も一部の人を除いて見ていなかった。官民が協調して全体戦略をきちんと立案し実行すれば、極めて成功確率の高いプロジェクトだった」と述べている。 そして、次のように訴える。「原子力は、資源よりも、技術、標準炉、金融、国家の信用が力になるが、日本では原発事故以降、国内の原子力は停滞し、輸出戦略も崩れた。そのあいだに中国は国内での建設を重ね、標準炉を完成させ、海外へ展開し始めている。すでに勝負はついてしまった」。メディアはもっと直視を 中国が世界の原子力市場でじわじわと地歩を固めているのに、日本は立ち止まったままだという認識は、世界で普及するGM作物から取り残された日本とどこか似ているではないか。 一番問題なのは、そういう国家の覚悟なき、深刻な日本の原子力の状況に大手メディアが強い関心を寄せないことだ。このままだと20年たったら、日本だけが原子力の世界で周回遅れになっていることは目に見えているが、国にも政治家にもメディアにも、そういう危機意識が見えない。吉井氏の本を読んで目を覚ましてほしいものだ。
- 09 Sep 2026
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オランダ 米仏企業と大型炉新設に向けて調査契約締結
オランダで原子力発電所の新設準備を担う国有企業NEO NLは8月25日、フランス電力(EDF)、米ウェスチングハウス(WE)社と、新規原子力発電プラント2基の建設に向けた基本設計(FEED 1)調査契約をそれぞれ締結したことを明らかにした。両社は今夏以降、オランダでの新規建設を具体化するための設計作業を開始する。オランダ政府は今年2月、2基の新設を担う国有企業「NEO NL(Nuclear Energy Organisation Netherlands)」を設立した。NEO NLは、政府の方針や立地決定に基づき、新設2基の許認可から建設、運転、最終的な廃止措置までを担う実施主体。同2基は、それぞれ少なくとも100万kWeの設備容量を持ち、同一地点に建設される。今夏以降、気候・グリーン成長相と住宅・空間計画相が共同で優先立地の決定案を策定する予定で、NEO NLはその間、ベンダーの選定に向けた準備を進める。FEED 1は2段階で実施。まず「FEED 1a」では、建設地点がまだ正式に決定していないことから、立地条件に左右されない設計・技術面の検討を進める。政府による優先立地の決定案策定後、「FEED 1b」に移行し、候補地の条件を反映した検討を行う。これにより、政府の立地選定と並行して準備作業を進めることが可能になる。FEED 1では、両社がそれぞれ提案する第3世代+(プラス)炉について、オランダの建設規則、原子力安全規制、許認可要件、技術基準、工程などへの適合性を詳細に検証する。また、早い段階でリスクや重点的に対応すべき事項を洗い出すとともに、将来の発電所所有者とベンダーの責任範囲についても整理。期間は12~18か月程度と見込む。今回の契約により、両社は今後の入札に向け、より精度の高い提案を行うための準備を進めることができる。これにより、将来の建設費の予見性を高め、事業リスクの低減につながることが期待される。なおFEED 1は、オランダ政府が以前、米WE社、仏EDF、韓国水力・原子力(KHNP)の協力を得て実施した実現可能性調査(F/S)に基づいている。F/Sでは各社の原子炉設計が同国への導入に適しているかを評価したのに対し、FEED 1では法令や規制要件への適合性など、設計についてさらに詳細な評価を行う次段階のもの。オランダ政府は、原子力を2040年までに炭素排出ネットゼロを達成するための主要なエネルギー源に位置づけており、2021年12月に発足した連立政権が連立合意文書に原子力発電所の新設を明記するなど、原子力を段階的に縮小する従来の方針を転換。2022年12月には、新規大型炉の建設地として同国ゼーラント州で唯一運転中のボルセラ原子力発電所(PWR, 51.2万kWe)サイトが最適との見解を示していた。政府は2023年12月、KHNP、WE社、EDFとボルセラ・サイトにおける2基の新規建設の技術的可能性、安全性、環境影響、コストと時間の詳細な見積りを含む、F/Sの実施について契約。2024年にF/Sは完了したが、KHNPは以後の選定プロセスからは撤退している。なお、優先候補地とされたボルセラだけでは環境影響評価の手続き上、法的に持続可能な立地決定にならず、今年2月の時点で、ボルセラ・サイトを含むスロー地域に加え、フローニンゲン州のエームスハヴェン、ロッテルダム港のマースフラクテII、ゼーラント州のテルネーゼンの4地域の7か所がサイト候補に挙がり、安全・環境面を含めた総合評価が実施された。その結果、以下の2地域3地点に候補が絞り込まれた。ゼーラント州: テルネーゼン(Terneuzen)のMosselbanken/Paulinapolder フローニンゲン州: エームスハヴェン(Eemshaven)のEmmapolderとEemscentrale政府は今年末には、テルネーゼンとエームスハヴェンのいずれかを選定する予定である。政府は最大4基の大型炉の新設を計画し、最初の2基は早ければ2030年代末までに稼働させたい考え。追加2基については2028年頃には建設方針を決定する一方、別途、小型モジュール炉(SMR)の導入の可能性についても、並行して検討していくとしている。
- 04 Sep 2026
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英コアパワーが米海事当局と連携 2028年に原子力商船の建造開始をめざす
海洋分野の原子力利用プロジェクトを進める英国のコアパワー社は8月24日、米国ワシントンD.C.で米運輸省海事局(MARAD)と協力覚書(MOC)を締結した。米国籍の原子力商船の実用化に向け、商業、産業、規制面での取組みを加速することが目的で、連邦機関と民間企業の協力としては初。同社は準備が整えば、2028年にも米国で原子力推進商船の初建造開始をめざしている。本MOCは、米政府主催で8月26日~27日にワシントンD.C.で開催された「海洋分野における原子力技術の応用(Atomic Technologies Licensed for Applications at Sea, ATLAS)」発足に向けたIAEA閣僚級会合に先立って締結された。米トランプ政権は2026年2月、「海事行動計画」を公表。米国の海洋分野の衰退を食い止め、民間投資を動員し、経済および国家安全保障の要と位置づける 海事産業の再建と米国の造船能力の強化をめざしている。こうした中、小型モジュール炉(SMR)などの先進炉を活用した原子力推進は、商業海運の復興の一翼を担う重要な存在になると期待されている。原子力推進船舶は、長期間の連続航行が可能で、従来の舶用燃料への依存を減らし、推進時の炭素排出がないことが利点とされる。原子力商船の活用は重大な商業的機会である一方で、安全かつセキュリティを確保し、投資可能な環境を整備する必要がある。両者は今回のMOC締結を受け、政府、産業界、その他利害関係者が、規制承認、港湾運営、労働力の資格認定、燃料およびライフサイクルサービス、保険・資金調達、建造・運用面での産業側の能力、連邦政府による将来的な需要創出の仕組みなどについて協議する場を設ける。こうした取組みを通じて不確実性を低減し、船舶、造船所、関連インフラへの民間投資が可能な環境を整備していく方針だ。コアパワー社のM. ボー氏CEOは、中国が世界の商用造船市場を席巻し、原子力推進の商船開発も積極的に進めるなか、戦略的な対応が急務となっていると指摘。同社は、米国の70年にわたる海軍での原子力運用実績と次世代の原子力専門知識を活用し、米国内に原子炉の搭載、初期燃料装荷、試験、試運転、燃料交換・取出しなどを担う専用の「原子力統合・ライフサイクル造船所」の整備を計画している。船体の建造は通常の商業造船所や世界トップレベルの造船能力を有する日本や韓国などの同盟国が担い、米国内の専用造船所では、原子力関連の工程・保守に必要な専門能力を重点的に構築することを想定している。原子力商船の就航を支援すると同時に、原子力資格を有する人材、サプライヤー、重工業の生産能力を拡大し、米国の海事産業基盤の強化につなげたい考えだ。さらに、コアパワー社は8月19日、米テキサス州のコーパスクリスティ港湾局と同港の「海事原子力対応能力(maritime nuclear readiness)」を調査するMOCを締結。調査では、同港に浮体式原子力発電所を設置し、港湾や周辺地域に安定した電力を供給する拠点として活用することや、将来の原子力商船の寄港地とする可能性を検討する。これとは別に、MARADも同日の8月19日にコーパスクリスティ港湾局とMOCを締結した。SMR技術の統合、耐障害性の高い港湾マイクログリッド、陸上電源システム、次世代船舶推進システムに対応可能なインフラ、人材育成などを検討し、海洋エネルギーシステムの発展に向けた取組みを共同で進めていく。同港は米国最大の石油輸出港であり、国内有数の液化天然ガス輸出拠点でもある。本協力は、今年7月のカリフォルニア州ロングビーチ港湾局とのMOC締結に続くもの。MARADは2026年5月、海上輸送システムへのSMR導入支援について業界から意見を募った情報提供要請(RFI)を実施しており、今回の協力もこれを受けたものである。米国では海運・造船の再建政策に加え、国際海事機関(IMO)が掲げる2050年頃までの国際海運の温室効果ガス(GHG)排出ネットゼロ目標や、SMRなどの先進炉開発の進展を背景に、原子力船の実用化に向けた動きが活発化している。こうしたなか、IAEAを中心とするATLASが、海洋における民生用原子力利用を国際的な規制・制度面から支える構図が形成されつつある。
- 01 Sep 2026
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IAEA 海上におけるSMR利用促進に向けてATLASを発足
国際原子力機関(IAEA)は8月26日、民間船舶や浮体式原子力発電所への小型モジュール炉(SMR)などの原子力技術利用を安全・セキュリティ・平和利用の観点から国際的に支援する新たな枠組み「海洋分野における原子力技術の応用(Atomic Technologies Licensed for Applications at Sea, ATLAS)」イニシアチブを立上げた。ATLASは、特定の原子炉を開発・導入するプロジェクトではなく、原子力推進船舶や浮体式原子力発電所を商用化するための国際的な安全・規制・制度面の土台づくりを目的とした、原子力分野と海運分野を国際的に結びつける初の協調的な取組みである。米政府がワシントンD.C.で主催したIAEA閣僚級会合(8月26日~27日)でATLASイニシアチブが発表された。同会合には50か国以上から政府、規制当局、原子力・海運業界、港湾関係者など約600名が参加。28か国((アルゼンチン、バングラデシュ、ベルギー、ブラジル、カナダ、デンマーク、ドミニカ、エクアドル、フィンランド、フランス、ギリシャ、インド、イタリア、日本、韓国、マルタ、オランダ、ノルウェー、パラグアイ、ポーランド、ルーマニア、サウジアラビア、シンガポール、スロベニア、トルコ、UAE、英国、米国))が共同声明に参加した。原子力の海洋用途を現実化するには、国際的な原子力・海事コミュニティが協力し、原子力技術の安全かつ確実な導入を確保、海上における民生用原子力利用に対する保障措置の効果的かつ効率的な実施の強化が不可欠。そのためIAEAは今後、運営委員会のほか、各国や産業界などからなる6つの専門プロジェクトグループを設置し、原子力安全、核セキュリティ、保障措置、規制などを検討する。特に、原子炉を船舶や海上施設に搭載する場合に必要となる国際的なルールや規制、港湾インフラ、責任分担など、陸上の原子力発電所とは異なる実務上の課題への対応を進めていくとしている。IAEAは、1962年に運転を開始した世界初の民間原子力貨物船「NSサバンナ」から60年以上を経て、次世代の民間海洋原子力利用に向けた国際的なルール作りを本格化させる方針。ATLAS発足の背景には、世界の貿易の約80%を海上輸送が担い、海上貿易が年間約2%拡大する一方で、長距離輸送のエネルギー安全保障や脱炭素化が課題となっていることがある。特にSMRなどの先進炉は海洋用途において安全かつ実現可能な選択肢となり得る。頻繁な燃料補給を必要としない高速海上輸送を可能とし、コンテナ船、バルク船、タンカー、クルーズ船、砕氷船、オフショア支援船などへの利用が期待されている。また、浮体式原子力発電所は、送電網などのインフラが整っていない沿岸・遠隔地の産業に、電力、熱、淡水、非常用電源などを供給する用途も見込まれる。IAEAは設計、燃料、海洋工学の進展により、一部の原子力推進船舶は2030年代にも導入可能になると予測している。IAEAのリーダーシップの下、ATLAS参加国や産業界の間で海事分野における革新的な民生用原子力技術の開発と導入が促進され、あらゆる活動が最高水準の原子力安全、核セキュリティ、および不拡散に根差した協力の継続が期待されている。
- 31 Aug 2026
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シンガポールと中国が原子力協力の覚書を締結
シンガポール貿易産業省(MTI)と中国国家原子能機構(CAEA)は8月17日、中国・北京で原子力技術の平和利用に関する協力覚書を締結した。MTIのS. タン・エネルギー・科学技術担当大臣とCAEAのZ. シャン主任の立会いの下、A. リー・エネルギー・貿易担当事務次官と J. リウ副主任が覚書に署名した。MTIは同覚書締結を、最近の米国、フランス、韓国を含む様々な国際パートナーとの協力と同様、原子力導入の可能性について客観的かつ技術的な評価を行うための自国の能力構築を支援するものと位置付ける。今回、中国と締結した覚書では、能力構築パートナーシップの対象となる主要分野として、原子炉技術の安全性および技術的評価人材育成および専門家の相互訪問市民への啓発、広報、および関与活動原子力安全、保障措置、および核セキュリティー原子力技術の応用を掲げている。シンガポールは、これら海外関係機関との協力による能力構築の取組みを2027年に予定されている国際原子力機関(IAEA)の「統合原子力基盤レビュー(INIR)」フェーズ1ミッションへの準備にも活かす方針である。INIRフェーズ1ミッションでは、将来的な原子力発電導入について「十分な情報に基づいて意思決定できる能力」が国内に整備されているか、能力構築の取組みが正しい方向に進んでいるかを確認するためIAEA専門家が評価する。同ミッションは、原子力導入を決定するための手続きではなく、シンガポールは原子力分野の人材・制度・技術基盤の整備状況を国際的な基準で確認したい考え。国際的に認められた評価フレームワークであるIAEAのマイルストーン・アプローチに基づき、原子力安全規制、放射性廃棄物管理、緊急時対応など19の分野にわたり包括的な評価を受ける。フェーズ1の完了後、安全性、信頼性、経済性、環境の持続可能性を慎重に考慮し、実際に導入を進める場合には、フェーズ2で建設入札を進める準備状況、フェーズ3で初号機を安全に運転できる準備状況についての評価となる。シンガポールが原子力を検討する背景には、電力の約95%を輸入天然ガスに依存し、国土が狭く再生可能エネルギーの拡大余地も限られていること、2050年ネットゼロに向けて安定した低炭素電源が必要なことがある。特に、小型モジュール炉や安全機能が強化された先進炉に注目している。2012年にも原子力導入の技術的可能性が調査されたが、当時の利用可能な原子力技術は同国での展開に適していないと結論付けられた。以後、シンガポールは将来の原子力の技術進歩に備えて能力強化をめざし、IAEAが原子力発電プログラムを確立するために必要とする19の主要分野の能力構築に取組んできている。
- 28 Aug 2026
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米ブルー・エナジー GVHとの「ガス+原子力」プロジェクト協力が次段階へ
米国の原子力プロジェクト開発企業ブルー・エナジー社は8月13日、テキサス州ビクトリアで計画する「ガス+原子力」発電所の建設に向け、GEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社と協力の次段階に進むことで合意した。GVH社製7HAガスタービンと小型モジュール炉(SMR)の「BWRX-300」(BWR, 30万kWe)を組合わせ、合計出力250万kWeの発電所となる。今年5月に発表された両者が提携して進めるハイブリッドの発電モデルの基本構想を次段階に進め、エンジニアリング設計、許認可、安全解析を本格化させ、2027年の最終投資決定(FID)を目指す。同プロジェクトでは、ガス火力を先行させ、原子力を段階的に追加。2030年に7HA.02ガスタービン2基、計約100万kWeの電力を近隣のデータセンターに供給し、2032年にはBWRX-300を最大5基、計150万kWeを追加導入する。AIや先端産業の拡大に伴い急増する米国の電力需要に対し、短期間で電力供給を開始できるガス火力と長期的に安定したベースロード電源となる原子力の組合わせで対応する。ブルー・エナジー社は、BWRX-300の標準化・モジュール化された設計をベースに、工場でのプレハブ化や輸送、現地での組立てを統合した独自のアプローチ「Blue Way」を採用して、従来の大型原子力発電所と比べ、工期やコスト、プロジェクト遂行の予測可能性を高める考え。非原子力設備を先行整備するアプローチは2025年12月に米原子力規制委員会(NRC)の承認を受けており、早期に電力供給と収益化を実現することで、建設資金の調達を容易にし、原子力プロジェクト特有の長期投資リスクの低減を図る。まず、非原子力かつ安全性に直接関与しないインフラのオフサイト製造と現場設置から着手。原子力コンポーネントの許認可・建設を進める間にも、機器製造やインフラ整備を進めつつ、ガス火力による電力供給を開始する。これにより、従来10年以上に及ぶ原子力発電所の建設スケジュールを少なくとも5年短縮するとともに、48か月以内に天然ガスによる電力供給を開始できると見込む。GVH社は自社の旗艦であるHAガスタービン技術と先進的な原子力技術を組合わせ、ブルー・エナジー社の革新的なプロジェクトモデルを支援していく方針だ。なお現在、BWRX-300初号機の建設がカナダのダーリントン原子力発電所の隣接サイトで進められており、2020年代末までに完成予定。完成すれば西側初の商用SMRとなる。
- 24 Aug 2026
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米港湾と海事当局 原子力活用に関する初のパートナーシップ
米カリフォルニア州のロングビーチ港と米運輸省海事局(MARAD)は7月22日、商用船舶、港湾、その他の海事資産に電力を供給する小型モジュール炉(SMR)の活用の推進に向けて、協力覚書(MOC)を締結した。米国の海港がMARADと原子力活用に関して提携するのは全米初。但し、具体的な原子炉建設や導入を決定するものではなく、商用サービス向けの原子力推進船舶を実現するため、規制・安全面を含む環境整備を共同で進めることが目的。本協力は、2026年5月にMARADが実施した、米国製で、拡張性があり、商業的に実現可能なSMRの開発および海上輸送システム内への導入支援について業界からの意見を募る、情報提供要請(RFI)によるもの。ロングビーチ港は米国内の18の「商業戦略海港」の一つに指定されており、2050年までにコンテナ取扱量を倍増させるという目標を掲げている。信頼性の高い電源需要の大幅増加が予想される中、両者は本覚書に基づき、米国沿岸警備隊、エネルギー省、原子力規制委員会と協力し、SMRを動力源とする船舶が米国の港に安全に入港・停泊し、必要な整備を受けられるよう、運用手順、安全基準、検査手続きなどの整備を進め、ベストプラクティスの開発と共有を行うこととしている。また、SMRを商業船舶の推進力として利用するだけでなく、港湾施設やその他の海事インフラへの電力供給などへの活用も検討。MARADは、この取組みを米国の造船業や海事サプライチェーンの強化、人材育成にもつなげたい考え。ロングビーチ港側も、連邦政府の支援と民間企業の技術革新を組み合わせ、SMR船舶の開発および港湾受け入れに向けた港湾インフラの評価および整備に必要な措置を講じつつ、次世代の海運・港湾エネルギーシステムの実現を目指すとしている。
- 17 Aug 2026
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ギリシャ SMR導入を検討する枠組みを整備
ギリシャの閣僚会議において7月30日、原子力発電の役割を評価し、政府に正式な勧告を行うための省庁間委員会の設置が閣議決定された。K. ミツォタキス首相は閣議決定に際し、原子力発電所の建設そのものではなく、同国が国際的な動向に後れを取らないよう早期に科学的調査を行う、明確な枠組みの策定の必要性を強調。多くの国が小型モジュール炉(SMR)に注目する中、省庁間委員会が中心となりあらゆる情報を把握し、精査する役割を担うと述べた。同首相は今年3月にパリでフランス政府と国際原子力機関(IAEA)が共催した第2回「原子力エネルギー・サミット」に出席し、ギリシャが特に小型モジュール炉(SMR)を同国のエネルギーミックスに組込むことを検討していくと表明した。電力需要の増大が予測される中、再生可能エネルギーの拡大に加え、長期的には予測可能なベースロード電源が必要であり、エネルギー自立、経済的競争力、脱炭素化の達成には、原子力が不可欠と強調。政府へ具体的な提言を行うハイレベルな閣僚委員会を設置すると述べた。さらにSMRの活用事例として、海運における原子力利用が海運業界の脱炭素化に寄与する解決策になると指摘し、世界有数の海運国として主導的役割を担っていく考えを示している。ギリシャでは1960年代~1970年代にかけて原子力導入の可能性が検討されたが、安価な褐炭の利用が可能であったため、原子力発電への転換には至らなかった。また、1986年のチョルノービリ事故は、同国で原子力発電利用に反対する気運を高め、近隣諸国の事故から影響を受けることへの懸念も強まった。現在は再生可能エネルギーに注力し、発電量の半分以上を風力および太陽光発電で賄い、電力の純輸入国から純輸出国となっている。一方で、AIを支えるデータセンターと電化の進行により、ギリシャは再生可能エネルギーだけに頼らないエネルギー戦略の再考を迫られており、今回、政府が原子力発電を正式に検討する決定をしたことは歴史的な転換点といえる。
- 12 Aug 2026
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日米韓 インド太平洋地域におけるSMR導入支援で覚書締結
NATO首脳会合の関連行事に参加するためトルコを訪問した茂木敏充外務大臣は7月7日、マルコ・ルビオ米国国務長官、趙顕(チョ・ヒョン)韓国外交部長官と日米韓外相会合を実施し、小型モジュール炉(SMR)協力に関する日米韓協力覚書(MOC)に署名した。同覚書は、インド太平洋地域を当面の重点地域として、第三国のSMR導入を支援することが目的。SMR導入・展開における原子力産業分野で相互補完的な強みを持つ3か国が、協力や連携を促進するための枠組みを構築し、同一設計の炉を連続的に建設・運用するアプローチ(fleet deployment models)の推進をめざす。これにより、プロジェクトのリスク低減や規模の経済の実現、民間投資促進、許認可プロセスの合理化、サプライチェーンの最適化につながるとしている。米国はこの枠組み支援のため、米国務省が主導する「SMRの責任ある利用のための基盤インフラ(FIRST)」に1,000万ドル超(約16億円超)を新たに拠出する。インド太平洋地域のSMRプロジェクト支援や人材育成のためのSMR地域トレーニングハブの設立に充てられる予定。さらに同日の米国務省の発表によると、米GEベルノバ社、日立製作所、韓サムソンC&T社(サムスン物産) 、およびポーランド・シントス・グリーン・エナジー(SGE)社の4社が、GEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社製SMR「BWRX-300」(BWR、30万kWe) の欧州展開を進めるための協力枠組みで合意した。同省はこの枠組みが、今回の日米韓協力覚書の目標達成に貢献し、官民の連携強化やエネルギー安全保障につながるとしている。
- 10 Jul 2026
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ロールス・ロイス 英ダービーにSMR製造開発拠点を開設へ
英ロールス・ロイスSMR社は6月26日、イングランド中部のダービーシャー州にある工業都市ダービーに約1,200万ポンド(約24億円)を投じ、製造開発拠点「Pioneer Works」を開設すると発表した。欧州でのSMR(小型モジュール炉)展開を支える製造基盤の強化が目的。同施設は同社初の製造開発センターであり、英国、チェコ、スウェーデンで進めるSMR建設プロジェクトの実施に向けて、専門的なエンジニアリング・製造工程を確立し、精密組立や先進的な試験を実施する中核拠点となる。Pioneer Worksは、一次冷却系や高い品質管理が求められる機器の製造・組立技術、試験手法を開発・検証する施設として運用される。ここで製造プロセスを事前に確立・検証することで、実際のSMR建設時のリスクと作業量を低減。従来の現地中心の建設方式から、工場で効率的に製造、現地で組立するモデルに転換し、ロールス・ロイスSMR社の量産モデルを支える役割を担う。同施設では、燃料や放射性物質は扱わない。なお、同社は今年5月には、原子炉設備(Nuclear Island)の主要機器のサプライヤーとして、チェコのシュコダ(Škoda)社と韓国の斗山エナビリティ(Doosan Enerbility)社と契約しており、国際分業により、欧州でのSMR事業の展開を加速する考えだ。同施設は2026年第4四半期の稼働開始を予定しており、高度なエンジニアリングや溶接、試験、精密組立、製造開発などの分野で約40の高度技能職の長期雇用の創出・維持が見込まれている。また、次世代の技術者育成を目的とした同社初のトレーニングセンターとしても機能し、将来のSMR建設を担う人材の育成を進める方針。さらに、同施設はシェフィールド大学先進製造研究センター(AMRC)内にある既存の「EXPERI」施設と連携し、設計・試作からモジュール製造・組立まで一貫した開発体制を構築する。ロールス・ロイスSMR社は、英国初のSMR導入を目指す英政府から優先権者に選定され、同社製SMR(PWR, 47万kWe)×3基の建設を北ウェールズのウィルヴァで計画。また、英政府系機関Great British Energy – Nuclear(GBE-N)と今年4月、SMR導入に向けた技術設計契約を締結している。さらに同月には、チェコ電力(ČEZ)とテメリン・サイトに隣接して建設するSMRプロジェクトの先行作業契約(Early Works Contract: EWC)を締結。サイト固有設計や許認可準備など、初期エンジニアリング作業を実施している。スウェーデンでは、新規建設のプロジェクト会社ビデバーグ・クラフト社が今年6月、英ロールス・ロイスSMRの採用を決定し、リングハルス発電所サイトの近隣に3基の建設に向けて詳細な計画策定を進めている。
- 09 Jul 2026
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経済産業省とIAEAが協力深化へ SMR導入支援や人材育成で連携
経済産業省は6月23日、国際原子力機関(IAEA)との間で、小型モジュール炉(SMR)を含む原子力エネルギー開発およびキャパシティビルディング(能力構築)に関する協力覚書(MoC)に署名した。署名式には赤沢亮正経済産業大臣とラファエル・マリアーノ・グロッシーIAEA事務局長が出席し、原子力分野における協力強化を確認した。両者は今後、SMRなど原子力導入を検討する国々に対するインフラ整備や人材育成などで連携を進める。会談の冒頭、赤沢大臣は、昨年のグロッシー事務局長による柏崎刈羽原子力発電所の視察について言及し、今年4月の同発電所の再稼働が東日本の電力需給の安定化や供給力の強化につながっていると強調。安全性を最優先に既設炉の最大限活用や次世代革新炉の開発、バックエンド対策を進めていく方針をIAEAに説明した。そして、福島第一原子力発電所の廃炉については、ALPS処理水の海洋放出を含め、安全性の確保と丁寧な情報発信を継続していく重要性を強調し、IAEAによる継続的な支援と協力を要請。また、グロッシー事務局長が2023年7月の福島訪問時にALPS処理水について、「最後の一滴まで安全に放出されるまでIAEAは現地にとどまる」と述べたことに触れ、「非常に心強く、印象深い言葉だった」と振り返り、改めて謝意を表した。さらに、六ヶ所再処理工場の竣工に向けた取組みに言及し、国際的な信頼確保に向けて、保障措置体制の強化等、IAEAとの連携を引き続き進めていく考えを表明した。これに対しグロッシー事務局長は、日本との原子力分野における協力関係について「極めて重要で戦略的な意義を持つ」と評価。今回の協力覚書についても、原子力分野の将来に関する共通のビジョンと相互の信頼を反映したものであり、日本だけでなく世界の原子力産業の発展にも資する、との認識を示した。また、福島第一原子力発電所をめぐっては、廃炉作業やALPS処理水の海洋放出に関する日本とIAEAの協力体制を高く評価。「日本政府、経済産業省、東京電力による透明性確保の取組みは国際的な模範となるものだ」とコメントした。
- 24 Jun 2026
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誰が原子炉を作るのか
英国で進むロールス・ロイスSMR計画をめぐり、原子炉系統の主要機器に韓国の斗山エナビリティが関与することへの議論が広がっている。英国政府はSMRを脱炭素電源としてだけでなく、国内製造業再生の柱としても位置付ける。だが、海外企業の活用は本当に英国産業の空洞化を意味するのか。世界的な原子力回帰の中で浮かび上がるのは、国際分業を前提としつつ、各国がどの中核的能力を自国に残すべきかという問いである。
- 19 Jun 2026
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米ニューヨーク州 原子力発電所の新規建設が準備フェーズに
米ニューヨーク州のK. ホークル知事は6月1日、同州北部で少なくとも100万kWe規模の先進原子力発電開発計画の具体化に向け、州営ニューヨーク電力公社(NYPA)が二つの公募を開始したと発表した。一つは原子力発電所の開発・建設・運営に実績を持つ原子力発電開発事業者を対象とした資格審査(RFQ)であり、もう一つは州内の教育機関や労働組合などを対象とした原子力人材育成を目的とした助成事業への公募(RFA)である。今回の取組みは、州内での新規原子力発電の開発規模を500万kWeに拡大することをめざし、ホークル知事が2026年施政方針演説で掲げたイニシアチブ「原子力信頼性基盤」(Nuclear Reliability Backbone)の一環。現在、ニューヨーク州で稼働する約340万kWeの原子力発電設備容量と併せて将来的に合計約840万kWe規模を確保することで、電力系統の安定化や電気料金の抑制、クリーンエネルギーへの移行を実現したい考え。同州では現在、米大手電力会社コンステレーション社が3サイトで計4基の原子炉を運転している。NYPAは、2025年10月に先進原子力プロジェクトの開発事業者と潜在的なホストコミュニティを対象とした情報提供要請(RFI)を実施しており、今年1月、開発事業者候補から23件、同州北部のコミュニティから8件の回答を得たことを明らかにしている。開発事業者向けのRFQでは第3世代+(プラス)または第4世代の大型炉または小型モジュール炉(SMR)、あるいはその組合わせによって100万kWe以上の発電能力を実現できる事業者を対象としており、2033年までに建設開始できる実現可能性を重視。SMRについては、初号機(FOAK)段階は原則除外で、マイクロ炉も対象外としている。その他、技術成熟度、立地・許認可戦略、建設スケジュール、コスト見積もり、所有形態や提携モデルなどについて具体的な計画が求められている。RFQは将来的な提案依頼(RFP)に向けた事前選定の位置づけで、応募締切は6月26日。一方、人材育成向けRFAでは、今後4年間で最大4,000万ドルの資金を投入し、原子力産業を支える人材基盤の強化を図る。州内の技術系高校、コミュニティカレッジ、大学、業界団体、労働組合、地域団体などを対象に、訓練プログラム、実習、インターンシップ、就職支援など、人材育成を促進する事業への支援を行う。この取組みは、「ニューヨーク州の次世代原子力(NextGen Nuclear New York)」プログラムの一環として、将来の原子力産業を支える人材を州内で育成することを目指している。応募締切は7月31日。NYPAは2025年12月にカナダ・オンタリオ州のオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)との協力を発表しており、技術革新や資金調達、人材育成などの分野で連携を進めている。今回の公募はこうした取組みを補完するものであり、ニューヨーク州における次世代原子力発電の推進に必要な専門知識と準備を強化するものと位置づけている。
- 11 Jun 2026
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英ロールス・ロイス チェコと韓国のサプライヤーと戦略的提携へ
英ロールス・ロイスSMR社は5月27日、小型モジュール炉(SMR)建設プロジェクト向けの原子炉設備(Nuclear Island)の主要機器のサプライヤーとして、チェコのシュコダ(Škoda)社と韓国の斗山エナビリティ(Doosan Enerbility)社と契約したと発表した。原子炉圧力容器などの長納期機器の供給体制を早期に構築し、欧州におけるSMR事業の展開を加速する考えだ。ロールス・ロイスSMR社は、両社について、原子炉圧力容器をはじめとする原子炉設備の主要機器を世界各地の原子力発電所に供給してきた豊富な実績を有すると評価。重要機器の製造をスムーズに始められるよう、両社が設計から製造準備までを事前に進めることで、建設スケジュールの短縮につなげる方針である。同社はまた、これまでの原子力技術に加え、モジュール化や工場製造方式(ファクトリービルト)の活用により、原子力プロジェクトの進め方そのものを革新できると強調している。同社はまず、英国・北ウェールズのウィルヴァ(Wylfa)とチェコのテメリン原子力発電所サイトの隣接地へのSMR配備を計画。これらの事業を支える大規模なサプライチェーンの構築に向け、鍛造品メーカーなど幅広いサプライヤーの確保を進め、現地調達率の最大化を目指す方針だ。さらに将来的なグローバル展開も視野に、サプライチェーンの長期的なビジネス機会の拡大につなげたい考えである。同社のR. トッド・サプライチェーン担当ディレクターは、「原子力発電所建設において最重要となる長納期品目について、戦略的パートナーシップにより製造準備を前倒しできる。これにより、プロジェクトリスクを低減し、予定どおりの納入が可能になる」と述べ、今回の契約の意義を強調した。ロールス・ロイス社は2025年6月、英国初のSMR導入を目指す英政府から優先権者に選定され、同社製SMR(PWR, 47万kWe)×3基の建設を北ウェールズのウィルヴァで計画している。また、英政府系機関Great British Energy – Nuclear(GBE-N)と今年4月、SMR導入に向けた技術設計契約を締結している。さらに同月には、チェコ電力(ČEZ)とテメリン・サイトに隣接して建設するSMRプロジェクトの先行作業契約(Early Works Contract: EWC)を締結。サイト固有設計や許認可準備など、初期エンジニアリング作業を進めている。
- 09 Jun 2026
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ウズベキスタン 露製SMR初号機が着工
ウズベキスタン東部のジザク州ファリシュ地区で6月4日、ロシア国営原子力企業ロスアトムの協力により建設予定のロシア製小型モジュール炉(SMR)初号機が着工した。記念式典はウズベキスタンの建設現場とロシア・サンクトペテルブルク会場をオンラインで結んで開催。ロシアのサンクトペテルブルク国際経済フォーラムに参加中の両国大統領の立会いの下、ウズベキスタン初となる原子力プラントの基礎工事となる初コンクリートが打設された。初打設では、133㎥のコンクリート混合土が流し込まれた。必要なコンクリート量の総体積は10,000㎥にのぼる。同国の産業・放射線・原子力安全委員会は6月4日、原子力庁(ウザトム, Uzatom)傘下の「原子力発電所建設総局」に対し、ロシア製SMR「RITM-200N」(PWR, 5.5万kWe)を採用した発電ユニットの建設許可を発給。それに先立ち、3月下旬にサイト許可が発給されている。当初、2024年5月の建設契約に基づき、RITM-200N×6基の建設を予定していたが、2025年9月、RITM-200N×2基ならびに大型炉VVER-1000×2基を建設する原子力発電所プロジェクトとし、同プロジェクトへの燃料供給も含めて合意された。低出力の先進炉と実績ある高出力の原子炉の両方が同サイトで稼働する。建設プロジェクトでは、資材供給、輸送などで地元の請負業者が施工に関与し、建設現場では15,000人の雇用が期待されている。全基稼働後には年間172億kWhを発電し、国内の電力需要の最大14%を賄う見込み。
- 08 Jun 2026
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IEA「原子力投資800億ドル超を維持 AI需要や各国支援策が後押し」
国際エネルギー機関(IEA)は5月28日公表の「世界エネルギー投資2026(World Energy Investment)」で、世界の原子力投資額が2025年に続き2026年も800億ドルを超えるとの見通しを示した。AIの普及による電力需要の増加やエネルギー安全保障への関心の高まりを背景に、各国で原子力開発を支援する政策が広がっており、IEAは原子力投資の拡大基調が続くと分析している。IEAのF.ビロル事務局長は、現在の状況について「世界はこれまで経験した中で最大級のエネルギー安全保障上の危機に直面しており、世界の投資戦略を根本的に変える可能性がある」と指摘した。そのうえで、1970年代の石油危機後に見られたようなエネルギー投資構造の大きな転換が再び起こり得る、との見方を示している。2026年の世界のエネルギー投資額は3.4兆ドルのうち、約3分の2に当たる2.2兆ドルが送電網や蓄電池、低排出燃料、原子力、再エネ、省エネ、電化などのクリーンエネルギー関連分野に向かう。一方、石油・天然ガス・石炭への投資は約1.2兆ドルにとどまる見込みである。再エネへの投資額は、2026年に約6,650億ドルに達すると見込まれており、このうち太陽光発電向けが約3,650億ドルを占める。再エネ投資の伸びは、ここ数年の急拡大を経て鈍化しているものの、世界の発電分野への投資全体に占める低排出電源の割合は、依然として7割を超えている。原子力投資額は2025年に続き、2026年も800億ドルを超える見通しだ。現在、15か国で計7,800万kWが建設中であり、中国が世界の原子力投資の約3分の1を占める。IEAは、1970年代のエネルギー危機後と同様、現在の供給不安が小型モジュール炉(SMR)など、多様な原子力技術への投資拡大を後押しする可能性があると指摘。既に40か国以上が原子力導入を支援する政策を整備しており、原子力に対する評価が世界的に見直されつつあるという。IEAは報告書で、原子力投資拡大を後押しする各国・地域の政策や事業の動向についても紹介している。米国では、データセンターや人工知能(AI)による電力需要増加を背景に、テクノロジー企業による原子力開発への関心が高まっている。IEAによると、構想段階のものも含めると、新たな原子力発電設備容量は5,000万kW超に達するという。米政府も、資金面や規制面で大型炉やSMR開発への支援を進めている。一方、各炉型の規制面での進展度には差があり、米原子力規制委員会(NRC)の承認を取得しているSMRは米企業1社にとどまる。設計認証を受けた炉型も限られ、多くの契約が法的拘束力を伴わないことから、計画実現にはなお不確実性が残ると指摘している。欧州でも投資促進策が進展している。欧州委員会(EC)は最新の「原子力実証プログラム(PINC)」で、大型炉新設や既設炉改修に2050年までに累計2,410億ユーロの投資が必要と試算したほか、SMR開発向けに2億ユーロ規模の保証基金創設を発表した。英国ではロールス・ロイスSMR社の初号機建設、フランスでは総事業費730億ユーロとされるEPR2×6基の建設計画が、ともに政府支援の下で進められている。こうした動きは中国や日本、新興国にも広がっている。中国は毎年約10基の新規建設を承認しており、第15次五か年計画では2030年までに原子力発電設備容量を1億1,000万kWへ拡大する方針を掲げ、輸出も視野に入れている。日本でも原子炉の再稼働が進展しているほか、新設に向けた資金調達や投資回収などの事業環境整備の検討が進められている。さらに、これまで原子力融資に慎重だった世界銀行グループやアジア開発銀行(ADB)も方針を見直し、原子力導入検討国への支援に向けた取組みを開始した。IEAは原子力投資の拡大基調は続くとの見方を示す一方、新設炉やSMR初号機では依然として建設リスクが大きく、各国による制度支援が成否を左右すると指摘している。
- 04 Jun 2026
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増井理事長 SMRめぐる日本の役割に言及
日本原子力産業協会の増井秀企理事長は5月29日の定例記者会見で、世界各地で計画が進む小型モジュール炉(SMR)について、日本企業が部品・機器供給や設計面で重要な役割を担っているとの認識を示した。その上で、海外SMRプロジェクトへの参画は日本の原子力サプライチェーン維持につながると評価する一方、技術基盤を将来にわたって維持するためには国内での原子力発電所建設も重要との考えを強調した。増井理事長は最初に、4月に行われた原産年次大会の総括を行った。今回のテーマ、「原子力の最大限活用を支える人材戦略」を踏まえ、人材の課題に対して、産官学が一体となって取り組むべきものであるという理解を示し、人口減少の局面における省人化技術の必要性について言及した。また、初の取り組みである会員企業による学生支援キャンペーンによって100人を超える学生が年次大会に参加し、これまで以上に活気ある会場であったと語った。次に、原産年次大会の約1週間後に行われた第41回韓国原子力産業協会年次大会(KAP2026)および国際原子力産業展示会(INEX2026)への参加を報告。原産年次大会と比較して、企業が数多く出展する国際展示会の役割が強く、ロボットやVRを取り扱う企業が多かったと述べた。その後、「世界の原子力発電開発の動向」に関連して、世界各国におけるSMR開発・導入の動向について説明した。各国のSMRを取り巻く状況や日本企業が関わっているBWRX-300 やVOYGR などが各地で採用されていることに触れ、原子力利用国が約30か国なのに対し、約20か国がSMRについて何らかの検討を進めていることに触れ、その注目度の高さを評価した。会見後半、記者との質疑応答ではSMRと日本の関わりについての質問が相次いだ。その中で増井理事長は、日本企業が関与している海外のSMR について、短期的な視点と中期的な視点があると言及。短期的な視点としては、日本から部品や機器を供給する機会が増えることで、日本の原子力サプライチェーンの持続可能性向上につながるのではないかと述べた。例としてGE ベルノバ日立製のSMRについて挙げ、計画されている数百億ドル以上の投資額が実現すれば、日本の産業界に大きく貢献する可能性を指摘した。中期的には、海外で運転実績を積んだSMRが日本に逆輸入される可能性に言及した。また、日本企業のSMRの関わりについては、主要な案件としてBWRX-300(GVH)、VOYGR(NuScale Power)、SMR-300(Holtec International)を挙げ、設計の一部と、部品・機器のサプライヤーとして関わっている現状を説明。一方でその影響について、日本の技術基盤を維持するためには海外案件への参画だけでなく、国内での原子力発電所建設も重要であると訴えた。国が将来の原子力発電の見通しを示す意義についても触れ、国民に分かりやすい形で、いつまでにどの程度必要なのかを示すことは、国民への強いメッセージになるとともに、原子力産業にとっても将来への展望を示すことにつながるとの考えを示した。
- 02 Jun 2026
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WENRA 原子力商船の規制枠組み整備を提言
西欧原子力規制者協会(WENRA)は5月13日、原子力推進を利用する商船について、各国で一貫した安全審査を可能にする国際的な規制枠組みが必要だとする声明を発表した。国際海事機関(IMO)が「原子力商船の安全コード(Code of Safety for Nuclear Merchant Ships)」の改定に着手する方針を示したことを歓迎しつつ、国際原子力機関(IAEA)との緊密な連携を求めた。同コードは1981年に策定されたもので、当時の主流であった加圧水型炉(PWR)を前提としている。その後、気候変動対策への関心の高まりや、小型モジュール炉(SMR)、高温ガス炉、熔融塩炉など先進炉の開発が進展したことから、現行コードでは新技術への対応が十分ではないとの指摘が出ている。IMOは2025年6月、同コードが時代遅れとなっており、先進的な原子力技術の船舶利用に向けた障害となっているとして、改定を進めることで合意している。一方、IAEAは、商船や浮体式原子力発電所など海上での民生用原子力技術の安全・セキュリティ・保障措置に関する枠組みづくりを目的とした「ATLAS(Atomic Technologies Licensed for Applications at Sea)」プロジェクトを立ち上げる予定。WENRAは、IMOによるコード改定とIAEAのATLASの整合性は不可欠とし、改定後のコードを最新のIAEA安全基準に沿ったものとするよう求めている。WENRAは、海上での原子力利用には、陸上の原子力施設とは異なるリスクが伴うと指摘。特に、開発中の炉型には技術成熟度に差があることから、原子炉設計、安全解析、事業者の能力が十分に成熟していることが確認されない限り、海上利用を認可すべきではないとの考えを示した。そして、商船は国境を越えて運航されるため、各国ごとにばらつきのある規制ではなく、国際的に調和した安全要件の整備が不可欠だとしている。そのうえでWENRAは、IMOに対し、IAEAと連携しながら安全目標を明確化し、各国当局が原子力推進船の航行認可を判断する際に活用できる、包括的で詳細な安全要件をコードに盛り込むよう促した。WENRA加盟国も、それぞれの専門分野でコード改定に協力していく方針を示している。
- 25 May 2026
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韓国 米原子力企業と連携強化
韓国では、米原子力関連企業との協力拡大の動きが相次いでいる。韓国水力・原子力(KHNP)は、米国の原子力発電運転会社であるサザン・ニュークリア社と覚書(MOU)を締結し、原子力エンジニアリング体制の強化に乗り出す。一方、小型モジュール炉(SMR)開発企業の米ニュースケール・パワー社は、米国の原子力セクターへの投資の可能性について、韓国政府との協議が進行中であることを明らかにした。KHNPは5月12日、韓国・慶州にあるKHNP本社にて、サザン・ニュークリア社と、原子力発電所の運転、設備の保守・点検、設備信頼性およびエンジニアリング全般にわたる協力体制の構築を目的とする覚書を締結した。両社は今後、技術交流プログラムの運営、ワークショップや良好事例の共有などを通じてパートナーシップを強化し、エンジニアリング能力の向上と運転パフォーマンスの改善を図る方針。KHNPのY. キム・エンジニアリング本部長は、「当社のエンジニアの視野を世界へと広げ、国内の技術体制を飛躍的に強化する契機になると期待している」とし、「今後も海外の運営会社や国際機関と緊密に協力し、韓国型エンジニアリング体制の完成に向けて尽力する」と述べた。一方、ニュースケール・パワー社は、5月7日に開催した2026年第1四半期の決算説明会で、今年3月に韓国国会で承認された米国に対する総額3,500億ドル規模の戦略的投資公約に言及。同社のJ. ホプキンスCEOは、同公約のうち2,000億ドルが、両国間の経済的結びつきの強化と関税の引き下げを目的に、小型モジュール炉(SMR)を含む原子力の新規建設、AI、半導体などの分野に充てられるとし、前週にワシントンD.C.で韓国政府と行った協議において確認されたと説明した。R. ハマディ最高財務責任者(CFO)は、韓国および日本の企業が出資者やサプライチェーンパートナーとなり、長きにわたり非常に強固な関係を築いてきたと補足し、プロジェクトにおいて出資面でも重要な役目を果たしうるとの考えを示した。
- 20 May 2026
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