■原子力政策推進活動
|
□「原子力新年の集い」で、今井会長が所信表明
|
当協会は6日、「原子力新年の集い」を東京プリンスホテルで開催、協会会員企業、関係機関等から、約1,400人が参集し、新しい年の幕開けを祝いました。
最初に、主催者として挨拶に立った今井敬会長(=写真)は、昨年の4月の原産年次大会、7月の洞爺湖サミットにおいて、福田前首相が『原子力発電こそ地球温暖化防止の切り札』と位置づけたことを振り返るとともに、「本年の早い時期に柏崎刈羽をはじめとする現在停止中の原子力発電所が再稼働し、日本の稼働率が60%という惨めな状態ではなく、世界各国の80〜90%という数字に到達することを心から願っている」と挨拶。また、六ヶ所再処理工場の稼働や「もんじゅ」の再稼働に期待を示し、我が国の原子力産業の国際関係についても、原産協会として応援していく、との決意を表明しました。
|
約1,400人の参加を得て開催された
|
塩谷立・文部科学大臣
|
野田聖子・科学技術政策担当大臣 |
来賓として出席いただいた塩谷立・文部科学大臣は、「資源に乏しい我が国では、原子力政策が環境の面でも、基幹電力としても必要不可欠なもの」と述べた上で、「もんじゅ」の運転再開やITER計画推進を通じた核融合の研究開発を推進していく方針を表明されました。
野田聖子・内閣府特命大臣(科学技術政策担当)は、昨年、浜岡原子力発電所を視察したことを紹介。「我が国の持つ原子力の技術の高さを実感した」との感想を述べ、政府としても、我が国の原子力産業の国際展開に貢献できるよう支援していきたい、との姿勢を示されました。
また、吉川貴盛・経済産業副大臣は、「近年、原子力政策を取り巻く状況は、歴史的な大転換期を迎えている」と述べ、日本のエネルギー政策の鍵は原子力が握っており、今後も、国民の声に耳を傾けながら、原子力の着実な推進に全力を尽くす、との決意を示されました。
恒例の乾杯は、森詳介・電気事業連合会会長の音頭で行われ、同会長は、そのなかで「原子力の安全・安定運転・燃料サイクルの確立に向けて精一杯努力する」と挨拶されました。
|
□「量子放射線利用普及連絡協議会」第8回会合を開催
|
当協会は12月16日、都内で「量子放射線利用普及連絡協議会」第8回会合を開催し、放射線利用の商品化に成功した例について(株)環境浄化研究所の須郷高信氏より、ベンチャー企業を成功に導くための必要な支援について(株)大和総研の土屋秀文氏より講演をしていただき、今後のベンチャー企業化へのノウハウの一端を学びました。
〈講演要旨〉
|
(1)「ベンチャー企業の勧め〜放射線を利用したベンチャー企業設立・運営の課題と将来展望〜」
株式会社環境浄化研究所 社長 須郷高信 氏
放射線グラフト重合技術を「暮らしに役立つ放射線」というキーワードで使えないかを探り、高齢化社会に適応した生活福祉関係製品に応用することとした。最初に老人ホーム向けの消臭カーテンと消臭シーツに適用し、その後各種の介護関係の製品を製造販売している。別の用途として、細菌やウイルスに対して殺菌効果があるヨウ素錯体を添着した風邪対策マスクを実用化している。大手企業が手を出さないニッチな分野で多種用途の製品を出している。
店頭販売の経験で、奥様方は放射線に対する認識度が極めて低い。測定器による照射後繊維に残留放射能がないことを実演し、放射線照射の原理や作用を根気よく説明することによって、害がないことが解ると消臭機能が優れた製品として購入されていく。放射線理解活動には、時間をかけて納得されるように説明をしていくこと、理論的な広報ではなく、実感できる広報が必要ではないか。
今後は放射線グラフト重合技術の応用として、工業廃水や汚染土壌、鉱山廃水中の重金属分離など、環境浄化技術に寄与していく。
|
(2)「先端技術だけではベンチャーは成功しない〜ベンチャー支援とは何か?〜」
株式会社大和総研 経営コンサルティング部次長・シニアコンサルタント 土屋秀文 氏
ベンチャーが投資ファンドなどの機関投資家から資金調達をするには、彼らが納得できる事業計画、5・10年後に投資リスクに見合ったリターンが得られるようなスキームや試作品の提示が必要である。優れた技術だけではベンチャーが存続することは難しく、市場ニーズにマッチした商品やサービスを適切な価格で提供することが必要である。
機関投資家がベンチャーを評価する際に、@ひと(人材)、Aもの(コア技術)、Bかね(資金)の3点が重要なポイントとなる。これまでの事業実績や潜在能力から今後の成長の可能性の成否を見極める。現時点で赤字でも将来莫大なキャッシュフローを生み出す期待があれば投資対象となり得る。
急成長が期待できるベンチャーのビジネスモデルとして、高い市場ニーズがある(又は見込まれる)商品かサービスであることを前提に、@ベンチャーの限られたリソースを有効活用した事業であって、A技術やノウハウの独自性が高く真似をされにくく、B大手企業から見て市場規模が小さい隙間市場(ニッチ市場)への参入が挙げられよう。
大学や公的研究機関での研究成果(先端技術)を社会に還元するには、株式公開(IPO)を目指せるような有望なベンチャーを作っていくことが望まれる。このため、ベンチャーに必要なリソースを十分に投入できる体制を構築することが大切である。
|
□原産イノベーション・セミナーを開催します−参加者募集中
|
当協会は2月27日、東京千代田区の経団連会館で「原産イノベーション・セミナー」を開催します。このセミナーは協会の会員組織を対象とする有料セミナー。「巨大複雑系システムの信頼性を如何に高めるか」をテーマに、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の立川敬二理事長(=写真)を講演者に迎えるほか、山脇道夫東京大学名誉教授をコーディネーターとして、会場とのディスカッションの時間も設けます。
立川理事長は、「原子力も宇宙開発も、集中巨大型産業という点で共通している」と指摘。通信業界から宇宙へ華麗なる転身を遂げ話題を呼んだ同理事長の、異分野ながら常に最先端分野を牽引してきた経験から、原子力産業界にも有益な示唆がもらえるとの期待が高まります。
山脇名誉教授は、「ディスカッションの時間が足りなかった前回の反省から、今回はたっぷりとディスカッションの時間を設ける。多くの中堅、キーマンや第一線の方々に、参加してもらいたい」と意欲を示しています。
セミナーは定員100名。参加費は、会員3,000円、会員外5,000円。参加希望は原産協会企画部までメールまたはFAXでお申し込みください。(innovation@jaif.or.jp、FAX:03-6812-7110)
|