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原産協会メールマガジン 1月号
2009年1月26日発行
Index
■原子力政策推進活動
 □原子力新年の集い」で、今井会長が所信表明
 □量子放射線利用普及連絡協議会」第8回会合を開催
 □原産イノベーション・セミナーを開催します−参加者募集中
■国際協力活動
 □原産協会HPに「躍進するアジアの原子力」サイト立ち上げ
 □1月7日付毎日新聞2面「アメリカよ 新ニッポン論(4)」についてのコメント
■ホームページ・動画の最新情報
 □原産協会HP(一般向け)の更新情報
 □動画配信
 □会員向けHPの更新情報
 □英文HPの更新情報
■原産協会役員の最近の主な活動など
■原産協会入会のお知らせ
■げんさんな人達(原産協会役・職員によるショートエッセイ)


■原子力政策推進活動

□「原子力新年の集い」で、今井会長が所信表明

 
 当協会は6日、「原子力新年の集い」を東京プリンスホテルで開催、協会会員企業、関係機関等から、約1,400人が参集し、新しい年の幕開けを祝いました。

 最初に、主催者として挨拶に立った今井敬会長(=写真)は、昨年の4月の原産年次大会、7月の洞爺湖サミットにおいて、福田前首相が『原子力発電こそ地球温暖化防止の切り札』と位置づけたことを振り返るとともに、「本年の早い時期に柏崎刈羽をはじめとする現在停止中の原子力発電所が再稼働し、日本の稼働率が60%という惨めな状態ではなく、世界各国の80〜90%という数字に到達することを心から願っている」と挨拶。また、六ヶ所再処理工場の稼働や「もんじゅ」の再稼働に期待を示し、我が国の原子力産業の国際関係についても、原産協会として応援していく、との決意を表明しました。

  



約1,400人の参加を得て開催された


塩谷立・文部科学大臣


野田聖子・科学技術政策担当大臣

 来賓として出席いただいた塩谷立・文部科学大臣は、「資源に乏しい我が国では、原子力政策が環境の面でも、基幹電力としても必要不可欠なもの」と述べた上で、「もんじゅ」の運転再開やITER計画推進を通じた核融合の研究開発を推進していく方針を表明されました。

 野田聖子・内閣府特命大臣(科学技術政策担当)は、昨年、浜岡原子力発電所を視察したことを紹介。「我が国の持つ原子力の技術の高さを実感した」との感想を述べ、政府としても、我が国の原子力産業の国際展開に貢献できるよう支援していきたい、との姿勢を示されました。

 また、吉川貴盛・経済産業副大臣は、「近年、原子力政策を取り巻く状況は、歴史的な大転換期を迎えている」と述べ、日本のエネルギー政策の鍵は原子力が握っており、今後も、国民の声に耳を傾けながら、原子力の着実な推進に全力を尽くす、との決意を示されました。

 恒例の乾杯は、森詳介・電気事業連合会会長の音頭で行われ、同会長は、そのなかで「原子力の安全・安定運転・燃料サイクルの確立に向けて精一杯努力する」と挨拶されました。




□「量子放射線利用普及連絡協議会」第8回会合を開催


 当協会は12月16日、都内で「量子放射線利用普及連絡協議会」第8回会合を開催し、放射線利用の商品化に成功した例について(株)環境浄化研究所の須郷高信氏より、ベンチャー企業を成功に導くための必要な支援について(株)大和総研の土屋秀文氏より講演をしていただき、今後のベンチャー企業化へのノウハウの一端を学びました。

 
〈講演要旨〉

(1)「ベンチャー企業の勧め〜放射線を利用したベンチャー企業設立・運営の課題と将来展望〜」
株式会社環境浄化研究所 社長 須郷高信 氏


 放射線グラフト重合技術を「暮らしに役立つ放射線」というキーワードで使えないかを探り、高齢化社会に適応した生活福祉関係製品に応用することとした。最初に老人ホーム向けの消臭カーテンと消臭シーツに適用し、その後各種の介護関係の製品を製造販売している。別の用途として、細菌やウイルスに対して殺菌効果があるヨウ素錯体を添着した風邪対策マスクを実用化している。大手企業が手を出さないニッチな分野で多種用途の製品を出している。
 店頭販売の経験で、奥様方は放射線に対する認識度が極めて低い。測定器による照射後繊維に残留放射能がないことを実演し、放射線照射の原理や作用を根気よく説明することによって、害がないことが解ると消臭機能が優れた製品として購入されていく。放射線理解活動には、時間をかけて納得されるように説明をしていくこと、理論的な広報ではなく、実感できる広報が必要ではないか。
 今後は放射線グラフト重合技術の応用として、工業廃水や汚染土壌、鉱山廃水中の重金属分離など、環境浄化技術に寄与していく。


(2)「先端技術だけではベンチャーは成功しない〜ベンチャー支援とは何か?〜」
株式会社大和総研 経営コンサルティング部次長・シニアコンサルタント 土屋秀文 氏


 ベンチャーが投資ファンドなどの機関投資家から資金調達をするには、彼らが納得できる事業計画、5・10年後に投資リスクに見合ったリターンが得られるようなスキームや試作品の提示が必要である。優れた技術だけではベンチャーが存続することは難しく、市場ニーズにマッチした商品やサービスを適切な価格で提供することが必要である。
 機関投資家がベンチャーを評価する際に、@ひと(人材)、Aもの(コア技術)、Bかね(資金)の3点が重要なポイントとなる。これまでの事業実績や潜在能力から今後の成長の可能性の成否を見極める。現時点で赤字でも将来莫大なキャッシュフローを生み出す期待があれば投資対象となり得る。
 急成長が期待できるベンチャーのビジネスモデルとして、高い市場ニーズがある(又は見込まれる)商品かサービスであることを前提に、@ベンチャーの限られたリソースを有効活用した事業であって、A技術やノウハウの独自性が高く真似をされにくく、B大手企業から見て市場規模が小さい隙間市場(ニッチ市場)への参入が挙げられよう。
 大学や公的研究機関での研究成果(先端技術)を社会に還元するには、株式公開(IPO)を目指せるような有望なベンチャーを作っていくことが望まれる。このため、ベンチャーに必要なリソースを十分に投入できる体制を構築することが大切である。



□原産イノベーション・セミナーを開催します−参加者募集中


 当協会は2月27日、東京千代田区の経団連会館で「原産イノベーション・セミナー」を開催します。このセミナーは協会の会員組織を対象とする有料セミナー。「巨大複雑系システムの信頼性を如何に高めるか」をテーマに、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の立川敬二理事長(=写真)を講演者に迎えるほか、山脇道夫東京大学名誉教授をコーディネーターとして、会場とのディスカッションの時間も設けます。

 立川理事長は、「原子力も宇宙開発も、集中巨大型産業という点で共通している」と指摘。通信業界から宇宙へ華麗なる転身を遂げ話題を呼んだ同理事長の、異分野ながら常に最先端分野を牽引してきた経験から、原子力産業界にも有益な示唆がもらえるとの期待が高まります。

 山脇名誉教授は、「ディスカッションの時間が足りなかった前回の反省から、今回はたっぷりとディスカッションの時間を設ける。多くの中堅、キーマンや第一線の方々に、参加してもらいたい」と意欲を示しています。

 セミナーは定員100名。参加費は、会員3,000円、会員外5,000円。参加希望は原産協会企画部までメールまたはFAXでお申し込みください。(innovation@jaif.or.jp、FAX:03-6812-7110)

 

■国際協力活動

□原産協会HPに「躍進するアジアの原子力」サイト立ち上げ


 当協会は、各国・地域の経済情勢、エネルギー需要、電力事情を含む原子力開発の概要・歴史、原子力産業、国際協力など、原子力開発の現状をご紹介するサイトを構築しました。この目的は、アジア諸国等の原子力発電導入・推進に役立つ情報の提供や、アジア諸国とのコミュニケーションの推進をはかることにあります。第1弾として、昨年の12月に「ベトナムの原子力開発の現状」を立ち上げ、他の国・地域についても順次、情報を提供していく予定です。

 詳しくは、原産協会HP http://www.jaif.or.jp/ja/asia/index.html をご覧下さい。


□1月7日付毎日新聞2面「アメリカよ 新ニッポン論(4)」についてのコメント


 当協会は、1月7日付毎日新聞の2面「アメリカよ 新ニッポン論(4)」の記事に対し、下記のコメントを当協会ホームページ(http://www.jaif.or.jp/ja/news/2009/news_comment090108.html)に掲載(1/8)しました。

 標記記事中に、服部拓也・日本原子力産業協会理事長がスピーチの中で、「『インドに協力できない』と明言」との記述がありますが、インド原子力学会における服部理事長のスピーチ内容は、「インドとの政府レベルの原子力協力協定がない状況の中で、具体的な協力について議論できる段階ではない。まずは産業界レベルで直接会ってコミュニケーションすることによって信頼を醸成することが大切であり、それが将来につながっていくものと考える」との趣旨です。

■ホームページ・動画の最新情報

□原産協会HP(一般向け)の更新情報 ( http://www.jaif.or.jp/

・会員専用ホームページの動画配信に『第14回レポート 原子力新年の集い・原子力産業セミナー2010』を追加
(1/15)
・『エネルギーに関する意識調査の概要パンフレット』を掲載 (1/13)
・会員専用ホームページに【日本の原子力発電所の運転実績】12月分データを掲載 (1/13)
・『オバマ政権の原子力政策と、関係機関からの政策提言(原産新聞12/18日号からの抜粋)』を掲載 (1/9)
・『1月7日付毎日新聞2面「アメリカよ 新ニッポン論(4)」についてのコメント』を掲載 (1/18)
・会員専用ホームページに「カザフスタン共和国の原子力関係資料」(16日開催の同国関係者との懇談から)を掲載 (12/25)
・高レベル放射性廃棄物処分シンポジウム概要報告を掲載 (12/24)

□動画配信 ( http://www.jaif.or.jp/ja/jaiftv/index.html )

*リポート 原子力新年の集い
        原子力産業セミナー2010 (1/15配信)

□会員向けHPの更新情報( https://www.jaif.or.jp/member/login.php )

・【日本の原子力発電所の運転実績】12月分データを掲載(1/13)

□英文HPの更新情報 ( http://www.jaif.or.jp/english/index.html )

 ・Atoms in Japan (AIJ) : 週刊英文ニュース(11本 12/26-1/26)

■原産協会役員の最近の主な活動など

[服部理事長]
 1/11(日)〜1/14(水)   WNA GSG会合出席(於:ロンドン) 

◇役員の雑誌等への寄稿、インタビュー掲載記事◇

○服部理事長
 ・毎日新聞 2009年1月7日朝刊
  インタビュー記事「アメリカよ 新日本論C 〜原発ビジネス 反核世論とのはざまで〜」
     
 ・原子力Eye 2009年2月号
  インタビュー記事「インド原子力学会年次大会に出席して」

■原産協会入会(2008年12月〜2009年1月)のお知らせ

・福田工業(株)


■げんさんな人達(原産協会役・職員によるショートエッセイ)

 「いのち短し」

 

 ♪いのち短し 恋せよ乙女 朱き唇 褪せぬ間に 熱き血潮の 冷えぬ間に 明日の月日は ないものを♪

 この詩(うた)、好きだなぁ。
 
 ところで、「あなたはあと6ヶ月の命です」と宣告されたら、残りの人生、何をしたいと思いますか?唐突にこのようなシリアスな問いかけですみません。でも、誤解しないで下さい。深刻な病の話をしようというわけではありません。実は、この間、新橋から稲毛へ向かう電車に乗って、車窓を流れゆく景色を眺めていていたら、ふと思いついたのです。勿論、目前に迫り来る死の恐怖は一時も頭から離れることはないと思いますし、徐々に体を蝕む病のせいで体調が万全ではないことは十分考慮に入れなければいけませんが、この際それらは一切無視して考えないこととしたらという前提です。

 最初私の脳裏を掠めたのは、豪華客船の船旅でのんびりと世界旅行を楽しむということでした。他には、都会の喧騒を離れ郷里に帰って晴耕雨読を楽しむというのもいいかなとも。あるいは、金に糸目をつけずに飲む・打つ・買うの遊興三昧。というのもありかも…。とにかく、普段から制約を受けているしがらみを解き放ち自由気ままに過ごすこと、他のもののために犠牲にしてきた時間と金を、これからは自分のためだけに使うことです。
 
 「きっと気持ちが晴れ晴れして楽しいだろうなぁ。」と考えているうち、「いや待てよ。」「ところで、船旅にせよ、晴耕雨読にせよ、遊興三昧にせよ、自分一人でやるの?」「いやー、そんなの一人でやったってつまらないに決まっている。やっぱり、家族や友達が一緒にいてこそ楽しいんだよな。」「いくら自由だといっても、一人ぼっちじゃ虚しいだけだよ。」「そもそも何にせよ、人は同じ時間、同じ感覚を共有する相手がいてはじめて楽しいとかうれしいとか、喜びを感じ、満足感を味わえるのだと思う。『友は悲しみを半分にしてくれ、喜びを倍にしてくれる』というものな。」
 
 さて、車窓の外で俄かに掻き曇って来た空に訪問先までの途を案じつつ、このような自問自答の妄想に耽っていたわけですが、そのうちさらに妄想を膨らませて、「残りの人生を自分のためだけの時間に費やして果たして何が残るのだろうか?」ということに考えが及びました。例えば、画家、写真家、作家、音楽家などの芸術家であれば、生きている間に、自らの作品を残すことが出来るであろうし、その作品に対し世間の多くの人に価値を見出してもらえるものとなることも可能であります。しかし、そのような非凡な才能を持った人種は社会の一握りにしか過ぎません。平々凡々な一介の勤め人である自分が、例え映像や写真、文書などで記録を残したとしてもそれがどれほどのものでしょう?

 それよりもほんの些細なことでもいいから自分の愛する家族や友のために何かしてやれることをやってあげた方がいいのではないか?困っていることの手助けや、相手に心から感謝されるようなことをです。そうすれば、自分の死後もそれらは相手のもとで自分の成果となって残されていくことになるわけで、それこそが自分にとってのこの世の足跡となるのではないでしょうか。このような行動は、おそらく別の言葉で置き換えるとすれば、身近な人への愛情表現ということになろうかと思います。
 
 私は、「愛している」(ちょっと照れるなぁ)とは究極的には、「相手の喜ぶ顔をみたい」、「楽しんでもらいたい」、「幸せになってもらいたい」と願う気持ちのような気がします。すなわち、そこには常に「相手」があり、「反応」が存在している。「無償の愛」なんていうのは嘘っぱちで、そもそも、「愛する」ということは、相手の反応なしに有り得ないのではないでしょうか?愛情を注がれれば、人間は勿論、動物でも当然何らかの自分の意志を伝えてくるであろうし、植物はやや反応は鈍くてもやがて成長し花を咲かせ実をつけてくれるものです。道端の石ですらも愛情をもって手をかけて磨いてやれば鮮やかな光沢を放つものです。つまり、愛情を注ぐ相手の喜ぶ反応を認識することこそが自分にとっての愛と感じるのだと考えます。

 こう考えてくると、結局は「家族などのために犠牲にしてきた時間と金をこれからは自分のためだけに使う」という選択でなく、「自分の愛する家族や友のために何かをしてやる」ということの方の重要性がよく理解できます。いや、これは愛する人のためだけではなく、他人でも同様です。困っている人に手を差しのべてやること、そこに自分の生きた証が財産として残されていくことになるのです。余命半年に限らず、これを常日頃から心掛け実践していくことが出来れば、どんなに充実した人生の過ごし方が出来ることでしょう。

 解がみつかって何となく納得したような気持ちになり、「でも、なかなか、聖人君子ででもなければ、実際のところは言うは易し、行なうは難しだろうな」と考えつつ、電車を降りて、稲毛駅の改札を出たら、先程の空が嘘のように晴れわたっていました。    (by「ゴンドラ」)


 

◎「原産協会メールマガジン」2009年1月号(2009.1.26発行)

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