□第58回原産協会通常総会を開催、副会長に佃和夫・三菱重工業会長を新任
日本原子力産業協会は6月20日、日本工業倶楽部で第58回通常総会を開催しました。平成19年度事業報告・収支決算案、平成20年度事業計画・収支予算案の承認に加え、役員の任期満了に伴い、新役員が選任されました。今井敬会長、服部拓也理事長の再任および、秋元勇巳副会長の退任と、後任に佃和夫三菱重工業会長の就任が承認されました。また、石塚昶雄、八束浩・両常勤理事ほか10理事、2監事が再任されました。
また、新任の理事には、大前孝雄・三井物産常務執行役員、北村光一・三菱原子燃料社長、草間朋子・大分県立看護科学大学学長、羽生正治・日立GEニュークリア・エナジー社長、山名元・京都大学原子炉実験所教授の5氏が選任されました。
再任の理事は、浅野晴彦・中部電力副社長、石塚昶雄・原産協会常務理事、井上裕・三菱重工業執行役員原子力事業本部副事業本部長、岡ア俊雄・日本原子力研究開発機構理事長、河瀬一治・全国原子力発電所所在市町村協議会会長、兒島伊佐美・日本原燃社長、佐々木則夫・東芝執行役専務、鳥井弘之・日本経済新聞社社友、並木徹・エネルギー総合工学研究所副理事長、葉山莞児・日本土木工業協会会長、森本宜久・電気事業連合会副会長、八束浩・原産協会常務理事。また、監事として、伊藤範久・電気事業連合会専務理事、早野敏美・日本電機工業会専務理事が再任されました。
総会の冒頭、今井敬会長は「世界の原子力ルネッサンスを現実のものとするため、原子力先進国であるわが国としては、官民一体となり、安全性の確保および核不拡散に配慮しつつ、原子力平和利用の発展に貢献していくことが大切」だと述べ、さらには「世界最高水準の原子力製造技術をもつ日本のメーカーが、持てる力を十分に発揮していくことが重要」と指摘しました。
総会にはまた、来賓として岸田文雄・内閣府特命担当大臣(科学技術政策)、松浪健四郎・文部科学副大臣、中野正志・経済産業副大臣が来場され、当協会への期待を示されました。
□第1回新入会員懇談会を開催
当協会は、新規に協会へ入会された会員企業の方々を対象に東京・経団連会館で5月27日、新入会員懇談会を開催しました。協会として初の試みとなる同懇談会には、21社から26名の参加をいただき、主な協会活動として、@世界の原子力発電の最新動向、A原子力人材育成への取り組み――の2つをテーマに、それぞれ当協会の担当者が報告、質疑等を行いました。
服部理事長は開会挨拶の中で、@協会ウェブサイトの原子力ポータルサイト化、A会員のみなさんとの意見交換と協会活動への反映――を2つの柱として、顧客満足(CS)の観点から協会活動の“見える化”を推進する考えを表明。「当協会に期待すること、やりたいこと等、率直な意見や要望を頂きたい」と呼びかけました。
懇談会後は立食形式の懇親会も開催され、参加者同士や当協会役員も交え和やかに懇談。会員のみなさんから、それぞれユニークな自社PRのスピーチが行われるなど、盛会のうちに幕を閉じました。
会員の皆さんからは「協会に大いに期待している」、「頑張れ!」との暖かい励ましの声が寄せられました。当協会は今後も、こうした会員の方々との意見交換の場を設けていきます。
地震のセッションでは、服部拓也・当協会理事長が座長を務め、東京電力から、設計用限界地震を大きく上回った新潟県中越沖地震の地震動の状況や、安全上重要な設備において機能が喪失することなく耐震安全性が確保されたことなどを含む発電所の状況、地震後の対応状況の報告がありました。
さらに、EPRIからEPRIが独自に実施した柏崎刈羽原子力発電所のピアレビューの報告と日米の耐震設計の比較、EDFから配管系の設計余裕、IAEAからSafety Guideの策定状況、NRCから最近の地震に関する検討状況の発表がありました。
本国際会議には、世界40カ国以上の国から733名の機械工学、原子力工学に関する研究者、技術者が多数参加し、特別講演やパネル会合、620 編の論文発表が実施されました。
ロードマップ作業会(主査:辻倉米蔵・関西電力(株)常務執行役員)から、ロードマップの基本的取組について説明があり、協議会としてこのロードマップの方向性について了承し、更に検討を進め、まとめて行くことを確認しました。
□原子力機構主催「敦賀国際エネルギーフォーラム」で、首相演説のDVD上映と人材問題でパネル展示
日本原子力研究開発機構は6月6、7日の両日、敦賀市の若狭湾エネルギー研究センターで、「敦賀国際エネルギーフォーラム」を開きました。
同フォーラムで、原産協会は原子力機構と協力し、今年4月の第51回原産年次大会における福田首相「所感」のDVDを上映(=写真右)したほか、原子力に関する人材問題への取り組みについて、パネル展示と資料配付を行いました。
1999年以来、第6回目となる同フォーラムは、「エネルギーと環境―『もんじゅ』からの提案」をメインテーマとし、地元高校生を始め、900名以上が参加しました。また会場外でも、三菱自動車の電気自動車「iMiEV」(=写真左)2台が展示され、試乗も行われるなど、来場した高校生にも「電気時代」の到来を実感させる展示が行われました。
主催者として挨拶に立った原子力機構の岡ア俊雄理事長は、7月のG8洞爺湖サミットを展望して、地球温暖化防止とエネルギーの安定供給確保が「我々人類の生存に関わる大変深刻な問題として捉えるべき」と指摘。この両課題の解決のため、脱炭素社会を目指し、徹底した省エネとともに、世界が協力して新たなエネルギー開発に取組むことが不可欠であり、「原子力は最も重要な鍵を握っている」と述べました。
□ロシア・クルチャトフ研究所のベリホフ総裁、今井会長と懇談
青森で開催された第2回ITER(国際熱核融合実験炉)理事会に出席するために来日した、ロシアのクルチャトフ研究所総裁のベリホフ総裁は、6月19日、当協会の今井会長および服部理事長と懇談しました。ベリホフ総裁は、冒頭に、「ITERは自分の30年越しの夢であり、日本に多くを期待する。これまでも経団連との会合等に多々出席したが、今井会長との会見ができなかったので、今回お会いできてうれしい」と述べました。今井会長は、ベリホフ総裁が原産協会と1993年に協力協定締結後から協力していることに感謝し、今後の日ロ協力についての支援を要請しました。また、一昨年のサンクトペテルブルグでのG8サミット以降の原子力の再評価が進んでいることに触れ、原子力発電は地球温暖化防止の切り札と語るとともに、今年、東京で開催された第41回原産年次大会に福田首相が特別出席し、原子力支持について力強い所感を行ったことを紹介しました。
ベリホフ総裁は、2000年の沖縄サミットのロシア側の準備に関わったことを披露、エネルギー問題での原子力発電の重要性を指摘しました。さらに、ロシアでは現在の原子力発電依存率16%を、今後倍にして行く方針で臨んでいるのに、世界では、同依存率が今後20年から30年くらいでもわずか15%にしかならないことに警鐘を発し、これを同じく倍にすべきと語りました。この観点から原子力発電の促進が必要であるが、それには核不拡散と安全の確保が重要で、これは技術の問題ではなく、政治的な課題であると述べました。
同総裁は、また、米国のGNEP(国際原子力パートナーシップ)などの各種構想の比較を行い、「現在、現実性の高いもののひとつが米国のGNEPだが、後発国には技術へのアクセスを禁止する不平等性の克服が課題である。この差別解消にはプーチン前大統領の国際核燃料センターが有効な面もあるが、これに加えて、さらに多くの国の参加を得るための提案をしたい」と述べ、かつて欧州の航空機産業が米国に対抗して行ったエアバス共同開発を先例とする、多くの国々の国益と企業活動の調整を原子力発電分野にも広げるため中型炉共同開発プロジェクトに関する提案を紹介しました。このプロジェクトは、IAEAのエルバラダイの選任した「20/20」という専門家によるIAEAの中長期活動方針の検討チームの中で行っていることも紹介しました。
さらにサンクトペテルブルグのサミットで、同総裁が原油の大高騰の予測を紹介したが、当時は信じる人がほとんどいなかったことも披瀝しました。また、原子力発電のみでは現在のさまざまな問題に対処はできないが、原子力発電がその大部分に対応できるとの認識を示しました。
今井会長は、原子力平和利用の重要性に触れ、日ロ間での原子力協力では、原子力協力協定の締結が不可欠との考えを強調しました。ベリホフ総裁も、同協定の締結の必要性に同意した上で、「現在のメドベージェフ大統領とプーチン首相の関係は透明性が高く、政権としては非常に安定しており、長期化すると思われる。メドベージェフ大統領は、ロシアを活性化し、民主的国家にしたいと就任演説で述べた。プーチン首相は経済運営に専念する。この観点からすると、米国のほうがロシアよりも見通しがたたないといえる」と語りました。さらに、国際核燃料センター構想がすでにカザフスタンの参加を見ていることを指摘しました。
今井会長から、ロシアの極東地域での原子力発電所建設の計画についての質問があり、ベリホフ総裁から「ニーズはあり、今後の極東地域の電力は原子力発電もその選択肢にある。国内には石炭で全部の電力を賄えるという人もいないではないが、輸送や環境の問題が大きい。欧州ロシアでは原子力発電が不可欠。極東やシベリアに30〜40万kWの炉を作ることも可能と思う」と答えました。
今井会長から、「それらの炉は国産化で進めるのか?輸出も志向しているのか?」との質問がありました。ベリホフ総裁は、「ロシアの原子力発電プラント製造技術は米国同様遅れており、20年間製造経験がない。今度日本からの設備も入れたい。原子力発電プラントを早く量産化することが大切で、それにより標準化を促進したい。しかし、現実としては、むしろ市場任せの結果、標準化とは逆行している。中国、インド、アルゼンチンの原子力発電所開発もさまざまな形をとりつつあり、標準化がむずかしくなっている。が、やがては標準化が必要になるので、それなら標準化を早いうちにするのがいい。その観点では、30〜40万kW炉の標準化が最も協調性を生みやすい。送電、資金調達の問題もクリアしやすい。原子力は他のエネルギーに比較し、燃料コストの占める割合も低い。米国ではその容量の炉なら近い将来500基のニーズがあるとの試算もある。米国、ロシア、中国、インドも市場になる。量産すればコストも安くなる。ロシアは原子力艦船で中小型炉の運転経験が6000〜7000炉・年の実績があり、貢献できる。カザフスタンはロシアとの協力に関心を示しているが、二国間でやるものではなく、国際的な大きな枠組でやるべきことであり、その土壌はIAEAのINPRO(革新的原子炉と燃料サイクルに関する国際プロジェクト)のようなところで出来つつある、日本も協力に推進してほしい」と語りました。
□第15回日仏原子力専門家会合(N−20)開催を準備
原産協会はフランス原子力庁(CEA)等と、第15回(N-20)会合を本年10月2日、3日の2日間、フランスのニースで開催することとなり、準備を進めています。
第15回会合のテーマは、前回会合からの進捗報告と両国の政策のほか、@国際状況、A高速炉開発、B燃料サイクル問題──が予定されています。
N-20会合は、世界の原子力界をリードする日本とフランスの責任ある立場の専門家が、両国の原子力開発計画、その背景となる基本方針、当面する諸課題について個人の立場で自由な意見交換を行う場として、1991年以来ほぼ毎年、日本とフランスで交互に開催され、当協会が日本側事務局を務めています。
■げんさんな人達(原産協会役・職員によるショートエッセイ)
「アフター・ファイブは別の顔」
「真夜中は別の顔」というタイトルの小説が昔、流行ったことがあったが、私の場合はもう少し穏便に「アフター・ファイブは別の顔」とでも表現しておこうか?もちろん、夜な夜な歌舞伎町辺りでサイド・ビジネスに手を出すようなアブナイ横顔を持っているわけではない。まっとうに齢(よわい)を重ねた同い年の女性なら、まずハマらないであろう「体育会系の楽器」の世界を、そして、そのスジの仲間達を持っているというだけのお話だ。打楽器の一種なので、NYのワーキング・ウーマンのサークルでは、オフィスのストレス解消の一手段として「あンのアホ上司めぇぇぇ!」とか喚きながらブッ叩いたりするらしいが、原産協会には今のところ「アホ上司」はいない・・?と思う、多分・・・。
平たく言えば「単なるシュミ」ということになるが、世の中には自分の人生の持ち時間のすべてを「ご奉公」に捧げ尽して、貴重な一生を終えてしまうヒトも多数いる。ここで重要なのは、このシュミはまず第一に「メシの種にはなりえない、『無償の愛』を捧げられるもの」でなくてはならぬ。(間違っても、地球温暖化防止に貢献したり、エネルギーの安定供給に役立ったりはシナイ)ソレに没頭している時間は至福のひととき、ハタから見たら大変な「練習」と見えるものが本人にとっては、まさに「遊び」、脳内のA10細胞からはドーパミンがどくどくとあふれ出るという類いのものだ。
私の敬愛する「ある方」に言わせると、ソレは実は(生活の糧を得るための手段である「適職」とは違って)、天が「あなたの今生の『天職』ですヨ〜」と言って与えたもうたものであり、そんな「一見、ムダに見えるもの」が意外とその人自身の心をシッカリと支えたりするのである。
仕事でミスを連発して職場には最早自分の居場所はないと感じた時、職場を離れて企業人として誰からも必要とされなくなった時、恋人とやむなく別れた時、そして家庭にあってはコドモが全員巣立って「空の巣症候群」に悩む時、「ま、いっか。私には○○がある!○○仲間の世界じゃ、私だって結構重要人物だし〜♪」と思えることが大切。そうすれば(その方の弁を借りると)、年がら年中似たような話題の飲み会に出歩いたり、未来のない不毛な恋愛関係に盲目的に突っ走ったり(笑)する必要はなくなるのだと言う。
むろん、そこまでご大層な効用があるのかどうかは私も半信半疑だが、オフィスとは違う自分の顔を持ち、無条件に愛せる世界で生き生きとした時間を過ごすことは大いに意義深いことではないだろうか。
ちなみに、楽器というシュミは、誰でも学生サンの時代に「はしか」のように罹る一過性のものと捉えられることが多く、実際、私の楽器仲間タチは皆、私より○十才も若かったりする。今だって結構な「おばはん」の私なのだが、そのうち、どこから見ても完璧な「ばーさま」となって、一緒にセッションしてくれる仲間がいなくなったとしても、やはり私は自宅の楽器セットで大好きな音源を聴きながら演奏していることだろう。
なお、原産協会の現在の定時は「午後5時30分」となっている。なので、正確な表現を心がけるのであれば「アフター・ファイブ・サーティは別の顔」としなければならないのだが、この語呂の悪さはいかがなものか?いっそ、思い切って定時を元の「午後5時」に戻すってぇのは・・・・あーっ、冗談ですぅ。ゴメンナサイ、明日もまた、頑張ってお仕事します!!(いしこ)
◎「原産協会メールマガジン」2008年6月号(2008.6.25発行)
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