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原産協会メールマガジン 10月号
2008年10月27日発行 Index■原子力政策推進活動 当協会は、元日本原子力産業会議(現:原産協会)会長であり、東大総長、原子力委員会委員長代理を歴任した、故向坊隆氏の遺功を後世に託すため、原子力分野において国際的な視野を持ち、国内外で活躍・貢献できる若手リーダーの育成を目指し、「向坊隆記念国際人育成事業」を創設しました。今後10年間にわたり、国内外派遣支援、奨学金、研究費助成、論文表彰などの人材育成支援事業を展開していく予定です。 本事業の初年度の活動として、世界原子力大学(World Nuclear University :WNU)が実施する夏季研修(Summer Institute)への日本人受講生派遣を支援します。 詳細および募集要項は、当協会HP(http://www.jaif.or.jp/ja/wnu_si/)をご覧ください。 夏季研修については、世界原子力大学HPをご覧下さい。 □高レベル放射性廃棄物処分シンポジウム―他施設から学ぶNIMBYからPIMBYへの転換―開催のご案内 当協会は12月9日に、東京・国立がんセンター国際研究交流会館で、「高レベル放射性廃棄物処分シンポジウム−他施設から学ぶNIMBY(Not in My Backyard)からPIMBY(Please in My Backyard)への転換―」を開催いたします。 高レベル放射性廃棄物の処分問題は、原子力発電が持続可能、かつクリーンなエネルギー源として確固たる位置を築くために、我々が取り組まなければならない、喫緊かつ重要な課題です。 本シンポジウムでは、高レベル放射性廃棄物と同様に立地が難しいと考えられるPCB処理施設や産業廃棄物処分場の取り組みの経験についてご講演いただき、その後のパネルディスカッションで、これら他施設立地の取り組みから何を学ぶべきかなどを中心に議論します。 詳細は当協会HP( http://www.jaif.or.jp/hlw/ )をご覧下さい。 当協会は12月13日(土)、東京・新宿エルタワー30階「サンスカイルーム」で、原子力産業の理解促進、企業の新人採用支援を目的に、大学生、大学院生、高等専門学校生を対象とした合同企業説明会方式の「原子力産業セミナー2010」を開催します。 本セミナーは、今回で3回目の開催となり、原子力ルネッサンスに伴う世界的な人材の需要増加を反映して、東芝、日立、三菱などの国内主要メーカーに加え、アレバ(仏)、テネックス(露)などの大手海外メーカーなど、45社もの国内外の原子力関係企業・機関が一堂に会し出展、学生への説明を行います。 詳細は、当協会HP( http://www.jaif.or.jp/ )をご覧ください。 当協会は9月20日から28日まで、服部郁弘・全国漁業協同組合連合会(全漁連)会長を団長とする一行8名による欧州原子力施設の立地環境調査団を派遣しました。 調査団は、オルキルオト放射性廃棄物処分場(フィンランド)とラ・アーグ再処理工場(フランス)を視察し、各訪問先では地元漁業者との懇談会も実施しました。 今回の視察は、六ヶ所村の再処理工場進捗に伴って行われたものです。
ラ・アーグ再処理施設ではα、β、γ核放射性物質の放出量が毎年減少していることもあり、フィンランドでも、いずれも原子力との共生が非常にうまくいっているとの印象を持ちました。 総合資源エネルギー調査会・原子力部会の下に「国際戦略検討小委員会」が設置され、当協会より服部理事長が委員に就任しました。 10月30日(木)開催の第1回会合から来春まで、@新規導入国等への支援のあり方、A先進原子力利用国との国際連携のあり方、B核不拡散に向けた国際的な枠組みづくりへの貢献あり方、C国際環境変化を見据えた我が国原子力産業の戦略的強化のあり方──等、わが国の原子力政策を取り巻く国際動向について分析を深めるとともに、今後の政策のあり方について議論し、報告書を取りまとめる予定としています。 地球温暖化やエネルギー資源価格高騰を背景として、原子力発電の導入・推進の流れが世界的に拡大・加速しており、3S(核不拡散、安全、核セキュリティ)の確保を大前提とした原子力利用の拡大に向けての国際的な枠組み作りへの積極的関与や、新規導入国の基盤整備支援など、マルチ・バイの国際協力を積極的に進めていくことがわが国に求められています。他方、世界的な原子力利用の拡大に伴い、核燃料需給バランスの変化やメーカー再編の進展など、わが国の電気事業者やメーカー等の事業環境・競争条件は大きく変化していくと見込まれています。このような背景から、わが国原子力産業の国際展開や技術開発等を支援し国際競争力を維持・強化していくことは、核燃料サイクルを含めたわが国原子力政策の安定的推進の観点からも一層重要な課題であるとの認識の下、同委員会は設置されました。 当協会は9月30日、「JAIF地域ネットワーク」ホームページを開設しました。「JAIF地域ネットワーク」は、全国の電源立地と消費地のオピニオンリーダーのネットワークを通じてエネルギーに対する正しい情報を共有し、ともに考え、ともに学んで、よりよい社会づくりの一助となるよう、本年6月に発足したものです。 このホームページは、「JAIF地域ネットワーク」の幹事およびメンバー相互の情報の共有、意見交換、研究の場の提供を目的としたコミュニケーションツールですが、幹事およびメンバー限定の掲示板(ログインマークのところから入ります)以外は誰でも閲覧していただけます。 今回、メッセージとして「原子力立地地点からのメッセージ ―コンセントの向こう側―」(柏崎市在住オピニオンリーダー筆)を掲載しました。このメッセージには電源立地に暮らす住民の想いがこめられています。このような想いを他の立地地域や消費地の人々に届けていき、そして、“正しい理解はまず、正しい情報から”、一人でも多くの人に正しい情報を届け、原子力に対する国民の理解促進を目指します。 詳細は、「JAIF地域ネットワーク」HP ( http://www.chiiki-jaif.jp/ )をご覧ください。 ■国際協力活動 10月4日までオーストリアの首都ウィーンで、国際原子力機関(IAEA)の第52回通常総会が、145加盟国の参加を得て開催されました。 総会会場となったオーストリア・センターのロビーでは、IAEAの活動を紹介する展示に加えて、加盟各国がブースを出展。日本からは日本原子力研究開発機構と当協会が出展しました。 当協会は、柏崎刈羽原子力発電所の耐震策や健全性評価に関するパネルを展示。また世界中の原子力発電所で活躍する日本製鋼所の部材や、伝統的な日本刀の 製造工程など、「日本のものづくり」をパネルや映像でアピールし、来場者の話題をさらいました。特に日本刀の製造工程を紹介したビデオには、人だかりが出来るほどの盛況ぶりで、初日だけでブース来場者は300名を超えました。 当協会は、昭和33年(1958年)の第2回IAEA通常総会で、「国際協力で実績ある非政府団体」として、ユネスコやILOとならんで、IAEAの「諮問的地位(Consultative Status)」を得ており、毎年のIAEA総会には役職員をオブザーバーとして派遣しております。 詳細は、当協会HP( http://www.jaif.or.jp/ )をご覧ください。 当協会は、第15回日仏原子力専門家会合(N-20)を10月2、3の両日、仏ニースで開催しました。 当協会は、原子力先進国である日本とフランスのトップレベルの専門家の率直な意見交換を図る目的で、N-20会合をほぼ毎年1回、開催しています。参加者はほぼ固定メンバーで、フランス側は原子力庁(CEA)、電力会社(EDF)、アレバなど、日本側は官民から参加しています。今年は、前回会合以降の進捗報告と両国の政策、高速炉開発、国際状況、燃料サイクル問題の4テーマを取上げました。会合は非公開ですが、2日間の会合後には、会合の概略を「共同声明」としてまとめ、公表しています。 参加者名簿、共同声明は当協会HP( http://www.jaif.or.jp/ )をご覧ください。 原産協会は日本原子力学会とともに、10月13日(祝)〜18日(土)まで、「持続可能な原子力の将来に向けた環太平洋協力」をテーマに、第16回環太平洋原子力会議(16PBNC)を青森市で開催しました。 日本、米国、韓国、中国、台湾、など19ヶ国・地域から約800人が参加し、400編のペーパーが発表され、18社がブース出展しました。青森の産業や観光を知ってもらおうと、県庁職員の方々による青森ブースも展開され、県内の原子力施設ツアーも実施しました。 公開セッションでは、京都大学山名教授が「これからの環境・エネルギーと再処理工場」と題して講演されました。また、東通村の伝統芸能「能舞」、津軽三味線の演奏なども披露されました。 PBNCは2年ごとに開催されますが、次回は、2010年、メキシコのカンクーンで開催の予定です。 □太平洋諸国の中堅指導者対象「地球環境問題とエネルギーに関する研修」を実施 我が国の放射性物質の輸送ルートである太平洋島嶼国フォーラム (PIF) 諸国・地域の人々に、我が国のエネルギー政策を理解してもらうことは、安定した輸送を行う上で大変重要なことであります。 当協会は、平成12年度より、関係機関と協力して、毎年、PIF諸国・地域の中堅指導者を招聘し、地球環境問題とエネルギーに関する討論やエネルギー関係施設の訪問プログラムを実施しています。 今年度は、10月19日〜24日、PIF諸国からの参加者14名が、都内ホテルでの研修を含め、電気史料館、東京電力の今市発電所(揚水)、千葉火力発電所、九州電力玄海発電、三菱みなとみらい技術館などを訪問しました。 オープニングセッションでは、当協会の石塚常務理事が歓迎の挨拶を述べました。石塚常務は挨拶の中で、地球温暖化は、人類全体にとって大きな問題であるが、特にPIF諸国・地域においては、温暖化による海面上昇で、島の面積が縮小、消滅するという重大な危機に直面する可能性もあり、お互いに協力してこの問題へ取り組みたい、研修プログラムに参加することにより、環境とエネルギーへの一層の理解をしてほしいとと述べました。歓迎レセプリョンでは、参加者全員がこれまでに培った友好的な関係をより深めました。 当協会の服部理事長は10月14日、ロシアからロスアトムのシェドロビツキー副総裁およびTENEXのグリゴリエフ社長が第16回環太平洋原子力会議(PBNC)に出席するために来日したのを機に、青森市内のホテルで懇談しました。 服部理事長より来年春の原産年次大会を紹介の後、シェドロビツキー氏は原産年次大会・プログラムへの高い評価と関心を示すと同時に、現在、日ロ政府間で交渉中である日ロ原子力協力協定締結について、原子力分野におけるロシアのポテンシャルが大きくなることから、ビジネス協力の提案の素案は準備されているとして、協定の早期締結に向けた原産協会の支持を要請しました。 詳細は、当協会ホームページ( http://www.jaif.or.jp/ )をご覧ください。 当協会は、台湾との間で、原子力安全に係わる情報・意見の交換ならびに原子力関係者の交流を図るため、1986年以来毎年、関係機関の協力を得て、「日台原子力安全セミナー」を、日本、台湾で交互に開催しています。 本年は、第23回日台原子力安全セミナーを12月2日、3日の2日間、台湾の原子能委員会、台湾電力公司、核能研究所、放射性物質管理局、中華核能学会との共催により、台湾で開催します。プログラム内容の検討その他セミナーの円滑な運営を図るため、日本側準備委員会(準備委員長:浅野晴彦・中部電力副社長)を設置し、台湾側と連絡を取りながら準備を進めています。 なお、本セミナーへは、一昨年同様、原産協会代表団を派遣することとし、今後参加団員を募集する予定です。 ■情報発信・出版物・会合のご案内など 原産協会は、青森市での環太平洋原子力会議(PBNC)に合わせて、10月14日(火)午後、青森県内の報道機関を招き、山名元・京都大学原子炉実験所教授(原産協会理事)と服部拓也・原産協会理事長をメインスピーカーとして、六ケ所再処理施設に関する記者懇談会を開催、青森県政記者会所属の8社の記者が参加しました。 山名教授より、六ケ所施設からの放射能放出や、ガラス固化施設のトラブルなどについて、約20分講演し、記者からの質問に答えました。記者からはガラス固化施設のトラブルに関する質問が多く出されました。 ■ホームページ・動画の最新情報 □動画配信(Jaif Tv)(http://www.jaif.or.jp/ja/jaiftv/index.html) □会員向けHPの更新情報 (https://www.jaif.or.jp/member/) □英文HPの更新情報 (http://www.jaif.or.jp/english/) ■原産協会役員の最近の主な活動など ■原産協会入会(9月〜10月)のお知らせ ■げんさんな人達(原産協会役・職員によるショートエッセイ) 昆虫少年だった私私はかって短い期間でしたが「昆虫少年」でありました。小学校の高学年から中学2年ぐらいまでの間です。小学校のころはクワガタ、カブトムシ、クツワムシなどを漁っておりましたが、中学に入ってからは捕虫網を持ち、自転車(今でいうママチャリ)を駆って野山をかけめぐり、蝶を追いかけていました。 その頃の故郷(埼玉)には雑木林がたっぷり残っていて、楢の木にいまや絶滅寸前の国蝶オオムラサキが、その巨体をひっそりと休め、その羽の光沢のある青紫色を、武蔵野の淡い光の中に、淡く光らせていたことを思い出します。夢中で蝶を追いかけて、ふと目を転ずると、突然まっ黄色の菜の花畑と緑の麦畑がどこまでも広がり、その美しさに思わず息を呑んだことも鮮明に覚えています。 その後私は別の遊びに興味を持って、蝶採りや自分が作ったその標本などはすっかり忘れてしまったのですが、大学に入ってから本物の「昆虫少年」と知り合うことになりました。その友人の家を訪れると、彼の部屋の棚にビッシリと蝶の標本が並べてありました。私が目を見張ると彼は「昔の趣味だよ」と興味なさそうに言いました。その標本の見事で美しいこと、わたしのそれとは比べ物になりません。そしてその中には私が図鑑でしか見たことのない高原のタテハ類が何種類も並べられていました。 そうなんです。吉祥寺に住んでいたお坊ちゃんは夏の間に何回も高原へ行って蝶を採取していたのです。私はもう「少年時代に昆虫採取をやっていた」などとはとてもいえなくなりました。貧乏な田舎の少年であった私と吉祥寺のお坊ちゃんは、大学時代にともに酒を呑み続け、今でも付き合いのある親友となりました。 さてその後私は大学を出て、まったく思いもかけず、原子力の世界に入ることになりました。考えてみると、原子力の世界は、雑木林の中からふと目に入った菜の花畑・・・・・息を呑むほど美しくはなかったのですが、私にとって新しい未来のような気がしたのです。 以来あっという間の40年、友とともに高原を走っている気持ちになったり、泥沼に足を取られるように、あがき苦しんだりの毎日でした。基本的には仕事にも私生活にも楽しみを見つけ、良い半生を過ごしたと思っています。みなさん、これからもよろしくね!! (いしづか のぶお) ◎「原産協会メールマガジン」2008年10月号(2008.10.27発行)
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