■原子力政策推進活動
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当協会は東京・如水会館で11月10日、原産イノベーション・セミナーを開催しました。本セミナーは協会の会員組織を対象とした有料セミナーで、山脇道夫東京大学名誉教授が発案。初回となった今回は「ポスト洞爺湖サミット:低炭素革命と原子力の役割」をテーマに、講演者に地球温暖化問題の第一人者、山本良一東京大学生産技術研究所教授を迎えました。会場は満席となり、会員のみなさんの温暖化問題に対する関心の高さが伺えました。
原子力委員会のビジョン懇座長も務めた山本教授は、さまざまな科学的根拠を提示するとともに、地球温暖化についてさまざまな議論を紹介。その上で、「IPCC第4次評価報告書の予測よりも、はるかに早く温暖化が進んでいると考えざるを得ない」と指摘し、温暖化地獄が現に迫っていると警鐘を鳴らしました。
そして、世界は低炭素経済へ向けて急速に動き出していると強調。「世界は2050年までにCO2排出量を50%削減する方向で進んでいるにも関わらず、日本はチームマイナス6%でお茶を濁している」と、より一層の環境イノベーションを追求すると同時に、廃棄物/材料/水資源などあらゆるものに環境税をかけることが有効と提唱しました。
原子力発電に対して山本教授は、「社会の疑念を振り払い、基幹電源として活用すべし」と力強く訴え、全電源の経済性や環境影響などあらゆるデータを国民の前にハッキリと並べて見せ、「国民の意志でエネルギー源を選択させることが大事」と強調しました。
また、CO2の回収貯留(CCS)技術はまだまだ未熟であると、CO2対策の困難さを指摘。一方、原子力利用分野では、放射性廃棄物の地層処分技術は明らかに確立しており、安全性も担保されているとの考えを示しました。
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会場は満席となった |
講演する山本教授 |
山本教授の講演内容の濃さに較べ、時間が2時間と少なかったため、駆け足の講演となりました。しかし、セミナー後に回収したアンケート調査結果では、「いろいろな意見がある温暖化問題を、整理して学ぶことが出来た」、「ここ1年の最新動向に接することが出来た」、「まったく新しい視点で新鮮だった」等の声が多く寄せられ、温暖化問題を体系的に学べたという面では、みなさんにご満足いただけたようです。
今後もみなさんにご満足いただけるセミナー内容を企画いたしますので、ご期待ください。
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当協会は11月17日、日米民間対話日本委員会との共催により経団連ホールで、「気候変動国際シンポジウム―エネルギー効率と革新的技術で目指す低炭素社会」を開催しました。同シンポジウムは、「2050年のライフスタイル」および「低炭素社会へむけての技術の活用」という二つの観点からの議論を通して、地球温暖化防止問題について広く一般の方々に理解していただき、具体的活動へとつなげていくことを目的に開催したもので、国内外から約300人の参加がありました。
シンポジウムでは、日米民間対話日本委員会代表委員 南直哉氏、米国商工会議所21世紀エネルギー研究所副所長 フレデリック・スミス氏(都合により来日できなくなったため代読)による開会挨拶で始まりました。続いて、衆議院議員で元環境大臣の小池百合子氏と、米国国務省国連気候変動枠組み条約特別大使のハーラン L.ワトソン氏が温暖化防止に向けた日本の役割や米国の取り組みについて基調講演を行いました。
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パネル登録風景 |
基調講演を行う小池百合子・元環境大臣 |
午後からのセッション1では、作家の神津カンナ氏をファシリテーターとして「2050年のライフスタイル」をテーマにパネルディスカッションが行われ、米国の省エネルギー連盟理事長
カテリ・キャラハン氏、デンマークのサムソ・エネルギーアカデミー所長 ゾーレン・ヘルマンセン氏、日本委員会常任委員であり東京電力顧問の桝本晃章氏、日立製作所日立グループ最高環境戦略責任者の八丁地隆氏、インドのエネルギー資源研究所エネルギー環境政策部準理事
リトゥ・マスール氏らによって、省エネ製品開発や省エネ型のライフスタイルへの転換に結びつくような発想や、技術開発についての動向などの紹介、および家庭・産業・移動手段等を総合的に変えていくエコアイランドの試みの紹介が行われました。
続くセッション2では東京大学教授の松橋隆治氏をファシリテーターに「低炭素社会に向けた技術の活用 ―原子力・再生可能エネルギーの可能性―」と題してパネルディスカッションが行われ、米国商工会議所21世紀エネルギー研究所気候変動・技術担当副所長 ステファン・ユール氏、トヨタ自動車CSR環境部理事 笹之内雅幸氏、デンマーク工科大学理事 ニールス・A・ニールセン氏、エネルギー資源研究所エネルギー環境政策部準理事 リトゥ・マスール氏らにより、既存技術普及の方策や革新的技術開発における国際協力の可能性などについて、会場からの質疑も交えて活発な議論が行われました。
最後に、日本委員会座長であり元駐米大使の柳井俊二氏が「各国それぞれの課題があるが、解決に向けてひとつの方向性が見えてきたのではないか。今後、何らかの形で民間においてこういった議論を続けていけたらありがたい」と総括し、シンポジウムが締めくくられました。
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世界原子力従事者評議会(WONUC)およびNPO法人・持続的平和研究所(IISP)主催、日本原子力学会の共催による「第13回マキシマラソン
in Japan」(組織委員長=佐々木宜彦・発電設備技術検査協会理事長)が11月4日、京都を起点に福井県高浜町までの110q区間で開催されました。マキシマラソン組織委員でもある当協会の服部拓也理事長も、門川大作・京都市長や各国参加のランナー達とともに、第1区間前半の四条大宮から二条城までの京都市内を駆け抜けました。
マキシマラソンは「原子力産業で働く仲間が、国境を越えて力を合わせ、原子力に対するポジティブなメッセージを発信しよう!」との主旨。世界各国の原子力発電所や再処理施設の第一線で働くランナー達が年1回集まり、駅伝をしながら原子力平和利用のPRを行うユニークなスポーツ・イベントです。1996年にWONUCがフランスのパリ〜ブリュッセル間(約300q)で第1回が開催されて以来、今回が13回目となり、とりわけアジアでは日本が初めての開催地となりました。
今回のコースは京都市内の四条大宮を起点として、関西電力高浜発電所がある福井県高浜町までの約110qを、各国のランナー達がメッセージの入ったバトンをつなぎ渡していくリレー形式。日本、フランス、ロシア、スイス、スペイン、ドイツ、リトアニア、ハンガリー、韓国の世界9か国から総勢約90名のランナーが参加(うち海外からは60名強)し、本イベントが世界の原子力従事者の交流の場として定着していることがうかがえました。
各国のランナーは、大会前日の三日に京都市内のホテルで行われた情報交換会および第二回原子力平和賞授与式に参加。授与式では日本の原子力平和利用の創成期に礎を築き、日本の原子力平和利用に多大な尽力を注がれた大勲位中曽根康弘・元首相(日本原子力産業協会名誉会長)が第二回目の受賞者として、その熱意と実績が顕彰されました。ランナーが持つバトンの中には、中曽根元首相直筆の原子力平和利用の願いをこめたメッセージが入っており、未来をになう高浜町の学童および生徒のみなさん、高浜発電所で働くみなさんの手元に届けられました。
また、松浦祥次郎・前原子力安全委員会委員長がスタートからゴールまでの全行程約110qを、自転車に乗りただ1人で走破されました。ゴール式典において、佐々木組織委員長から「大変感動いたしました」との紹介があり、参加者全員から暖かい拍手を受けました。
大会翌日の11月5日に各国のランナー達は、高浜小学校および中学校の児童・生徒達との交流会、高浜発電所へのテクニカル・ツアー、高浜滞在ミニツアーなどに参加し、高浜町に残る日本の伝統的な自然や生活文化、郷土料理などを楽しみました。
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服部理事長も参加 |
松浦・前原子力安全委員長 |
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当協会は9月25日〜30日、原子力発電や核燃料サイクルを中心とする世論調査「エネルギーに関する意識調査」を実施しました。全国大での調査でしたが、立地地域との違いを見ることも狙いの一つでした。たとえば、「今後も原子力発電は必要だ」と回答した人は全国で52.6%でしたが、立地地域では62.1%と有意な違いがありました。有効回答数は母集団準拠2,235サンプル、補充立地地域268サンプルです。
同調査結果は、当協会ホームページ( http://www.jaif.or.jp/ )よりご覧いただけます。
当協会はまた、同調査の一次データ集計を取りまとめたのを機に、10月28日、同調査の概要に関するプレスブリーフィング(記者懇談会)を開催し、19名の報道関係者の出席を得ました。当協会では、原子力についてその必要性、経済性、メリットなどについて、一般社会へ伝える立場である報道メディアに適切な情報を提供することとしており、今年度ではこれが三回目の開催となります。
同懇談会では、報道関係者から、「インターネット調査と電話調査や面接調査との差は検討したか」、「比較対象とする過去の調査というのはあるのか。今後どのような継続的調査を行っていく予定か」、「『原子力に対しての不安』の質問で半分の人が「不安」と回答しているが、高い数値ではないか。また行政に対する信頼感についてポイントが低い」等の質問がありました。これらを受け、担当者からは、今回が第1回目の調査であり、今後も継続的に実施しく方針であることなどを説明しました。
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