lights on with nuclear
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原産協会メールマガジン4月号
2009年4月27日発行

Index

■第42回原産年次大会

 □大会全般
 □レセプション、午餐会
 □展示

■原子力政策推進活動

 □原子力国際協力センターの設立について
 □原子力人材育成関係者協議会が報告書を公表
 □敦賀の女性グループと高レベル放射性廃棄物処分の対話集会を開催
 □インフォコム2009-原子力広報関係者連絡会を開催
 □全国中学校理科教育研究会への放射線教育支援活動
 □「JAIF地域ネットワーク第1回意見交換会」を開催

■国際協力活動

 □韓国原子力50周年式典で、当協会から盾を贈呈
 □ポーランド経済省カミエンスキー原子力エネルギー局長との懇談
 □アレバ社の広報担当者が来所
 □ロシア国際ウラン濃縮センター(IUEC)に関する講演会を開催
  

■情報発信・出版物・会合のご案内など

 □2009年版「世界の原子力発電開発の動向」を刊行
 □「食品照射のなるほど!安全ガイド」改訂版が完成
 □「輸送法令集2009年版」事前予約のご案内
 □原産協会のホームページ(HP)を4月1日、刷新

■ホームページ・動画の最新情報

 □原産協会HP(一般向け)の更新情報
 □動画配信
 □会員向けHPの更新情報
 □英文HPの更新情報
 

■原産協会役員の最近の主な活動など
■原産協会入会のお知らせ
■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【2】
■げんさんな人達(原産協会役・職員によるショートエッセイ)

本文

■第42回原産年次大会

□大会全般

 当協会は4月13日から15日、横浜市・みなとみらいのパシフィコ横浜で、第42回原産年次大会を開催し、「低炭素社会実現への挑戦──原子力は期待に応えられるか」を基調テーマに、原子力先進国、新規導入を目指す途上国から多くの発表があり、活発な意見・情報交換を行いました。大会には、日本を含む30か国・地域、2国際機関から約1,020人が参加しました。

 大会2日目には、斉藤鉄夫・環境相(=写真左)が環境相として年次大会に初参加され、「低炭素社会実現への挑戦――原子力への期待」と題して特別講演を行いました。
 その中で環境相は、原子力発電を抜きに実行あるCO2削減対策を打ち出すことは極めて困難であることを指摘。原子力発電への期待を前面に打ち出すなど、原子力関係者に直接、熱いメッセージを送りました。
 
 開会セッションでは、今井敬・当協会会長(=写真下)が所信表明を行い、石油文明から脱却を目指す「低炭素革命」の必要性を訴え、そのキーワードは「技術」にあると指摘しました。また同会長は、「待ったなしの地球温暖化問題への対応と、エネルギー安定供給確保という二つの大きな課題を同時に解決し、持続的発展の中核的な担い手となれるエネルギーは、原子力をおいて他にはない」と強調し、「原子力の重要性が世界の共通認識となり、その利用拡大に向けた大きな動きになっていくことを願ってやまない」と述べました。

 次いで、開催地を代表して松沢成文・神奈川県知事と中田宏・横浜市長から挨拶をいただきました。松沢神奈川県知事は、地球温暖化問題の解決について、「私たち一人ひとりが地球市民として、問題の深刻さに気付き、意識改革を行い、自ら主体的に行動することが重要である」と強調しました。また、中田市長は、市民一人ひとりの省エネの努力とは別に、巨大都市のエネルギー確保も重要と指摘し、「原子力をはじめとして非化石エネルギーの多様性、ベストミックスを実現し、原子力の将来も含め、低炭素社会実現に向けた実のある大会にしてほしい」と訴えました。

 原子力をめぐる国際動向については、OECD原子力機関(NEA)のルイス・エチャバリ事務局長が「原子力エネルギー・アウトルック2008」と題して長期的な展望を総括しました。
 また、「世界の安全保障と原子力」と題して、カーネギー平和財団が取りまとめた報告書「原子力ルネッサンス」について、シャロン・スクワッソーニ同財団上級研究員が講演しました。

 セッション1「原子力大国・経済大国における低炭素社会実現にむけた原子力発電への期待」では、経済発展と低炭素社会両立の観点から原子力先進六か国がそれぞれの国々における原子力の役割をレビュー、共通課題について検証しました。
 
 2日目のセッション2「世界的な原子力利用拡大のなかでの日本への期待と役割」では、アジアや産油国を含む中東、南米をはじめとする新規に原子力導入を計画する国々より、核不拡散、安全性、セキュリティの確保の観点も合わせ、各国の原子力導入政策や、日本に対する期待感を聞いた上で、今後、どのような支援を行っていくべきかなどを考察しました。

  続くセッション3「低炭素社会における原子力の役割」では、河瀬一治・全原協会長(敦賀市長)が「地域の視点からの信頼醸成」、藤垣裕子・東京大学院総合文化研究科准教授が「科学技術と社会との信頼構築に向けた専門家の役割」について基調講演した後、パネル討論が行われました。

次回大会は来年4月20~22日、松江市で開催する予定です。

セッション3のパネル風景

 
 原産協会の動画配信「Jaif Tv」が年次大会の総集編を配信しています。当協会HPからご覧下さい。( http://www.jaif.or.jp/ )

なお、NHK国際放送局(インターネットTV)が、年次大会の模様や、海外参加者および佃副会長へのインタビューを交えた年次大会特別番組を放映しています(英語)。以下のURLをご覧下さい。

Renewed Interest in Nuclear Energy
http://www.nhk.or.jp/nhkworld/english/movie/feature61.html


□レセプション・午餐会

 年次大会の歓迎レセプションが大会前日の13日夜、本会議会場に隣接するホテルで開かれ、海外からの参加者や、山内俊夫・文部科学副大臣、加納時男・国土交通省副大臣、森詳介・電事連会長、越善靖夫・東通村村長などにもご列席いただき、大会関係者が懇談の輪を広げました。

山内文部科学副大臣と今井会長 スクワッソーニ・カーネギー平和財団
上級研究員と服部理事長

NHKの取材を受ける海外からの大会参加者


 また、午餐会が15日昼、同ホテルで開かれ、元NHKのアナウンサーで早稲田大学大学院客員教授の松平定知氏(=写真右)から、「私の取材ノートから ~横浜開港150年~」と題して、本大会会場となった横浜に因み、鎖国時代の対外関係の要所であった横浜港の開港前夜の様子や、江戸城の無血開城秘話など講演いただきました。


□展示

 大会期間中、会場のロビーでは、関連の会社・機関のご協力を得て、低炭素社会の実現に欠かせない電気自動車や、地層処分等のパネル展示を行いました。

 今回、自動車メーカー4社(出展:トヨタ自動車、日産自動車、富士重工業、三菱自動車工業)の電気自動車(EV)とプラグイン・ハイブリッド車(pHV)を計4台展示。今年から発売が開始される車両、発売を目指して研究中の性能確認実験車が一堂に並び、内外の参加者の関心を集めました。








 パネル展示では、原子力発電環境整備機構、海洋生物環境研究所、福井大学の3ブースが設置され、ロビーの柱を地層処分のイメージ図に見立てた展示や、原子力施設周辺海域における環境や生物の保全についての研究成果等を紹介。また、今年4月に「国際原子力工学研究所」が設置された福井大学からは、同研究所の概要について紹介する展示がありました。


原子力発電環境整備機構


海洋生物環境研究所

福井大学
■原子力政策推進活動

□原子力国際協力センターの設立について

 当協会は、原子力関係各方面と連携して、原子力発電の新規導入国等に対する基盤整備協力を実施する中核的組織として、一般財団法人 原子力国際協力センターを設立し、3月18日より活動を開始いたしました。原子力発電新規導入に係る基盤整備等への国際協力・情報収集提供、相談窓口、専門家派遣、研修受入等を行ってまいります。
同センターの詳細については、こちらをご覧ください。

http://www.jaif.or.jp/main/ja/news/2009/new_organ_press-release.pdf

□原子力人材育成関係者協議会が報告書を公表

  当協会に設置した「原子力人材育成関係者協議会(座長:服部拓也・原産協会理事長」は、原子力人材育成の実態と課題を洗い出し、産官学の役割に応じた具体的活動について検討を行ない、産官学の取組方針及び関係機関への提言をこのほど、報告書として取りまとめました。

 ここでは、報告書概要の一部を紹介します。

 産官学の関係者が目指すべき人材育成の基本的な目標は以下の6項目です。
  ①初等中等教育段階におけるエネルギー・環境に対する理解促進
  ②原子力界の魅力の伝達
  ③産業界のニーズを取入れた大学教育の実践
  ④基盤技術分野での若手研究者の育成
  ⑤国際的に活躍できる人材の育成
  ⑥就職後の人材育成の継続

 今後、産官学の関係者が、連携して今回の報告書に取りまとめられた上記6項目の基本的な目標を達成するため、以下の具体的な取組を行い、原子力界の発展に貢献する人材が維持・育成されることを期待します。
(1)原子力産業界は、資料の配布、出前授業、施設見学会の実施、エネルギー・環境教育の実施支援等、小中高校生に対する理解促進活動を一層推進すべきです。
また、大学等との共同研究の実施、寄付講座の設置、講師の派遣、施設見学会の開催、インターンシップの実施等を、大学と連携をとりながら進める必要があります。
(2)大学等は、それぞれの特徴をいかした自主的かつ戦略的な取組を進め、他大学、産業界、研究機関等の外部リソースを積極的に活用し、また、原子力人材育成プログラムを活用して長期自立型教育研究を実現すべきです。
学生が社会に出た際に必要となる様々なスキルを習得できるよう、学生の修了条件の厳格化、博士課程の学生に対する幅広い知識や能力を習得できる教育を推進するべきです。
(3)国は、着実に成果を上げている原子力人材育成プログラムを継続することが期待されます。
 人材育成については、継続的に取り組むことが重要であり、今後も本協議会がその中核的役割を果たして行くこととしています。

 「原子力人材育成関係者協議会報告書(平成21年4月)」は、当協会のホームページ( http://www.jaif.or.jp/ )よりダウンロード可能です。

 

□敦賀の女性グループと高レベル放射性廃棄物処分の対話集会を開催

  当協会では高レベル放射性廃棄物処分について、必要性や安全性についての情報を提供し、意見交換する活動(対話集会)を実施しています。これまで59回の対話集会を実施し、延べ2,020名の方々と意見交換してきましたが、本年度からは、理解を深めるだけでなく地域で活動する方々と信頼関係が構築できるよう、心が通う対話を積み重ねていきたいと考えています。


 福井県原子力平和利用協議会(原平協)の女性グループの方々とは、3月9日に環境問題やエネルギー問題について対話集会を実施しましたが、今後、3回に分けて高レベル放射性廃棄物の処分について対話集会を実施していきます。
 4月17日は、高レベル放射性廃棄物の処分に関して1回目の対話集会でしたが、日本のような火山や地震の多いところで、本当に処分が可能なのかなど、技術的質問だけでなく、再処理工場を見学したいのだがどうすればよいのかなどの質問も出て活発な意見交換がなされました。
 地域で活動される方々と心が通う対話ができるよう、今後とも努力していく所存です。


□インフォコム2009-原子力広報関係者連絡会を開催

 当協会は、原産年次大会の開催に合わせ4月14日、原子力広報関係者の連絡会「インフォコム2009-原子力広報関係者連絡会」を、J-PARCセンター鈴木國広報セクションリーダーとヨルマ・ユリーン駐日フィンランド大使を講師に迎え、開催しました。会合には、電力、メーカー、原子力関係機関、原産協会の地方原子力懇談会などから約40名の参加を得ました。
 
 インフォコムは、欧州の原子力広報に携わる関係者が、広報に関する情報交換と、広報の手法のスキルアップを図って年に1度開催している「PIME- Public Information Material Exchange」に倣って、当協会が2008年から開催しているもので、今回が2回目となります。
 
 会合では、最初にJ-PARCセンター鈴木國広報セクションリーダー(=写真右)より、「J-PARC広報のデモンストレーションと経験について」と題する特別講演が行われました。
 鈴木氏は、大学で落語研究会に属していた経験を、年間9,000人を数えるJ-PARCセンターの見学者への説明に活かし、「名物広報マン」としてその名を馳せています。

 続いて、ヨルマ・ユリーン・駐日フィンランド大使(=写真左)より、なぜ同国の原子力に関するパブリックアクセプタンスが他の国に比べてうまくいっているのか、について特別講演が行われました。
 講演では、背景となっている10のポイントについて紹介されました。①気候変動への意識の高まり、②教育レベルが高いこと、③市民が政府に信頼感をもっていること、④技術的にも政治的にも透明性が高いこと、⑤自治体に任意性(ボランタリネス)が確保されていること、⑥35年の原子力発電の運転経験の中で事故がなかったこと、⑦トップレベルの稼働率を保っていること、⑧政治的なリーダーシップがあること、⑨すでに放射性廃棄物の最終処分の原則決定が2001年に行われたこと、⑩10年前にできた原子力法により、廃棄物の国内への持ち込み、国外への持ち出し禁止が決められていること──が挙げられました。

 会合後には、懇親会を設け、講師を交えてさらに情報交換と連携を深めました。


□全国中学校理科教育研究会への放射線教育支援活動

 平成20年の小・中学校学習指導要領改訂により、中学校の理科教育において放射線が触れられることになりました。このため当協会では、中学校での放射線教育に対する支援活動の一環として、全国中学校理科教育研究会の教員の方々を、茨城県東海村で実施された原子力体験セミナー東海コースⅡと、中部電力(株)浜岡原子力発電所に案内いたしました。
 全国中学校理科教育研究会は、中学校の理科教員による理科教育の振興と研究会相互の連携を図ることを目的とし昭和28年に結成された歴史のある研究組織です。

(1)原子力体験セミナー東海コースⅡへの参加:3月27日(金)
 全国中学校理科教育研究会の先生方と当協会関係者の9名で、原子力体験セミナー東海コースⅡに参加しました。
 「新学習指導要領の解説。そして実践のために」や「放射線を教えるための基礎知識」と題した講義を受け、施設見学として大強度陽子加速器(J-PARC)を見学しました。休憩時間には、はかるくんや簡易型放射線検出器キットを用いた簡単な実習にも参加しました。

 
(2)中部電力(株)浜岡原子力発電所の見学会:3月30日(月)
 全国中学校理科教育研究会会長の瀬田校長先生、東京都中学校理科教育研究会会長の宮下校長先生と当協会関係者の5名で浜岡原子力発電所を見学しました。
 浜岡原子力館では、展望台から発電所の全景を確認し、実物大模型の前で大画面による原子力発電のしくみの映像を見ました。実物大模型は、大変迫力がありました。
 浜岡5号機では見学者ギャラリーの窓越しに、中央操作室、原子炉建屋オペレーティングフロア、タービン建屋オペレーティングフロアを見学しました。
 原子力研修センターでは、5号機型の制御室シミュレータと失敗に学ぶ回廊を見学しました。この回廊は、先生方に好評でマイナス情報を積極的に公開することが大切である等の意見が出さました。



□ 「JAIF地域ネットワーク第1回意見交換会」を開催

 「JAIF地域ネットワーク第1回意見交換会」を第42回原産年次大会期間中、4月15日に横浜にて開催しました。原発立地地域のメンバー3人を含むネットワークメンバー17名が集まり、忌憚のない意見交換を行いました。


 JAIF地域ネットワークは昨年6月に発足し、メンバー相互の情報交換や交流を通じて正確な情報の共有を図り、意見を交換することによって社会の原子力に対する理解促進を目指し活動しています。

 発足後、初めてとなる第1回意見交換会を第42回原産年次大会期間中に横浜(同会場)にて開催しました。議題は平成20年度活動報告および平成21年度活動計画説明、またメンバーより募集したテーマの中より、「国民の合意を得るための効果のある原子力広報の仕方について」および「持続可能なネットワークづくりを進めるには」についての意見交換を行い、小学校からのエネルギー・放射線の教育の大切さやマスコミによる影響の大きさ、ネットワーク活動が具体的な成果をあげるにはどうしたらいいか等が議論されました。(メンバー構成はおもに教育関係者、消費者団体関係者、原子力推進団体関係者など、現在56名)


■国際協力活動

□韓国原子力50周年式典で、当協会から盾を贈呈

 韓国原産/韓国原子力学会主催の第24回年次大会が4月8日-10日の3日間、桜が満開のソウルのウォーカー・ヒルで開催されました。

 大会に先立ち、8日には韓国原子力50周年の式典もあり、当協会から石塚常務が出席し、記念の盾を贈りました(写真左は具・韓国原産副会長)。
 韓国原子力50周年は、韓国の原子力研究所や原子力法が制定されてから今年で50年ということです。

 翌日9日の午前のオープニングセッションでは、IAEAから谷口事務局次長はじめフランスのティボー在韓国大使、バーチルANS会長(アメリカ)、藤家洋一・前原子力委員長(日本)、フランコ・PNC副会長(メキシコ)らが講演しました。

 大会2日目には、「運転・メインテナンス」、「原子力の将来の応用」、「放射性廃棄物管理」などの8つの分科会に別れ発表があり、成功裏に終了しました。


□ポーランド経済省カミエンスキー原子力エネルギー局長との懇談

  ポーランド経済省のカミエンスキー原子力エネルギー局長を団長とする一行が、日本のエネルギー関係諸機関との意見交換を目的に来日。4月1日には当協会を訪問し、服部理事長他と懇談しました。
 
 冒頭、カミエンスキー氏は、ポーランドでは1986年のチェルノブイリ事故後、初号機建設の計画が頓挫したが、本年1月13日に、エネルギー需要の高まりから、2020年までに2基の原発を運転させることとを首相が発表し、このため今回の訪問で、人材育成、導入原子炉技術、PAの進め方等について意見交換をしたいと述べました。またポーランドも地震国であり、今後日本の優れた耐震技術から多くを学びたいと表明しました。

右手前がカミエンスキー原子力エネルギー局長

 これに対し、服部理事長は、原子力はシステムとして広範囲な分野での人材育成が求められること、ポーランドには、造船技術等で基礎的な人材の層はあるが、原子力を導入にあたり、管理者から作業員にいたるまですべての層にいかにセーフティ・カルチャーを浸透させるかが重要であることを指摘し、その一例として、当協会の安全憲章を紹介しました。

 また導入する原子力の技術の選択については、実証され成熟した技術を採用すべきこと、PAにおいては、透明性が大原則であり、原子力の安全性についてはリスクの概念を理解してもらう必要があること、さらに、原子力の平和利用を進める上で3S=Safeguards(核不拡散), Safety(安全), Security(核セキュリティ)の堅持が大切である、と述べました。

 服部理事長は、原子力発電はエコロジかつ経済的であるが、建設は5年、運転は50-80年、放射性廃棄物管理は100~1000年、あるいはそれ以上と、非常に長期的視野で考えなくてはならないこと、使用済燃料の貯蔵や高レベル放射性廃棄物の処分も透明性に配慮しながら、まずは自国で安全に貯蔵・処分する方向を考えるべきである、と述べました。

 ポーランド側の日本の原子力産業界との交流への関心については、まずはお互いのことを知るため、日本の原子力関係企業と相互訪問を考えてはどうか、当協会としても支援していきたいとし、当協会が原子力新規導入国を支援するため、官民共同のオールジャパンでの対応の中核組織である一般財団法人 原子力国際協力センターを設立したことを紹介しました。
( http://www.jaif.or.jp/main/ja/news/2009/new_organ_press-release.pdf )

 カミエンスキー局長からは、有益な意見交換ができたことへの感謝が述べられました。


□アレバ社の広報担当者が来所

 仏アレバ社傘下でプルサーマル用MOX燃料を製造しているメロックス社から、コミュニケーション・マネージャーのナタリー・ボンヌフォア氏が来日、4月6日には原産協会に来所し、原子力広報活動について服部拓也理事長と意見交換しました。

 ボンヌフォア氏は、欧州およびフランス公衆の原子力と核燃料サイクルへの態度について、欧州全体では原子力に賛成が58%、反対31%、態度未定が11%(2005年ユーロバロメーター調査)、フランスでは燃料リサイクルに賛成が77%、反対が4%、中立が19%と説明。同社としてはこのなかでも、「わからない」、「どちらかというと反対」の立場の人々を主ターゲットとして広報活動を行っていくと述べました。

 原子力の説明方法に関しては、リサイクルに対して人々にポジティブなイメージを持ってもらうために、生活に密着した言葉で説明していると強調。たとえば、燃料集合体1体で7万人分の電力を供給できること、これまで20年間に生産された高レベル廃棄物はサッカー場1か所分の面積で処分できると説明していることなどを例に挙げました。また、知事、官僚、国会議員など国を代表する人々にも常に接触して情報提供を行っているとも説明しました。服部理事長は、日本では、生活に密着した具体的な説明を用いた広報があまり行われておらず、情報共有についても、原子力産業界内でさえ十分に行われていない状況だと応じました。

 アレバ社は、原子力に関する開かれた討論の場を提供するため、2008年から「インターネット・ディベート」のホームページを開設、3か月間で43000人の訪問者があったことを披露、インターネットを用いた広報活動も盛んに行っていると説明しました。


□ロシア国際ウラン濃縮センター(IUEC)に関する講演会を開催

 当協会は4月20日、ロシアから「国際ウラン濃縮センター」の取締役会会長であるアレクセイ・レベデフ氏(=写真)を招き、同センターの現状と将来展望に関する講演会を開催しました。講演会には日本の原子力産業界、駐日大使館関係者ら、およそ100名の参加者がありました。

 同センターは、2006年に当時のプーチン大統領の提唱に端を発し、翌年、ロシアの東シベリアにあるアンガルスク市に設立されました。同センター設立の主要目的は、原子力発電を新規導入する国が増大する中、新規導入国が自国で濃縮技術を取得することによる機微技術の拡散を防止し、政治的理由による核燃料の供給停止に備えるという「燃料供給保証」を実現することです。

 IAEAの監視下で、120トンの低濃縮ウランを備蓄する燃料バンクが同センターに設置されることになりますが、レベデフ会長は、これは米国のNTI(核脅威削減評議会)の核燃料バンク構想と共存しうるものであると語りました。

 同センターは、ロシアや他の加盟国の出資からなる株式会社であり、ロシア側の株式は、ロシア政府の委託によりその管理運営を任されているテネックス社が保有、アンガルスク濃縮工場の敷地内に設立されており、そこで生産される濃縮ウランを市場価格に沿って販売し、その利益を株主に配当します。

 同センターおよびその生産ベースとなるアンガルスク濃縮工場は、すでにIAEA保障措置の対象施設となっていますが、レベデフ会長は、現在、燃料バンク設置に関するIAEAとの協定締結の準備が鋭意進められており、早ければ年内にもセンターから初出荷したいと語りました。

 他の加盟国としては、センター設立当初からのカザフスタンに加えて、現在、アルメニア、ウクライナが加盟を決定、必要な手続きが実施中です。同氏は、韓国や南アフリカ、スロバキア、ブルガリア、フィンランド等が加盟に関心をよせていると紹介し、日本に対しても、加盟を呼びかけました。

4月20日の講演会 会場風景


■情報発信・出版物・会合のご案内など

□2009年版「世界の原子力発電開発の動向」を刊行

 当協会はこのほど、2009年1月1日現在の世界の原子力発電所と核燃料サイクル施設の状況とデータをまとめた「世界の原子力発電開発の動向-2009年版」を刊行しました。
 今回、欧州での脱原発国の政策転換、米英の新規原子力発電所建設計画など、最新の世界の動きを掲載しました。

詳細は、http://www.jaif.or.jp/ja/news/2009/0904doukou.html


□「食品照射のなるほど!安全ガイド」改訂版が完成

 平成18年発行の「食品照射のなるほど!安全ガイド」の記載データを最新のデータに更新した改訂版が平成21年3月末に完成しました。

 現在、32の国・地域で40品目が実用化され、年間約40万トンが照射、利用されています。(2005年データ)原産協会ホームページより無料ダウンロードしていただけます。広報用パンフレットとしてご活用ください。
 http://www.jaif.or.jp/ja/news/2009/food-irradiation_pamph.pdf

 また、ご要望があれば印刷物を提供しております。(お問合せ03-6812-7184食品照射パンフレット担当) 


□「輸送法令集2009年版」事前予約のご案内

 当協会は、「放射性物質等の輸送法令集2009年版」の刊行準備を進めています。
本書は、核燃料物質等の運搬、放射性同位元素等の運搬、放射性医薬品の運搬など、
分野ごとの整理を行い、実務上の使い勝手を改善し、また内容の充実をはかっております。
詳細は、 http://www.jaif.or.jp/ja/book/yuso/

□原産協会のホームページ(HP)を4月1日、刷新

 当協会は4月1日付でホームページ( http://www.jaif.or.jp/ )を刷新しました。原子力のことなら何でもわかる「ニュークリア・ポータル」を目指し、原子力の紹介・解説と、最新の海外・国内の原子力ニュースを随時、提供しています。ぜひご覧下さい。

 トップページ上部には、①原子力発電②燃料サイクルと放射性廃棄物③日本の原子力政策と研究開発④原子力を支える人材⑤暮らしに役立つ放射線⑥日本と世界の原子力――の6項目の「ニュークリア・ポータル」を配置し、原子力に関する情報をお届けします。

  同じくトップページからは、国内外の原子力ニュースや、原子力産業界のプレスリリースなどの最新情報を紹介する「原子力産業プレスリリース集」をご覧いただけます。プレスリリースの詳細な内容については、各機関・各企業が掲載するそれぞれのHPへ飛ぶことができるものです。

 また、今後は、解説・コメント・コラムのコーナーにも力をいれていく予定ですので、ぜひ、みなさまからのアクセスをお待ちしております。(http://www.jaif.or.jp/)



■ホームページ・動画の最新情報

□原産協会HP(一般向け)の更新情報 ( http://www.jaif.or.jp/ )

*国内、海外ニュースは毎週更新しております。

・『【視点】低利用率は国民的損失 安全・安定運転通じ、高稼働実現を』を掲載 (4/23)
・JaifTv新番組配信のお知らせ:「第42回原産年次大会レポート」 クリックアンケートにもご協力下さい! (4/23)
 https://reg18.smp.ne.jp/regist/is?SMPFORM=pin-lhmal-14d23c4493c3c87e5698435ddcb0c4ce
・これは便利!「原子力産業プレスリリース集」(毎日更新) (4/21)
・「世界の原子力発電開発の動向2009」発売のご案内 (4/20)
・NHK国際放送局が第42回原産年次大会番組をインターネット放映のお知らせ (4/17)
・次回の第43回原産年次大会の開催について(ご案内) (4/15)
・プレスリリース「原子力人材育成関係者協議会報告書(平成21年4月)」を公表を掲載 (4/10)
・プレスリリース「世界の原子力発電開発の動向2009-世界の原子力発電所は432基・3億 9044万kWに」(4月17日刊行)を 掲載(4/10)
・2009原子力発電プラントの進歩に関する国際会議(ICAPP’09)のご案内(4/7)
・会員専用ホームページに【日本の原子力発電所の運転実績】3月分および08年度分データを掲載 (4/6)
・ロシアの国際ウラン濃縮センターの動向に関する講演会:講演内容のご紹介 (4/6)
・輸送法令集2009年版の事前予約ご案内(4/1)
・『「国と密接な関係がある」特例民法法人への該当性について(公表)』を掲載 (4//1)
・プレスリリース「第42回原産年次大会の開催について」を掲載 (3/30)
・プレスリリース「一般財団法人 原子力国際協力センターの設立について」を掲載 (3/30)
・ロシアの国際ウラン濃縮センターの動向に関する講演会開催のご案内 (3/26)


□動画配信 ( http://www.jaif.or.jp/ )

*レポート『第42回原産年次大会』(4/23配信)
*『第16回 アジア原子力協力フォーラム -活動と将来展望-』(3/16配信)

□会員向けHPの更新情報 ( https://www.jaif.or.jp/member/login.php )

 ・JaifTv 動画配信にレポート『第42回原産年次大会』を追加(4/23)
 ・【日本の原子力発電所の運転実績】3月分と2008年度データを掲載 (4/6)

   

□英文HPの更新情報 ( http://www.jaif.or.jp/english/index.html )

・Atoms in Japan (AIJ) : 週刊英文ニュース(15本 3/26 - 4/27)
 ・FOCUS (AIJ) : (2本 3/26 - 4/27)



■原産協会役員の最近の主な活動など

[石塚常務理事]
4/7(火)~4/9(木)   PNC会合および韓国原産年次大会レセプション出席(於:ソウル)

◇役員の雑誌等への寄稿、インタビュー掲載記事◇
○服部理事長
   ・電気協会報 2009年4月号
    投稿記事:シリーズ 原子力の動き「原子力ルネサンス」への道のり

■原産協会入会のお知らせ(2009年4月)

・ウェスチングハウス・インダストリー・プロダクツ
  インターナショナル・カンパニー・エルエルシー


■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【2】

原子力損害賠償に関するリスクと原賠制度の目的

 今回は、原子力損害賠償に関するリスクや原賠制度の目的についてQ&A方式でお話します。

Q1. (もし原賠法がなかったら)
もし原賠法がなければ、原子力事故の賠償はどうなりますか?


A1.
・ 多数の関係者(電気事業者等の原子力事業者、プラントメーカー、サプライヤーなど)が訴えられ、裁判が複雑化・長期化する可能性があります。
・ 巨額の賠償責任を負う会社が、その負担に耐え切れず倒産してしまう可能性があります。
・ 賠償責任を果たせず会社が倒産してしまえば、被害者は損害の補填を受けられないことになります。
・ 原子力災害はさまざまな損害をもたらしますが、被害者は、加害者の過失や事故と各損害との因果関係を1つ1つ証明しなければならなくなります。

【A1.の解説】

 「原子力損害の賠償に関する法律(原賠法)」がなければ原子力事故の場合も一般的な事故と同じ扱いになります。

 事故などにより第三者に損害を与えてしまった場合、一般的には原子力事業者もしくはプラントメーカー等が民法の不法行為法(場合によっては債務不履行)による賠償責任を負うこととなります。

 一般的に、不法行為責任の発生は4つの要件(違法性(権利侵害)、加害者の故意または過失、損害の発生、違法行為と損害の間の相当因果関係)を充足する必要があります。

 しかし原賠法があれば、発生した損害が原賠法で規定された原子力損害(注)に当たる場合に適用となり、責任の所在や不法行為の発生要件が変わってきます。

 (注)原子力損害とは・・核燃料物質の原子核分裂の過程の作用又は核燃料物質等の放射線の作用若しくは毒性的作用(これらを摂取し、又は吸入することにより人体に中毒及びその続発症を及ぼすものをいう。)により生じた損害をいう(原賠法第二条2項)。

原賠法の概要
・無過失責任と責任集中
 原子力事業者は故意又は過失がなくても原子力損害を賠償しなければなりません。また原子力事業者でない者は原子力損害の賠償責任を負いません。
・賠償措置の強制
損害賠償措置の強制により原子力事業者の賠償資力が確保されています。
・国家補償
事業者による措置でまかなえない損害や、事業者の責任範囲外の損害は国が補償します。

より詳細な解説はこちら  http://www.jaif.or.jp/ja/seisaku/genbai/mag/shosai02.pdf
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Q2. (原賠制度の目的)
なぜ原子力損害賠償制度が作られたのですか?


A2.
・ 万一原子力事故が発生した場合、巨額の賠償負担による倒産リスクを負うのでは民間企業は原子力産業に参入できません。こうしたリスクを避ける仕組みとして生まれました。
・ 原子力事業者だけが責任を負うこと(責任集中)で、原子力事業者と取引を行う企業は参入しやすくなり、また事故の際の責任の所在が明確になります。
・ 原子力事業者はあらかじめ賠償の準備(保険契約等の締結)を強制されているので、事故によって生じる巨額の損害賠償の支払いは保険金等で代替されます。
・ もし原子力事業者が賠償責任を果たせなくても、国の援助により被害者は救済を受けることができます。
・ 日本だけでなく原子力施設を持つ多くの国に、同様の原賠制度があります。原賠制度がない新規原子力導入国は、導入前に原賠制度を整備することが重要です。

【A2.の解説】
 万一原子力事故が発生すれば、周囲の人や財産に大きな損害を与えます。その加害者として、事業者は膨大な賠償金を負担することになり、たった1回の事故で原子力事業者や機器などを納めたメーカー・サプライヤーがバタバタと倒産してしまうかもしれません。また、倒産してしまえば会社から充分な賠償金を得ることは難しいため、被害者も救われません。
これでは原子力産業に関わろうという民間企業は現れないでしょう。

 原賠制度は原子力事業の健全な発達と被害者の保護のために作られました。原子力損害の賠償責任を原子力事業者に集中し、原子力事業者に責任保険等の賠償措置を強制することにより、偶発的な賠償負担でなく経常的支出となり、経営の安定が図られます。原子力事業者は、地震など責任保険の免責事由に該当する場合に備えて、政府と原子力損害賠償補償契約を結ぶことも強制されています。

 さらに、事業者による措置でまかなえない損害は国が補償することで、被害者は確実に損害の救済を受けることができます。また、異常に巨大な天災地変や社会的動乱など、原子力事業者の責任が問われない場合は政府が必要な措置を講じることとなっています。

 日本だけでなく原子力施設を持つ多くの国に同様の原賠制度がありますが、賠償措置額や原子力事業者の責任範囲は国によって様々です。また、原賠制度がない新規原子力導入国は、導入前に原賠制度を整備することが重要です。

より詳細な解説はこちら http://www.jaif.or.jp/ja/seisaku/genbai/mag/shosai02.pdf

 シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」のコンテンツは、あなたの声を生かして作ってまいります。原子力損害の賠償についてあなたの疑問や関心をEメールで genbai@jaif.or.jp へお寄せ下さい。

■げんさんな人達 (原産協会役・職員によるショートエッセイ)

「音楽のある街、高崎の春」

 首都圏から遠く離れた高崎にも春がやって来ました。3月に引っ越して以来、上州名物“からっ風(?)”の吹く寒い日が続いていましたが、4月に入り漸く春の暖かさが感じられてきました。自宅の引越し等で慌しい毎日でしたが、片付けも一段落したので、週末高崎の街を散策してみました。

 最初に向かった場所は、高崎城址の公園。かつては、高崎藩のお城があったところで、自宅から10分ほど歩いた高崎駅の西口にあり、市役所、病院、音楽センター、シティギャラリーなど多くの行政・文化施設が集まっています。お堀に沿って桜並木があり、ちょうど見ごろを迎えていました。桜吹雪は水面を埋め尽くして、まるでピンクの絨毯のようです。

 また公園のあちこちには、音符や楽器をモチーフにした建造物が置かれていました。聞くところによると、高崎市は群馬交響楽団が本拠地を置く等、古くから音楽との係わりが深く、「音楽のある街、高崎」として力を入れてきたそうです。そう言われてみると、確かに駅周辺で路上ライブを行っている若者がいたり、先日は地元ラジオ局主催の公開オーディションが駅ビル内で開催されていたことを思うと、街中にいつも音楽があるような気がします。

 続いて向かったのは、高崎観音山です。この山には真っ白で巨大な観音様があり、新幹線からも見えるので、ご存知の方も多いかと思います。車で山を登り、市営駐車場に車を止めると、満開の桜が出迎えてくれました。ここは高台にあるので、高崎の街が一望できて大変眺めが良く、赤城山や榛名山のほか、遠くは雪に覆われた谷川連峰を望むことができます。さらに売店や食堂の並ぶ参道を歩くこと約5分、電車からの眺めと異なる白衣観音像の大きさにびっくり!足の親指だけでも私の頭3つ分くらいありました。

 また東側には慈眼院という真言宗のお寺があり、お香の香りが桜と良いハーモニー・・・と思っていたその時、その場にそぐわぬ異国の笛の音が聞こえてきました。見るとそこで、南米出身らしき4人組が民族衣装をまとい、アンデスの音楽を奏でているではありませんか。

 観音様とお寺、そしてアンデス音楽――なんとも微妙な取り合わせ・・・この懐の深さが「音楽のある街、高崎」の魅力の一つなのかも知れません。  (J.K.S)
 
 
 


◎「原産協会メールマガジン」2009年4月号(2009.4.27発行)
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