lights on with nuclear

 [JAIF]原産協会メールマガジン

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原産協会メールマガジン7月号
2009年7月27日発行

Index

■原子力政策推進活動

 □IAEA次期事務局長に選ばれた天野大使と今井会長が会談
 □「原産イノベーションセミナー」、JAXAの立川敬二理事長を講師に迎え開催
 □プレスブリーフィング「原子力ルネッサンスを現実のものにするために」を開催
 □規制改革で経団連通じ2件、政府に要望

■国際協力活動

 □マレーシア「国際原子力会議(INC)2009」に参加
 □服部理事長、ボロフコフ・ロシア政府官房副長官らと懇談
 □WNAシルバン氏再訪、アジア・イニシアティブについて懇談
 □台湾テレビ「民視」による六ヶ所取材に協力

■情報発信・出版物・会合のご案内

 □【米国原子力政策動向】「米下院がクリーンエネルギー・安全保障法案を可決
-原子力をクリーンエネルギーと規定」を会員用ホームページに掲載しました。

■地方組織との連携

 □平成21年度「原産協会関係組織事務局長連絡会議」を開催

■原産協会、一部組織変更のお知らせ
■ホームページ・動画の最新情報

 □原産協会HP(一般向け)の更新情報
 □動画配信
 □会員向けHPの更新情報
 □英文HPの更新情報
 

■原産協会役員の最近の主な活動など
■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【5】
■げんさんな人達(原産協会役・職員によるショートエッセイ)

本文

■原子力政策推進活動

□IAEA次期事務局長に選ばれた天野大使と今井会長が会談

  国際原子力機関(IAEA)の次期事務局長に就任する天野之弥・在ウィーン国際機関日本政府代表部特命全権大使が帰国し、7月17日、東京の新日本製鉄本社に今井敬・日本原子力産業協会会長を訪問、就任内定の報告と就任支持に謝意を示されました。

 また天野大使は今井会長に、優れた原子力技術を持つ日本の産業界の引き続きの協力を要請しました。

右端が天野大使



□「原産イノベーションセミナー」、JAXAの立川敬二理事長を講師に迎え開催

  当協会は7月16日、東京都千代田区の如水会館で「原産イノベーションセミナー:巨大複雑系システムの信頼性を如何に高めるか」を開催しました。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の立川敬二理事長を講演者に迎え、山脇道夫東京大学名誉教授をコーディネーターとして、会場との活発な意見交換も行われました。

 立川理事長は、「原子力も宇宙開発も、集中巨大型産業という点で共通している」と指摘。巨大複雑系システムの特徴として、①社会的影響が大②安全性・信頼性・頑健性が重要③広範囲複合システム④開発期間が長い⑤副作用の可能性あり──の5点を挙げ、「集中型である原子力や宇宙システムは、ネットワーク型システムである電力・鉄道・電気通信に比べより複雑であり、一部の不具合により全体がストップしてしまう特徴がある。原子力も苦労が多かったと推察するが、原子力は既に産業化されている。宇宙はまだ研究開発段階である。現在、衛星には太陽光パネルを搭載しているが、太陽光が届かない範囲の観測も視野に小型原子炉の搭載を検討している。」と述べました。

 また、これまでの失敗を踏まえた「ヒューマンエラーは必ず起きる、全てを安全に行えるとは思わずに取り組む」などのJAXAのプロジェクトマネジメント活動も紹介し、原子力産業界にとっても有益な講演をいただくことができました。

講演風景 会場からの質問


 講演後の参加者との質疑の場では、下記のような活発な質疑応答が行われました。

 ・Q1:人材育成問題はあるか。  
 ・A1:幸いにして航空宇宙は人気があり学生の質は高いが、卒業後の進路が少ないため別の産業に行くことが多い。評判がよければ優秀な人材が集まる。宇宙産業を大きくすることで、優秀な人材が他分野へ逃げないようにするのも私の仕事だろう。また、システムエンジニア(SE)の重要性に鑑み、SEコースを慶応大学に設置してもらい、SEコースを修了しないと重要な役職につけないようにしている。

 ・Q2:原子力を衛星のエネルギー源として活用すると、安全・安心の面で評判が悪くなるのではないか。 
 ・A2:過去のロシアの宇宙ステーションは原子力で稼動していた。米国もVoyagerのように遠くへ飛んでいく衛星には原子力を利用している。火星より先は太陽光が届かず、原子力発電よりほかに手段がない。JAEAに小型原子炉を開発してもらいたい。

 ・Q3:宇宙飛行士が帰還後しばらく間を空けないと再度出発できないのは、被ばくも関係しているのか。
 ・A3:宇宙では、1日で地上の180日分の被ばくをする。中和するためにも3年は宇宙へ行かせない。また宇宙ステーションでは体内カルシウムが地上の10倍は減少するので、体調も悪化する。数ヶ月も無重力状態にいると、地上へ帰ってきても歩けない。現在、若田宇宙飛行士には毎週骨粗鬆用予防薬を投与し、臨床実験を行っている。

 セミナー後に回収したアンケート調査結果では、「原子力分野との共通部分が多く大変参考になった」、「宇宙開発の戦略思考は大いに参考になる」、「メディアでは得られない最先端の情報をいただけ感銘を受けた」などの声が寄せられました。

 次回セミナーは、曽根悟 東京大学名誉教授による鉄道システム工学に関するご講演を今秋開催の予定です。


□プレスブリーフィング「原子力ルネッサンスを現実のものにするために」を開催

 当協会は7月15日、「原子力ルネッサンスを現実のものにするために」と題したプレスブリーフィングを当協会会議室で開催し、24社38名のメディア関係者の参加を得ました。
 
 今回は、服部理事長より、世界的な原子力再評価の流れをはじめ、諸外国の動向、原子力発電の地球温暖化への貢献、原子力の持つ課題などについて最新の情報を紹介するとともに、原子力ルネッサンスを実現するための課題とそれを解決する日本の強みと、なすべき取り組みについて講演を行い、その後質疑応答を行いました。 また、プレスブリーフィング終了後には、メディア関係者と原産協会幹部が情報交換を通じてさらに理解を深めることを目的とした懇親会を開きました。

 当協会では、人材育成や、世界の原子力発電開発の動向などの原産の主要な活動や調査報告などについて、時宜を得た形でのメディア関係者を対象に紹介するための懇談会を開催してきています。

 今回のブリーフィングは、昨今の日本の原子力産業の国際展開に向けての官民を挙げての体制作りなどが進む中、当協会へのメディアからの問い合わせの多くが、原子力をめぐる海外動向に関するものとなってきており、新聞やテレビなどの報道でも、世界の中の原子力産業の動静について、取り上げられることが多くなってきていることから実施したものです。

 

□規制改革で経団連通じ2件、政府に要望

  当協会は、経団連を通じて6月16日、政府に原子力関連の規制改革要望を初めて提出しました。
 
 政府は、「規制改革推進のための3か年計画」において、規制改革の重要性を指摘していますが、経団連ではさらに、「国民や企業の日々の活動において、どのような法令に基づき許認可等が必要になるか、審査基準の詳細な内容や標準処理期間がいかに設定されているか、これらの規制に係りどのような通知・通達等が発出されているか、さらには規制の見直し時期が設定されているか」などの問題意識から、情報提供体制の充実に早急に取り組むべきとしています。

 今回経団連が提出した政府への規制改革要望のうち、当協会からの要望は、「エネルギー分野」の中で、①「核燃料物質加工施設の設備・機器の休止時における施設定期検査の免除」と②「原子力発電所等の建築工事の設計・許認可に係る審査の一元化」の2件です。

 ①は、核燃料物質加工事業については、一部の設備・機器の休止に関する規定がなく、核燃料物質を取り扱わない休止期間中であっても毎年度、施設定期検査を受検しなければならないが、休止届けをした設備・機器は、再使用の開始前に官庁検査を受検することで、施設の安全性は確保されるため、一部の検査を免除するよう要望するもの。
 ②は、原子力発電所の建屋等は電気事業法の「工事計画認可」の審査対象だが、同時に建築物であることから、建築基準法の「建築確認」を受けなければならず、構造審査が二重規制となっていることについて、電気事業法上の「工事計画認可申請」で構造審査が行われることから、「工事計画認可証」を提出することにより建築確認の構造審査を免除することを求めるものです。

 要望については今後、内閣府と関係省庁で調整され、10月頃を目途に一定の結論が出される予定になっています。


■国際協力活動

□マレーシア「国際原子力会議(INC)2009」に参加

 6月29日~7月1日にかけて、マレーシアのクアラルンプール市で、「国際原子力会議(INC)2009:原子力エネルギーでのパートナーシップの強化」ならびに展示会が開催されました。マレーシアの科学技術改革省(MOSTI)、原子力庁(Nuclear Malaysia)、原子力学会(MNS)、放射線防護学会(MARPA)が共催、日本を含む、31カ国から約200名が参加しました。

会議の報告はこちらをご覧下さい。
http://www.jaif.or.jp/document/INC.pdf
「夜のペトロナス・ツインタワー」

 
□服部理事長、ボロフコフ・ロシア政府官房副長官らと懇談

  当協会の服部理事長は、6月18日、国際熱核融合実験炉(ITER)計画を推進するITER機構の第4回理事会に出席したボロフコフ・ロシア政府官房副長官およびベリホフ・クルチャトフ研究所総裁と懇談しました。

 日ロ原子力協力協定が前月に締結されたこともあり、日ロ協力や夫々の原子力開発状況等について話が弾みました。燃料サイクル関係(濃縮、再処理等)は、ロシアが進んでいること、一方、設計、建設、自動化等では日本が進んでおり、ロシアが関心を持っていることなどが紹介され、今後、関係機関間で具体的な交渉が進められるとの期待が述べられました。服部理事長は、日ロの原子力協力・ビジネスについて、長期的な関係、相互互恵的な関係になることが望まれると強調しました。

 服部理事長は、「昨年6月、初訪ロとしてATOMCON2008国際会議に参加した。今年も5月にATOMEXPO2009国際会議に参加し、ロシアの産業界幹部と直接あって意見交換し、現場の施設も見学した。こうした繋がりが大切である」、「秋には、濃縮と燃料加工施設を視察する原産協会代表団を派遣する予定である」、「今度はロシアから日本に来てもらい日本の工場見学と産業界との会話をしてもらいたい」と述べました。これに対して、ボロフコフ副長官は、ロスアトムの幹部に伝えておくと答えました。

 原子力ルネサンス時代を迎えて、新規導入国への対応について、ベリホフ総裁は、「核不拡散についてきちんと対応する必要がある。また、チェルノブイリのような事故が起きてはいけない。3Sの確保の他にも、単独で原子力市場を独占しようと思わないシステムが必要であろう」と述べました。



□WNAシルバン氏再訪、アジア・イニシアティブについて懇談

 世界原子力協会(WNA)のサンピエール・シルバン アジア・イニシアティブ部長が、前回5月の来訪に続き、7月9日、当協会を再訪しました。石塚常務理事およびWNA会員である東京電力、関西電力、三井物産と懇談し、前回説明のあったWNAアジア・イニシアティブについて、具体的な構想の説明と意見交換が行われました。

 WNAアジア・イニシアティブは、今後原子力発電が著しく発展・拡大するアジア地域において、原子力新興国の企業が、ノーマルビジネスパートナーとしてビジネスを行えるよう支援することが目的です。当面の対象国は、中国、インド、日本、カザフスタン、韓国です。

 シルバン氏はそれらの対象国を訪問し、WNAアジア・イニシアティブの説明を行ったところ、インドや中国等から高い感心が寄せられているとのことです。今後、各国の代表を決め、アジア各国間のネットワークを立ち上げ、協力してできることはないか検討していきたいと説明がありました。具体的な当初の活動は、①半日のオリエンテーション会合(各国で)、②2日間のオリエンテーションコース(各国で)、③新規建設に関する予備的フォーラム(アジアのどこか1ヶ所で)を考えているとのことでした。

 今回のアジア・イニシアティブは、WNAのアジア地域における活動強化といえます。日本は、電力、メーカー、商社、燃料メーカー、研究機関など30社弱がWNAの会員ですが、中国、インド、韓国、台湾、カザフスタン等のアジア諸国については、それぞれ1~3社が会員という状況で、会員層が薄いといえます。今後発展著しいアジアにおける会員増加、ネットワーク強化を図ることを目指し、アジア・イニシアティブを進めていくとみられます。

 当協会はWNAの会員ではありませんが、WNAと同様に原子力発電の促進・基盤強化に取り組む原子力産業団体として、今後も情報交換を行っていく予定です。

*WNAは、30カ国以上から180以上の原子力事業者が加盟している国際的な原子力産業団体です。世界全体のウラン生産、原子力発電の90%以上をカバーしています。WNAは、現在、ウエブサイト、ニュースサービス、刊行物、WG、会議等を通じて、世界の原子力産業界のボイスとして、またフォーラムとして機能しています。会員がWNA活動に参加することによって、産業関連情報の共有、ベストプラクティスの強化、基準、規制、政策の発展・形成に寄与しています。



□台湾テレビ「民視」による六ヶ所取材に協力

 台湾の民間テレビ局「民視」(FTV)のチームが7月6~11日、来日し、青森県及び六ヶ所村のエネルギー・原子力の開発状況や自然・文化を取材しました。当協会は、7日と8日の六ヶ所村を中心にした取材のアレンジ協力を行うと共に、取材に同行しました。9日、10日の取材については、青森市の観光課が協力しました。

 台湾は、日本の近くに位置し、青森県から約2万トンのりんごを輸入するなど青森県への関心が高いそうです。

 台湾では、原子力発電所等から発生する低レベル放射性廃棄物について、最近、候補地が2ヶ所に絞られるまでに進展し、来年には住民投票によって立地を決定する段階まで来ています。このような背景から、1992年より低レベル廃棄物埋設センターが操業している六ヶ所村等の現状について、放射性廃棄物に限定せず、エネルギー・原子力全体の開発状況や地域社会との関係等を含めて紹介する番組作成を目的として、台湾テレビ局のチームが来日しました。

 当協会が、アレンジ協力したのは、日本原燃(株)のPRセンター、低レベル廃棄物埋設センター、スパハウス「ろっかぽっか」、日本風力開発グループ、原燃輸送六ヶ所輸送事業所、日本原子力研究開発機構青森研究開発センター、小川原湖漁業協同組合、六ヶ所文化交流プラザ「スワニー」などです。

 日本原燃のPR館では、低レベル廃棄物(ドラム缶)の埋設模型の前で女性説明員による説明をテレビカメラに収めていました。また、地元出身の女性説明員がインタビューを受け、日本原燃に対する印象や原子力施設の立地による変化等の質問について、「日本原燃が来ることによって雇用が創出されました」、「昔は医療施設へ行くのに車で1時間もかかっていたが、今は便利になりました」などと答えていました。

 低レベル廃棄物埋設センターの現場では、広報担当者がインタビューを受け、六ヶ所村への立地の理由等について聞かれ、「地盤条件等の理由もあるが、むつ小川原計画が失敗し、地元から産業施設の立地要請があったので、立地をお願いした」、「処分場の立地に当たっては、地盤条件も重要であるが、コミュニケーションがさらに大切。透明性、情報公開が重要」などと述べていました。

 六ヶ所村風力開発会社では、下北半島の地域が年間平均風速6m/秒で風力開発に適していること、大型機器の運搬に適した道路、港湾が整備していること、鳥等の影響が少ないことなどから、風力発電施設を立地したとの説明がありました。ここでも地元の理解と協力が重要であることが強調されました。

 小川原湖漁業協同組合では、シジミの競り市を取材しました。同漁協は、シジミ、シラウオ、天然ウナギの漁獲高は日本のトップクラスで、小川原湖は「宝の海」と呼ばれているそうです。原子力施設立地の影響について質問されたとき、同漁協の人は「原子力施設が近くにあるということで、環境モニタリングがしっかり行われ、その結果として、小川原湖の水がきれい、環境がきれいということが分かり、むしろポジティブな効果が出て、小川原湖の水産物は良いものだとの理解に繋がっている」と説明していました。

 日本原子力研究開発機構青森研究開発センターでは、核融合とは何かの説明から始まり、ITER(国際熱核融合実験炉)プロジェクト、幅広いアプローチ(BA)活動についての説明を受けました。

 2日間にわたり熱心な取材が行われ、単なる撮影や説明以外に、逐次通訳とインタビュー撮影の要素が加わり、いずれも予定時間をかなりオーバーしました。この取材の結果は、7月18日(土)に30分番組として放映の予定です。

 台湾FTV(民間全民電視公司、Formosa Television Inc.)は、台湾で初の民営の地上波テレビ局として1997年6月11日開局。台湾には現在、5つの主要テレビ局があるが、他の4局はいずれも国営又は公営。


■情報発信・出版物・会合のご案内など

□【米国原子力政策動向】「米下院がクリーンエネルギー・安全保障法案を可決
-原子力をクリーンエネルギーと規定」を会員用ホームページに掲載しました。

  米下院は6月26日、温室効果ガスの大幅削減を目指す「米国クリーンエネルギー・安全保障法案(ワックスマン・マーキー法案)」を、219対212の僅差で可決しました。この法案には、温室効果ガスの排出量を2020年までに05年比で17 %、50年までに83 % 削減する目標が盛り込まれ、そのために排出量取引制度の導入や、電力会社は再生可能エネルギーの割合を引き上げることなどが定められています。

 この法案において、原子力はクリーンエネルギーとして肯定的に捉えられています。米原子力エネルギー協会(NEI)は、同法案が原子力発電所の新規建設を金融面で支援するものとして歓迎しています。チュー・米国エネルギー長官も、上院環境公共事業委員会において、同法案は原子力産業の再始動にインセンティブを与えるであろうと証言しています。

 今後、同法案は12月に開催されるCOP15までの成立を目指していますが、下院において、可決までにかなりの修正を要し、さらに民主党から44名が反対票を投じたことから、上院においても可決までには難航が予想されます。

詳しくは、会員専用ホームページ ( https://www.jaif.or.jp/member/login.php )をご覧ください。

 今後も、米国の原子力政策を中心に、定期的に最近の動向をお届けする予定です。


■地方組織との連携

□平成21年度「原産協会関係組織事務局長連絡会」を開催

 7月16日、原産協会関係組織事務局長による連絡会を当協会会議室にて開催しました。この連絡会は、北海道エナジートーク21、東北原子力懇談会、(社)茨城原子力協議会、中部原子力懇談会、北陸原子力懇談会、関西原子力懇談会、中国地域エネルギーフォーラム、山口県エネルギー問題懇話会、九州エネルギー問題懇話会、および当協会の幹部で構成しています。

 連絡会では、原子力への理解促進活動をより効果的・効率的に進めるために、各組織の活動状況等についての情報・意見交換および昨年に引き続き各組織間の協力・連携についての意見交換を行いました。


■原産協会、一部組織変更のお知らせ

 当協会は7月1日付けで、より機能的な組織運営を行うため一部の組織変更と人事異動を行いました。

 旧来の政策推進第一部(原子力発電、燃料サイクル等)と政策推進第二部(産業界情勢の把握・分析、基盤強化)を「政策推進部」に統合しました。

 人事では、政策推進部長に梶村順二(九州電力から出向)、同特命マネージャー原秀策(東京電力から出向)、同特命マネージャー新美明宏(政策推進第一部リーダー、中部電力から出向)、企画部長代理として鈴木良典(東京電力から出向)、国際部長に木下雅仁(政策推進第二部長)、常務理事補佐に鈴木元一(総務部マネージャー)が、それぞれ就任しました。

〈組織図〉

〈各部直通電話〉
 総務部:03-6812-7100
 企画部:03-6812-7101
 政策推進部:03-6812-7102
 情報・コミュニケーション部:03-6812-7103
 国際部:03-6812-7109

 ※FAX番号(03-6812-7110)、各職員直通番号に変更はありません。


■ホームページ・動画の最新情報

□原産協会HP(一般向け)の更新情報 ( http://www.jaif.or.jp/ )

*国内、海外ニュースは毎週および随時更新しております。

〈原産協会からのお知らせ〉
・原産協会の一部組織変更を掲載(7/1)
・故植松邦彦担当役(元OECD/NEA事務局長)の追悼記事を転載(6/30)

〈解説・コメント・コラム〉
・「原子力報道を考える会」意見書:プルサーマルの安全性に関する誤解(第41報)(7/23)
・米処分場計画で米産業界と推進派議員らがDOE長官に書簡を送出(原産新聞2009-7-16号より転載)(7/23)
・『テクネチウム製品の供給障害の状況と課題について』(7/22)
・米MITが「原子力発電の将来」改訂版を発表、原子力発電開発導入の遅れに警鐘(原産新聞7/9号2面より)(7/14)
・マレーシア「国際原子力会議(INC)2009」参加報告(7/9)
・医学用の放射性アイソト-プ99Mo/99mTcの安定供給どのように確保するか(日本アイソトープ協会主催、第46回アイソトープ・放射線 研究発表会を傍聴して)(7/7)
・天野大使のIAEA事務局長選出を祝う - 今後のIAEAへの期待 -(今井 敬 原産協会会長コメント)(7/3)


□動画配信 ( http://www.jaif.or.jp/ )

*「第20回 日本原子力発電(株)東海発電所廃止措置の現状」  (7/15配信)


□会員向けHPの更新情報 ( https://www.jaif.or.jp/member/login.php )

・動画配信 に『第20回 日本原子力発電(株)東海発電所廃止措置の現状』を追加(7/15)
・「米下院がクリーンエネルギー・安全保障法案を可決-原子力をクリーンエネルギーと規定」(pdf)を掲載(7/9)
・【日本の原子力発電所の運転実績】6月分データを掲載(7/6)
・委員会活動のうち、「放射性物質の輸送・貯蔵に係る専門委員会第8回委員会議事要旨」を掲載(6/29)

   

□英文HPの更新情報 ( http://www.jaif.or.jp/english/index.html )

・Atoms in Japan (AIJ) : 週刊英文ニュース( 19本 6/26 -7/27)
・Information : 天野氏がIAEA大使に選ばれたことに関する会長コメント( 1本 6/26-7/27)



■原産協会役員の最近の主な活動など

[服部理事長]
7/10(金)   総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会
         第4回基本政策小委員会出席
7/13(月)   産学人材育成パートナーシップ全体会合出席


■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【5】

原子力損害賠償に関する国際条約
今回は、原子力損害賠償に関する国際条約について、その概要をQ&A方式でお話します。

Q1.(国際条約の概要)
原子力損害賠償に関する国際社会の取り決めはどうなっていますか?

A1.
原子力損害賠償に関する国際条約には次の3系統があります。
・ パリ条約、改正パリ条約
・ ウィーン条約、改正ウィーン条約
・ 原子力損害の補完的補償に関する条約(CSC)

3系統の国際条約は以下の内容を共通に備えています。
・ 原子力損害の範囲
・ 原子力事業者の無過失責任及び責任集中
・ 賠償責任限度額の設定
・ 損害賠償措置(保険等)の強制
・ 専属裁判管轄の設定と判決の承認・執行の義務
 これらの取り決めによって、条約加盟国の中では原子力損害賠償制度が国際的に有効になり、また賠償の手続きが迅速かつ適切に行われることが期待されます。

【A1.の解説】
 原子炉の運転等に関わる事故により大量の放射性物質が放出された場合、特に欧州のように隣国と陸続きの地域では、国境に関係なく原子力損害が広がります。

 国境を越えた原子力損害の処理において国際間の取り決めがない場合、責任の所在が定まらないため被害者は損害賠償の請求先が分からず、また、複数の国で多数の裁判が行われることで被告にも多大な負荷がかかるとともに、同様の被害に対して様々な結果が出ることとなり、適切な救済が行われない可能性もあります。この問題に対処するために、事業者への責任集中や裁判管轄権の設定など、原子力損害賠償制度の国際的な共通ルールを定めたものが国際条約です。

 原子力損害賠償に関する国際条約には、パリ条約(1968年発効)、ウィーン条約(1977年発効)、原子力損害の補完的補償に関する条約(CSC:Convention on Supplementary Compensation for Nuclear Damage 1997年採択・未発効)の3系統があり、付随してパリ条約とウィーン条約を連結して保護を拡大するジョイントプロトコール(1992年発効)やパリ条約に関連して責任限度額を超える損害に対して資金を提供するブラッセル条約(2004年採択・未発効)があります。パリ条約、ウィーン条約については現在それぞれ改正議定書が採択されています。

 これらの国際条約には、原子力損害賠償制度の基本的な原則に加え、事故発生国への専属裁判管轄権の設定や、判決の承認・執行の義務化によって賠償の手続きを確定させ、迅速かつ適切な賠償が行われるような仕組みが定められています。ただし、基本的には同じ条約の加盟国間でなければこれらの仕組みは適用されないため、周辺諸国と同じ条約に加盟することが大切です。

 なお、日本は現在、原子力損害賠償に関するいずれの国際条約にも加盟していません。

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Q2.(国際枠組みに対する日本の役割)
日本はどうして原賠に関する国際条約に入っていないのですか?

A2.
・ 我が国は島国であり越境損害のおそれが比較的少ないこと、原賠制度が十分に充実していること、周辺諸国が条約に加盟していないことなどから、国際条約に直ちに加盟する必要はないとされてきました。
・ しかし今後はアジアにおける原子力利用拡大や、日本の原子力産業界の国際展開に伴い、原子力損害賠償のリスクに備えることが一層大切になってくるため、我が国も具体的検討を始める時期にあると言えます。

【A2.の解説】
 日本はこれまで原賠制度に関する国際条約に加盟していません。その理由としては以下のようなものがあります。
(1) 我が国には原子力先進国として各条約に比べて遜色ない水準の原子力損害賠償制度があること
(我が国の賠償措置額は600億円であり、平成22年からは1200億円に引上げられることを考えると、改正パリ条約の最低責任限度額である7億ユーロ=約1000億円、改正ウィーン条約、CSCの最低責任限度額である3億SDR=約500億円と比べて遜色ないといえる)
(2) 日本は島国であり他の原子力施設国と陸続きで隣接していないので、万一事故が起こったとしても越境損害に発展する可能性が低いこと
(3) 近隣の東アジア諸国(中国、台湾、韓国など)が国際条約に加盟していないこと

 これらの理由から、現時点で国際枠組みに直ちに参加しなければならない状況にはないとされてきたものです。

 しかし、今後東アジア地域では大幅な原発施設の増設や東南アジアでの新規建設が見込まれており(アジア地域では現在8,452万kWの原発が運転中、さらに7,403万kWが建設・計画中)、それに伴って国際輸送の増加も予想されます。さらに、原子力プラントメーカーの国境を越えた再編・連携が進んでいることや、米国がCSCを批准したこともあり、我が国も国際的な枠組みに対して前向きに取り組んでいかなければなりません。

 また、国際条約は基本的には加盟国間でのみ効力を発揮するため、我が国がアジア地域の原子力先進国としてリーダーシップを発揮し、周辺諸国に対して条約加盟に向けた働きかけをしていくことも大切です。

より詳細な解説はこちら →  http://www.jaif.or.jp/ja/seisaku/genbai/mag/shosai04.pdf

 シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」のコンテンツは、あなたの声を生かして作ってまいります。原子力損害の賠償についてあなたの疑問や関心をEメールで genbai@jaif.or.jp へお寄せ下さい。


 

■げんさんな人達 (原産協会役・職員によるショートエッセイ)

「つくばエクスプレス」に乗って

  つくばエクスプレス(略称TX)は2005年8月に開通した最高時速130Km、最速45分で秋葉原とつくばを結ぶ新路線で、約3年半を経過したこの4月には乗客数270,500人を記録したらしく、開通から目標年よりも1年早く27万人に到達し、今後東京駅までの延伸が期待されている路線だ。この数字からも、この路線を利用して通勤する利用者は増加の一途にあり、開業以来、自動改札機の増設や年に1回程度の頻度でダイヤ改正を行っていて、この路線で通勤をする私を含め、沿線住民の利便性は高まっているようだ。
 

 この路線はつくば方面に行くにつれ自然と緑に恵まれていて、当初は乗車数もそれほど多くなく、より快適、優雅な通勤ができたのだが、この3年程度で乗客数が約2倍になっているとは、どおりで電車内での圧迫感が都心とあまり変わらなくなってきた。無線LANが利用できたり、トンネル内でも携帯電話がつながるようだが、朝夕の通勤時間帯に限って言えばパソコンを使っている人はあまり見かけない。しかし、最近ではニンテンドーDSのワイヤレス通信を使用したサービス「ニンテンドーゾーン」が開始されたようで、益々オタク乗車も増えそうな気配だ。
 
 秋葉原からつくばを結ぶこのTXは、途中、新御徒町、浅草、北千住(東京都)を通り、八潮市、三郷市(埼玉県)を通って流山市、柏市(千葉県)から守谷市、つくば市(茨城県)へと路線を繋いでいて、一都三県を跨ぐ踏み切りの一切ない路線だ。ちなみに、私はそれ程多くつくば方面には向かわないのだが、たまにつくばまで出かける機会があると、沿線開発が進んでいるものの、まだ緑がとても多くて長閑な気分になる。

 「みどりの」と言う駅があるのだが、これが文字通りで安直に思えたりする。そして、特に休日の昼間に乗車するとクロスシートの車輌が多く、筑波山へ行くのだろうかこの対面式の座席でビールを片手に旅行気分を味わっている乗客や、逆につくば方面から来て浅草で降車する乗客も多く見かける。その走行にはスムースなスピード感が加わっているが、緑を眺めているとやはりちょっと観光気分になったりする電車だ。
 
 今後の変貌が楽しみなこの路線と沿線開発だが、あまり開発が進むと田舎の良さが失われて行って寂しい気がする。つくば市には環境やエネルギーに関連する研究施設も多いようだから、是非地球環境を考えた緑の多い街づくりのアイデアを地方自治体に提供して行って欲しいと思う。

 ちなみにこの「つくばエクスプレス」、つくば駅から乗ると「アキバエクスプレス」とも言うそうだ…?


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◎「原産協会メールマガジン」2009年7月号(2009.7.27発行)
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