lights on with nuclear

 [JAIF]原産協会メールマガジン

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原産協会メールマガジン8月号
2009年8月31日発行

Index

■原子力政策推進活動

 □原子力の人材育成について欧州現地調査を実施
 □東京都品川区の中学校理科担当教員を対象とした放射線実技研修を実施
 □全国中学校理科教育研究会・北海道大会へブースを出展
 □信州環境フェア2009に高レベル放射性廃棄物地層処分のパネルを出展
 □規制改革で2件、各省庁からの回答受け再検討要請

■国際協力活動

 □日韓セミナー、日台セミナーの秋開催へ向けて準備開始

■情報発信・出版物・会合のご案内

 □「原産イノベーションセミナー」を開催-参加者募集
 □12月開催「原子力産業セミナー2011」の参加企業を募集中

■地方組織との連携

 □中原懇シンポジウムで服部理事長が世界の原子力ルネッサンスについて講演

■ホームページ・動画の最新情報

 □原産協会HP(一般向け)の更新情報
 □動画配信
 □会員向けHPの更新情報
 □英文HPの更新情報
 

■原産協会役員の最近の主な活動など
■原産協会入会のお知らせ
■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【6】
■げんさんな人達(原産協会役・職員によるショートエッセイ)

本文

■原子力政策推進活動

□原子力の人材育成について欧州現地調査を実施

 当協会は、7月12日~16日、ベルギーのブリュッセルで開催された「第17回原子力工学国際会議(ICONE17)」に参加、発表するとともに、フランスとイギリスの原子力人材育成について調査するため、「原子力人材育成関係者協議会」の関係者(5名)が7月5日~19日現地を訪れました。

 ICONE17では、当協会の「原子力人材育成関係者協議会」を代表して、当協会職員が協議会の検討内容を中心に日本の原子力人材育成に関する発表を行いました。

<訪問先>
(1)PWR保修実証センター(CETIC):フランス シャロン
 CETICは、フランス電力会社(EDF)とアレバ社の共同出資により、1985年設立されました。 原子炉一次系保修の品質を保証・向上させるための手順の承認や道工具類の認定、実物又は実物大モデルを用いて燃料交換や一次系のメンテナンス訓練を実施しています。主な対象は、EDFやアレバ社員です。

 調査チームは、設備見学のほか、フランスの人材育成に関する情報収集、センター幹部との意見交換を行いました。米国9.11テロ以降、原子力発電所の一般見学が不許可になったことから、CETICは一般見学にも利用されています。

 CETICの玄関前

2)世界原子力大学夏季研修(WNU-SI):イギリス オックスフォード
 当協会は、向坊 隆(むかいぼう たかし)原産元会長の遺功を継承するため、氏の名前を冠した記念事業を昨年度スタートさせました。(向坊隆記念国際人育成事業)

 本年度は、「向坊隆記念国際人育成事業」の最初の具体的な事業として、世界原子力大学(WNU)の夏季研修(Summer Institute)に参加する当協会会員企業から募集した受講生4人の研修参加費用を支援しています。
 
夏季研修は、7月5日より8月15日までの6週間、イギリスのオックスフォードで開催されました。調査チームは、研修の様子を見学し、日本人受講生と懇談の機会を得ました。研修では、原子力産業界のリーダー達による講演や受講生によるグループ討論などが行われていました。受講生は、30数ヶ国約100名、35歳以下の若者ばかりです。研修はすべて英語で行われるタフなものでした。指導教官として、日本からただひとり、当協会職員の小西(元IAEA職員)が活躍しています。

 当協会の向坊隆記念事業による世界原子力大学夏季研修への参加者支援は、今年度も継続して実施します。今年度の募集要項はまもなくお知らせする予定ですので、ご関心の皆様の応募をお待ちしています。担当は政策推進部 wnu-si@jaif.or.jp

世界原子力大学夏季研修の講義の様子 世界原子力大学夏季研修が行われていた
オックスフォード大学のカレッジ外観

3)原子力工学国際会議(ICONE17):ベルギー ブリュッセル
 今回のICONE17には、世界各国から約800名の参加がありました。当協会の上田職員が、日本の原子力人材育成について協議会での検討内容を中心に発表するとともに、参加各国における人材育成情報を収集しました。

ICONE17にて、原子力人材育成関係者協議会での
検討内容を中心とする日本の原子力人材育成に関
して発表

(4)国立原子力科学技術学院(INSTN):フランス サクレー(パリ郊外)
フランスの国立原子力科学技術学院(INSTN)、欧州原子力教育ネットワーク(ENEN)、欧州における原子力人材育成等の情報を収集しました。

 調査をとおして、ENENとINSTNは、欧州における原子力教育の中核となっていることがわかりました。また、欧州各国の大学とINSTNとの間では単位互換、INSTNから講師の派遣をすでに実施しており、広がりをもったトータルとしての教育が発展的に進められていることがわかりました。

INSTNエントランス


□東京都品川区の中学校理科担当教員を対象とした放射線実技研修を実施

  平成20年の小・中学校学習指導要領改訂に伴い、中学校の理科教育において放射線が触れられることになりました。このため当協会では、中学校での放射線教育協力活動支援の一環として、7月30日(木)に東北放射線科学センターと(財)科学技術振興財団のご協力のもと、東京都品川区の中学校理科担当の教員を対象に、放射線実技研修を実施しました。

 当日は、放射線は身近に存在し、医療におけるエックス線検査や煙探知機、さらにタイヤ硬化や消臭スプレー、消臭機能を付加した布巾、架橋フィルムなどの製造に用いられていることの紹介後、以下のような実技研修が実施されました。

① 自然放射線の測定
 β線簡易測定器「ベータちゃん」を使用して、御影石、昆布、肥料、お米等の自然の物から発生するβ線(放射線の一種)を測定しました。これにより、「身近なものから放射線が出ていること」、「試料によって測定値に差異が有る事」、「放射線源から距離をとるか、測定器の間に遮蔽物(今回は紙や鉄板)を置くことで放射線の量が減少する事」などについて学びました。

② 霧箱実習
 先生1人がひとつずつ霧箱を作製し、放射線の一種であるα線を間接的に目視する事により、放射線が身近なものである事を学びました。
 放射線は五感(視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚)では感じられず説明が難しいため、体験型の学習は理解しやすく、参加の先生方に好評でした。尚、11名の先生のうち10名は霧箱の作製経験が初めてでした。

③ 簡易放射線測定器「はかるくん」について特性実験セット(はかるくん4台、測定試料5種、
遮蔽物4種、距離別測定用ボード)を用いて、各金属の遮蔽能力や、段階的に距離を置いた際の測定値の違い、貸出し方法等の説明が行なわれました。

④教材・資料・機材の入手に関して、各団体が発行しているパンフレット、DVD、講習会等を紹介しました。

 研修終了後に、先生方からは「理科教育では、安全性を強調するのではなく、科学としての本質を教えることが重要」「子ども達は、実験や観察がないと興味を持たないので、霧箱、はかるくん、特性実験キットを取り入れてみたい」「子どもたちには、放射線の現象面を教えるに留まるだろう。なぜなら、現在中学校では、「元素が変化しないと」と教えることになっている為、核崩壊や核融合等の理論を教えることは難しい」などのコメントが出されました。
 

放射線を利用した消臭ふきんの効果実験

霧箱で放射線の飛跡を観察中

「ベータちゃん」に」よる放射線測定 「はかるくん」の特性キッズ実験



□「全国中学校理科教育研究会・北海道大会」へブースを出展 

 当協会は、北海道札幌市で開催された「全国中学校理科教育研究会(以下、全中理)北海道大会」にブースを初めて出展し、放射線や原子力に関連する情報、放射線分野の授業の進め方に関する情報等を提供しました。
 
 本大会は全国の理科教員を対象に毎年夏休みの時期に開催されています。今年は北海道札幌市にある札幌市教育文化会館にて、8月5日(水)~7日(金)の3日間にわたって開催。参加教員数は約510名で、会場の大ホールにて特別講演や学術講演、分科会などが実施されました。
 
 当協会のブースでは、放射線の基礎について纏めたパンフレット・DVDの配布や、放射線を利用した技術の紹介、さらに放射線教育支援の窓口の紹介などを行い、原子力・放射線教育に関する資料や情報を提供しました。ブースを訪れた先生方は説明や紹介に熱心に耳を傾け、質疑も活発に行われました。なお、放射線技術を応用して作られた消臭布巾の無料配布なども行い、用意した配布物はほとんどなくなる盛況ぶりでした。
  
 来年度は京都での開催が決定されています。当協会では北海道大会の経験を元に、提供する情報の内容や数量、必要とする支援の内容を検討し、放射線教育に関する更なる支援体制の確立を図っていきます。

当協会ブースの様子

  
 

□信州環境フェア2009に高レベル放射性廃棄物地層処分のパネルを出展

 当協会は8月22日および23日の両日、長野市ビッグハットで開催された「第9回信州環境フェア2009」に中部原子力懇談会(中原懇)との共催で、高レベル放射性廃棄物地層処分のパネルを出展しました。

  環境フェアの初日、開会式メインステージで挨拶された村井仁(むらいじん)長野県知事(=写真左)は、原産協会/中原懇のブースも訪れ、日本原子力研究開発機構(JAEA)の協力で展示した地層処分の模型に関心を示され、高レベル放射性廃棄物であるガラス固化体のレプリカを手に取り、出展者から処分後の埋め戻しについての説明を求めるなど熱心に耳を傾けていました。

 中原懇では従来から、信州環境フェアにおいて、“知るほどなるほどエネルギー”と題したエネルギー・環境、放射線・原子力のパネルを展示したブースを設け、訪問者にパネルを読んでもらうためのクイズ・ラリーや簡単なアンケートを実施しています。
 
 今回、当協会と中原懇は、地方自治体等が開催する環境・産業フェアに来場する一般市民に対し、エネルギーと環境、生活と産業に貢献する原子力・放射線を理解してもらい、未解決である高レベル放射性廃棄物の処分問題があることを知って、考えてもらう契機となることを狙いとして、コラボレートしたものです。

 中原懇の実施したクイズ・ラリーには、ノベルティーグッズの配布効果もあり、子供から大人まで両日で約1,700名の回答がありました。



上記4枚は原産協会/中原懇のブースの来場風景


 今年で9回目となる信州環境フェアでは、「STOP温暖化!~未来へつなげ地球の命~」をメインテーマに掲げ、信州環境フェア実行委員会・長野県地球温暖化防止活動推進センターが主催となって、県民、NPO、事業者、行政が手を取り合って環境保全の取組の推進、持続可能な社会を構築する契機となるよう78の組織、団体、企業が出展して開催されました。

 会場となった長野市ビッグハット(若里多目的スポーツアリーナ)は、2006年に日本で開催された冬季オリンピックのアイスホッケー競技が行われた場所です。フェア終了後に主催者側から、2日間でおよそ1万6,500名の市民が訪れたとの発表があり、昨年よりも多くの方が来場したことで、環境への関心が年々、高くなっていくことを伺うことができました。
 

□規制改革で2件、各省庁からの回答受け再検討要請

  当協会は、経団連を通じて政府へ提出した原子力関連の規制改革要望について、関係省庁から第1次の回答を踏まえ、さらなる意見を提出しました。

 当協会からの要望は、「核燃料物質加工施設の設備・機器の休止時における施設定期検査の免除」と「原子力発電所等の建築工事の設計・許認可に係る審査の一元化」の2件。

 は、核燃料物質加工事業では核燃料物質を取り扱わない休止期間中も施設定期検査を実施するが、一部の設備・機器は再使用開始前の検査により安全性を確保できるため、休止期間中には施設定期検査の一部を免除するよう要望するもの。

 は、原子力発電所の建屋等は電気事業法の「工事計画認可」の審査対象であると同時に、建築基準法の「建築確認」も受けなければならず、構造審査が二重規制となっていることについて、電気事業法上の構造審査を行うことにより建築基準法上の構造審査を免除することを求めるものです。

 これらについて7月28日に関係省庁から以下のような回答を得ました。

 ①加工施設の設備・機器は、核燃料物質を取扱わない状態であっても汚染拡大防止等の観点から性能等を維持していることが必要であり、休止制度の取扱いはできない。

 ②建築基準法の目的を達成するため建築確認の受験が義務付けられており、建築物の安全・安心を確保する観点から、建築確認において建築基準法に規定する技術的基準への適合性を確かめるための審査を省略することは困難。

 これら回答を踏まえて当協会は以下の「更なる意見」を経団連を通じて提出しました。

 ①加工施設の施設定期検査で確認する性能は警報設備等の動的機能であり、停止時には機能要求のないものである。停止時であっても気密性等の静的機能の維持は必要だが、これは施設定期検査の対象ではない。運転時と停止時では求められる安全性能に違いがあることから、状態に応じた対応を図るほうが安全性向上につながると考える。

 ②審査の省略は困難との回答だが、建築構造設計において、電気事業法に基づく工事計画認可審査と建築基準法に基づく建築確認の構造審査とが二重規制となっている点を指摘するものであり、同じ確認を2回行わなければならないことに対する法規制上の合理性の観点から再度ご検討願いたい。

 今後、更なる意見について関係省庁で再検討され、内閣府と調整のうえ、10月頃を目途に一定の結論が出される予定になっています。


■国際協力活動

□日韓セミナー、日台セミナーの秋開催へ向けて準備開始

 当協会は、今秋開催する「第30回日韓原子力産業セミナー」と「第24回日台原子力安全セミナー」の準備を開始しました。

 日韓原子力産業セミナーは、10月26、27日の2日間、東京都内で開催、また、日台原子力安全セミナーは11月16、17日の2日間、名古屋で開催する予定です。両セミナーとも、原子力産業の健全な発展、及び原子力発電の安全性の確保・向上を目的に、近隣アジア諸国・地域である韓国と台湾との間でほぼ毎年開催しているものです。

 第30回日韓原子力産業セミナーについては、7月31日に第1回準備委員会(準備委員長:服部原産協会理事長)を開催しました。セミナーのプログラムとしては、日韓双方からの基調講演のあと、原子力発電所の運転・保守、次世代軽水炉、将来炉、放射性廃棄物の処理・処分、人材育成をテーマにしたセッション構成とすることにしています。原子力発電所の運転のセッションでは、韓国の原子力発電所が2000年以来、90%を超す設備利用率を維持するなど好調な運転実績を誇っていることについて、その理由や背景について韓国から詳細な発表を予定しています。

 第24回日台原子力安全セミナーについては、8月27日に第1回準備委員会(準備委員長:浅野中部電力副社長)を開催して、セッションテーマ、発表タイトル、発表機関等について検討することにしています。台湾については、竜門原子力発電所(ABWR、2基)の建設状況や、低レベル廃棄物処分場サイトにおける住民投票の動向等に関心が集まっています。台湾の運転中の6基の原子力発電所の設備利用率も89~90%と好調に推移しています。準備委員会では、このような台湾の動向等も踏まえて、プログラムの編成を行うことにしています。

 なお、各セミナーへの参加案内は、「第30回日韓原子力産業セミナー」については9月中旬、「第24回日台原子力安全セミナー」については10月中旬を予定しており、原産協会事務局から広く参加者を募集します。



■情報発信・出版物・会合のご案内など

□「原産イノベーションセミナー」を開催-参加者募集

 当協会は10月2日(金)、東京都千代田区の如水会館で、当協会の会員等を対象とする「原産イノベーションセミナー」を開催します。「日本の鉄道に見る安全と信頼」をテーマに、交通システム工学の東京大学 曽根悟 名誉教授(JR西日本(株)社外取締役)を講演者に迎えます。また講演後には、山脇道夫 東京大学名誉教授をコーディネーターとして、会場とのディスカッションの時間も設けます。

 参加費は、会員3,000円、会員外5,000円。お問い合せは、当協会・企画部まで。
 
 詳細・参加お申込みは、

http://www.jaif.or.jp/ja/news/2009/innovation_seminar091002.html


□12月開催「原子力産業セミナー2011」の参加企業を募集中

当協会は、主に理工系の大学生・大学院生を対象に、原子力産業界のPRと人材確保を目的とした「原子力産業セミナー」を、12月12日(土)に東京・新宿エルタワー30階「サンスカイルーム」で、 12月19日(土)に大阪・新梅田研修センター2階「G・Lホール」で開催します。

 昨年の「原子力産業セミナー2010」では、45社の会員企業によるブース展示に、全国から理工系を中心に525名の学生が来場しました。
 4回目となる今回は、従来の東京会場に加えて、より幅広い会員ならびに学生に参加していただくため、大阪会場でも開催します。
 
  採用を計画されている、また、学生への企業PRをお考えの会員企業のみなさまは是非下記までお問い合わせください。

 詳細・参加お申込みは、http://www.jaif.or.jp/ja/nis/2009/seminar_index.html


■地方組織との連携

□中原懇シンポジウムで服部理事長が世界の原子力ルネッサンスについて講演

 去る8月4日、日本原子力産業協会・中部原子力懇談会が主催するシンポジウム「原子力の疑問に答える」が、名古屋市で開催され、冒頭、服部理事長が「原子力ルネッサンスの実現に向けて――日本への期待」と題して講演を行いました。地球環境問題や原油価格の高騰を背景としたエネルギー問題に対して社会の関心が高まり、発電時に二酸化炭素を出さない原子力発電が世界各国で再評価を受け、大きく注目される中、わが国は世界の原子力発電に貢献することが必要であると強調しました。
 
 服部理事長は、社会の持続的発展を図るためには、「エネルギーの安定供給」「地球温暖化問題への対応」「経済成長」の「3つのE」の同時達成が必要であり、原子力発電はその達成に不可欠なエネルギー源であるということが世界共通の認識となりつつあることに触れた上で、原子力発電を再評価し、積極的に開発・導入を計画する国々が世界的に増えてきたというこの「うねり」を「原子力ルネッサンス」だと紹介しました。

 現在、世界で原子力発電を導入しているのは31ヶ国・地域、原子力発電プラント数は436を数える一方、将来に向け、新たに原子力発電を導入しようとしている国々は、ベトナムをはじめ20カ国以上に上ることを指摘。特に動きが注目される国々として、30年ぶりに新規原子力発電所建設の動きが見られる米国、壮大な原子力発電開発計画が進む中国やインド、原子力発電所閉鎖方針を転換したスウェーデンやイタリアなどを挙げました。

 世界の原子力発電拡大基調の中で、日本の原子力については、「40年以上にわたる原子力発電所建設に基づく技術のノウハウ蓄積」「原子力発電所の計画外停止が極めて少ない点」「産業界のものづくり力」、そして「計画工程通り、計画予算内でのプラントを完成させる能力」があることが強みだと強調しました。

 さらに服部理事長は、各国が原子力開発を進めるにあたり、上記のように優れた特長を備えた日本の技術に対する期待が益々大きくなっているとして、蓄積してきた技術力と建設・運転の経験やノウハウを、世界の原子力発電に貢献することが原子力先進国である日本の責務であると指摘。その上で、原子力発電技術に関しては、官民が一体となってアジアを中心とした国々の原子力発電導入の支援を進めるために、今年3月から「原子力国際協力センター」が活動を開始したことを紹介し、講演の結びとしました。


■ホームページ・動画の最新情報

□原産協会HP(一般向け)の更新情報 ( http://www.jaif.or.jp/ )

*国内、海外ニュースは毎週および随時更新しております。

〈原産協会からのお知らせ〉
・2010年7月に南アで若者のための原子力大会(IYNC)が開催 発表論文要旨募集中 (8/17)
・事務局夏期休暇のお知らせ (8/3)
・一般財団法人 原子力国際協力センターのホームページ開設のお知らせ (8/3)

〈解説・コメント・コラム〉
・衆議院選挙に向けた主要各党の原子力、エネルギー、地球環境関連のマニフェスト比較 (8/20)
・『MOX輸送混乱なく終了、沿岸国の理解促進も着実に』 (8/6)
・原産新聞別冊特集「原子力発電『支えの主役』」を掲載 (7/31)
・『新規原子力発電導入国の動き マレーシア原子力庁レポートより』 (7/30)


□動画配信 ( http://www.jaif.or.jp/ )

*「近畿大学原子力研究所主催 原子炉実験・研修会 体験レポート」  (8/17配信)


□会員向けHPの更新情報 ( https://www.jaif.or.jp/member/login.php )

・動画配信に『第21回近畿大学原子力研究所主催原子炉実験・研修会 体験レポート』を追加、更新 (8/17)
・【日本の原子力発電所の運転実績】7月分データを掲載 (8/12)
・【米国原子力政策動向】「エネルギー省原子力担当次官補にミラー博士が決定-原子力推進の必要性に言及」を掲載 (8/12)
・『原産協会 公益法人制度改革への対応検討について』を掲載 (7/27)

   

□英文HPの更新情報 ( http://www.jaif.or.jp/english/index.html )

・Atoms in Japan (AIJ) : 週刊英文ニュース(29本 7/27 -8/31)
・FOCUS:( 2本 7/27 -8/31)
 * Making the Nuclear Renaissance Real -The Role of Japan- (8/17)
 * Strongly against nuclear proliferation and Japanese excellent technology to the world -Interview with Ambassador Amano, incoming Director General of IAEA- (7/30)



■原産協会役員の最近の主な活動など

[服部理事長]
8/4(火)   シンポジウム「原子力の疑問に答える」 での開会挨拶
        (中部原子力懇談会主催)


■原産協会入会のお知らせ(2009年8月)

・全国電力関連産業労働組合総連合

■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【6】

原子力損害の補完的補償に関する条約

今回は、原子力損害の補完的補償に関する条約(CSC)についてQ&A方式でお話します。

Q1.(CSCの特徴
米国が加盟したCSCとは、どのような条約ですか?

A1.
・ CSCとは、原子力損害の補完的補償に関する条約(Convention on Supplementary Compensation for Nuclear Damage)のことです。

・ パリ条約(改正パリ条約を含む、以下同じ)、ウィーン条約(改正ウィーン条約を含む、以下同じ)と同様に、原子力損害の責任に関する事項を定めた条約ですが、大規模な原子力損害により責任限度額を超えた場合、全締約国が拠出する補完基金により、実際の補償額が底上げされるのが特徴です。

・ CSCに加盟するための条件は、パリ条約、又は、ウィーン条約に加盟しているか、もしくは、補完基金条約付属書における一定の内容を有する国内法の規定が必要です。

・ 原子力の新興国にとっては、新たにパリ条約、ウィーン条約に加盟するよりも、比較的に加盟しやすい仕組みになっています。そのため、法制度の整備を目指すアジア諸国等にとっては都合の良い条約と言えます。

・ また、原子力に関し独自の法制度を既に持っている米国のような国や、原子力賠償法が既に整備されている国にとっても加盟しやすい条約と言えます。


【A1.の解説】
1.CSCの仕組み
 CSCは1997年にIAEAで採択された条約で現在未発効ですが、各国の国内法による原子力損害賠償措置を補完しています。その仕組みは、原子力事故の発生時に、事故発生国の責任限度額(原則3億SDR=約500億円に相当します)を超えた場合、すべての加盟国により拠出された補完基金を用い、より多くの補償額を被害者に対して提供するというもので、世界規模での原子力損害賠償の枠組み構築を目指すものです。

 この補完基金の資金は、加盟各国の原子力設備容量および国連分担金割合に応じて算出されます。したがって、加盟国が増加するほど、その資金は増加し、大規模な原子力事故への備えとなります。

2.CSCの特徴
 パリ条約やウィーン条約の加盟国ではない国がCSCに加盟するための条件に「付属書」の規定に適合する国内法を要求することはCSCの特徴の一つです。この付属書では、パリ条約、ウィーン条約と同様に、原子力損害の範囲、原子力事業者の無過失責任及び責任集中、賠償責任限度額の設定、損害賠償措置の強制、専属裁判管轄の設定と判決の承認・執行の義務、といった原子力損害の責任に関する最低基準・基本原則を定めています。

 責任額については原則3億SDR(約500億円)を下回らない額とされ、これに不足する額は公的資金により補償されることとなりますが、この責任額はウィーン条約と同様で、パリ条約の7億ユーロ(約1000億円)よりも大幅に少なく設定されています。

 また、異常な性質の巨大な天災地変による原子力損害の責任は免責とされており、これが有責とされているパリ条約、ウィーン条約と大きく違っています。

これらを総合すると、CSCは、アジアにおける原子力発電所等の既設の韓国、中国(法律未整備)、台湾、日本にとっては勿論、および、新規の原子力導入予定の諸国にも加盟しやすい条約であるといえます。

 さらに、付属書に米国の法制を考慮した事項を設け、同国が加盟できるよう配慮されています。原子力損害賠償条約では原子力事業者の無過失責任と責任集中が原則事項とされていますが、米国の原子力賠償法であるプライス・アンダーソン法では、こうした原則はとられていません。そこでこうした配慮がなされているものです。但し米国の法制においては、事業者への責任の集中は、経済的な責任の集中となる仕組みになっており、被害者が迅速・公平な救済を得られるようになっています。

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Q2.(CSC加盟を目指す理由)
いま、日本がCSCに注目しているのは何故ですか?

A2.
・ CSCは、パリ条約、ウィーン条約に比べて、いくつかの事項(免責事由、除斥期間など)において、日本の原賠法と親和性があります。

・ アジア周辺諸国が比較的加盟しやすい内容であり、アジア周辺地域において国際的な原子力損害賠償体制を構築できる可能性があります。

・ 日本と原子力ビジネスでつながりの深い米国がCSCに加盟したことは、日本が加盟する場合の方向性と一致しており、また、日本が原子力プラント等の輸出する原子力新興国において、当該国が国内の原子力賠償制度の構築および賠償条約への加盟を並行して行なえることの条件に最適と判断されます。加えて、当然のことながら、日本も同じ枠組みに加わることが米国から期待されています。

・ ただし、我が国がCSCに加盟するためには、いくつかの解決しなければならない課題があります。


【A2.の解説】
我が国が原子力損害賠償に関する国際条約の加盟を想定したとき、A1で述べたとおり、制度上の整合や国際的な状況から判断して、CSCを念頭に置くのが現実的とされています。

まず、我が国の制度との間に大きな相違がないことが重要であることから、次の2点が挙げられます。

① 我が国では、CSCと同様に、異常に巨大な天災地変や社会的動乱の際には事業者が賠償責任を負わないことになっていますが、パリ条約、ウィーン条約では、いかなる天災地変も免責になりません。

② 除斥期間については、我が国の法制度上では「不法行為の時から20年」と定められていますが、パリ条約、ウィーン条約では「死亡または身体の障害は原子力事故の日から30年、その他の損害は原子力事故の日から10年」であり、CSCでは「原子力事故の日から10年(賠償措置・国の補償が10年より長い期間整備されている場合は、その期間でも可)」となっており、CSCとの問題は生じません。

 国際的な枠組みの視点からも、パリ条約はEU諸国、ウィーン条約は中東欧・中南米など、いずれも我が国との地理的関係が薄い国々が主な加盟国であるのに対して、CSCでは、越境損害の可能性のある韓国、中国、台湾の既設国・地域、や新規導入の予定される東南アジア諸国および既批准国の米国を対象とした環太平洋諸国にまで、日本と同じ枠組みに入ることが期待されます。

 以上のことから、CSCへの加盟が、パリ条約・ウィーン条約への加盟より、条件的に有利と判断される状況にあるものと思われます。

 しかしながら、我が国がCSCに加盟するためには、原子力損害の定義、拠出金の負担・支払・受取のための体制や、裁判管轄権の問題など、いくつかの解決しなければならない課題があり、先ずは、これらの解決に向けての論議を進めるとともに、東アジアの既存施設の国・地域での実現に向けた国際的な話合いが大切でしょう。

より詳細な解説はこちら →  
http://www.jaif.or.jp/ja/seisaku/genbai/mag/shosai06.pdf

 シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」のコンテンツは、あなたの声を生かして作ってまいります。原子力損害の賠償についてあなたの疑問や関心をEメールで genbai@jaif.or.jp へお寄せ下さい。


 

■げんさんな人達 (原産協会役・職員によるショートエッセイ)

ロンドン「ビクトリア時代の遺産」

 ロンドンの地下鉄は約150年前のビクトリア時代・19世紀の中頃に運行が始まった。
 石炭燃料の蒸気機関車がトンネル中を走行したのだから、車中や駅は煙たかったという。

 地下鉄が空港まで延伸したのは1970年代後半で、当時空港から市内まで乗車した時には、灰皿の無い車中で喫煙している乗客が数名おり、吸殻は車内に散乱していた。
 今や300近い数の駅があり大変に便利であるが、複数路線が交差する大深度の駅が多い割にはバリアフリー化率は高くなく、エスカレータも頻繁に休止している為、荷物の多い観光客にとっては不便だ。

ロゼッタ・ストーン
 フランス軍によりエジプトの港湾都市ロゼッタで発見された石碑でエジプト語の文書解読のきっかけとなった。19世紀始め大英帝国に渡り以降は大英博物館に展示されている。

  19世紀・ビクトリア時代は大英帝国の全盛期で、世界中の富がロンドンに集まった。
 当時建造された構築物、記念碑などは街のいたる所に点在し、加えて歴史的な町並みは今のロンドンを居心地の良い場所としている。

 市の中心部のトラファルガー広場は戦勝を記念して造られた。
 広場には海戦で戦死したネルソン提督の記念碑が建てられ、提督はいつも四周を毛並みの良いライオンに囲まれた高い柱の上からフランス方面を見据えている。
 トラファルガー海戦での提督の旗艦・ビクトリー号は現在も提督旗を掲げる現役艦であるが、2番艦・テメレーア号は廃船となりそれが絵画として広場の後ろナショナル・ギャラリーに収まっている。

 この絵を眺めているといつも新旧交代、時代の流れを実感するが、この絵が2005年の英国国内一般投票で「最も偉大な英国絵画」に選ばれたと知って意外に感じた。
 それは「フランダースの犬」を所詮は負け犬とする考え、負け犬の思想に組みしない風潮の英国においてこの絵がこのように思われている・・・・・・
「解体のため曳航され錨泊地に向かう戦艦」として、多くの同情票が集ったのではとの思いからである。

 19世紀の英国中は輸出に沸きかえり物の生産が追い付かず、工場では多くの子供たちも労働に従事していた。
 この100年間でマンチェスターやリバプールでは十数倍の人口増加があり、数万人都市から50万人都市となり住宅は不足し、大気汚染や伝染病の蔓延などが加わり劣悪な衛生環境だったという。当時の「平均寿命の比較調査」によるとリバプールでの平均寿命は、労働者は15歳、知識階級・地主は35歳、一方農業地帯でのそれは38歳、51歳だった。

 都市のこの傾向はロンドンでも同様だったが、この時代の政治・経済の速さから諸々の規制や改革が断行され、暮らしは快適さを増して行き諸外国からの富は庶民にも往き渡り、今日の骨董市の商品として世に出回っている。

 ノッティングヒル・ゲート駅から北に延びるポートベロー通りには、土曜日・早朝には屋台を含め約2千軒といわれる骨董屋が軒を連ね、この数字はともかくとして・・・

 世界・欧州各国からポンド安の影響もあり観光客が押し寄せ、大変な賑わいである。
 陶磁器、ガラス器、銀器、カメラ、時計、アクセサリー、日用雑貨などなど、はては魚や果物・野菜までありとあらゆる店が出店している。

 専門家でない人には評価の難しい品物も多くあり、私はこの市場では観光記念として千円程のちょっとした小物を購入する位で深入りはしないことと決めている。

 しかし、私がロンドンに行けば必ず訪れる場所であり、陶磁器、ガラス器、銀器などではビクトリア時代の作と称する品物にも良く出会い、これらを鑑賞できることを楽しみにしている。(渉)

【ポートベロー通り】
 ロンドン中西部の住宅街の通り約2キロに渡る骨董品・屋台。
土曜日の早朝から昼過ぎまで数々の骨董品を扱う屋台が出店し、世界各国から観光客が訪れている。




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