lights on with nuclear

 [JAIF]原産協会メールマガジン

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原産協会メールマガジン9月号
2010年9月27日発行

Index

■原子力政策推進活動

 □「我が国とインドとの原子力平和利用協力に向けて」を発表
 □「信州環境フェア2010」に高レベル放射性廃棄物地層処分のパネルを出展 
 □JAIFネットワークが「科学技術カフェ2010 in Chiba」へブース参加
 □近畿大学・研究用原子炉での実験・講習会に参加

■国際協力活動

 □クウェート国家原子力委員会が原産協会を訪問  
 □日台セミナー(於・台湾)参加代表団を派遣、参加者募集

■ホームページ・動画の最新情報

 □原産協会HP(一般向け)の更新情報
 □動画配信
 □会員向けHPの更新情報
 □英文HPの更新情報

■原産協会役員の最近の主な活動など
■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【19】
■げんさんな人達(原産協会役・職員によるショートエッセイ)

本文

■原子力政策推進活動

□「我が国とインドとの原子力平和利用協力に向けて」を発表

 インドは旺盛な電力需要の伸びに対応するため、大規模な電源開発を進めており、中でも原子力発電については、自主開発路線に加え、最新型の軽水炉を海外から導入すべく、諸外国との原子力協力を積極的に進めている状況にあります。現在、我が国政府もインドとの協力協定締結に向け交渉中ですが、当協会は9月17日、原子力分野における日印協力の重要性に鑑み、我が国の原子力産業界の立場から、「我が国とインドとの原子力平和利用協力に向けて」を取りまとめました。

「我が国とインドとの原子力平和利用協力に向けて」の全文はこちらからご覧ください。
http://www.jaif.or.jp/ja/seisaku/nuclear-cooperation-india_rev14.pdf


□「信州環境フェア2010」に高レベル放射性廃棄物地層処分のパネルを出展

 当協会は8月21日(土)、22日(日)の両日、長野市ビッグハットで開催された「第10回信州環境フェア2010」に中部原子力懇談会(中原懇)との共催で、高レベル放射性廃棄物地層処分のパネルを出展しました。
 
 環境フェアの初日、開会式メインステージで挨拶された村井仁長野県知事(当時)は、原産協会/中原懇のブースにも訪れ、高レベル放射性廃棄物処分に関するアンケートを手に取り、回答に協力していただきました(=写真右下)。

村井・前長野県知事


 原産協会と中原懇では、地方自治体等が開催する環境・産業フェアに来場する一般市民に対し、エネルギーと環境、生活と産業に貢献する原子力・放射線を理解していただき、未解決である高レベル放射性廃棄物の処分問題があることを知って、考えてもらう契機となるような働きかけができればと考え、共同でパネルや模型を出展しました。当協会の高レベル放射性廃棄物の地層処分のパネルには、両日でおよそ1,200名の市民が訪れました。

会場の様子

 
 これまで中原懇では、信州環境フェアにおいて“知るほどなるほどエネルギー”と題したエネルギー・環境、放射線・原子力のパネルを展示したブースを設け、訪問者にパネルを読んでもらうためのキーワード探しクイズや簡単なアンケートを実施してきました。

 昨年度のブース展示からは、高レベル放射性廃棄物の地層処分の理解促進のため、当協会のパネルや日本原子力研究開発機構(JAEA)の地層処分模型をブースに追加し、中原懇との共催は今年で2年目となります。中原懇の実施したクイズ・ラリーには、ノベルティーグッズの配布効果もあり、子供から大人まで両日で約1,900名の回答がありました(=写真)。

 
 今年で10回目となる信州環境フェアでは、「STOP温暖化!~守りたい 緑の自然を いつまでも~」をメインテーマに掲げ、信州環境フェア実行委員会・長野県地球温暖化防止活動推進センターが主催となって、県民、NPO、事業者、行政が手を取り合って環境保全の取組の推進、持続可能な社会を構築する契機となるよう74の組織、団体、企業が出展して開催されました。

 会場となった長野市ビッグハット(若里多目的スポーツアリーナ)は、2006年に日本で開催された冬季オリンピックのアイスホッケー競技が行われた場所で、フェア終了後に主催者側から、2日間でおよそ17,100名の市民が訪れたとの発表があり、昨年よりも多くの方が来場したことで、環境への関心が年々、高くなっていくことを伺うことができました。


□JAIFネットワークが「科学技術カフェ2010 in Chiba」へブース参加

  「JAIF地域ネットワーク」は、千葉市「きぼーる」(千葉市科学館) で開催された「科学技術カフェ2010 in Chiba」にブース出展しました。このイベントは、千葉市、放射線医学総合研究所、内藤泰春科学技術振興財団の共催によるもので、今年で2回目の開催になります。昨年12月に第1回目を開催し、市民やメディアから大変好評であったため、今年は、千葉市も主催に加わり、8月27日(金)および28日(土)の二日間にわたる開催となりました。

 「科学技術カフェ」は、企画者である放医研の中村秀仁博士(基盤技術センター研究基盤技術部)が、「内藤泰春記念賞」 を最年少で受賞したのをきっかけに、「若い世代に向けた正しい放射線の知識の啓蒙」を目的に、“誰でも気軽に科学技術に親しむことができる場”を目指して開催されました。熊谷千葉市長他の開会挨拶に続き、中村氏は「どうしたら博士になれるのか?」と題した講演を行い、子供たちにもわかりやすい「博士になるための3つのキーワード」をあげた楽しいトークを繰り広げました。

 会場にはカフェコーナーを含む24のブースがあり、来場者はスープやコーヒーを片手に、それぞれブース巡りを楽しんでいました。2日間とも晴天に恵まれ、家族連れや小学生のグループなど多くの来場者で賑わいました。

  「JAIF地域ネットワーク」のブースでは、日本原子力学会Young Generation Network(YGN)が作成したすごろくゲーム「GEN-6」や日本原子力研究開発機構と東海村の住民たちが協力して作った「くるくるウランゲーム」を行いました。これらのゲームは、エネルギーや原子力、核燃料サイクルを遊びながら楽しく学べるもので、参加してくれた子供たちに大好評でした。また、くらしの中で役立っている放射線利用について知っていただくため、わが国で唯一食品照射が認められている「芽止めジャガイモ」を配布しました。

熊谷千葉市長 開会挨拶

中村氏講演「どうしたら博士になれるのか?」

すごろくゲームは大好評だった。

「チーバくん」(2010年のゆめ半島千葉国体・
ゆめ半島千葉大会のマスコット)も会場に
遊びにきてくれました。
「ガッテン!食品照射」(当協会パンフレット)と
「芽止めジャガイモ」を持つ「チーバくん」



・科学技術カフェ   http://133.63.22.22/sciencecafe/index.html
・内藤泰春科学技術振興財団  http://www.naito-zaidan.or.jp/
・内藤泰春記念賞  http://www.naito-zaidan.or.jp/pdf/news_01.pdf
・熊谷市長 blog   http://kumagai-chiba.seesaa.net/article/160799473.html#comment


 

□近畿大学・研究用原子炉での実験・講習会に参加

 9月2日、近畿大学の研究用原子炉(大阪府東大阪市)で行われた、電力会社の女性モニター向け一日コース実験・講習に当協会の女性職員が参加しました。この研修は、原子力・放射線について正しい知識を持ち身近に感じてもらうことなどを目的に、近畿大学が同炉を活用しながら様々な実験・講習を実施しているものです。今回の女性モニター向けのほか、中学・高等学校・高等専門学校教員や電力会社広報関係者向けのコースも行われています。

 同研修では、伊藤哲夫・近畿大学原子力研究所所長による開会挨拶の後、保安教育として管理区域立ち入りに関する諸注意が説明され、近大炉を実際に見学しながら熱出力1Wという極低出力である同炉の特徴などを学びました。その後、放射線の基礎について講義があり、放射線計測器を使って環境中の放射線を計測しました。

 午後からは実際に原子炉を運転し臨界状態に制御することを通じて、原子炉の動作原理を学んだほか、X線と中性子線を使って撮影したラジオグラフィ(透過画像)を比較し、それぞれの特徴を理解することができました。最後に放射線の健康への影響についての講義があり、診断や治療に応用する医学利用など、最新の知見が紹介され、講義終了後には、修了証が受講者全員に渡されました。

伊藤所長による近大炉の特徴の解説 計測器で環境放射線を測定する参加者

  参加者が運転体験をした原子炉


 同研究所では、「実物の原子炉を視て触れて運転して」をキャッチフレーズとして、専門家だけではなく、中学生・高校生や一般市民など様々な人々に原子炉に接する機会を提供しています。


国際協力活動

□クウェート国家原子力委員会が原産協会を訪問

  クウェートの国家原子力委員会(KAEC)から、アハマド・ビシャラ委員・事務局長ら4名が訪日、9月6日には原産協会に来訪し、服部理事長などと同国の原子力発電導入計画などについて懇談を行いました(=写真)。


 今回来日したのはビシャラ委員のほか、シハブエルディン委員、ユーセフ保健省サービス担当次官補、シュハイバルKAECコーディネータの4名。一行は原産協会のほか、経済産業省などを訪問、また日本原子力発電・総合訓練センター、原子力機構・大洗研究開発センター、放射線医学総合研究所なども見学しました。

 クウェートでは、2009年3月にKAECが設立され、来年頃までかけて原子力発電導入の検討が行われています。



□日台セミナー(於・台湾)参加代表団を派遣、参加者募集

 当協会は、11月1日から3日まで、台湾で第25回「日台原子力安全セミナー」を 開催するにあたり、セミナーへの参加と共に、台湾の原子力関係施設を視察する 原産協会代表団を派遣します。代表団の派遣期間は10月31日(日)~11月4日 (木)の5日間。  

 同セミナーにつきましては、プログラム、台湾訪問日程等について、準備委員 会(委員長=服部拓也・原産協会理事長)を設置し、検討してまいりました。    

 セミナーでは、原子力発電開発の現状と見通し、原子力発電所における出力増 強や寿命延長、原子力発電所の建設状況、放射性廃棄物管理、放射線防護のほ か、人材育成などについて、発表と意見交換を行います。施設訪問先としては、 龍門(第4)原子力発電所の建設現場と清華大学を予定しております。龍門原子 力発電所は日本の大型機器提供による海外で初めてのABWR建設プロジェクトで、 これまで政治的理由により建設工事が中断された時期がありましたが、急ピッチ で工事が進められており、年内にも燃料が装荷される予定とのことです。  

 是非ともこの機会に、セミナー参加、原子力施設の見学、台湾側関係者との交 流を通じて、近隣の台湾における原子力開発の状況を直接見て理解を深め、今後 の台湾との協力の可能性を探る有益な場としてご活用下さい。

参加申込み・詳細は当協会HPをご覧ください。
http://www.jaif.or.jp/ja/kokusai/25th-jptw_seminar-announce.pdf

■ホームページ・動画の最新情報

□原産協会HP(一般向け)の更新情報 ( http://www.jaif.or.jp/ )

*国内、海外ニュースは毎週および随時更新しております。
・「我が国とインドとの原子力平和利用協力に向けて」プレスブリーフィングを開催(9/17)
・11月1~3日に台湾で第25回日台原子力安全セミナーを開催 参加者を募集中(9.15)

〈解説・コメント・コラム〉
・「クウェートの原子力開発利用に関する動向」(9/10)

□動画配信 ( http://www.jaif.or.jp/ja/jaiftv/ )

・地層処分の技術基盤整備に向けて-東濃地科学センターの取り組み- (9/15配信)

□会員向けHPの更新情報( https://www.jaif.or.jp/member/
・(掲載予定)今年6月にロシアで開催された国際フォーラム 「ATOMEXPO 2010」への参加団報告書(10月上旬)
・『日本の原子力発電所の運転実績』8月分データ(9/6)

□英文HPの更新情報( http://www.jaif.or.jp/english/

・Atoms in Japan (AIJ) : 週刊英文ニュース(14本 9/1-9/27)



■原産協会役員の最近の主な活動など

[服部理事長]
・9/14(火) 朝日地球環境フォーラム2010~原子力、自然エネルギーをどう使うか~
        にパネリストとして出席(於:ホテルオークラ)
・9/18(土)  ベトナムフェスティバル2010開会式へ出席(於:代々木公園)
・9/20(月)  IAEA General Conference 54th Sessionに出席(於:ウィーン)
・9/28(火)~29(水) 日仏原子力専門家会合に出席(於:ヴェルサイユ)

[石塚常務]
・9/15(水) 原子力学会秋の大会企画セッションにパネリストとして出席(於:北海道大学)
・9/16(木) 原子力機構 幌延深地層研究センター視察


■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【19】

韓国の原子力開発事情と原賠制度
 今回は、日本海を挟んで我が国に最も近い国の1つである韓国の原子力開発事情と原賠制度についてQ&A方式でお話します。


Q1.(韓国の原子力開発事情)
韓国の原子力開発はどのような状況ですか?

A1.
・ 1978年に最初の原子力発電所が運転を開始し、現在は20基1772万kWが運転中、8基960万kWが建設中、4基560万kWが計画中です。
・ 欧米企業の技術導入を基に国産化・標準型炉開発が進められており、2012年に完全国産化を達成する計画がたてられています。
・ 自国の原子力発電所建設だけでなく、1990年代以降、IAEAへの協力や、他国へのコンサルタント契約などを通して国際展開への努力が続けられており、2009年にはアラブ首長国連邦(UAE)の原子炉建設計画で4基の建設と運転を受注しました。


【A1.の解説】
 韓国は1956年に米国と原子力協力協定を締結、1962年に初の研究炉TRIGA-MARKⅡが臨界を達成し、1978年に初の原子力発電所である古里1号機が運転を開始しました。現在では20基1,772万kWの原子力発電所が運転中、8基960万kWが建設中、4基560万kWが計画中で、一次エネルギー供給の約15%、総発電設備容量の約25%、総発電電力量の約35%を原子力が占めています。

 韓国は1991年に北朝鮮と「朝鮮半島の非核化と平和構築のための宣言」に署名し、再処理施設、濃縮施設の保有を放棄しており、また、外国に再処理を委託することも米国の同意を得られる見通しが立たないため、使用済燃料は2016年まで原子力発電所のサイトに貯蔵することを決定しています。しかしながら2016~2018年までに各発電所の貯蔵施設が満杯になってしまうという差し迫った状況もあり、2014年の韓米原子力協定改定に向けて、これまで禁止されてきた再処理への道を開くことを交渉において強く要求しています。

 韓国は、原子力関係の制度や法令、基準等の多くを日本から取り入れていますが、原子力発電開発は米、加、仏などの欧米企業と連携し、それを自力更新する形で進めてきました。1970年代に完成品受け渡し契約の形から始まり、1983年に策定した「原子力発電所標準化計画」や2008年に策定した「第一次国家エネルギー基本計画」などに沿って加圧水型軽水炉(PWR)の国産化・標準型炉開発を進め、2012年に完全国産化することを目指しています。韓国の原子力発電所における2000年以降の設備利用率は、世界平均の79%を大きく上回る90%超を毎年達成しており、世界トップクラスの稼働率が維持されています。

 また、1990年代以降、韓国は国際原子力機関(IAEA)等への協力、中国とのコンサルタント契約や原子力発電所建設の受注、トルコとのコンサルタント契約など、国際展開への努力を続けてきましたが、李明博政権になってからは特に積極的な動きを見せており、2009年にはアラブ首長国連邦(UAE)の原子炉建設計画で4基の建設と運転を受注しました。これを踏まえて示された「原子力発電輸出産業化戦略」(2010年1月)では、2030年までに累計80基の受注を目標としています。
 なお、現在までに、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、エジプト、フランス、インドネシア、日本、ヨルダン、カザフスタン、モンゴル、ロシア、アラブ首長国連邦、英国、ウクライナ、米国、ベトナム、アルゼンチンとの間で二国間原子力協定等を結んでいます。


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Q2.(韓国の原賠制度)
韓国の原賠制度はどのようになっていますか?


A2.
・ 韓国の原賠制度は日本の制度と良く似たものとなっています。
・ 日本の制度と大きく違う点は、原子力事業者の責任限度額を設けている点や、賠償措置額が日本の30分の1程度である点などです。
・ 韓国は原子力損害賠償に関する諸条約に加盟していませんが、現行法は、原子力損害の定義や責任限度額の点などにおいて、改正ウィーン条約やCSCに対応することができるものとなっています。


【A2.の解説】
 韓国は原子力開発を始めるにあたり、技術は欧米から取り入れましたが、制度や法令、基準等の多くを日本から取り入れています。原賠制度も日本の「原子力損害の賠償に関する法律」を参考に「原子力損害賠償法」が作られてきましたが、現行法は国際条約の加盟を視野に入れた内容となっています。

 2002年1月1日より施行されている韓国の現行の原賠制度において、日本の制度と異なるのは、主に以下の点です。
・ 賠償措置額は500億ウォン(約37億円)であり、日本の1200億円と比べて極端に少なく(約30分の1)、中国の3億元(約38億円)と同程度である。
・ 賠償措置額を超える原子力損害が生じた場合、必要と認められる場合は政府が原子力事業者に対して必要な援助を行う(第14条の2)のは日本と同様だが、原子力事業者の責任は無限責任ではなく、3億SDR(約379億円)までの有限責任となっており、改正ウィーン条約や補完基金条約(CSC)に対応可能となっている。(第3条の2)
・ 第2条2項において、「原子力損害」の定義に以下二種類の費用が追加されており、改正ウィーン条約に対応可能となっている。
 ▽重大な環境の損傷を原状復帰するために災害措置法等の関係法令による措置計画に従って取った、又は取らなければならない措置の費用
 ▽原子力事故を発生させる重大かつ緊急の危険がある場合にこれによる損害や費用の発生を防止したり最小化するために、災害措置法等の関係法令による措置計画に従ってとった防止措置費用(防止措置による追加的な損失又は損害を含む)
・ 生じた原子力損害が、「国家間の武力衝突、敵対行為、内乱又は反乱による場合」は、事業者の責任が免責となり(第3条)、この条件は改正パリ条約、改正ウィーン条約、CSCの全てに適合する。我が国では「異常に巨大な天災地変」も免責となるため、CSCにしか対応してない。
・ 原子力損害の賠償責任は原子力事業者に集中されているが、資材の提供や役務の提供を行った者を含む第三者に故意や重大な過失があった場合には、その者に対して求償できる(第4条)。故意だけでなく重大な過失の場合も求償権を認めるのが我が国との違い。
・ 原子力損害賠償の請求権は10年経過すると時効により消滅する。ただし身体障害、疾病発生及び死亡による原子力損害賠償の請求権の消滅時効は30年となっている(第13条の2)。この条件は改正パリ条約、改正ウィーン条約、CSCの全てに適合する。我が国では不法行為の消滅時効は20年であるため、CSCにしか対応してない。

 韓国は原子力損害賠償に関する諸条約(パリ/改正パリ条約、ウィーン/改正ウィーン条約、補完基金条約(CSC))には加盟していませんが、2001年に改正され2002年1月1日より施行されている現行法は、原子力損害の定義や責任限度額の点などにおいて、改正ウィーン条約やCSCに対応することができるものとなっています。

 なお、その他の国際枠組みとしては、原子力安全条約、使用済み燃料安全管理・放射性廃棄物安全管理合同条約、原子力事故早期通報条約、原子力事故または放射線緊急事態における援助条約、核不拡散条約(NPT)、包括的核実験禁止条約(CTBT)、核物質防護条約改定条約に加盟しており、IAEAの保障措置協定、追加議定書も締結しています。


*平成22年9月15日現在のレートによる。


 シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」のコンテンツは、あなたの声を生かして作ってまいります。原子力損害の賠償についてあなたの疑問や関心をEメールで genbai@jaif.or.jp へお寄せ下さい。


■げんさんな人達 (原産協会役・職員によるショートエッセイ)

走って、歩いて、登って30数年

 私がジョギングを始めたのは30年余り前。残業が続き、このままでは健康を損ねると心配しての、体力づくりが目的だった。残業に入る前に、皇居を1周走った。丁度その頃、事務所が大手町にあったので、地理的にも便利だった。1周5キロである。春は桜、サツキ、梅雨時には紫陽花、またバラの花もあり、さらに桜田濠付近の雄大な眺めは心を浮き浮きさせてくれる。そのうち1周では物足りず2周走るようになった。

 休日は自宅近くを走る。そのうち手賀沼周辺を15キロ走るなど、だんだん欲が出てきた。そして、当時としては憧れの青梅マラソン(30キロ)に参加した。半年前に申し込んで抽選で参加が決まった。2回ほど参加した。大体2月上旬に実施されており、雪の舞う中を走ったこともある。青梅市の体育館を出発して、15キロ奥多摩に向かい、同じ道を戻ってくる。走り出すと、商店街から「帰ってこいよ」の歌が大ボリュームで流れてきて、元気付けてくれた。

 私がジョギングに懲りだしたのは、市民マラソン大会のブームが起き出した頃である。最低月1回はその種の大会に参加した。それも結構、初物(第1回大会)が多かった。佐倉朝日健康マラソン、館山若潮マラソン、江東シーサイドマラソン、桃源郷マラソン、富里スイカロードレース、サンスポ千葉マラソン、大山登山マラソン、手賀沼エコマラソン、かすみがうらマラソン、柏崎潮風マラソン、など枚挙に遑がない。

 昨今話題の東京マラソンの前身の第1回東京シティマラソンにも参加した。このときは東京都庁前から大井競馬場までの、ハーフマラソンであった。
 ランニングを重ねるにつれ、フルマラソンが目標になるのは自然の成り行きだった。数回挑戦した。多くの場合、流石に体力が持たず、途中で休憩(徒歩)せざるを得なかった。しかし、第1回長野オリンピック記念マラソンでは何とか完走した。ただ、ラスト5キロぐらいは足がコチコチの痙攣寸前で、スピード的には歩いているのとほとんど変わらなかった。タイム的には芳しくなかったが、走り抜いたという満足感はあった。

 富士登山マラソン競走も懐かしい思い出である。富士吉田市役所前を朝7時にスタート、正午までに富士山頂に到達すれば、完走賞をもらえる。標高差約3,000メートル、走行距離約20キロ。頂上に近づくにつれ急登となり、ハーハー、ゼーゼーの連続で、4分前に目出度く山頂に到着。晴れて完走賞を獲得した。完走率は5割程度と聞いている。(筆者後記:最近富士登山に懲りだし、五合目までバスを利用して、そこから登っている。頂上まで結構苦しく、途中で断念することもあり、耄碌したものである。この年になると、事前にトレーニングしないで登ると良くないことが分かった。)

 色々なマラソン大会に参加するために、日常のトレーニングは疎かにできない。自宅周辺でジョギングもしていたが、スポーツセンターに入会した。週に3回以上、スポーツセンターに通い、最盛期には、ラン10キロ強、スイム1キロ、ストレッチ等30分などのトレーニングをした。
 ところが、昨年秋、急に腰が痛くなり、運動は一切禁止に。椎間板ヘルニアのため、ランニングは当然お預けの状態。咳をしても腰が痛い、椅子に座るのも痛い。うがいのために顔を上げることもできない、ズボンや靴下の脱着も痛くて、不自由な生活が続いた。一番気になったのは、今までしていた運動をやめることによって、脂肪腹になることである。ウォーキングはOKということなので、当初は、亀のようにスローで2~3キロ歩いた。脚腰の痛みが緩和するのに合わせて、歩く量も増やしていった。帰宅時には、駅から自宅までの4キロ弱を、極力歩くようにした。休日出勤したときには、1~3駅手前で降りて、歩くようにしている。

 今年4月下旬にはかなり快復し、5月の連休には、防災訓練と称して、事務所のある新橋から自宅(柏市)まで約35キロを完歩した。途中、浅草を経由して、話題のスカイツリーの周囲をぐるりと回った。工事中のスカイツリーの高さが東京タワーの333メートルを超えてからは、俄かに有名になり、多くの人が見物に来ていた。「武蔵の国」にちなんで、最終的に634メートルになるそうだ。2回目の「防災訓練」の時には、柴又帝釈天に寄り道した。「フーテンの寅さん」で、名前だけ知っていたが、実際に見るのは初めて。帝釈天の彫刻ギャラリーは中々の逸物である。「矢切の渡し」にも行ってみた。伊藤左千夫の「野菊の墓」が思い出された。

 ウォーキングも、このように急に凝りだし、脚の続く限り歩き続けたいと思っている。江戸末期、坂本竜馬も沢山歩いたのだろうと想像することもある。山登りも、素人なりに経験し、日本百名山にこだわって80山ぐらい登った。富士山、谷川岳、奥白根山、男体山、筑波山、尾瀬(燧岳、至仏山)、白馬岳などはリピート登山である。夏には週末を利用して山歩きに精出している。山の話は紙数の関係でこの辺で筆をおきたい。
 私が、走って、歩いて、さらに登ることができたのも、ひとえに細君のお蔭です。感謝しています(K.M.)




◎「原産協会メールマガジン」2010年9月号(2010.9.27発行)
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