lights on with nuclear

 [JAIF]原産協会メールマガジン

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原産協会メールマガジン10月号
2010年10月25日発行

Index

■原子力政策推進活動

 □松山市で来年4月に第44回原産年次大会を開催
 □「2010世界原子力大学夏季研修」報告会を開催
 □シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度2010年版」の小冊子を配布します―

■国際協力活動

 □IAEA総会開催および総会併設展示会へ出展 
 □第17回日仏原子力専門家会合(N-20)を開催 

■会員との連携活動

 □第7回会員情報連絡協議会を開催 

■ホームページ・動画の最新情報

 □原産協会HP(一般向け)の更新情報
 □動画配信
 □会員向けHPの更新情報
 □英文HPの更新情報

■原産協会役員の最近の主な活動など
■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【20】
■げんさんな人達(原産協会役・職員によるショートエッセイ)

本文

■原子力政策推進活動

□松山市で来年4月に第44回原産年次大会を開催

 当協会は、来年4月12日(火)~14日(木)に第44回原産年次大会を愛媛県松山市の「ひめぎんホール」で開催します。

 愛媛県には四国電力株式会社の伊方発電所が立地しており、今年3月にプルサーマル発電が開始されました。

 10月6日(水)に第1回組織委員会を開催し、大会の基調テーマやセッション内容の検討を開始しました。組織委員会の座長は愛媛大学の柳澤康信学長にお願いし、原子力関係者をはじめ、地元の消費者団体、NPO、地元紙の代表の方々に委員としてご参画いただき、忌憚のない意見が交換されました。

第1回組織委員会 中央が柳澤座長(愛媛大学学長)


 みなさまのご協力を得つつ、愛媛県の方々と原子力関係者との信頼感の醸成と相互理解の促進に資する大会を目指します。

 第44回原産年次大会の情報は、随時ホームページにてご案内いたします。
 http://www.jaif.or.jp/ja/annual/44th/44th-annual_top.html


□ 「2010世界原子力大学夏季研修」報告会を開催

  「2010世界原子力大学夏季研修」は、今夏、英国オックスフォード大学で6週間にわたり実施され、原子力発電所を持つ国、持たない国、あわせて世界30カ国・地域から若手の技術者、研究者を中心に97名が参加しました。日本からは、当協会の「向坊隆記念国際人育成事業」による参加費用助成を受けて4名が参加しました。

 当協会は、参加した4名の方々から夏季研修の模様や参加の印象などをうかがうため、10月13日(水)に報告会を開催しました(=写真)。

 報告会では、参加者から、「広島出身ということもあり、日本として「広島」をテーマとした核不拡散と核軍縮に関するメッセージを発信できた」という自負、「人材育成と国際貢献の立場から、日本から数多くの参加者と講師を継続して夏季研修に輩出することが極めて需要である」という指摘、「まだ原子力発電所を持たないアフリカや東南アジア諸国などからの参加者の意見や情報は、普段接する機会が少ないだけに有用」という海外展開を見据えた発言など、若者らしい率直さにあふれたメッセージが多く語られました。これらは、6週間の国際環境での研修に刺激を受け、触発され、多くの示唆を受取った賜物と思われます。

 本夏季研修は、原子力分野の国際人育成にとても有益と言えるようです。
 なお、今年の夏季研修では、当協会理事長が招待講演を行いました。また、国際部小西は3年続けてメンター(指導教官)として研修に参加しました。
 
(「2010世界原子力大学夏季研修」日本人参加者) (五十音順)
・大釜和也殿 (独)日本原子力研究開発機構 次世代原子力システム研究開発部門 炉システム開発計画室 炉心設計・計画担当 研究員 
・荻野晴之殿 (財)電力中央研究所 原子力技術研究所 放射線安全研究センター 主任研究員
・佐藤隆彦殿 日本原燃(株) 燃料製造事業準備室 燃料製造部燃料技術グループ
・鈴木彩子殿 日立GEニュークリア・エネジー(株) 原子力設計部 技師


 また、WNU(世界原子力大学)では来年の「2011世界原子力大学夏季研修」について、参加者を募集中です。詳細、お申込みはホームページをご覧ください。
 http://www.world-nuclear-university.org/about.aspx?id=17688



□シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度2010年版」の
  小冊子を配布します―

 昨年3月号から、「原産協会メールマガジン」で連載してきました、シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」の9月号まで19回分の掲載内容を小冊子にまとめ、無料配布いたします。

 ご希望の方は(1)送付先住所 (2)所属・役職(3)氏名(4)電話番号(5)必要部数をEメールで genbai@jaif.or.jp へ、もしくはFAXで03-6812-7110へお送りください。



国際協力活動

□IAEA総会開催および総会併設展示会へ出展

 国際原子力機関(IAEA)の第54回通常総会が9月20日から24日まで、オーストリアのウィーンで開かれ、同機関の諮問的地位を有している当協会もオブザーバーとして参加しました。また、日本からは就任したばかりの海江田万里・科学技術担当大臣が出席し、スピーチしました。

 天野之弥・IAEA事務局長はスピーチの中で、世界的な原子力導入の流れの中でIAEAの役割が増大しつつあると指摘。現在60もの国々が原子力発電の導入を検討しており、2030年までに10~25の新規導入国が誕生するとの見通しを示しました。そして、「原子力発電利用はすべての国が享受すべき」とし、IAEAは今後も新規導入国に対する協力を惜しまないと強調しました。また今次総会の大きなテーマでもある「がん対策」にも言及。放射線医学利用によるがん撲滅を強く訴えました。

総会でスピーチする天野事務局長


 一方、海江田大臣は原子力発電利用と保障措置の強化・効率化の両面で日本が培ってきたノウハウを、IAEAの技術協力を通じて新規導入国支援に役立てたいと力強く宣言。3Sの確保を重視しつつ、アジア、中東地域の原子力需要に対応していきたいと述べました。そして核燃料供給保証について、「依然として加盟国間に意見の隔たりがあるが、実質的議論に踏み込める環境が醸成されることが重要」と議論の進展に期待を寄せました。

 また北朝鮮の核問題について海江田大臣は、「東アジアおよび国際社会全体の平和と安全に対する深刻な脅威」だと強調。解決に向け日本は、国連安保理決議を着実に履行し、引き続き国際社会と連携して行動したいとしました。

 総会に併設された展示会において、当協会は日本原子力研究開発機構、放射線医学総合研究所と緊密に連携し、今年も日本ブースを構成。当協会はエネルギー総合工学研究所が取り纏めている次世代軽水炉プロジェクトをテーマに出展しました。

 当協会が制作した日本の原子力産業界を紹介するDVDも配布。数日で300枚全てが配布終了し、IAEA職員の間では「なかなかよく出来た内容」と評価されていました。

JAIFブースを訪れたインドネシアの原子力庁長官(中)と原子力規制庁長官(右)



□第17回日仏原子力専門家会合(N-20)を開催

 当協会は、去る9月28日、29日の両日、フランスのヴェルサイユで「第17回日仏原子力専門家会合(N-20)」を開催しました。

 N-20会合は、日仏両国の原子力関係者が、原子力開発計画や当面する諸問題について最新の情報や率直な意見を交換することにより、双方の相互理解と協力を促進し、ひいては世界の原子力平和利用開発の円滑な推進に寄与することを目的として、1991年以来、ほぼ年1回のペースで、日本とフランスで交互に開催しているものです。

 今回の会合では、フランスからはベルナール・ビゴ原子力・代替エネルギー庁(CEA)長官、日本からは服部拓也 原産協会理事長(=写真前列右から3人目)をはじめとする計28名が参加し、両国のエネルギー・原子力政策や、高速炉開発、新規導入国支援計画、人材育成、既存炉の活用と核燃料サイクル施設の運用等について情報を交換し、率直な議論を行いました。

 議論の中では、新規導入国への支援において、4S(原子力安全、核セキュリティ、保障措置、持続可能性)、財政支援、人材育成、賠償責任、使用済燃料管理といった問題意識を共有し、共通の見解に向けて議論を行っていくこととしました。国際展開において日仏は競争関係にあるものの、両国で協調して責任ある開発のベースとなる高い安全要求を確立し、日仏が模範となり規律ある競争を促していくことで合意しました。

 高速炉開発については、両国とも同時期にNa冷却高速炉プロトタイプを計画しており、共通する研究開発テーマについて日仏の協力体制の強化が強調されました。また、人的資源が細り財源が限られる中、日仏で緊密に連携して資源の有効利用を図るべきと議論されました。今後、日本は原子力機構、仏はCEAを中心として、関係者を含めたワークショップを開催することとしました。

 またプルトニウムを再利用する重要性が強調され、第一段階として軽水炉でプルトニウムを再利用することは、プルトニウムバランスを管理し、将来の高速炉での利用に備える上で有益であるとしました。

 今回の会合の成果を共同声明に取り纏め、日仏両国の共通の立場を国際的な場で展開していくとともに、共通の課題について今後も検討していく重要性が確認されました。

共同声明(英文、仮訳)はこちら
参加者名簿はこちら
プログラムはこちら


■会員との連携活動

□第7回会員情報連絡協議会を開催

 当協会は10月19日、第7回「会員情報連絡協議会」を東京・霞が関の東海大学校友会館で開催し(=写真)、日本原子力発電(株)廃止措置プロジェクト推進室の苅込敏室長より、「東海発電所の廃止措置と現状」と題して講演をいただきました。

 わが国の原子力発電所は高経年化時代を迎え、今後廃止措置が相次ぐと見られています。日本で初めての商業用原子力発電所の廃止措置に着手した東海発電所は平成10年3月に営業運転を終了し、平成13年2月より廃止措置(解体撤去工事)に着手、平成18年に5年間の第1期工事が終わりました。苅込室長は、平成18年8月から着手した熱交換器撤去等工事の状況などについて、ビデオも交えながら説明されました。

 さらに、海外ではすでに多くの国においてクリアランス制度が運用されており、その取り組み事例とともに、東海発電所におけるクリアランス測定・評価作業についても紹介していただきました。
 



 当日、日本原子力発電(株)東海発電所の解体撤去に伴い発生したクリアランス制度対象金属(鉄材)から再生された「ベンチ」を会場内に展示し、関係者の理解促進に供しました。当協会事務所にも、このベンチを購入・設置することとしています。
   

会場内に展示したクリアランスベンチ

 当協会からは、活動報告として平成23年度中期事業計画、「原子力産業セミナー2012」の開催および原子力研究開発に携わる日本の若手技術者、研究者等の育成事業の一環としての「世界原子力大学(WNU)夏季研修」への参加支援について説明を行いました。
 
 

■ホームページ・動画の最新情報

□原産協会HP(一般向け)の更新情報 ( http://www.jaif.or.jp/ )

*国内、海外ニュースは毎週および随時更新しております。

・第17回日仏原子力専門家会合(N-20)概要(10/14)
・向坊隆記念国際人育成事業「2011世界原子力大学(WNU)夏季研修」参加支援対象者募集のご案内(10/1)

〈解説・コメント・コラム〉
・「クウェートの原子力開発利用に関する動向」を更新(10/4)

□動画配信 ( http://www.jaif.or.jp/ja/jaiftv/ )

・ともに考える 原子力・放射線-原産協会の理解促進活動- (10/18配信)

□会員向けHPの更新情報( https://www.jaif.or.jp/member/
・『日本の原子力発電所の運転実績』9月分データと2010年度上半期データ(10/12)
・『海外原子力情報』9月分を追加(10/12)
・国際フォーラム「ATOMEXPO 2010」参加代表団の報告書を掲載(10/7)
・MIT(マサチューセッツ工科大学)報告書「核燃料サイクルの将来」仮訳を掲載(9/30)

□英文HPの更新情報( http://www.jaif.or.jp/english/

・Atoms in Japan (AIJ) : 週刊英文ニュース(14本 10/1-10/25)



■原産協会役員の最近の主な活動など

[服部理事長]
・10/4(月)~9(土) IAB Meetingに出席(於:アブダビ(UAE))
・10/22(金) 日米官民原子力ラウンドテーブルに出席(於:ワシントンD.C.)
・10/24(月) 17PBNCでの講演(於:カンクン(メキシコ))
・10/28(木) 第17回日独原子力専門家会合(於:青森県弘前市)

[石塚常務]
・10/4(月) 全国原子力発電所所在市町村協議会役員会での講演(於:愛媛県八幡浜市)
・10/5(火) 四国電力㈱伊方発電所視察
・10/14(木) 日・インドネシア経済担当大臣昼食会に出席(於:経団連会館)
・10/25(月) シン インド首相歓迎昼食会に出席(於:経団連会館)
・10/27(水)~28(木) 第17回日独原子力専門家会合(於:青森県弘前市)


■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【20】

ロシアの原子力開発事情と原賠制度
 今回は、日本の近隣国であり独自の炉型による原子力開発を行ってきたロシアについてQ&A方式でお話します。


Q1.(ロシアの原子力開発事情)
ロシアの原子力開発はどのような状況ですか?

A1.
・ロシアでは旧ソ連時代に早くから原子力開発が行われ、独自の軽水冷却黒鉛減速炉(RBMK)やロシア型加圧水型炉(VVER)が開発、導入されました。
・ ロシアは米仏日に続いて世界第4位の原子力大国であり、27基2,319万kWの原子力発電所が運転されており、さらに建設中、計画中のものが多数あります。また、海外へロシア型原子力発電炉の積極的な輸出を展開しています。
・ ロシアでは軍事と民生の両方を含むすべての原子力関連組織が国家会社「ロスアトム」社により統括されており、極めて強力な原子力開発・推進がなされる環境にあります。
・ 旧ソ連のウクライナ共和国(現ウクライナ)で1986年に発生したチェルノブイリ原子力発電所事故では、原子炉の暴走により炉心損傷に至り、多量の放射性物質の外部放出を生じるなど史上最悪の原子力事故となり、国境を越えた損害もありましたが、旧ソ連から他国への賠償は行われませんでした。


【A1.の解説】
 1946年に旧ソ連で初めて臨界を達成した研究炉F1は原爆開発のためのものでした。その後、1954年に実用規模では世界最初の原子力発電所である電気出力5,000kWの軽水冷却黒鉛減速炉を運転開始し、この経験を基に出力増強した旧ソ連独自の軽水冷却黒鉛減速炉(RBMK)を中心として、原子力開発が進められました。また、RBMKとは別のロシア型加圧水型炉(VVER)の開発も1950年代から開発が進められており、1970年代以降はVVERが積極的に採用されています。

 現在、RBMK11基、VVER15基、高速増殖炉1基の27基*2,319万kW(*他に電気出力10万kW以下の炉が9基ある)が運転されており、ロシアは米仏日に続いて世界第4位の原子力大国です。ロシアでは、ウラン採掘、濃縮、燃料製造、原子力発電所運転、使用済み燃料再処理などの原子力サイクルに加えて原子力発電所用機械製造も含めた民生用の全ての業界企業を傘下に置く「アトムエネルゴプロム」社をはじめ、核兵器部門、研究機関、核安全・放射線防護機関など、軍事と民生の両方を含むすべての原子力関連組織が国家会社「ロスアトム」社のもとに統括されており、原子力界のすべてが一体となっています。
 このような体制が国内原子力産業の発展はもとより国外への原子力発電所輸出にも大きな原動力となっており、既に輸出実績がある中国、ブルガリア、ハンガリー、スロバキア等のほか、中東、アフリカ、アジアの新規原子力導入国への輸出も有望視されています。

 1986年4月26日、旧ソ連のウクライナ共和国(現ウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所4号炉(100万kW, 軽水冷却黒鉛減速炉:RBMK-1000 )において、外部電力供給停止時のタービン発電機の慣性エネルギーの実験中に事故が発生しました。有名なチェルノブイリ原発事故です。原子炉低出力時の不安定性や安全規則違反となる操作により、原子炉出力が急上昇し、燃料の加熱、水蒸気爆発、圧力配管の破壊、原子炉・建屋の破壊により、大量の放射性物質などが外部に放出され、31名が死亡、多くの作業者が高線量被ばく、周辺地域の13万5千人が避難し移住させられ、その後周辺地域では多くの小児甲状腺がんが報告されるという史上最悪の原子力事故となりました。

 国際原子力事象評価尺度(INES)では、このチェルノブイリ事故はレベル7「深刻な事故」に該当し、この事故による放射性物質の飛散は旧ソ連3国であるベラルーシ、ウクライナ、ロシアの広範囲な地域を汚染し、さらに国境を越えて他国にも損害を与えましたが、旧ソ連から他国への賠償は行われませんでした。この事故の重大性を踏まえて、原子力安全文化(セイフティカルチャー)の醸成を図るための国際的協力が活発化されるとともに、ウィーン条約、パリ条約の改正議定書が採択されるなど、原子力損害賠償に関わる国際条約の拡充が図られてきています。


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Q2.(ロシアの原賠制度)
ロシアの原賠制度はどのようになっていますか?


A2.
・ ロシアにおいて原子力関係の法整備が進んだのは旧ソ連崩壊後であり、「原子力エネルギーの利用に関する連邦法」が制定されたのは1995年でした。
・ ロシアの原賠制度は「原子力エネルギーの利用に関する連邦法」の中に規定されており、原賠制度の基本的原則(責任集中、無過失責任、賠償責任額、賠償措置)がほぼ網羅されており、環境損害に関する規定もあります。
・ 原子力施設運転者の責任限度額はウィーン条約の責任限度額と同等の500万ドル、賠償措置額も同額のため、日本の賠償措置額の30分の1程度となっており、これを超えるものは政府により補償されるとされています。


【A2.の解説】
 旧ソ連時代には、原子力開発において安全規制関連の法令、基準・規則類はなく、1970年代に入ってから基準・規則類が整備され始めました。チェルノブイリの事故時点でも法律の整備はなく、ロシアになった後にようやく行われました。

 1995年に「原子力エネルギーの利用に関する連邦法」、1996年に「住民の放射線安全関する連邦法」が制定されており、原賠制度は「原子力エネルギーの利用に関する連邦法」の第XII節に「被曝により法人および個人ならびに健康が被った損失および損害に対する賠償責任」として定められています。

 また、ロシアは2005年にウィーン条約に加盟しましたが、1997年採択・2003年発効の改正ウィーン条約には加盟していないため、条約上における賠償の範囲や賠償額などについては、必ずしも、現在の国際的水準から見れば十分なものと言えないでしょう。

 原賠制度を規定する連邦法の第?節は、第53条「被曝による個人、法人の損害に関わる賠償責任」、第54条「被ばくによる損害に関わる民事責任の根拠」、第55条「被ばくによる損害の賠償責任の種類と責任限度」、第56条「被ばくによる損害に関する資金的措置」、第57条「被ばくによる損害の補償への国の参画」、第58条「被ばくによる損害の賠償期限」、第59条「放射線による環境損害に対する賠償」、第60条「施設における作業従事者の放射線損害に関わる補償」から構成されています。

 具体的には、原子力施設運転者に対する責任集中、無過失責任、賠償責任限度額、賠償措置などが規定されている他に、運転者の責任限度額を超える賠償責任は国が補償する、損害賠償請求期限は3年とする、運転者は本法律及びその他の法律に基づく環境損害の責任を負う、施設における従事者の身体障害は連邦法により補償するとされており、原賠制度の基本的原則がほぼ網羅されています。

 ロシアでは賠償責任の上限は「ロシア連邦の国際協定によって定められた額を超えてはならない」と規定されているので、ロシアが加盟しているウィーン条約で定められている500万ドルが運転者の賠償責任の上限となり、この金額までの賠償措置が義務付けられています。賠償措置額は中国や韓国と同レベルではありますが、我が国の1200億円と比べて30分の1程度となっています。ただし、運転者の責任限度額を上回る場合は、政府が運転者に必要額を提供することにより、賠償請求に対処する仕組みとなっています。

 なお、ウィーン条約以外の国際枠組みとしては、原子力安全条約、使用済み燃料安全管理・放射性廃棄物安全管理合同条約、原子力事故早期通報条約、原子力事故または放射線緊急事態における援助条約、核不拡散条約(NPT)、包括的核実験禁止条約(CTBT)、核物質防護条約改定条約に加盟しており、IAEA保障措置協定(自発的協定)、追加議定書も締結しています。


*平成22年10月18日現在のレートによる。


 シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」のコンテンツは、あなたの声を生かして作ってまいります。原子力損害の賠償についてあなたの疑問や関心をEメールで genbai@jaif.or.jp へお寄せ下さい。


■げんさんな人達 (原産協会役・職員によるショートエッセイ)

“過ぎ去りし日の象徴”

 先日、80年代から90年代のヒットソングを紹介するTV番組を見た。
 80年代から90年代といえば、今と比べ、日本が元気だった時代ではないだろうか。
その元気だった日本を懐かしむように、その時代を紹介するTV番組が増えたがような気がする。
 日本が元気だった80年代から90年代、特に80年代後半は、言わずと知れたバブル景気真っ盛りの時期である。

 そのバブル景気絶好調の世相を代表するものとして、ある映像がよく使われている。
皆さんも一度はTVで見たことがあるかと思うが、東京、芝浦の某巨大ディスコの映像である。

 そのディスコをインターネットで調べてみると、なかなか面白いことが分かる。
 あるサイトには、こう書いてある。
 そのディスコは「バブル景気崩壊直後の1991年5月に設立」だそうだ。

 バブル景気崩壊の時期がいつかということには、諸説あると思うが、少なくともバブル景気が頂点の時にはそのディスコはまだ無かったようだ。

 仮に、バブル景気の頂点を日経平均株価が過去最高の終値38,915.87円をつけた日とすると、それは1989年12月29日である。
 この日を境に株価はずるずると下がり、1990年10月1日には、株価は一時2万円を割ることになる。
 最高値を付けてからわずか9ヶ月後であり、この時、すでにバブル景気は崩壊していたのかも知れない。
 この後、およそ7ヵ月後の1991年5月に某ディスコの設立となる。

 このように、バブル景気が崩壊または収束に向かっていた時にそのディスコは設立されたが、何故かバブル景気の象徴とされている。
 どうして、そのように扱われるようになったか経緯は分からない。

 確かに、その当時の人々にとって、バブル景気やそのディスコは、かつて日本が経験したことが無い程のインパクトが有るものであったに違いないだろう。
 多少、時期がずれていても、どちらも元気の良かった時代の日本の思い出として(バブル経済の功罪は別として)
 捉えている人が多いからだろうか・・・・。
                                                     (Y)




◎「原産協会メールマガジン」2010年10月号(2010.10.25発行)
発行:(社)日本原子力産業協会 情報・コミュニケーション部(担当:木下、八十島)
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