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 [JAIF]原産協会メールマガジン

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原産協会メールマガジン11月号
2010年11月25日発行

Index

■原子力政策推進活動

 □「原子力人材育成ネットワーク」の発足について
 □第2回「原子力安全規制ラウンドテーブル」を開催
 □愛知、静岡、三重の3県で、高レベル放射性廃棄物地層処分のパネルを展示
 □玄海原子力発電所で輸送・貯蔵専門調査会定例会合(見学会)を開催
 

■国際協力活動

 □青森県弘前市で第17回日独原子力専門家会合を開催
 □台湾で第25回日台原子力安全セミナーを開催

■情報発信・出版物・会合のご案内

 □「高レベル放射性廃棄物処分シンポジウム」開催について 
 □2011年版「原産協会-会員人名録」を発行

■原産協会からのお知らせ

 □クリアランス制度PR用ベンチ(リサイクル製品)に関するお知らせ 
 

■ホームページ・動画の最新情報

 □原産協会HP(一般向け)の更新情報
 □動画配信
 □会員向けHPの更新情報
 □英文HPの更新情報

■原産協会役員の最近の主な活動など
■原産協会入会のお知らせ
■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【21】
■げんさんな人達(原産協会役・職員によるショートエッセイ)

本文

■原子力政策推進活動

□「原子力人材育成ネットワーク」の発足について

 産学官一体となった原子力人材育成体制の構築を目指す「原子力人材育成ネットワーク」の設立会合が11月19日、東京・千代田区のKKRホテルで開かれました。

 原子力人材育成を巡っては、当協会の「原子力人材育成関係者協議会」が今年4月、これを戦略的に進めるための中核的恒常機関、いわゆるハブ機能の設立など、計10項目の提言を行いました。今回設立したネットワークは、このハブ機能に係わる活動と合わせて、提言の中から、緊急性かつ実現性の高いものについて実施するため、、関係府省呼びかけのもと、誕生することとなったもので、当協会は、日本原子力研究開発機構と共同事務局を務めています。

 設立会合に伴い行なわれた同ネットワークの初回運営委員会(委員長=服部拓也・原産協会理事長)では、当面の活動方針を確認、具体的には、初等・中等教育段階、高等教育段階、実務段階、人材国際化、新規導入国対象海外人材育成のそれぞれについて、分科会を設置し、活動開始に当たっての各機関連携、情報共有を進めることになっています。

 また、海外人材育成については、「国際原子力協力協議会」(経済産業省)が分科会の機能を担うこととしています。

 本ネットワークでは既に、ホームページ( http://nutec.jaea.go.jp/network/ )を開設し、周知に努めています。HPにリストアップされた参加予定機関は、学校、電気事業者、メーカー、研究機関・学会、原子力団体、行政庁、計57機関。

 ネットワーク運営委員長を務める服部拓也・原産協会理事長は、設立に際し、「世界標準となる原子力人材育成体系を整備し、日本ブランドとして見えるようにしていくことが重要」とし、多くの関係機関の参加を期待するコメントを発表しました。

 コメントの本文はこちらをご覧ください。
http://www.jaif.or.jp/ja/news/2010/hattori_nhrdn_start101118.pdf

設立総会の様子



□第2回「原子力安全規制ラウンドテーブル」を開催

 当協会は、原子力安全・保安院との共同事務局により、原子力安全について産業界代表と規制側が意見交換を行なう第2回「原子力安全規制ラウンドテーブル」を11月18日に都内で開催しました。

 この会合は、安全規制を的確に実施する観点から、安全性を確保しつつ規制側と産業界とのコミュニケーションの充実を図るため、規制側と産業界代表とが一堂に会し、原子力安全に関する取り組み等について意見交換を公開の場で行うもので、今年7月の初回会合に続き、今回が2回目となります。

 原子力安全・保安院からは、寺坂院長以下、次長、関係審議官・課長が、産業界からは、電気事業連合会(電事連)、日本原子力技術協会(原技協)、電力中央研究所、日本電機工業会、新金属協会、原産協会が参加し、100名を超える傍聴者が見守る中、「新検査制度定着に向けた取組み」、「原子力安全規制の高度化に向けた取組み」について、率直な意見交換を行いました。

 最初の議題の「新検査制度定着に向けた取組み」に関し、電事連は、保全活動の継続改善に積極的に取組む姿勢を強調。現場の第一線が活力と魅力に満ちた職場となるような制度運用への期待を示し、原技協は、技術者ネットワークや情報ライブラリーからなる「電力共通技術基盤」を通じた事業者の保全活動への支援の取組みなどを紹介しました。 これらに対し、保安院は、新制度の運用に際し、膨大な数の機器類の管理、人員の作業管理、知見の伝承の重要性に言及。安全基盤機構は、先般の東北電力東通1号機の長期サイクル運転を行なう保全計画届出に関連し、電力各社が審査の経験を共有し、効率的な制度運用がなされるよう要望しました。

 二番目の議題の「原子力安全規制の高度化に向けた取組み」に関し、保安院は、制度の改善スピードが遅く、世界的な趨勢から離れており、事業者とコミュニケーションをとりながら課題に取組む必要があるとの見解を示し、電事連からは、設置許可や検査制度の見直しや、構造強度の確認への第三者機関の活用の必要性について述べられました。さらに、実効性と効率性については、IAEAやOECD/NEA等でも議論が行われており、科学的合理的な規制を目指す上で重要である。社会的に受容されることが重要である。最終的に安心するかは社会からの信任の問題である。世界の潮流の中で、今の日本の制度である多段階規制を絶対視する必要はなく、あるべき姿を追求すべき、といった発言がありました。

 最後に、寺坂保安院長から、新検査制度の活用・定着が重要。規制課題については、基本政策小委員会の検討課題として提言されており、今後さらに意見交換を行いながら内容を深めていく必要がある、とまとめられました。

 当協会としては、規制に関する諸課題を解決していくために、規制側と産業界側で意思の疎通を図るとともに、規制の高度化に向けた将来ビジョンについて認識を共有し、課題解決に向けて協調・連携して取り組むことが重要と考えています。また、その取り組みが透明性をもって行われることが重要であり、規制側と産業界が公開の場でコミュニケーションを行う本ラウンドテーブルを活用していきたいと考えております。

 なお、後日、議事概要を原産協会HPにアップします。

第2回「原子力安全規制ラウンドテーブル」


□愛知、静岡、三重の3県で、高レベル放射性廃棄物地層処分のパネルを展示

 当協会は、10月から11月にかけて愛知、静岡、三重の3県で行われた環境・産業フェアに中部原子力懇談会(中原懇)と共催で、高レベル放射性廃棄物地層処分のパネルを展示しました。

 この展示は、地方自治体等が開催する環境・産業フェア等に来場する市民に対し、環境とエネルギー、生活と産業に貢献する原子力・放射線を理解してもらい、高レベル放射性廃棄物の処分が未解決の問題であることについても知って、考えてもらうため行ったもので、当協会の参加は昨年に続き2回目となります。また、静岡と三重のブースでは、日本原子力研究開発機構(JAEA)の協力のもと、地層処分の概念模型を展示するとともに、専門の担当者が来場者に対して説明を行いました。

 また、ブース展示において実施したクイズラリーには、ノベルティーグッズの配布効果もあり会期中、名古屋の約3,350名をはじめ、他2会場でもそれぞれ子供から大人まで約1,200~1,500名の回答がありました。各会場の概要は下記の通りです。

○ 「メッセナゴヤ2010」
  開催期間:10月27日~30日
  会  場:ポートメッセなごや(愛知県名古屋市)
  
 メッセナゴヤは「愛・地球博」(愛知万博)の理念を継承する事業として平成18年にスタートし、業種や業態を超えた幅広い分野・地域からの出展者の「異業種交流の祭典」です。今年は、生物多様性条約第10回締結国会議(COP10)(10月11日~29日、名古屋市開催)の連携事業として「環境・エネルギー」をテーマに開催。会期中は、心配された台風14号の影響もなく、「メッセナゴヤ2010」には、4日間で約43,000名にのぼる多くの来場者がありました。
 会場内で行ったアンケートには、4日間で3,349人(子ども145人を含む)が回答。多くの方からは、「今回のパネルを見て初めて知った」、「勉強になった」などと声をかけていただき、エネルギーや高レベル放射性廃棄物地層処分に関心を持ってもらいました。

会場メイン入り口
当協会ブース(各種発電の模型も展示)
28日(木)夜、COP10メンバーも来場した 
会場には名古屋開府400年
マスコットキャラ「はち丸」も



○「第8回しずおか環境・森林フェア」
  開催期間:10月30日~31日
  会  場: ツインメッセ静岡北館(静岡市)
  
 今年で8回目の開催となる「しずおか環境・森林フェア」では、「さあ、取り組もう!環境のこと、森のこと」をテーマとして掲げ、しずおか環境・森林フェア実行委員会、静岡県などが主催となって、県民、NPO、事業者、行政が手を取り合って、環境・森林に関する最新情報の発信の場として定着し、約60の組織、団体、企業が出展して開催されました。

 同会場南館において併催された「ふじのくに交通安全県民フェア」も合わせ、2日間で約17,600名の市民が環境・森林フェアに来場し、このうち約1,200名の市民が原産協会および中原懇共催のブースに訪れました。  

当協会ブース(真剣にパネルを読む来場者) 
当協会ブース(多くの方がクイズ・アンケートに参加)



○ 「リーディング産業展みえ2010」
  開催期間:11月5日~6日
  会  場:四日市ドーム(三重県四日市市)
 *同会場は、四日市大学および中原懇との共催。
  
 平成15年からはじまった「リーディング産業展みえ」は、今年、『~「美(うま)し国・三重」から常若(とこわか)の産業を大発信~』をテーマとして掲げ、三重県農水商工部内の実行委員会が主催となって、県内の企業等が一堂に集う展示会を企画し、産業や地域がもつ「強み」を県内外の産業関係者や一般市民にアピールする機会を提供し、出展企業の知名度アップや販路拡大、新規事業開拓などにつなげていきたいとのことで開催されました。本年は、県内で事業展開する213の企業などか6つのテーマに分かれ、企業や団体、大学などが323のブースを出展して開催されました。
 産業展全体では、2日間で約7,000名の市民が来場し、このうち約1,500名の市民が四日市大学および中原懇との共催ブースに訪れました。

 四日市大学の環境情報学部では、幅広い教養と専門技術を用いて環境問題に対処できる人材の育成を行っており、リーディング産業展みえに来場する市民に対して、海外での環境スクールや国内エネルギー施設見学の様子をパネルで紹介するとともに、中原懇との共催によって、エネルギーと環境、生活と産業に貢献する原子力エネルギー・さまざまな放射線利用などについて、市民の理解を深めていただこうと積極的な説明を実施していました。
 

同展示では四日市大学とも共催
当協会ブースの展示の様子


   なお、今年度は、8月に行われた「信州環境フェア2010」(長野市)でも同ブースを出展しています。
 

□玄海原子力発電所で輸送・貯蔵専門調査会定例会合(見学会)を開催

 当協会の「輸送・貯蔵専門調査会」では、原子燃料物質や放射性廃棄物等の輸送および貯蔵に関する研究・技術開発動向、ならびに関連法令や技術基準の国際動向などの現状や将来の見通し、課題・対策などに関して、講演、関連施設の見学、意見交換を通じ、専門情報の提供・交流による活動を実施しています。参加会員から提案を受けた希望テーマ(講演・見学先)に基づき、年間7回の定例会合を実施しており、今回は第38回定例会合として、11月8日、9日の両日、九州電力・玄海原子力発電所等を見学しました。

 玄海原子力発電所では、玄海エネルギーパークにて発電の仕組みや玄海原子力発電所の概要を説明していただき、また、プルサーマル燃料輸送と蒸気発生器/中操盤交換工事のDVDを見た後に、中央制御室、タービン発電機、プルサーマル燃料(使用済燃料ピット保管中)を見学しました。発電所の見学者コースはフローリングの床仕様になっており、まさに、ギャラリーを歩いている雰囲気でした。

 なお、同調査会は会員募集を毎年4月に行い、7月から1年間活動を行います。参加希望の方は途中からの参加も可能ですので、当協会にご連絡ください。
 詳細・お問い合せはこちらをご覧ください。      http://www.jaif.or.jp/ja/seisaku/yuso_chosakai_activity.html
 

玄海原子力発電所を背景にして玄海エネルギーパークにて


国際協力活動

□青森県弘前市で第17回日独原子力専門家会合を開催

 当協会は10月28日、青森県弘前市で「第17回日独原子力専門家会合」を開催しました。
 この専門家会合は、日独両国の原子力関係者が、相互理解と協力を促進するとともに、両国および世界の原子力平和利用開発の円滑な推進に寄与することを目的として、1980(昭和55)年以来これまで16回に渡って日本とドイツで交互に開催してきたものです。

  今回の会合では、ドイツからマンフレッド・ポップ・カールスルーエ工科大学上級顧問が、また日本からは秋元勇巳・三菱マテリアル名誉顧問が共同議長を務め、服部拓也・原産協会理事長をはじめとする計24名が参加し、両国のエネルギー及び原子力政策・開発の現状、将来展望、燃料サイクルのバックエンドおよび耐震設計等について、情報・意見交換を行いました。
   

会合風景

 ドイツでは、メルケル政権が、気候変動対策上原子力発電を抜きにしては考えられないとして原子力発電の寿命延長を平均12年延長しましたが、再生可能エネルギー重視の風潮が強く、2050年に全電力の8割を再生可能エネルギーでまかなうエネルギー戦略を策定しています。しかし、風力・太陽の再生可能エネルギーは出力変動が激しいため、出力を平準化させるために原子炉を負荷変動させていることなどが紹介されました。
 
 今回の会合では、高レベル廃棄物処分場立地について活発な議論が行われ、ドイツでは30年位前に政府が地質的に適切な場所(岩塩層)を選定し、ゴアレーベンに絞って調査を続けてきたこと、一方、日本では主として自治体による公募制に基づいてサイト選定を進めており、ポップ氏は、処分場問題は極めて政治的問題であると前置きした上で、「最終処分場を見つけることが、原子力理解の鍵である」と強調しました。

 また、ドイツの専門家一行は翌29日、六ヶ所燃料サイクル施設を視察しました。弘前から六ヶ所村に向かう途中、一行は奥入瀬渓流を観光しました。天候にも恵まれたため、青森の自然と秋を堪能することができ、また、バスガイドにより、12月に新青森まで開通する新幹線の新駅などの案内も受けました。
 
  この会合の成果は共同議長サマリーに取り纏められ、また、今後の日独協力については、1980年代の第1回会合から30年が経過し、日独の状況が大きく変化したことを踏まえて、現行のハイレベル会合は原則廃止し、双方に特に関心のある技術問題に絞った専門家ワークショップをほぼ2年程度を目安に開催することになりました。

奥入瀬にて


・共同議長サマリー(英文、仮訳)はこちら。http://www.jaif.or.jp/ja/kokusai/17th-jpde_joint-statement.pdf
・参加者名簿はこちら。
http://www.jaif.or.jp/ja/kokusai/17th-jpde_participants-list.pdf
・プログラムはこちら。
http://www.jaif.or.jp/ja/kokusai/17th-jpde_program.pdf


□台湾で第25回日台原子力安全セミナーを開催

 当協会は11月1日から3日まで、台北などにおいて日台原子力安全セミナーを開催。1986年以来毎年、日本(原産協会)と台湾(原子能委員会、台湾電力公司、核能研究所、放射性物質管理局、中華核能学会)の共催で開催している同セミナーも、今回で第25回目を迎え、双方はともに今後の人的ネットワークのさらなる強化を誓いました。

 開会式でホスト側として挨拶した中華核能学会の蔡春鴻理事長は、日台セミナーは技術情報の交流に大きく寄与しており、セミナー期間中だけでなくその 後も様々な機会にディスカッションをする環境が整えられるようになった、と同セミナーの意義を強調。台湾で長期にわたって建設中の龍門原子力発電所 (ABWR×2基)の建設が順調に進んでいないことから、ABWRの建設・運転に素晴らしい実績を持つ日本のノウハウを吸収したいと期待を寄せました。

 一方、今回も日本側は電力、メーカー、ゼネコン、大学など幅広い分野の専門家が集い、20名の原産協会代表団を組織して参加。団長を務めた服部拓也・原産協会理事長(=写真)は開会式で、日台双方がともにエネルギー資源に乏しいこと、経済・社会・文化など多くの面で価値観を共有してい ることなどを指摘。セミナーの場だけでなくさまざまな場で交流を深めていきたいと意欲を示しました。同日のセミナーでは、プラントの寿命延長や出力向上、放射性廃棄物や被ばく線量等について討議しました。

 2日はセミナー会場を龍門原子力発電所へ移し、ABWRの建設に焦点をあてたセッションを開催、3日は清華大学で人材育成問題について討議しました。



情報発信・出版物・会合のご案内

□「高レベル放射性廃棄物処分シンポジウム」開催について

 当協会は12月17日(金)、東京都江東区青海の日本科学未来館7階「みらいCANホール」で、関西原子力懇談会、中部原子力懇談会、東北原子力懇談会、北陸原子力懇談会、(社)茨城原子力協議会と共に、「高レベル放射性廃棄物処分シンポジウム ― 高レベル放射性廃棄物処分問題の政治の役割について ―」を開催致します。

 プログラム等詳細はこちらをご覧ください。
 http://www.jaif.or.jp/melmag_db/2010/20101217hlw
 
 参加のお申込は、専用WEBでもお受けしています。
 http://www.jaif.or.jp/hlw/index.html



□2011年版「原産協会-会員人名録」を発行

 当協会は11月30日、2011年版「原産協会 会員人名録」を発行します。
 本書は、2010年8月1日現在のアンケート調査に基づき、当協会の会員としてご登録いただいている各企業・団体及び関係省庁の連絡先、代表者名、原子力関係に従事する課長以上の役職者の氏名を収録しております。本年版では、2009年11月以降、新規にご入会いただきました会員機関のご紹介記事を掲載いたしました。

詳細・お申込は、こちらをご覧ください。
http://www.jaif.or.jp/ja/news/2010/kaiin_jinmeiroku.html


原産協会からのお知らせ

□クリアランス制度PR用ベンチ(リサイクル製品)に関するお知らせ 

 当協会ではこのほど、地球環境への負荷低減、我が国が目指す循環型社会形成 に寄与するクリアランス制度定着に向けた普及と理解促進活動の一環として、ク リアランス制度適用第1号である日本原子力発電(株)が東海発電所廃止措置で発 生した鉄スクラップを原料に製造したPR用ベンチを購入し、事務所入口に設置 しました。  

 このクリアランス制度PR用ベンチは、会員の皆様が主催される各種イベント などでご利用の要望がありましたら、貸出しすることとしておりますので、是非 ともご活用下さい。

 詳細はこちらをご覧ください。  http://www.jaif.or.jp/paper_db/member-melmag/1115clearance.pdf


 

■ホームページ・動画の最新情報

□原産協会HP(一般向け)の更新情報 ( http://www.jaif.or.jp/ )

*国内、海外ニュースは毎週および随時更新しております。

・「会員人名録 2011」の発行のお知らせ(11/25)
・「高レベル放射性廃棄物処分シンポジウム」の開催について(11/22)
・クリアランス制度PR用ベンチ(リサイクル製品)に関するお知らせ(11/16)
・第2回原子力安全規制ラウンドテーブルの開催について(11/8)
・第17回日独原子力専門家会合の開催について(11/8)

〈解説・コメント・コラム〉
・「原子力人材育成ネットワーク」の発足にあたって-理事長コメント(11/19)
・日越原子力協力―DNAは引き継がれた-石塚常務理事(原子力産業新聞11/11付号寄稿)(11/15)
・ベトナムの円滑な原子力発電導入に協力する -わが国がパートナーに選定されたことについて-理事長コメント(11/1)

□動画配信 ( http://www.jaif.or.jp/ja/jaiftv/ )

*「原子力をめぐるコミュニケーション・連携活動について」- (11/26配信予定)

□会員向けHPの更新情報( https://www.jaif.or.jp/member/
・「日本の原子力発電所の運転実績」10月分データ(11/9)

□英文HPの更新情報( http://www.jaif.or.jp/english/

・Atoms in Japan (AIJ) : 週刊英文ニュース(18本 11/1-11/25)



■原産協会役員の最近の主な活動など

[服部理事長]
10/31~11月4日  日台原子力安全セミナー(於:台北、龍門、新竹)


■原産協会入会のお知らせ(2010年11月)

・(株)ナガミ
・川崎重工業(株)プラント・環境カンパニー



■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【21】

フランスの原子力開発事情と原賠制度
 今回は、米国に次いで第2位の原子力大国であるフランスの原子力開発事情と原賠制度についてQ&A方式でお話します。

Q1.(フランスの原子力開発事情)
フランスは原子力大国といわれていますが、原子力開発はどのように進んできましたか?また、現在どのような状況ですか?

A1.
・ フランスでは政府主導のもと、政府出資企業が中心となって原子力開発が進められてきましたが、今では米国に続いて世界第2位の原子力発電大国であり、2010年1月1日現在、59基6,602万kWの原子力発電所が運転中、総発電電力量に占める原子力の割合も例年7割を超えています。
・ フランスの原子力発電事業は、最初にプルトニウム生産兼発電炉が開発され、次に1958年にガス冷却炉(GCR)が運転を開始しましたが、その後PWR型軽水炉に切り替えられて、一本化されました。
・ フランスは日本同様にエネルギー資源がほとんど存在しないため、第一次石油危機をきっかけとして原子力によりエネルギー自給率を上げ、現在は電力の輸出国となっています。
・ 1993年以降、フランス国内では原子炉の新設が停滞していましたが、リプレースや海外市場向けに第3世代原子炉である欧州加圧水型炉(EPR)が開発されたことから、2007年12月にフラマンビル3号機の建設に着工、2012年に運転が開始される見込みです。
・ 近年は、新規原子力導入国と原子力協力協定を締結し、積極的な援助・協力を行うなどして、国を挙げて原子力プラント輸出を推進しています。


【A1.の解説】
 フランスの原子力開発はフランス原子力庁(CEA)が主導し、このCEAが8割を出資するAREVA社が持株会社となって、その傘下であるAREVA NP社(旧フラマトム社)が原子炉製造、AREVA NC社(旧コジェマ社)が原子燃料サイクル事業に携わり、発電所運転はフランス電力公社(EDF)が担当するというように、政府出資企業を中心に政府主導のもとで原子力開発が進められてきました。

 AREVA NP社の前身であるフラマトム社は、米国ウェスチングハウス社の資本・技術が入ったコンソーシアムでしたが、炉型をPWRに一本化、標準化したうえで、資本の国産化、技術の国産化に成功し、現在では世界有数の原子炉メーカーとなっています。

 フランスは日本同様にエネルギー資源がほとんど存在せず、石炭や石油は輸入に頼っているため、1973年の第一次石油危機をきっかけに原子力による電源開発を推進し、1973年には24%であったエネルギー自給率が1990年には50%にまで到達し、原子力はエネルギーの自立と安定供給に大きく寄与するものとなりました。その後、電力需要の伸びが鈍化している中でも原子力発電所の建設が順調に進んだため、現在は国内需要を上回る発電設備を持っており、イタリア、ドイツ、スイスなどの近隣諸国に相当量の電力を輸出することで地球温暖化防止にも大きな貢献をしています。

 核燃料サイクルの一環として早くから高速増殖炉の開発に着手し、1974年に原型炉フェニックス(FBR、25万kW)が運転を開始しましたが、社会・共産・緑の党による反原子力連立政権の発足に伴って1998年には世界初の商業規模の実証炉スーパーフェニックス(FBR、124万kW)が閉鎖されました。ただし、フェニックスは現在試験や研究のために引き続き運転されています。
 核融合分野では、CEAはトカマク試験装置などによる各種の研究を進めるとともに国際的な研究開発である国際熱核融合実験炉(ITER)計画に参画し、現在、国際的な組織・ITER国際核融合エネルギー機構のもと南フランスのカダラッシュにおいてITER建設が進められています。

 また、日本で発生する使用済み燃料の再処理の再処理は、その大部分をフランスやイギリスに委託していますが、フランスではノルマンディー、ラ・アーグ再処理工場で処理され、ガラス固化体として日本に戻されています。

 フランスでは1993年にシボー2号機が発注されて以来、新規発注は停滞していました。しかし、2020年に設計寿命を迎える既存の90万kW級PWRのリプレースや、欧州、米国、アジア等の海外輸出市場向けとして、第3世代原子炉である欧州加圧水型炉(EPR、160万kW)が開発され、オルキルオト3号機(フィンランド)、フラマンビル3号機(フランス)として2012年に運転が開始される見込みとなっています。
 
 またフランスは、ベトナム、ブラジル、ヨルダン、トルコ、エジプト、アラブ首長国連邦、インド、アルゼンチンなどの新規原子力導入国と原子力協力協定を締結しており、積極的な援助・協力を行うなどして、国を挙げて原子力プラント輸出を推進しています。


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Q2.(フランスの原賠制度)
フランスはOECDの主要国であり、原子力損害賠償に関わるパリ条約に加盟していますが、同国の原賠制度はどのようになっていますか?


A2.
・ フランスの原賠制度は加盟しているパリ条約を基本としており、同条約において各国の裁量に委ねられている部分を国内法で規定しているのが特徴で、運転者への責任集中、無過失責任、責任限度額、損害賠償措置、国の補償など、原賠制度の基本的な原則はパリ条約と国内法を組み合わせて規定されています。
・ 国内法は、「原子力分野における民事責任に関する1968年10月30日の法律No.66-943 」が根幹となってその後に数回にわたる法改正が行われています。最新では2006年6月13日に改正され、2004年のパリ条約追加議定書(改正パリ条約)およびブラッセル補足条約・追加議定書に対応するようになっていますが、この改正法の発効には改正パリ条約の発効が要件とされています。
・ したがって、現時点で適用される法律では、運転者の賠償責任限度額は約9,150万ユーロ(約102億円)、ブラッセル補足条約に基づく国の補償限度額は約38,110万ユーロ(約425億円)となっていますが、改正パリ条約が発効すると運転者の責任限度額は7億ユーロ(約780億円)に、さらにブラッセル補足条約・追加議定書が発効すると国の補償限度額は15億ユーロ(約1,672億円)に、引き上げられます。


【A2.の解説】
 フランスの原賠制度はパリ条約、ブラッセル補足条約を基本として成り立っており、条約において各締約国の裁量権限に委ねられている部分を「原子力分野における民事責任に関する法律」として国内法で規定しているのが特徴です。用語の定義、適用範囲、運営者への責任集中、損害賠償措置、免責事項、裁判管轄、準拠法などについてはパリ条約(改正議定書を含む)に規定されているため、国内法ではこれを補足する事項が規定されています。なお、改正パリ条約及びブラッセル補足条約・追加議定書は未だ発効しておりません。

2006年6月13日に改正された法律は、改正パリ条約が発効しなければ適用されませんが、その主な事項は以下の通りです。
・ 法律の目的(第1条)
この法律は1960年のパリ条約、1963年のブラッセル補足条約、1964年、1982年および2004年のこれらの条約の追加議定書で各国の裁量に委ねられた措置を規定する。
・ 適用範囲(第2条)
適用の対象は、個人及び法人であって、パリ条約等の適用範囲に含まれる。
・ 原子力損害の定義(第3条)
原子力損害はパリ条約の規定(改正パリ条約の第1条aのⅦに規定される損害:死亡・身体障害、財産の滅失・毀損、経済損害、環境損害、防止措置費用など)が適用される。
・ 運転者の責任限度額(第4条)
運転者の責任限度額は同一の原子力事故につき7億ユーロ(約780億円)。ただし、リスクが限定的な場合には7,000万ユーロ(約78億円)に減額される。
・ 国の補償(第5条)
運転者の責任限度額を上回る部分はブラッセル補足条約(追加議定書)に定めた15億ユーロ(約1,672億円)を限度に国が補償する。
・ 財務的保証(第7条)
運転者は責任限度額を保険等によって財務的保証を行い、これについて、所管大臣の承認を受けなければならない。
規定された条件に基づき、運転者の保険等の財務的保証は国の保証に代替される。
・ 国の負担(第8条)
被害者が、保険者、その他財務的保証者、運転者のいずれからも補償を受けることができない場合には、4条に定めた額を限度として、第5条の範囲で国が負担する。
・ 輸送(第9条)
原子力物質の輸送に関する運転者の責任限度額は8,000万ユーロ(約89億円)。ただし、フランス領土を通過する際で、パリ条約の適用されない輸送の場合には12億ユーロ(約1,338億円)。
財務的保証を保険者等が発行する証明書により証明しなければならない。
・ 身体障害の損害リストの作成(第10条)
身体障害の損害に関しては、被曝症状を有する被害者のリストが作成される。
・ 賠償金の支払い(第11条)
被害者に対して暫定的もしくは確定的に賠償金が支払われると、第4条、第5条に定められた責任限度、補償限度を理由として賠償金が取り戻されることはない。
・ 補償の配分方法(第13条)
法律によって規定された損害賠償の総額が犠牲者の損害全体を補償できないおそれが明らかである場合、4条および5条で定められた額の補償の配分方式を定めるものとする。
・ 求償の方法(第14条)
被害者は保険者、その他保証者に対して直接賠償請求できる。
・ 時効、除斥期間(第15条)
賠償請求権は、被害者が損害と責任を負うべき運転者を知ったときから3年間行使しない場合や、改正パリ条約第8条のa)が規定する期限(原子力事故の日から、死亡・身体障害に関しては30年以内、その他の原子力損害に関しては10年以内)に行使しない場合に、消滅時効または除斥期間の適用を受ける。
・ 社会保障、労働災害・職業病補償に関する法律などとの整合(第16条)
この法律は、社会保障、労働災害・職業病補償に関する法律などによる原則に反するものではない。
・ 専属裁判管轄権(第17条)
原子力損害がフランス領土において発生した場合、又はパリ条約の適用により裁判管轄権がフランスの裁判所に与えられた場合には、パリ上級裁判所が専属裁判管轄権を有する。
・ ブラッセル条約の失効・破棄(第22条)
  ブラッセル条約の失効もしくはフランスの同条約の破棄の場合には、第5条に定める8億ユーロ(約892億円)を限度とする国の補償責任はフランス領土で発生した損害に対してのみ適用される。改正パリ条約の発効からブラッセル補足条約・追加議定書の発効までの期間における国の補償責任も同様とする。

 上記の改正法の発効には、改正パリ条約の発効が必要となりますが、さらに改正法の発効3ヵ月後には4条、7条、9条、9-1条および9-2条に規定される運転者の賠償責任が措置される必要があります。

 フランスはパリ条約、ブラッセル補足条約、ジョイントプロトコールに加盟しており、2006年の改正により国内法は上記条約のほか未発効の改正パリ条約(2004年議定書)にも沿うような内容を整えていますが、損害賠償措置における保険等の財務的保証(環境損害を含む7億ユーロという巨額なもの)を得ることが難しい等の事由により、他の改正パリ条約の署名国と同様に改正議定書の批准は行われていません。また、当然とも言えますが、ウィーン条約/改正ウィーン条約、補完基金条約(CSC)には加盟していません。

 なお、その他の国際枠組みとしては、原子力安全条約、使用済み燃料安全管理・放射性廃棄物安全管理合同条約、原子力事故早期通報条約、原子力事故または放射線緊急事態における援助条約(原子力事故援助条約)、核不拡散条約(NPT)、包括的核実験禁止条約(CTBT) 、核物質防護条約改定条約に加盟しており、IAEA保障措置協定(自発的協定)、追加議定書も締結しています。

 また、フランスにおいては損害賠償措置の財務的保証の役割を担うフランス原子力保険プールが組織されており、我が国をはじめ世界各国の保険プールとの間で原子力保険に関わる再保険取引を行っています。

※円換算は平成22年11月24日の為替レートによる。

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○ 原産協会メールマガジン2009年3月号~2010年9月号に掲載されたQ&A方式による原子力損害賠償制度の解説、「シリーズ『あなたに知ってもらいたい原賠制度』」の19回分を取りまとめ、小冊子を作成いたしました。

 小冊子の入手をご希望の方は(1)送付先住所 (2)所属・役職(3)氏名(4)電話番号(5)必要部数をEメールで genbai@jaif.or.jp へ、もしくはFAXで03-6812-7110へお送りください。


 シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」のコンテンツは、あなたの声を生かして作ってまいります。原子力損害の賠償についてあなたの疑問や関心をEメールで genbai@jaif.or.jp へお寄せ下さい。


■げんさんな人達 (原産協会役・職員によるショートエッセイ)

システムとしてのインフラ輸出

 最近、日越両首相の会談において、ベトナムにおける原子力発電所建設プロジェクトについて日本をパートナーとすることが合意された、との共同声明が出された。「パートナー」の意味するところが、即、日本の原子力発電所を建設することなのかどうか定かではないが、少なくともその方向に大きな一歩を踏み出したことは間違いなさそうだ。インフラ輸出は、民主党政権が掲げる新成長戦略の柱だ。もし、原子力発電所の輸出が実現すれば日本にとって快挙であり、他のインフラ輸出にも弾みがつく。是非とも実現してほしい。

 日本が目指す他のインフラ輸出候補の一つに鉄道がある。ほぼ毎週のように新幹線を利用している者として独断と偏見で言わせてもらえば、新幹線は世界一優れた高速鉄道だと思う。

 まず、基本スペックであるスピード、耐久性について。新幹線が世界最高レベルのスピードを誇ることに疑いはないが、単純な最高速度の比較であれば、もっと速い電車があるかも知れない。しかし、あれだけの過密ダイヤの中で、安全かつ正確に世界最高レベルのスピードで常時運行できる電車は新幹線だけではないだろうか。これは、ハードである製品の高い信頼性とともにそれを維持管理するメンテナンスやダイヤの運用管理といった高度なソフトが相まって初めて達成できるものだと思う。

 次に、乗り心地や客室の機能についてだが、これも非常に高水準だと思う。事あるごとにライバルとして名前の挙がるTGVやICEにも乗ったことがあるが、雰囲気やデザインといった個人の嗜好による部分はともかく、座席の使いやすさや客室の快適性という点では、無駄がなくかつきめ細かな配慮のなされた新幹線が優れていると思う。また、新幹線の車内においては、外国でしばしば見かける汚れや付属物の破損・故障といったものを殆ど目にすることがない。これまた、ハードの高い信頼性に加えて、絶えず車内をチェックし必要な処置を施す客室乗務員やメンテナンススタッフといったソフトがしっかりしているためだと思う。

 こうして考えてみると、私が新幹線びいきであるのは、単にモノとしての新幹線が優れているというだけでなく、それを支えるソフトの優秀さに大いに負っているようだ。逆に言えば、いくら優れたハードを導入しても、ソフトが脆弱であれば、その価値は大きく減じられてしまう。

 インフラ輸出は、ハードとソフトを組み合わせた究極のシステム輸出でもある。文化も社会情勢も異なる外国で、日本で育まれたソフトの部分を如何に根付かせるかが腕の見せどころだと思う。  (浩)



◎「原産協会メールマガジン」2010年11月号(2010.11.25発行)
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