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原産協会メールマガジン2月号 2012年2月24日発行 |
Index
□「原子力産業セミナー2013」を東京・大阪で開催
□「インフォコム2011」を開催
□服部理事長が原子力広報関係者会議「PIME2012」で講演
□カザフスタン原子力関係者との懇談会を開催
□チェルノブイリ復興状況調査報告書の公表
□ISTC/STCU福島復興セミナー参加報告
本文
当協会と関西原子力懇談会は、就職活動中の大学生・大学院生を主な対象に、原子力産業に特化した合同企業説明会「原子力産業セミナー2013」を東京・新宿エルタワー30階(1月28日)および大阪・梅田スカイビル3階(2月4日)で開催しました。
今年度で6回目となる本セミナーには2013年の就職を目指して、東京223人・大阪273人、合計496人が来場しました。参加企業・機関数は、東京29社、大阪24社であり、前回と比較して延べで12社の減少でした。
来場学生数は、前回と比較して東京・大阪ともに減少しました。また、例年、大阪会場への来場者数は東京会場と比較して、5割程度ですが、今回は大阪会場の来場者数が東京会場のそれを上回る結果となり、関東と関西での原子力に対する温度差が感じらました。
合同企業説明会「原子力産業セミナー2013」に参加した企業・機関は、自社ブースで業務内容や採用スケジュールについて20~30分程度で説明し、学生も熱心にメモを取りながら聞いていました。
会場には展示エリアがあり、放射線の性質に関連するパネルを中心とした展示や、実際に放射線測定器を使用して放射線の測定方法等の説明・実演を行い、学生の放射線に対する理解促進を図りました。普段は放射線を学ぶ機会のない学部・学科の学生たちが、理解を深めていました。会場のコミュニケーションエリアでは、学生と参加企業・機関の担当者が気軽な雰囲気で話し合う場として活用されていました。
主催者ブースにも数名の学生が訪問し、「日本の原子力政策は今後どうなるのか?」等の原子力の将来に不安を持つ生の声も聞かれました。当協会は原子力産業セミナーの開催広告(チラシ・ホームページ等)や会場のパネルで、原子力産業界は今後も長期的に人材を必要としているという本セミナーの趣旨を各方面へPRしたためか、混乱なく無事終了しました。福島事故の影響もあり、来場学生と参加企業・機関は減少したものの、逆風の中、原子力関連企業・機関と学生との接点を提供するという使命は達成できたと考えています。
当協会は「インフォコム2011」を1月23日と24日の2日間にわたり、福島県いわき市、広野町で開催しました。会合には原子力広報関係者が参加し、被災した地元の方々から多くの示唆に富む話を伺いました。
インフォコムは、原産協会が2008年以来、原子力広報に携わる関係者を対象として効果的な原子力広報に関する講演会を行うことを通じて、電力、メーカー、原子力関係機関の原子力広報関係者の情報交換と連携を図ることを目的として毎年開催してきました。
今回は、東日本大震災による福島第一原子力発電所の被災に鑑み、福島県内の地元で開催し、被災された双葉郡住民の方および地元行政に携わる方から話を伺うこととしました。話を伺ったのは、広野町企画グループの中津弘文リーダー、楢葉町建設課の青木洋課長、富岡町からいわき市へ避難されている佐藤晴美さんの3人の方です。
講演の後、避難の際の情報伝達のあり方や復旧、復興に向けた活動について、避難を余儀なくされた方々の気持ちを思い、寄り添うことを念頭に意見交換を行いました。
伺った話や意見交換の中で以下のような、示唆に富む意見が交わされました。
会合の翌日には、いわき市内の仮設住宅、広野町役場、広野火力発電所などを訪問し、被災の状況の把握に努めました。
この経験を今後の原子力広報の場で活用するとともに、正しい現地の情報を伝えていくことの大切さを確認しました。
□服部理事長が原子力広報関係者会議「PIME2012」で講演
服部拓也・原産協会理事長は、ワルシャワで開かれた欧州原子力学会(ENS)主催の原子力広報関係者会議「PIME2012」で講演するためポーランドを訪問しました。2月13日には、「福島で何が起こったか-何がどのように伝えられたか-原産協会の経験および私見」と題して講演しました。
PIMEの名称は「パブリック・インフォメーション・マテリアル・エクスチェンジ」から由来し、欧州原子力学会が、原子力関係広報・報道関係者を対象として、原子力広報での経験と資料を共有するために、1988年1月にスイスのモントレーで第1回を開催して以来、毎年冬に開いているものです。今回は福島事故が原子力にもたらした課題等を議題として開かれました。
服部理事長は「福島で何が起こったか-何がどのように伝えたられたか-原産協会の経験および私見」と題して講演。内容は、1)情報は海外にどのようにして伝えられたか、2)事故の世論およびエネルギー政策への影響、3)原産協会の情報発信活動、4)学んだ教訓――など。 聴衆からは「正直・率直で情報量の多いプレゼン」だったと高い評価を得ました。
PIMEのテクニカル・ツァーでは、ワルシャワの南東約30kmにあるポーランド原子力研究所を見学。すでに廃炉になっているエヴァ研究炉(10MW、1995年閉鎖)と付属のホットセル、キュリー夫人の名を冠した運転中のマリア炉(30MW研究炉)及びホットセル、使用済み燃料貯蔵施設、原子力研究所が製造・販売しているガンの放射線治療機、原子力・放射線教育施設などを見学しました。
服部理事長は滞在中に、トロヤノウスカ原子力委員、ドロジPGE原子力社長など、ポーランド原子力発電導入に関するキーパーソンとも会合を持ち、福島事故影響に関する説明を行うとともに、意見交換しました。また、欧州原子力産業会議(FORATOM)のポンセレ事務局長と会談し、福島事故を受けて原産協会とFORATOMが情報交換等での協力関係を作っていくことで合意しました。
ポーランド大統領府 | マリア炉運転操作室 |
当協会は平成24年1月25日、カザスフスタン共和国政府の原子力関係者一行を招き、懇談会を開催しました。
一行は、社団法人ロシアNIS貿易会の人材育成事業(経済産業省委託)として、東日本大震災後の日本とカザフスタンとの原子力関連産業人材育成分野における協力、日本-カザフスタン原子力協定発効後の両国間の原子力協力の今後の方針策定に役立てるために来日し、日本の政府機関および原子力関係機関と協議、意見交換を実施しました。当協会で実施した懇談会には、日本側からメーカー、商社等の原子力関連機関の関係者およそ30名が出席しました。
福島第一原発の事故に関して、ムクシェバ団長は冒頭、あくまで自然災害という不可抗力により発生したものであり、事故処理も一致団結して冷静に対応し、環境に与える影響を低く抑えることを短期間でできたことを高く評価している、と述べました。なお、カザフスタンの専門家が毎日、日本から発信される透明性の高い情報を確認してきており、福島事故によってカザフスタンの原子力開発の発展に悪い影響がおこるとは考えていないこと、今後IAEAが出す結論にも注目していきたいことなどを付け加えました。
2011年7月に採択された「2020年までの発展展望に基づく2010~2014年のカザフスタン共和国原子力部門発展プログラム」をベースにカザフスタンの原子力政策及び原子力産業の現状が紹介されました。カザフスタンのウラン採掘量は世界1位(2009年以降)ですが、現在、大半の電力を化石燃料に依存しており、エネルギー源の多角化を考慮したエネルギー構成として、化石燃料依存度を低下(~60%)させ、原子力の割合20%を目標としていること、ウラン製品の高付加価値化(燃料要素、燃料集合体)を目指しているが、それを支える原子力分野の専門家の育成が急務であることや、豊富な原子力基礎研究に立脚した多様な原子力応用の技術について紹介しました。
続いて発表した、デュサムバエフ・カザトムプロム核燃料サイクルプロジェクト部主任は、同社のウラン採掘量が2010年、17800トンに達していること(前年、14000トン)を紹介。また、U3O8(八酸化三ウラン)の形でのウラン販売へのリスク回避からウラン製品の多角化(核燃料や濃縮ウランを含む)を目指し、市場の景気変動の悪影響を回避していきたいと述べ、海外諸国の企業との協力を進めていることに触れ、日本企業との協力への期待感を述べました。
原産協会での懇談会 | 講演後のムクシェバ団長(写真右端) |
当協会はこのほど、昨年12月にベラルーシおよびウクライナ両国に調査団を派遣した成果を報告書に取りまとめ、ホームページで公表しました。
今回の調査団は、福島の復興の参考に資するため、ベラルーシおよびウクライナにおけるチェルノブイリ事故からの復興の経験・状況を調査する目的で派遣されました。特に、社会・経済の復興のプロセス、住民の健康管理と心理的影響の緩和、放射線への理解促進を中心に調査を実施しました。
報告書は以下のホームページをご覧下さい。
http://www.jaif.or.jp/ja/news/2012/jaif_chernobyl-report120210.pdf
当協会は上記チェルノブイリ復興状況調査の関連活動として、2月4日に福島市で国際科学技術センター(ISTC)とウクライナ科学技術センター(STCU)が開催した「福島復興セミナー」に参加し、除染、環境修復に関する情報・知見を収集しました。
同セミナーにはチェルノブイリ事故克服の経験を持つウクライナ、ベラルーシ、ロシア等から、行政、NPO等の関係者が参加し、除染、環境修復に関する研究成果や技術、経験について議論を交わしました。以下にその概要を紹介します。
日本からは、細野豪志環境相・原発担当相が「日本スタイル、福島スタイルの復興を確立したい」、佐藤雄平福島県知事は「復興にはまず除染が必要であり、次年度予算でも相当額を計上している」などと挨拶。福島での除染の取り組みについては、日本原子力研究開発機構および福島市より現状報告が行われました。
健康と農業の視点からのパネル討論では、英国放射線化学物質環境センターのメアリー・モリー氏が「目標は放射線防護よりも幅広い。混乱や不安の最小化、復興の迅速化など、地域の関心や課題を理解し、全ての関係者が関与することが重要」「住民の信頼獲得には、政府から独立した立場ということが重要」などと強調しました。
教育、情報共有、行政の視点からのパネル討論では、ロシア-ベラルーシ情報センター・ベラルーシ支局のソボレフ情報分析課長が、同国に約50の地域情報センターを設置して、放射線の知識や日常生活における対処法に関する「実践的な放射線文化」の教育を行っている経験に基づき、「日本でも同様のセンターを設置し、教育や一元的な情報提供を行うのがよい」との提案があったほか、ウクライナ戦略調査研究所のオレグ・ナスビット主席専門官は、同国では「国際的組織の支援を受けつつ、住民や自治体が主導的に復興を進めるほうが成功した」と語りました。
福島復興に向けてのパネル討論は、大場恭子金沢工業大学研究員が座長を務め、「リスクの大きさの相場観をもつには双方向の対話が重要」「住民、行政、専門家の間の不信感が復興の課題。三者が共通の具体的な目標をもって連携することが必要」といったまとめが行われました。
・(株)WIPジャパン
□原産協会HP(一般向け)の更新情報 ( http://www.jaif.or.jp/ )
*国内、海外ニュースは毎週および随時更新しております。
[服部理事長]
原子力損害賠償紛争解決センターの活動状況と総括基準
今回は、「原子力損害賠償紛争解決センター」の活動状況と、紛争解決センターが策定した総括基準についてについてQ&A方式でお話します。
Q1.(原子力損害賠償紛争解決センターの活動状況) 原子力損害賠償紛争解決センターにおける和解仲介はどのように進んでいますか? |
A1.
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Q2.(紛争解決センターが策定する総括基準) 原子力損害賠償紛争解決センターが策定する「総括基準」とはどのようなものですか? |
A2.
○ 原産協会メールマガジン2009年3月号~2011年10月号に掲載されたQ&A方式による原子力損害賠償制度の解説、「シリーズ『あなたに知ってもらいたい原賠制度』」を小冊子にまとめました。
小冊子「あなたに知ってもらいたい原賠制度2011年版」入手をご希望の方は、有料[当協会会員1000円、非会員2000円(消費税・送料込み)]にて頒布しておりますので、(1)必要部数、(2)送付先、(3)請求書宛名、(4)ご連絡先をEメールで genbai@jaif.or.jp へ、もしくはFAXで03-6812-7110へお送りください。
シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」のコンテンツは、あなたの声を生かして作ってまいります。原子力損害の賠償についてあなたの疑問や関心をEメールで genbai@jaif.or.jp へお寄せ下さい。
私の故郷は山梨県の片田舎である。人口も1万人にも満たない、周りを山々に囲まれ、最寄り駅も1時間に1回列車が停車するくらいの小さな町である。良い言い方をすれば、のどかで自然に囲まれ、となり近所の人は皆知り合い。悪い言い方をすれば、それ以外はまったく何も無いところである。
高校時代まで18年間をその町で過ごし、その後は大学、社会人と首都圏を転々とし、現在の横浜市内に居住するようになって15年以上が経っている。その町を出てからは、この春で早いもので23年になろうとしている。今でも盆、正月になると帰省しているが、首都圏からそう遠くないこともあり、若い頃は実家に何の連絡もせず突然帰ったり、数時間滞在しただけで家族にろくにあいさつもせず戻ってしまうことさえあった。
故郷のない友人に「帰る場所があっていいね・・・」と言われても、「都会に住んでいるほうが便利だし、帰ってもすることがないしねぇ」などと返答していた。私の中では故郷とは気軽に帰れるところであり、いつでも手が届く場所であると考えていた。そのせいか、故郷のありがたさなど、考えたことも無かった。
そして、3月11日の東日本大震災が起きた。安否確認をしたくてまったくつながらない電話、麻痺した交通機関、陳列棚に何もないコンビニ、そしてテレビで繰り返される現実なのか?と疑うような被害状況・・・。
おそらく、私が今まで生きてきた中で最悪の出来事であったと思う。その中で、福島第一原子力発電所の事故が起き、近隣の市町村の多くの人々が避難を余儀なくされた・・・。
まだ、夏の日差しの残る9月 私はいわき市にある仮設住宅を訪れた。そこであった人々は、まるで私の故郷で暮らしているような穏やかで暖かい人々であった。
子供達が元気よく走りまわっていた。中には人懐っこく話しかけてくる少年もいる。甥っ子と同い年くらいかな・・・。庭先で煙草を吸っている年老いた女性もいた、彼女は一人暮らしだと言う・・・話を聞くと、「なるようにしかならないよ・・・」と言って笑っていた。年は違うが自分の母親とつい重ね合わせてしまう。
避難生活中に出産した女性にも会った。3月に生まれたので、今は生後6ヶ月になるという すくすくと元気に育ってほしいなと思う・・・でも、その子の故郷ってどこになるのだろう・・・。「自宅に戻りたいねえ・・・」と懐かしそうに言う女性もいた。
様々な思いがよぎった・・・。
この仮設住宅にいる人々も今まで当然のように故郷の町で暮らし、きっとそれは変わらないことだと思っていただろう。もし、私が同じような立場になっていたら・・・もし、自分の家族が同じような立場になっていたら・・・と考えると、胸が痛んだ。そして、帰れる場所があることの有り難さ、そこで家族が元気に今までどおり暮らしている有り難さを改めて思った。
きっと、今度帰る時は、私は今までになく感謝しているだろう。いつでも帰れる故郷がそこにあることを・・・。
(A.M)
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