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原産協会メールマガジン5月号 2011年5月25日発行 |
Index
□2011年版「世界の原子力発電開発の動向」を刊行
□福島原子力発電所事故に関する海外への情報発信活動
□原子力産業新聞で放射線解説コラムを掲載
□「スリーマイルアイランド原子力発電所事故に関する大統領特別調査委員会報告-」の翻訳を復刻
□原産協会HP(一般向け)の更新情報
□会員向けHPの更新情報
□英文HPの更新情報
本文
4月28日、長野県大町市(仁科町公民館)において開催された、「NPO地域づくり工房(代表理事:傘木宏夫 氏)」主催による意見交換会『いま議論しよう原子力のこと』に当協会から職員が出席し、“私たちの望む社会に必要なエネルギーは何か”などについて20余名の参加者と議論しました。
意見交換会の様子 |
東北地方太平洋沖地震に起因した福島第一原子力発電所での事故発生により、放射性物質の環境への放出や長期にわたる周辺地域住民の避難・退避など、日本国内最大規模の災害が生じ、現在、原子力に対する社会の信頼が大きく失われる事態に至っています。
原産協会では福島の原子力事故を受けて、地域で活動する市民グループとの原子力に対する意見を交換する活動を通して、原子力の信頼回復に向けた取り組みを行うことを目的として出席しました。
事故後最初となった意見交換会は、長野県内において産業廃棄物に関する環境アセスメントや地域住民・自治体問題などの研究所理事を務められ、また、平成21年度に当協会の高レベル放射性廃棄物処分勉強会にも参加いただいた『NPO地域づくり工房』代表理事の傘木氏主催により、長野県大町市内外に在住する20余名の市民が集まる中、150分間もの長時間にわたって実施されました。
冒頭、主催者の傘木氏(=写真左)から開催挨拶や主旨説明、意見交換会に至った経緯などが紹介されました。
引き続き、当協会から「福島第一原子力発電所事故の状況とその影響について」と題して、事故の原因、現状、今後の対策などの技術的な内容で説明を実施。また、「いっしょに考えませんか原子力について」と題して、今回の事故から見えてきたことや新聞各紙の世論調査の結果を紹介するとともに、再生可能エネルギーの一つである太陽光発電のデータを紹介しました。さらに、“私たちの望む社会を作り上げるためには、どのようなエネルギーが必要であるのか”、“経済的に活気に満ちた社会の維持には、電力が不可欠ではないのか”など、電力不足にある現状についての問題を参加した市民に投げかけました。
当協会から福島第一原子力発電所事故の影響やエネルギー問題などについて説明 |
当日、会場からの主な意見や質問は次のとおり。
○私は(福島の発電所は)再起させられないのではないかと思う。これから日本は原子力発電を維持していくが、増設はやめるべきではないのか。
○原子力発電は他の発電方法と比べ、今回の事故を踏まえ本当に採算が合うのか。
○これまで経済発展優先で活動していたことは、僕らは皆、同罪であると思う。これまで原発賛成派に近かったのかもしれない。しかし、(原子力の)技術がコントロールできない以上、原子力ありきで行こうとするスタイルは如何なものか。
○新聞各紙の世論調査結果は、避難民の数字が入っていないので、賛成が多いような結果となっているのでは。
○原子力反対派は、“原子力発電は直ちに止めても大丈夫である”と主張している。反対派がインターネット上で行った世論調査では、9割近い方が原子力不要と回答している。
○ (原子力事故などの)情報を発信する側は、もっとわかりやすく話をする必要がある。聞きたいことの情報が発信されていない。
○生活パターンの変化は必要だと思う。電気に頼る生活が浸透しており、原子力をベースとしたエネルギーの供給は大きい。本当に原子力を止められるのか。全部止めてしまうと問題もある。
○自分たちが使うエネルギーを自分たちで賄うことは可能ではないのか。規制を緩和していきながら、原子力を現状維持というよりは、危険な原子力発電所は止めることが必要。
○エネルギー問題は、国レベルから地域レベルで考える時代がやって来ているのでは。自分たちで生活のために必要な電気を考える方向になったらよいと思う。
○原子力はいらない。原子力をやめても電気が足りなくなるとは思わない。
○オールジャパンで話をしたら電気は足りないのは事実。しかし、地域単位で見れば、自然のエネルギー源で生活を維持できるところがある。日本で可能なエネルギーとしては、水路式の水力発電が最もポテンシャルが高い。大消費地をまかなう話しとエネルギーを自立できる地域を増やしていく話の2つについて議論していくことが必要。
――など、参加した市民からは多くの活発な意見や質問が出され、参加者同士も議論する場面がありました。また、参加者が普段利用している“facebook”や“twitter”にも、意見交換会の様子や感想が掲載されました。
当協会では、『いっしょに考えませんか 原子力について』をテーマとした意見交換会を開催し、“私たちの望む社会に必要なエネルギーは何か”について、今後も議論していく予定です。
当協会はこのほど、2011年1月1日現在の世界の原子力発電所と核燃料サイクル施設の状況とデータをまとめた「世界の原子力発電開発の動向-2011年版」を刊行しました。
世界の原子力発電所一覧表には、国別の各発電所の状況、炉型・原子炉モデルを始め発注・着工から営業運転までの各年や主契約者、供給者、運転サイクル期間等、広範な情報を網羅しています。
今回、中国、インドでの原子力計画拡大の状況、中東、東南アジア諸国を始めとする新規発電所導入計画に焦点をあてた世界の動きも掲載しました。
詳細は、http://www.jaif.or.jp/ja/news/2011/doukou.html
3月11日の東北地方太平洋沖地震を受けた福島原子力発電所の状況について、当協会は地震直後より継続して、以下の通り、海外への情報発信、国際会議での情報提供、海外の関係者への説明などに努めて参りました。今後も引き続き、海外への情報提供を行っていきます。
□英文情報発信
◆電子メールによる情報配信
3月11日以来、1日1回、「Atoms in Japan」(AIJ)購読登録者、海外関係者、在日大使館関係者等、計1,726名に、発電所の状況、政府や東京電力の対応等について最新情報を電子メールにて配信。
*英文メールをご希望の方は、aij@jaif.or.jp までご連絡ください。
◆ホームページによる情報発信
3月14日以来、以下の情報を英文ホームページ( http://www.jaif.or.jp/english/)に掲載。
英文ホームページの閲覧数は、ピーク時1日8万5千件(従来は月平均1千件程度)に達し、各国のメディアや政府機関、国際原子力機関(IAEA)等国際機関に当協会の情報が引用されました。
・福島の原子力発電所の状況
3月14日以降、発電所の状況を表にまとめ、1日3回データを更新し、ホームページに掲載。4月22日より、1日1回データを更新。
Status of nuclear power plants in Fukushima |
・発電所周辺の環境モニタリング・海域モニタリング結果
4月1日より、発電所周辺の環境モニタリングの推移、4月6日より、海域モニタリングの実施状況を掲載。5月13日、発電所周辺の環境中放射線マップを掲載。
・東北地方太平洋沖地震以前と以降の日本の原子力発電所の運転状況
5月13日、東北地方太平洋沖地震以前と以降の日本の原子力発電所の運転状況を掲載。5月16日更新。
・避難所生活の経験手記
4月28日より、原産協会参事の北村氏の避難所生活の経験を綴った手記を英訳して掲載。
◆外国人記者会への情報提供
3月18日から、発電所の状況と環境影響情報の更新版を、2か所の外国人記者会(フォーリン・プレスセンターおよび日本外国特派員協会)に提供。
□国際会議での情報提供
・ 4月4日、「新型炉の標準化、国際設計認証を目指している(CORDEL)ワーキンググループ」(世界原子力協会主催、於米国シカゴ)に、当協会職員が参加し、福島第一原子力発電所の状況、設備対応、およびアクシデント・マネージメント手順の事前対応状況などについて説明。
・ 4月28日、米国サンフランシスコ近郊で開催されたGE関係者の会合に、服部理事長が参加し、福島第一原子力発電所事故の状況と対応について説明。
□海外の関係者への対応
・ 仏原子力庁ブシャール顧問(3/14)、ロシア原子力安全専門家(3/18)、米エネルギー省ライオンズ次官補(4/8)、米国原子力規制委員会(4/12)、ポーランド電力代表団(4/18)、OECD/NEAエチャバリ事務局長(4/20)、フランス企業来日ミッション(4/27)など海外の専門家への説明、および意見交換。
・ 東京電力が発電所の低レベル放射性滞留水を海へ放出したことに韓国が懸念を表明したことに対し、4月7日、当協会石塚常務名で韓国原子力産業会議(KAIF)に、発電所周辺の海洋モニタリングや環境モニタリングの状況などを取りまとめ情報提供。
当協会発行の原子力産業新聞では、今年1月から放射線解説コラムを連載しています。福島第一原子力発電所事故を受け、同コラムの番外編として、「日本の放射線・放射能の基準」と題し、これまでに、事故拡大を防止するため働く作業者の被ばくのほか、避難についての疑問、大気中や水の放射性物質量、子どもたちへの影響、内部被ばく、チェルノブイリでの放射能汚染食品対策について紹介しています。
なお、このコラムは当協会HPに掲載している「環境影響・放射線被ばく情報」 からもご覧いただけます。
http://www.jaif.or.jp/ja/news/2011/eco&radiation_top.html
□「スリーマイルアイランド原子力発電所事故に関する大統領特別調査委員会報告-」の翻訳を復刻
当協会は、スリーマイルアイランド原子力発電所事故に関する大統領特別調査委員会報告-(通称ケメニーレポート)』の和訳翻訳を実費にて希望者に頒布しております。
当協会は1980年3月、同発電所事故後、カーター大統領の元に設置された特別委員会の報告書を全訳・発行しましたが、今般、この特別委員会の報告が注目されていることから、和訳翻訳の復刻版を作成したものです。
特別委員会は、大統領命令で12名の委員(委員長:ダートマス大学のジョン・J・ケメニー学長)で構成され、約半年にわたる調査・分析結果をとりまとめ10月30日に大統領に報告しています。
報告書では政府と産業界は安全性最優先の態度を貫くべきであるなどと勧告。これを受け、カーター大統領は同年12月、委員会からの勧告を踏まえた新しい原子力政策を発表しました。復刻版には、この大統領声明の翻訳も含まれています。
ご希望の方に、1部3,000円にて頒布いたします。(税・送料込み)
お問い合せ先:日本原子力産業協会 情報・コミュニケーション部
e-mail: information@jaif.or.jp
□「ふるさとカレンダー」を作成
当協会はこのほど、福島第一原子力発電所事故により避難されている方からカレンダーがなくて不便を感じているとのご意見を踏まえ、福島県浜通り地域の四季折々の風景、季節毎のイベント、祭りなどをテーマにした「ふるさとカレンダー」を作成しました。避難者の方をはじめ関係者にも配布させていただく予定です。
カレンダーの印刷は、福島県の「民報印刷」様にお願いしました。
カレンダーは、A4中綴じ。2011年5月から2012年4月までの1年間を掲載。
ご希望の会員には有料で頒布いたします。
お問い合せは、当協会・情報コミュニケーション部(℡03-5812-7103)まで。
当協会は、「福島県原子力避難者」の義捐金募金活動を3月30日から5月19日まで続けてまいりました。
当協会会員の社員・職員、OBを含む原子力・大学関係者、一般の方々、および企業・団体まで、多くの皆様の心暖まるご支援により、下記のとおり義捐金が集まりましたので、ご報告申し上げます。
寄せられた義捐金は、5月20日から福島県で原子力の避難対象とされている自治体に、当協会の役職員がお届けに参ります。
急なお願いにもかかわらず、趣旨にご賛同いただき募金のご協力をいただきました皆様に、心よりお礼申し上げます。
福島原子力発電所の確実な収束と福島地域の復興を心より願っております。
記
□義捐金総額 : 20,100,000円 (平成23年5月20日)
□件 数 : 622件(個人、企業、団体など)
□対象自治体 : 田村市、南相馬市、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、
双葉町、浪江町、葛尾村、飯舘村、いわき市、川俣町
□原産協会HP(一般向け)の更新情報 ( http://www.jaif.or.jp/ )
*国内、海外ニュースは毎週および随時更新しております。
・「日本の原子力発電所(福島事故後の運転状況)」(5/16)
・「世界の原子力発電開発の動向2011年版」を5月18日に刊行 (5/13)
・「福島第一原子力発電所事故を巡る世界&各国・地域の対応・動向(1)」(5/13)
・福島第一原子力発電所の事故情報(毎日更新、PDF)
・福島原子力発電所に関する環境影響・放射線被ばく情報(随時)
□会員向けHPの更新情報( https://www.jaif.or.jp/member/ )
・【日本の原子力発電所の運転実績】4月分データ (5/17)
・【海外原子力情報】2011年3月分 (5/13)
□英文HPの更新情報( http://www.jaif.or.jp/english/ )
・Atoms in Japan:英文原子力ニュース(AIJ)(随時)
・Earthquake Report、Information on Status of nuclear power plants
in Fukushima(毎日更新)
・Operating Records of Nuclear Power Plants in April 2011 (5/16)
・Radiation in the Environment around Fukushima Daiichi NPS (5/13)
■原産協会入会のお知らせ(2011年5月)
・JXホールディングス(株)
・神鋼リサーチ(株)
・(株)キャリバージャパン
[服部理事長]
・5/13(金) 会員情報連絡協議会(於:航空会館)
・5/23(月) 原子力科学技術委員会(於:文部科学省)
・5/23(月) プレスブリーフィング(於:琴平タワー3F会議室)
・5/26(木) チェコ共和国エネルギー安全保障担当特使との昼食会
(於:在日チェコ共和国大使館)
・5/30(月) 向坊国際人育成事業 WNU夏季研修会事前勉強会(於:第1会議室)
[石塚常務理事]
・5/13(金) 会員情報連絡協議会(於:航空会館)
・5/17(火) 中部原子力懇談会 定時総会に出席(名古屋商工会議所ビル)
・5/20(金) 大熊町、葛尾村、楢葉町訪問
・5/24(火) 茨城原子力協議会 通常総会に出席(水戸京成ホテル)
・5/26(金) 双葉町、田村市訪問
[八束常務理事]
・5/13(金) 会員情報連絡協議会(於:航空会館)
・5/30(月) 向坊国際人育成事業 WNU夏季研修会事前勉強会(於:第1会議室)
・5/31(火) 東北原子力懇談会 定時総会に出席(メトロポリタン仙台)
震災による原子力事故に伴う原子力損害賠償
今回は、去る3月11日の東日本大震災によって発生した東京電力(株)福島第一、第二原子力発電所事故の原子力損害賠償についてQ&A方式でお話します。
Q1.(震災による原子力事故の損害賠償) 3月11日の東日本大震災によって発生した東京電力(株)福島第一、第二原子力発電所事故の原子力損害賠償はどのように行われますか? |
A1.
・ 原子力事故に伴って発生した原子力損害の賠償は、「原子力損害の賠償に関する法律(原賠法)」に基づいて行われることとなります。
・ 現時点の政府見解では、当該事故による原子力損害の賠償は、原子力事業者である東京電力(株)が一義的に賠償責任を負うことを前提に各種手続きが進められています。
・ 当該事故は地震、津波によって発生したため、事業者の賠償による損失は政府と事業者の間に締結された「原子力損害賠償補償契約」に基づいて、政府が1発電所あたり賠償措置額である1200億円まで補償します。
・ 事業者による損害賠償額が賠償措置額(1200億円)を超えた場合には、政府は原賠法の目的を達成するために必要と認めるときは、事業者が損害を賠償するために援助を行うこととなっています。
・ 原賠法に基づき文部科学省に設置された「原子力損害賠償紛争審査会(紛争審査会)」は、原子力損害の範囲を判定する指針等の策定や、紛争の和解の仲介を行うこととなっています。
【A1.の解説】
平成23年3月11日に発生した東日本大震災の地震及び津波を受けて引き起こされた東京電力(株)福島第一、第二原子力発電所における事故では、大量の放射性物質の放出等により、広範囲にわたる原子力損害が発生しました。この事故に係る損害賠償は「原子力損害の賠償に関する法律(原賠法)」や「原子力損害賠償補償契約に関する法律(補償契約法)」、その関係法令に基づいて処理されます。
現在、当該事故による原子力損害の賠償は原賠法第3条などに基づき、原子力事業者である東京電力(株)が一義的に賠償責任を有することを前提として所要の手続きが進められています。
なお、原賠法第3条には、ただし書きとして「異常に巨大な天災地変」の場合に事業者を免責扱いとする規定がありますが、今回の震災が「異常に巨大な天災地変」に該当するかどうかの法解釈は、現時点で明確になっていません。
事業者は原賠法第7条などに沿って、原子力損害賠償責任保険契約及び原子力損害賠償補償契約により1事業所当たり1200億円の損害賠償措置を講じており、これを被害者に対する賠償の原資とすることができます。
当該事故は地震及び津波によって発生したため、原賠法第8条、補償契約法第3条及び補償契約法施行令第2条により、責任保険の免責事項に該当し、補償契約の填補対象となることから、当該事故による原子力損害の賠償によって発生した事業者の損失は、政府との補償契約に基づいて、1事業所当たり1200億円まで政府により補償されます。
事業者が賠償しなければならない損害の額が、事業者が措置している額を超えた場合には、被害者の保護を図り、及び原子力事業の健全な発達に資するという原賠法の目的を達成するために必要があると政府が認めるときには、政府が原賠法第16条第1項に基づき、事業者が損害を賠償するために必要な援助を行うこととなっています。
また、政府は原賠法第18条に基づいて文部科学省に設置した「原子力損害賠償紛争審査会」において「原子力損害の範囲の判定の指針その他の当該紛争の当事者による自主的な解決に資する一般的な指針」の策定や、「原子力損害の賠償に関して紛争が生じた場合における和解の仲介」を行うこととなっています。
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Q2.(震災による原子力事故に伴う損害の範囲) 東日本大震災によって発生した東京電力(株)福島第一、第二原子力発電所事故の原子力損害賠償ではどのような損害が賠償されますか? |
A2.
・ 原賠法に基づき4月11日に設置された紛争審査会により、「原子力損害の範囲の判定の指針その他の当該紛争の当事者による自主的な解決に資する一般的な指針」が、被害者の迅速・公平・適正な救済の必要性を踏まえて、原子力損害に該当する蓋然性の高いものから順次策定される予定です。
・ 既に4月28日に第一次指針が、①避難等の指示に係る損害、②航行危険区域設定に係る損害、③出荷制限指示等に係る損害について、(1)避難費用、(2)営業損害、(3)就労不能等に伴う損害、(4)財物価値の喪失又は現象等、(5)検査費用(人、物)、(6)生命・身体的損害を対象として策定されました。
・ 第一次指針で対象とされなかった損害項目や範囲については、今後更なる検討が行われ、順次追加的に指針が示されていくこととなっており、7月頃に中間指針策定(原子力損害の全体像)が予定されています。
【A2.の解説】
JCO臨界事故における経験を踏まえて改正され平成22年1月より施行された改正原賠法には、紛争審査会の役割として「原子力損害の範囲の判定の指針その他の当該紛争の当事者による自主的な解決に資する一般的な指針を定めること」が追加されています。
この指針の策定等を行うため、原賠法第18条に基づき平成23年4月11日、東日本大震災によって発生した原子力事故による損害に関する紛争審査会が文部科学省に設置されました。
発生から2ヶ月を経過してもなお事故が終息せず、多数の被害者らの生活状況や生産及び経済活動等は、今も継続する被害全容の確認や見通しを待てないほど切迫しており、このような被害者を迅速、公平かつ適正に救済する必要があることから、当該指針は原子力損害に該当する蓋然性の高いものから順次策定、提示されることとなりました。
4月28日に策定された第一次指針では、まずは政府による指示に基づく行動等によって生じた一定の範囲の損害についてのみ、基本的な考え方を明らかにしており、その概要は以下の通りです。本文は文末のリンクからご覧ください。
①政府による避難等(避難区域、屋内退避区域、計画的避難区域、緊急時避難準備区域)の指示に係る損害
(1)検査費用(人)
・ 避難等対象者が負担した被曝による身体への影響の有無を確認する目的で受けた検査の検査費用及び付随費用
(2)避難費用
・ 避難等対象者が負担した交通費、宿泊費等(実費賠償が原則だが、一定額を支払う場合に用いる平均的損害額は今後検討)
(3)生命・身体的損害
・ 避難等を余儀なくされたための傷害、健康状態悪化、疾病あるいは死亡による逸失利益、治療費、薬代、精神的損害等
(4)精神的損害
・ 避難等を余儀なくされ、正常な日常生活が長期間にわたり著しく阻害されたことによる精神的苦痛は損害と認められる余地がある。(判定基準や算定要素は今後検討)
(5)営業損害
・ 事業の不能等により現実に減収のあった営業、取引等の減収分(原則として逸失費用)
・ 事業への支障による追加費用、支障を避けるために負担した追加費用(商品、営業資産の廃棄費用、事業拠点の移転費用等)
(6)就労不能に伴う損害
・ 対象区域内に住居や勤務先がある労働者が、避難等により就労不能となった場合の給与等の減収分
(7)検査費用(物)
・ 対象区域内にあった財物に係る安全確認や取引先の要求等による検査費用
(8)財物価値の喪失又は減少等
・ 避難等に伴い、管理不能や放射性物質への曝露によって現実に価値が喪失又は減少した財物(不動産を含む)の、価値の減少分及びこれに伴う追加費用
②政府による航行危険区域設定に係る損害(海上保安庁による航行危険区域(30km圏内)の設定に伴う損害)
(1)営業損害
・ 漁業者が対象区域内での操業を断念し減収があった場合の減収分
・ 内航海運業者や旅客船事業者等の航路迂回により発生したことに伴う費用の増加分又は減収分
(2)就労不能等に伴う損害
・ 対象区域内で操業不能となった漁業者、内航海運業者や旅客船事業者等の経営状態悪化のために、そこで勤務していた労働者が就労不能となった場合の給与等の減収分
③政府等による出荷制限指示等に係る損害(政府による出荷制限指示、地方公共団体による出荷・操業の自粛要請等があった区域及び対象品目に係る損害)
(1)営業損害
・ 農林漁業者が出荷制限指示等により出荷又は操業を断念した場合の減収分及び追加費用
・ 流通業者が出荷制限指示等により対象品目の販売を断念した場合の減収分
(2)就労不能等に伴う損害
・ 出荷制限指示等により対象品目を生産する農林漁業者等の経営状態悪化のために、そこで勤務していた労働者が就労不能となった場合の給与等の減収分
なお、政府の指示等によるもの以外が損害賠償の対象から除外されるものではなく、第一次指針で対象とされなかった損害項目や範囲については、今後更なる検討が行われ、順次追加的に指針が示されていくこととなっており、続いて第二次指針策定や7月頃に原子力損害の全体像に係る中間指針策定が予定されています。
第一次指針本文はこちら
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/016/houkoku/1305640.htm
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○ 原産協会メールマガジン2009年3月号~2010年9月号に掲載されたQ&A方式による原子力損害賠償制度の解説、「シリーズ『あなたに知ってもらいたい原賠制度』」の19回分を取りまとめ、小冊子を作成いたしました。
小冊子の入手をご希望の方は(1)送付先住所 (2)所属・役職(3)氏名(4)電話番号(5)必要部数をEメールで genbai@jaif.or.jp
へ、もしくはFAXで03-6812-7110へお送りください。
シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」のコンテンツは、あなたの声を生かして作ってまいります。原子力損害の賠償についてあなたの疑問や関心をEメールで genbai@jaif.or.jp へお寄せ下さい。
手作りパン
先日、部屋の片隅で眠っていた手作りパンのセットを思い出し、久しぶりにパンを焼くことにしました。これらのセットは通販で毎月決まったコースが届くシステムで購入したものですが、まじめに作ったのは最初だけというおきまりパターンで、いくつかのセットが眠ったままだったのです。
小麦粉やドライイーストはセットに入っているので、冷蔵庫からバターを出して計量し、卵を1個溶いて準備完了です。
粉をビニール袋にいれて溶き卵とお湯を加えてひたすら捏ね、いい按配になったら丸めてボールに移して一次発酵に移ります。
その日は気温が少し低かったので、お湯を張った鍋の上に乗せて温かさをキープして待つこと40分。2倍近く膨らんだ生地を伸ばして成形します。
レシピには簡単に「25×48センチの長方形に伸ばす」なんて書いてありますが、パン生地は弾力があるので結構大変です。また、厚さもできるだけ均一にしないと仕上がりに影響するので気を使います。
生地を均等にカットして成形したらオーブンの鉄板に乗せて2次発酵させます。やはりこのときもお湯を張った鍋の上に乗せて温かくしながら発酵させるのですが、温度を一定に保つかどうかで焼き上がりが変わると最近になって知りました。
面倒でもこまめにお湯の温度を測り、冷めないようにすると生地が十分に発酵してふっくらとしたパンができるのですが、実はこれまであまり気を配っていなかったので焼きあがりがバラバラでした。
さて40分後、2次発酵の終わったパン生地をあらかじめ温度設定したオーブンへ入れます。ドキドキしながら待つこと15分、ようやく手作りパンとのご対面です。
少し手間をかけてあげるだけでふかふかの美味しいパンが出来上がるのは嬉しいものです。
出来上がったパンを手にして改めて自然の恵みに感謝し、食の大切さを実感しました。
(ゆ)
ブラウンシュガーのミニ食パン |
◎「原産協会メールマガジン」2011年5月号(2011.5.25発行) 発行:(社)日本原子力産業協会 情報・コミュニケーション部(担当:木下、八十島) 〒105-8605 東京都港区虎ノ門 1-2-8 虎ノ門琴平タワー9階 TEL: 03-6812-7103 FAX: 03-6812-7110 e-mail:information@jaif.or.jp |
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