Index
□原子力安全規制の見直しに関する理事長意見を提出
□ 「福井県原子力平和利用協議会敦賀支部女性部」との意見交換会を実施
□向坊隆記念事業:来年度のWNU参加者の選出結果
□原子力人材育成ネットワーク実務分科会第1回会合を開催
□第31回日韓原子力産業セミナーの開催
本文
■原子力政策推進活動
□原子力安全規制の見直しに関する理事長意見を提出
政府の「原子力事故再発防止顧問会議」が検討を進めている原子力安全規制に関する組織や規制強化の在り方等について、当協会は、原子力安全規制の実効性を確保するために規制の質の転換を図るべきとする理事長意見を提出しました。
全文はこちらからご覧ください。
http://www.jaif.or.jp/ja/news/2011/hattori_anzenkomonkaigi-comment111115.pdf
英訳 http://www.jaif.or.jp/english/news_images/pdf/ENGNEWS02_1321494754P.pdf
□ 「福井県原子力平和利用協議会敦賀支部女性部」との意見交換会を実施
福井県原子力平和利用協議会(以下、原平協)敦賀支部女性部メンバー10名と敦賀市職員2名が11月16日、敦賀市における原子力に関する研修の一環として、当協会に来所され、当協会役職員との意見交換会を実施しました。
当協会と原平協 敦賀支部 女性部のメンバーは、勉強会の支援等で様々な協働を行っており、大変なごやかな雰囲気の中、意見交換が行われました。双方の挨拶、原平協 敦賀支部 女性部の活動報告に続き、「原子力政策について」「マスコミの報道について」「国の責任について」「放射線の理解や除染について」などをテーマに忌憚のない意見が出され、短い時間ではありましたが、大変、有意義な意見交換・交流の場となりました。
原平協 敦賀支部 平山光子女性部長は「原子力は国策としてやってきたこと。国がもっと前にでて責任を果たしてほしい。そうでなければ、我々のような立地地域の住民は不安である。国にしっかりしてほしい」と意見を述べ、当協会役員からは「原子力について理解を得るためには、原子力関係者や科学者への信頼や経験と知識、市民の常識等が合致しないといけない。信頼関係を得るには、顔と顔を合わせてのコミュニケーションが大切。原産協会でも実際に顔と顔を合わせたコミュニケーション、住民の視点を重視している」との意見が出されました。
意見交換会のもよう
□向坊隆記念事業:来年度のWNU参加者の選出結果
当協会実施の「向坊隆記念国際人育成事業」に関して、「2012年世界原子力大学夏季研修(WNU-SI)」への参加支援対象者5名が決定しました。
当協会は、元会長向坊隆氏の遺功を後世に託すべく、原子力分野において、国際的な視野を持ち、国内外で活躍・貢献できる若手リーダーの育成に資する目的で、(財)日本総合研究所の支援により「向坊隆記念国際人育成事業」を平成20年度より実施しています。この事業の一環として、原子力に携わる日本の若手技術者、研究者および大学関係者(学生を含む)の「世界原子力大学夏季研修(WNU-SI)」参加を支援(主に参加費助成)しています。
来年の夏に6週間(7月7日~8月18日)、英国のオックスフォード大学で開催予定の「2012年世界原子力大学夏季研修(WNU-SI)」への参加支援対象者募集へは産業界、学会から8名の応募があり、英語力審査、書類審査、11月9日開催の本事業運営委員会での選考を経て、5名の支援対象者が決定しました。支援対象者の所属機関は以下のとおりです。北海道電力(株)、東京工業大学(博士課程)、関西電力(株)、日本エヌ・ユー・エス(株)、日立GEニュークリア・エナジー(株)から各1名。いずれの支援対象者も若さ、やる気に満ちた精鋭ばかりです。WNU-SIへ参加して、さらに逞しくなって帰国されるものと思います。
□原子力人材育成ネットワーク実務分科会第1回会合を開催
「原子力人材育成ネットワーク」の「実務段階人材育成分科会」は11月10日に第1回会合を開催し、人材育成における関係機関間の相互連携の取組みのひとつとして、企業・機関等で働く技術者、研究者の教育・訓練の質の向上についての検討をスタートさせました。
「原子力人材育成ネットワーク」は、各企業や機関がそれぞれ必要に応じた人材育成を個別に進めるだけでなく、産官学の関係機関が協力しわが国として一体となった原子力人材育成の体制を構築することにより、人材育成を効率的、効果的、戦略的に推進することを目的に、昨年11月に設置されました。当協会は日本原子力研究開発機構とともに、その共同事務局として、原子力人材育成のハブの役割を担う活動を続けています。
当協会が事務局をつとめる「実務段階人材育成分科会」(主査:中川敦之 四国電力(株)原子力安全保安研修所長)の活動目的は、次の2つです。
1)電力会社、メーカー、研究機関、行政・規制機関等が連携し、実務段階の人材育成について、ベストプラクティス事例の共有等を図り、原子力の安全確保に必要な技術を維持・向上させるとともに、必要な人材を計画的に育成する。
2)福島原子力発電所事故を踏まえ、各企業・機関等の人材育成の取組み状況をあらためて体系的に整理し可視化することにより、事故の教訓の適切な反映や共有に寄与する。
分科会の発足メンバーは、電力会社、メーカー、研究機関、国です。原子力規制官・検査官の育成については、原子力安全・保安院、原子力安全基盤機構において検討作業が進められていますので、分科会はこれらの機関とも情報交換等を進めながら整合性のある取組みを行います。
11月10日の第1回会合では、分科会の取組みの方向性について議論し、今年度の取組みとして、1)原子力のコア技術を整理し、それらの技術を確実なものとするためにどのように人材を教育・訓練しているかをわかりやすく整理すること、2)福島原子力発電所事故を起こした世代の技術者に対して若い世代から意見やメッセージをもらうため、若手原子力技術者による討論会の開催を呼びかけること――の2つを実施することとしました。
人材は、原子力安全確保の要です。分科会は、このことをあらためて認識し、技術者、研究者の教育・訓練の質の向上のために具体的な取組みを進めていく考えですので、関係各位のご支援をお願いいたします。
原子力人材育成ネットワーク |
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■国際協力活動
□第31回日韓原子力産業セミナーの開催
当協会と韓国原子力産業会議(KAIF)が主催する「第31回日韓原子力産業セミナー」が平成23年11月7日~8日、韓国・ソウル教育文化会館で開かれました。セミナーには、日本側から服部拓也日本原子力産業協会理事長、土田昭司関西大学教授ほか、計23名、韓国側からク・ハンモ韓国原産副会長、リ・テホ韓国水力原子力副社長ほか、約100名が参加しました。
当協会は、KAIFとの間の協力覚書に基づき、原子力開発・利用に関する情報・意見交換を行うことにより、両国の原子力関連の産業レベルにおける協力を促進し、両国の原子力関連産業の一層の発展を目的として、1979年以来、KAIFとの共催で「日韓原子力産業セミナー」を日本、韓国で交互に開催しています(当初毎年開催。2007年の第29回セミナーからは隔年開催)。
3月の福島原子力発電所事故は、国際社会にも大きな影響を与えており、その経験と教訓を共有して、より一層安全な原子力発電利用の社会を構築していかなければなりません。
このような状況を踏まえ、双方に関心のあるテーマについて相互利益の視点から取り上げ、日本側発表は福島事故を中心に据え、第31回日韓原子力産業セミナーを開催しました。
セミナー会場のもよう
セミナーの主な概要は以下の通りです。
○開会セッション
ク韓国原産副会長は、自然災害は世界共通の問題とした上で、「原子力は安全への信頼が確保されることが不可欠で、日韓両国の協力体制は非常に重要だ。フクシマを契機に新たな原子力安全レベルが誕生することに期待する」と強調しました。
服部理事長からは、福島事故への韓国からの支援への感謝を述べ、「福島事故の教訓を世界各国で共有し、世界の英知を結集してより一層安全な原子力発電システムを作り上げたい」との強い決意が表明されました。
○講演セッション:福島事故の概要、安全対策、除染計画、PA問題など
1日半の講演セッションでは、福島事故を主要テーマに、「福島事故の概要と教訓」、「福島事故以降の運転・保守問題」、「女川発電所の被害状況と緊急安全対策」、「福島事故の除染計画」、「今後の原子力広報のあり方」等が発表され、活発な議論が交わされました。
東京電力からの事故説明では、韓国側から「ようやくメディアを通じた情報ではなく直接的で詳細な情報提供を受けることができた」との感謝の言葉が寄せられました。そのほか日本側からは「浜岡原子力発電所の対応について」(中部電力)、「ストレステストの概要」(関西電力)、「事故収束に向けた長中期的な技術的課題」(GE日立ニュークリア)が発表されました。
○テクニカルツアー
セミナー翌日の11月9日から3日間のテクニカルツアーを実施し、韓国原子力研究所、韓国原子燃料社、BHI社、韓国国際原子力大学(KEPCO-INGS)、最新の新古里原子力発電所を訪問しました。
BHI社工場での作業 | |
韓国国際原子力大学 |
■ホームページの最新情報
□原産協会HP(一般向け)の更新情報 ( http://www.jaif.or.jp/ )
*国内、海外ニュースは毎週および随時更新しております。
- 原子力安全規制の見直しに関して-「原子力事故再発防止顧問会議」への提出意見(11/15)
- 「日本の原子力発電所(福島事故前後の運転状況)」の更新 (11/4,11/18)
- 福島第一原子力発電所の事故情報(毎週木曜日更新、PDF)
- 福島原子力発電所に関する環境影響・放射線被ばく情報(毎週木曜日更新、PDF)
- 福島地域・支援情報ページ(随時)
- 地元自治体の動きやニュース、地元物産・製品等の情報を掲載中
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会員向けHPの更新情報(
https://www.jaif.or.jp/member/ )
- 【日本の原子力発電所の運転実績】10月分データを掲載(11/7)
- 「原子力新年の集い」の中止について (11/8)
- 【海外原子力情報】10月分を追加 (11/17)
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英文HPの更新情報(
http://www.jaif.or.jp/english/ )
- Atoms in Japan:英文原子力ニュース(AIJ)(随時)
- Earthquake Report(毎日更新)
- Overview of the status of countermeasures at Fukushima Daiich Unit 1-4(毎週木曜日更新、PDF)
- Environmental effect caused by the nuclear power accident at Fukushima Daiichi nuclear power station (毎週木曜日更新、PDF)
[Information]
- JAIF President's Comment on Reviewing Nuclear Safety Regulation (11/17)
- Operating Records of Nuclear Power Plants (随時)
- Japan's NPP Status before and after the earthquake (随時) (最新11/2)
- Developments in Energy and Nuclear Policies after Fukushima Accident in Japan (随時)
- Trend of Public Opinions on Nuclear Energy after Fukushima Accident in Japan (随時) (最新11/4)
[福島事故情報専用ページ] 「
Information on Fukushima Nuclear Accident」
■原産協会役員の最近の主な活動など
[服部理事長]
- 11/6(日)~11/10(木) 第31回日韓原子力産業セミナー他出席(於:ソウル他)
- 11/19(土)~11/24(木) IAB Meeting出席に伴うUAE出張(於:アブダビ他)
- 11/25(金) 原産会員フォーラム(於:ホテルルポール麹町)
- 11/28(月) 第4回原子力技術委員会(於:文科省)
[石塚常務理事]
- 11/25(金) 原産会員フォーラム(於:ホテルルポール麹町)
■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【31】
原子力損害の補完的補償に関する条約(CSC)
今回は、原子力損害の補完的補償に関する条約(CSC)の内容についてQ&A方式でお話します。
Q1.(CSCの規定事項)
原子力損害の補完的補償に関する条約(CSC)にはどのような事項が規定されていますか?
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A1.
- 1997年にIAEAで採択された「原子力損害の補完的補償に関する条約」(Convention on Supplementary Compensation for Nuclear Damage:以下CSC)は、原子力損害の補償に関する国内法による措置を、補償額を拡大する観点から補完し、世界的な責任制度を構築するための条約ですが、未だ発効に至っていません。
- CSCには、用語の定義、目的、適用範囲のほか、資金的保証、負担金の計算方法、資金の割当方法、裁判管轄権、準拠法などが規定されています。
- CSCには、条約そのものと不可分の一部をなす付属書があります。
【A1.の解説】
原子力損害の補完的補償に関する条約(CSC)は、ウィーン条約及びパリ条約並びにこれらの条約と矛盾しない諸原則をもつ国内法による措置(付属書に規定)を、補償額を拡大する観点から補完し、世界的な責任制度を構築するための協定であることが、条約の冒頭に記されています。CSCが規定する具体的な事項は以下の通りです。なお、CSCには以下の事項を規定する条約そのものと不可分の一部をなす付属書があり、これがこの条約の重要な役割を果たしています(A2参照)。
○用語の定義(第1条)
「ウィーン条約」「パリ条約」「特別引出権(SDR)」「原子炉」「施設国」「原子力損害」「回復措置」「防止措置」「原子力事故」「原子力設備容量」「管轄裁判所の法」「合理的な措置」について用語が定義されており、本条約をよく理解するための重要な事項です。
○目的及び適用(第2条)
ウィーン条約、パリ条約、CSC付属書のいずれかに適合する国内法による補償制度を補完することを目的とした条約であることが記されています。
○保証(第3条)
原子力損害の補償資金について、施設国は、3億SDR(約371億円)もしくは3億SDRより高額な額(登録額)を利用可能となるよう確保しなければならないこと、加えて4条に規定される拠出金額を利用可能となるようにしなければならないこと、補償は国籍等により差別することなく公平に分配しなければならないことなどが規定されています。
○負担金の計算(第4条)
締約国の拠出金に関する計算基準は締約国の原子力設備容量と、評価国連分担金割合をもとに計算されます。現在のCSC批准国(アルゼンチン、モロッコ、ルーマニア、米国)に日本と周辺国(中国、韓国)が加わった場合、日本の分担金は44,343,796SDR(約55億円)となります。
○地理的適用範囲(第5条)
締約国による補完基金が提供される原子力損害の範囲について、締約国の領域内で生じた原子力損害、締約国の領域外の海域・海域上空で生じた原子力損害で締約国の国民が被ったもの、などの適用範囲が規定されています。
○原子力損害の通報(第6条)
裁判管轄権を有する締約国は、原子力事故によって生じた損害が3億SDRもしくは登録額を超えるおそれがあり、補完基金の拠出が要求されるべきことが判明したときには、他の締約国に対して当該原子力事故を通報しなければならないことなどが規定されています。
○資金への拠出請求(第7条)
裁判管轄権を有する締約国が補完基金を請求できる条件や、締約国が拠出金の支払いを制約なしに承認しなければならないことなどが規定されています。
○原子力施設の目録書(第8条)
締約国は、条約の批准書、受諾書、承認書等を寄託する際に、すべての原子力施設の完全な目録を寄託者(IAEA事務局長)に対して通知すること、寄託者は目録を維持更新し、少なくとも年1回すべての締約国に配布することなどが規定されています。
○求償権(第9条)
締約国は、原子力施設の運営者が有する求償権の利益を、補完基金に拠出した締約国が享受できるような法律を作らなければならないことなどが規定されています。
○支出及び訴訟手続(第10条)
補償のための資金の支出及び配分に関しては裁判管轄権を有する締約国の制度とするとともに、各締約国は補償を受ける権利の行使及び運営者に対する訴訟手続の参加を確保することなどが規定されています。
○資金の割当(第11条)
越境損害の場合の補完基金の分配は、その50%は施設国内外で被った原子力損害に、50%は施設国の領域外で被った原子力損害に対する賠償のために利用できることが規定されています。
○選択権の行使(第12条)
締約国はウィーン条約やパリ条約に定められている権限を行使できること、CSCは締約国がこれら条約の範囲外で規定や協定を設けることを妨げないことなどが規定されています。
○裁判管轄権(第13条)
原子力事故による原子力損害に関する訴訟の裁判管轄権は、その領域内で原子力事故が発生した締約国の裁判所のみに存することなど、裁判管轄権の決定方法が規定されています。これにより裁判管轄権をもつ締約国は一国に決定されます。また、裁判管轄権を有する裁判所の判決は、各締約国の裁判所の判決と同様に執行できるものとすることなどが規定されています。
○準拠法(第14条)
一つの原子力事故に対しては、ウィーン条約、パリ条約、CSC付属書のうちのいずれか一つが他を排除して適用されることや、準拠法は管轄裁判所の法とすることなどが規定されています。
○国際公法(第15条)
CSCは国際公法のもとに締約国が有する権利及び義務に対して影響を及ぼさないことが規定されています。
○紛争処理(第16条)
CSCの解釈や適用に関して締約間に生じた紛争の解決について規定されています。
○署名 (第17条)
CSCの発効までの間、IAEAにおいて全ての国が条約に署名できることとされています。
○加入 (第18条)
CSCの発効後に加入するには、ウィーン条約若しくはパリ条約の締約国、又は付属書の規定に合致する国内法を有する国がIAEA事務局長に加入書を寄託することなどとされています。
○効力発生 (第20条)
CSCは原子力設備容量40万単位以上を有する5カ国以上の批准国による規定の文書の寄託の日から90日後に発効するなどとされています。
○廃棄 (第21条)
CSC締約国の条約の廃棄は寄託者宛の書面による通告によって行われ、廃棄の効力は通告の受領した1年後とされています。
○停止 (第22条)
ウィーン条約又はパリ条約の締約国のいずれの締約国でもなくなるCSC締約国若しくは付属書の規定に合致しなくなる締約国は、寄託者にその旨及びその日を通告しなければならず、同日にCSC締約国ではなくなったものとなります。
○従前の権利及び義務の継続 (第23条)
廃棄、停止にかかわらず、CSCの規定は廃棄又は停止の前に起こった原子力事故による原子力損害に対して適用されます。
○修正及び改正 (第24条)
寄託者は、締約国との協議の後にCSCの修正又は改正のための会議を招集できること、締約国の1/3以上の要請に基づき修正又は改正の締約国会議を招集すること、が規定されています。
○簡略化手続による改正 (第25条)
締約国の1/3が補償の金額等の改正を希望する場合、締約国の会議の招集、改正の決議、改正の通告、効力等に付き、規定されています。
○寄託者の任務 (第26条)
寄託者は、CSCに係る署名、批准書、受諾書、承認書、加入書の寄託、効力の発生、宣言、通告等につき、締約国、OECD事務局長等に通知することが規定されています。
○正文 (第27条)
正文は、アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語とし、CSCの原本はIAEA事務局長に寄託することとし、寄託者はその認証謄本をすべての国に送付すると規定されています。
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Q2.(CSC付属書の規定事項)
原子力損害の補完的補償に関する条約(CSC)の付属書にはどのような事項が規定されていますか?
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A2.
- CSCには条約の本文の他、付属書(Annex)が置かれており、これは条約と不可分の一部を為すものと規定されています(第2条3項)。
- ウィーン条約、パリ条約のいずれの条約の締約国でもない場合、CSCの締約国は国内法がこのCSC付属書の規定と適合するよう確保しなければなりません。
- 付属書には、用語の定義、運営者の厳格責任や責任集中、責任制限額、損害賠償措置、国家補償、時効、求償権の制限などについて規定されています。
- 米国はウィーン条約、パリ条約のいずれにも加盟していませんが、付属書第2条により国内法が付属書の規定に適合するものとみなされているので、CSCへの加盟が可能となっています。
【A2.の解説】
CSCは、A1で解説したとおり、原子力損害の補償に関する国内法による措置を、補償額を拡大する観点から補完し、世界的な責任制度を構築するための条約です。したがって、ウィーン条約もパリ条約も締結していない国であってもCSCの対象国となります。そこで、ウィーン条約、パリ条約のいずれの条約の締約国でもない場合、CSCの締約国はこの付属書に定められた規定を直接的に適用するか、国内法がCSC付属書の規定と適合するよう確保しなければならないものと定めています(付属書前文)。付属書が規定する具体的な事項は以下の通りです。
○用語の定義(第1条)
「核燃料」「原子力施設」「核物質」「運営者」「放射性生成物又は放射性廃棄物」について用語が定義されています。
○法律の適合(第2条)
一定の条件を満たす国内法はCSC付属書の規定に適合するとみなすことを規定しています。米国は、この規定により国内法(プライス・アンダーソン法)がCSC付属書の規定に適合するとみなされ、加盟が可能となっています。
○運営者責任(第3条)
運営者(我が国の原賠法上の原子力事業者にあたる)が原子力損害について責任を負わなければならない原子力事故の範囲、運営者責任の厳格化、運営者の免責事項、運営者への責任の集中など、運営者の責任範囲が規定されています。
○責任額(第4条)
運営者の責任制限は3億SDRを下回らない額に制限できることなど、責任制限に関する金額が規定されています。
○資金的保証(第5条)
運営者は施設国が定める形で原子力損害賠償のための資金的保証を保持することなど、損害賠償措置について規定されています。少額の限度額を設定した場合や賠償請求額が資金的保証の額を超えた場合、施設国は3億SDRを下回らない運営者の責任限度額まで必要な資金を運営者に提供することにより支払いを確保しなければならないなど、国の保証についても規定されています。
○輸送(第6条)
輸送中の原子力事故について、運営者の責任限度額は施設国の国内法によって定めること、締約国は領域内を通過する核物質の輸送について運営者の責任額を増加させられることなど、輸送に関する責任額が規定されています。
○複数の運営者の責任(第7条)
原子力損害が複数の運営者の責任に係る場合、関係する運営者は、各自連帯して責任を負うことなど、複数の運営者の責任について規定されています。
○国内法における補償(第8条)
賠償額は利息や諸費用を除外して決定されなければならないこと、施設国外への補償は締約国間で自由に交換できる形で提供されなければならないことなど、補償の形態について規定されています。
○消滅時効(第9条)
賠償請求権は事故の日から10年以内に請求されなければ消滅すること、管轄裁判所の法は被害者が責任を負うべき運営者を知った日から3年を下回らない除斥期間を設定することができることなど、時効や除斥期間について規定されています。
○求償権(第10条)
運営者は、書面による契約により明示的に定められているときや、原子力事故が故意により生じた場合にそのような作為又は不作為をした個人に対してするときのみ、求償権を有することが規定されています。
○準拠法(第11条)
原子力事故により生じた原子力損害については、条約の規定に従うことを条件として、管轄権を有する裁判所の法律によって定めることが規定されています。
CSC関連記事は2011年7月号にありますので、ご参照ください。
CSC本文(英文)は
こちら
※円換算は2011年11 月1 日の為替レートによる。
◇ ◇ ◇
○ 原産協会メールマガジン2009年3月号~2010年9月号に掲載されたQ&A方式による原子力損害賠償制度の解説、「シリーズ『あなたに知ってもらいたい原賠制度』」の19回分を取りまとめ、小冊子を作成いたしました。
小冊子の入手をご希望の方は(1)送付先住所 (2)所属・役職(3)氏名(4)電話番号(5)必要部数をEメールで
genbai@jaif.or.jp へ、もしくはFAXで03-6812-7110へお送りください。
シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」のコンテンツは、あなたの声を生かして作ってまいります。原子力損害の賠償についてあなたの疑問や関心をEメールで
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