lights on with nuclear

 [JAIF]原産協会メールマガジン

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原産協会メールマガジン11月号
2012年11月26日発行

Index

■原子力政策推進活動

 □理事長メッセージ「『原子力安全推進協会』設立にあたって」を発表 
 □服部理事長が規制委員会の田中俊一委員長と面談
 □世界原子力大学夏季研修報告会を開催
 □ 「スカーフクラブあおもりサロン」勉強会開催を支援 

■国際協力活動

 □ロシア原子力人材育成機関関係者一行の来日 
 □韓国原子力産業代表団の来訪
 □世界原子力協会の「中国国際原子力シンポジウム」に発表参加

■福島支援クラスターによる活動

 □「富岡町さくらサロン」での放射線勉強会 対話集を作成

■会員との連携活動

 □第4回テーマ別原産会員フォーラム「除染・廃棄物技術協議会の活動について」を開催

■原産協会入会のお知らせ
■ホームページの最新情報
■原産協会役員の最近の主な活動など
■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【43】
■げんさんな人達(原産協会役・職員によるショートエッセイ)

本文

■原子力政策推進活動

□理事長メッセージ「『原子力安全推進協会』設立にあたって」を発表  

 当協会は15日、原子力安全推進協会が設立されたことを受け、理事長メッセージを発表しました。

全文はこちらをご覧ください。
http://www.jaif.or.jp/ja/news/2012/president_column07%28121115%29.pdf


□服部理事長が規制委員会の田中俊一委員長と面談

 当協会の服部拓也理事長は1日、規制委員会の田中俊一委員長と面談し,(1)規制当局と産業界との意見交換の場を設定すること(2)原子力人材育成システム構築にむけ原子力規制委員会も積極的に参画すること(3)福島第一原子力発電所1~4号機廃炉の研究開発を国際プロジェクトで進めることへの理解・支援を行うこと──などの要請を行いました。


その際の議事要旨、資料は以下で公開されています。
【議事要旨】
http://www.nsr.go.jp/disclosure/meeting_operator/data/20121101_03giji.pdf

【資料】
http://www.nsr.go.jp/disclosure/meeting_operator/data/20121101_03siryo.pdf



□世界原子力大学夏季研修報告会を開催

  「2012世界原子力大学夏季研修」は、今夏、英国オックスフォード大学で6週間(7/7~8/18)にわたり実施され、原子力発電所を持つ国、持たない国、あわせて世界31カ国・地域から若手の技術者、研究者を中心に79名が参加。日本人参加者による報告会が10月9日、当協会会議室で行われました(=写真)。

 今回、日本からは、過去最多となる7名(当協会の「向坊隆記念国際人育成事業」による参加費用助成を受けた5名と原子力安全基盤機構(JNES)の独自派遣による2名の計7名)が参加しました。


 今年の夏季研修では、昨年に引き続き「福島第一原子力発電所事故」がテーマに加わりました。この「フクシマ・セッション」では、技術的内容よりも福島県の住民避難や賠償について、福島事故収束に向けたリーダーシップのあり方等の社会的側面に海外参加者の関心が高かったとのことです。

 参加者からは、「原子力業界の世界的リーダーから課題を聞き、また自由に質問できる最高の機会」「ディスカッション、ケーススタディーを通して、課題について理解を深め、また知識の幅を広げることができた」「世界各国からの参加者と交流し人的ネットワークを広げることができた」等の発言がありました。

 参加者は、6週間の国際的環境の研修に刺激を受け、触発され、時にリーダーシップの取り方や英語での議論で自信をなくすこともあったようですが、それらを乗越えて、一回り大きくなった自分たちを実感しているようでした。

 本夏季研修は、原子力分野の国際人育成にとても有益ですので、当協会としては今後も「向坊隆記念国際人育成事業」の中で参加支援を継続します。

 なお、今年の夏季研修には、日本人メンター(指導教官)としてUAEのFANR(Federal Authority for Nuclear Regulation)に勤務する斉藤健彦氏が参加しました。

(2012年世界原子力大学夏季研修日本人参加者)(敬称略)
□原産協会支援事業による参加者
・上原 寛貴  北海道電力(株)泊発電所機械保修課 原子炉主機グループ
・住川   隆  日立GEニュークリア・エナジー(株)原子力計画部 技師
・中瀬 正彦  東京工業大学 原子炉工学研究所 博士後期課程
・平杉   慎  日本エヌ・ユー・エス(株)エネルギー事業支援部門 エネルギー技術ユニット
・八十田洋平 関西電力(株)原子力事業本部プラント・保全技術グループ

□所属機関独自派遣による参加者
・柴   茂樹 (独)原子力安全基盤機構 原子力システム安全部 核特性グループ 研究員
・山田 味佳 (独)原子力安全基盤機構 核燃料廃棄物安全部
            廃棄・廃止措置グループ 主任研究員 


□ 「スカーフクラブあおもりサロン」勉強会開催を支援 

 当協会JAIF地域ネットワークは、10月26日、11月9日の2回にわたり、青森市内に於いて、青森市民グループ 「スカーフクラブあおもりサロン」のメンバーを対象とした勉強会の開催支援を行いました。

 昨年の福島第一原子力発電所事故による放射線に対する不安、また、30年ぶりに小・中・高校の学習指導要領に「放射線の性質と利用にも触れること」との記述が入ったこともあり、今回の勉強会は、“学校では実際にどのような放射線教育が行われているのか”をテーマに、また普段の広報活動に役立てられるような放射線の知識を会得出来るよう、2回シリーズで行いました。第1回目は当協会の広報資料「ガッテン!食品照射」をテキストに、第2回目は「放射線について考えてみよう」(小学生のための放射線副読本)を使って、北海道教育大学 鵜飼光子教授にお話しいただき、放射線について、“参加メンバーと一緒に考えながら勉強する場”として開催されました。

 鵜飼先生からは、「放射線は使いこなせる技術。様々な有効利用が可能。」とのお話しがあり、食品、医療、工業など暮らしの中での様々な活用が紹介されました。また、子どもに「放射線ってなあに?」と聞かれた時、どのように答えたらいいのか一例をご紹介いただきました。

 参加したメンバーからは、「子供たちに放射線のことを知ってもらうためにどのような教え方をしたらよいか少し理解できました。」「幼稚園の先生たちが子供たちに説明する時の話がとても印象深かった。これからの広報活動の参考にしたいです。」等のご意見をいただき、大変好評でした。

勉強会風景


■国際協力活動

□ロシア原子力人材育成機関関係者一行の来日

 ロシア国営原子力企業ロスアトム傘下にある、原子力人材育成機関「中央先進訓練研究所」(Central Institute of Continuing Education &Training:CICE&T)のセレズネフ学長を団長とする、ロシアの原子力人材育成関係者一行が、当協会の招聘により、10月28日~11月3日に来日しました。

 来日者は、団長の他、同副学長(国際協力担当)、原子力発電所の保全を担うアトムエネルゴレモントのトレーニング部長2名、ロスアトム国際ビジネス部マネージャの計5名。一行の来日の目的は、日本の原子力産業の人材育成事業(主に原子力発電所の運転要員の育成事業等)について学ぶことであり、敦賀の原子力発電訓練センター(NTC)、若狭湾エネルギー研究センター、東京電力 柏崎刈羽原子力発電所、BWR運転訓練センター(BTC) 新潟センターを訪問しました。

 各訪問先では事業説明を受けるとともに、施設や、訓練・シミュレータのデモンストレーション風景を視察しました。

 NTCやBTC、若狭湾エネルギー研究所では、海外の研修生の受入等の事例が紹介され、同様の事業に取り組むCICE&Tからは、研修システム、プログラムの内容等に関心が寄せられ、活発な情報・意見交換が行われました。

 CICE&Tは、ロシアの原発職員の運転訓練を担当しており、昨年1年間で1万4千人を訓練しています。CICE&Tでは、原子力発電所の安全運転にはメンテナンスも重要との観点から、メンテナンスの研修訓練も実施しています。また、原子力の海外展開をはかるロシアは、原子力分野における人材育成を重視し、2010年、CICE&Tをベースに「国際原子力人材育成センター」を設立、ベトナム、トルコ、ベラルーシ、エジプト等の原子力新興国の研修生を積極的に受け入れています。新興国での原子力発電所導入にあたっては、言語、文化等の差異による理解の違いを克服することが求められますが、それへの対処法として異文化コミュニケーションを研修にとりいれる試みがなされています。

 セレズネフ学長は、「原子力先進国の役割は、原子力発電所を建設するのみではなく、原子力新興国がそれを安全に健全に運営できるように、牽引する責任を果たしていくことである。同じ志をもち、ベトナムと協力をしている日本とは、協力の余地があるのではないか」との日露間の新たな協力の可能性に大きな期待感を示しました。

 一行は、当協会の服部理事長ほか、日本の原子力人材育成機関関係者と懇談しましたが、原子力を新規に導入する国が増えている中、人材育成に関しても国際的スタンダード(到達すべきレベルや教育訓練の内容等)を設ける必要性について、意見が一致しました。また、インストラクターの確保の難しさも日露共通となっており、制度の改善が急務であろう、との見解も示されました。




若狭湾エネルギー研究センター
における意見交換
若狭湾エネルギー研究センターにおける海外研修生向け講座を見学




東京電力 柏崎刈羽原子力発電所における意見交換、シミュレータ、技能訓練施設の見学


BTCにおける意見交換



□韓国原子力産業代表団の来訪

 日韓原子力産業界の交流の一環として、韓国原子力産業会議(KAIF)の組織したミッション(団長:テ・ソンウンKEPCO KPS社長)が11月7~9日に訪日、7日に日本原燃の六ヶ所村施設を、8日には福島第二原子力発電所を訪問、施設を見学するとともに関係者から説明を聞きました。

 六ヶ所施設では、まず桑原副社長から施設と事業の概要を説明して頂き、次に酒井常務の案内で再処理施設の中央制御室をガラス越しに見学するとともに、再処理プロセスについて説明を受け、熱心な質疑応答が行われました。


 翌8日には、東京電力福島第二原子力発電所を見学しました。まず、小森常務執行役から挨拶を受け、次いで吉沢技術総括部長から、東北地方太平洋沖地震と福島第二原子力発電事故の緊急時対応について説明を受けました。

 韓国側からは、「東電社員が、事故に落胆せず、復旧作業に携わっている姿に感銘した。お聞きした話を、韓国の原子力発電所の安全運転の参考としたい」などの感想が出されました。

 福島第二原子力発電所の増田所長からは、今回の事故が非常に多くの教訓を残したことを指摘、これらをまとめて、韓国など世界と共有・議論できるものにしたいとの意欲を示し、韓国側からも賛同を受けました。また所長からは「福島第二の従業員700人のうち、半数は地元採用者であり、中には地震で親族を亡くした人間もおり、被災者であるにも拘らず、周囲からは一様に加害者扱いされている」旨、紹介があり、一部の参加者の涙を誘いました。

 この後のテクニカルツァーでは、シミュレータによる震度6強(M8)を想定した中央制御室での緊迫した緊急時対応の疑似体験を行なった後、津波被害の跡が生々しい海水熱交換器建屋を始め、格納容器内部に入り圧力容器下部・制御棒駆動装置下の見学も行われました。韓国側からは、「こんな所まで見せてもらえるとは思わなかった」と感嘆の声が聞かれました。



 また、ロールスロイスのジェットエンジンを使った新型電源車も紹介されました。

 代表団一行は9日、原産協会にて服部理事長以下と会談し、今後の日本のエネルギー・原子力政策の動きや日韓協力等について意見交換を行った後、帰国しました。



□世界原子力協会の「中国国際原子力シンポジウム」に発表参加

 当協会は長年、世界原子力協会(WNA)との交流を進めていますが、11月8日および9日に北京で開催されたWNA第3回中国国際原子力シンポジウム(The 3rd China International Nuclear Symposium)に当協会から参加者を派遣し、福島第一原子力発電所事故後のわが国の原子力をめぐる状況について発表を行いました(=写真)。


 同シンポジウムは、2010年から毎年開催されている会議で、当協会とも協力覚書を交わしている中国核能行業協会(CNEA=中国原子力産業協会)や中国原子力学会が共催しています。第3回の今回は約120名が参加しました。

 シンポジウムでの中国原子力産業協会や原子力学会幹部からの発表では、福島第一原子力発電所事故後に行われた国内原子力発電所新規計画や準備工事の審査・承認の暫定停止、中長期開発計画の見直しと安全強化実施の経緯を説明するとともに、直近の動きとして、国務院常務委員会が10月24日に承認した方針として「2015年までは内陸部への立地を凍結し沿岸部の建設計画を進める。採用する炉は第3世代炉に限る」ことが説明されました。また、最近、中国の内モンゴル地域で国内最大級のウラン鉱床が新たに発見されたことが紹介されました。

 初日の全体セッションで、香港の投資会社から参加した講演者は低炭素社会構築の観点から原子力発電の重要性を指摘したほか、フランスの講演者からは中国側との協力を通じて福島事故を教訓とした新型原子炉の最高水準の安全性確保に取り組んでいる状況を説明。また、事故を踏まえて、原子炉の受動的安全性が浮き彫りとなったなどとする発表もありました。わが国からの発表としては、当協会の木下雅仁情報・コミュニケーション部長が「日本の原子力:事故の教訓と今後の展望」と題して、福島事故後の除染や廃炉に向けた措置、エネルギー政策策定の経緯、わが国原子力産業の海外展開をめぐる状況等を紹介しました。
 
 その他、今後の原子力発電所建設におけるサプライチェーンの強化や部材等の品質保証を重視する内容のプレゼンテーションや、種々のメディアツールの活用や社会的信用の高い専門職グループを通じて原子力への理解向上に取り組む韓国の状況も紹介されるなど、多様なテーマでの発表が行われたシンポジウムでした。当協会から、わが国の原子力をめぐる状況を直接海外関係者に発信するよい機会ともなりました。


■福島支援クラスターによる活動

□「富岡町さくらサロン」での放射線勉強会 対話集を作成

 当協会では、避難を余儀なくされている地域団体への支援・協力活動の一貫として、避難生活を送る富岡町住民が立ち上げた自治会(福島市及び県北地区在住富岡町民自治会) の方々を対象とした、放射線に関する勉強会を開催しています。今回、本勉強会にて議論された内容を多くの方々に知っていただくために、自治会との協働で対話集を作成いたしました。

 この勉強会は、放射線の基礎知識を中心に、わかりやすい講義と質疑応答を充実させた形で、ゆっくり確実に理解を深めていただくのが目的です。

 第1回(2012年5月)から第4回(2012年7月)までの勉強会は、主に福島市周辺の借上げ住宅で避難生活を送る富岡町民のために作られた交流スペース「富岡町さくらサロン」(福島市及び県北地区在住富岡町民自治会が管理)で開催され、第5回目(2012年8月)の勉強会では、川内村での除染現場(除染中のお宅や仮置き場)の見学と共に、川内村在住で農業者の秋元 美誉氏との交流会も行いました。


勉強会風景 農業者・秋元氏との交流会風景


「『放射能・放射線に関する勉強会 in 富岡町さくらサロン』対話集」
こちら。   


■会員との連携活動

□第4回テーマ別原産会員フォーラム「除染・廃棄物技術協議会の活動について」を開催

 当協会は11月12日、除染・廃棄物技術協議会から講師を招き、4回目となるテーマ別会員フォーラムを開催しました。

 同協議会は、原子力発電所事故による被災地域の環境回復の実現に向けて、産業界が除染や廃棄物の処理・処分においても主体的役割を果たすことを目的とし、昨年11月に設立されたもので、約100の企業が参加。これまで、除染、廃棄物の処理・処分について分科会を作り、検討を行ってきています。

 講演では、同協議会の活動概要をはじめ、3つの分科会における、除染および廃棄物処理処分に関する様々な課題についての検討結果、成果および今後の課題等について紹介がありました。講演会には約100名の参加をいただき、会員の皆さんの高い関心が伺えました。また、講演会後の交流会には講師の方々も参加され、会員との活発な意見交換が行われました。




「会員フォーラム」講演会の様子


                  
[講演会内容]
1. 除染・廃棄物技術協議会活動概要(大成建設(株)環境本部 技師長 佐藤和郎氏)
2. 除染効果確認のための線量評価法に関する検討について((株)アトックス 企画部長 大塚誠氏)
3. 土壌の発生量抑制方法に関する検討について(鹿島建設(株)環境本部 本部次長 押野嘉雄氏)
4. 可燃性廃棄物処理処分に関する検討について(DOWAエコシステム(株)取締役 ウェステック事業部長 加納睦也氏)


■原産協会入会のお知らせ

・凸版印刷()
・東レ()
・ピルズベリー・ウィンスロップ・ショー・ピットマン外国法事務弁護士事務所

■ホームページの最新情報

□原産協会HP(一般向け)の更新情報 ( http://www.jaif.or.jp/ )

*国内、海外ニュースは毎週および随時更新しております。

・当協会の服部拓也理事長が11月1日、規制委員会の田中俊一委員長と面談 (11/16)
・「原子力人材育成に関する原子力委員会見解案に対する意見」を掲載(11/15)
・理事長メッセージ『「原子力安全推進協会」設立にあたって』を掲載(11/15)
・第5回原産会員フォーラム(全体会合) 開催のご案内 世界エネルギー見通しと日本のエネルギー政策の課題 (11/8)
・米国におけるハリケーン「サンディ」への原子力発電所の対応について(11/2)
・福島第一原子力発電所1~4号機の廃止措置等の状況 (随時)
・福島原子力発電所に関する環境影響・放射線被ばく情報 (随時)
・福島地域・支援情報ページ (随時)
 地元自治体の動きやニュース、地元物産・製品等の情報を掲載中
・「日本の原子力発電所(福島事故前後の運転状況)」を掲載 (随時)

□会員向けHPの更新情報( https://www.jaif.or.jp/member/ )
・【海外原子力情報】2012年9月分、10月分を追加、掲載(11/19)
・「第4回テーマ別原産会員フォーラム」配布資料を掲載(11/14)
・【日本の原子力発電所の運転実績】10月分データを掲載(11/12)

□英文HPの更新情報( http://www.jaif.or.jp/english/ )
・Atoms in Japan:英文原子力ニュース(AIJ) (随時)
・Fukushima & Nuclear News (毎日更新)
・Status of the efforts towards the Decommissioning of Fukushima Daiichi
 Unit 1-4 (随時)
・Environmental effect caused by the nuclear power accident at Fukushima
 Daiichi nuclear power station (随時)

[Information]
* JAIF President's Comment on Abolition of the Council for a New Framework for Nuclear Energy Policy(10/17)
* Stress Test and Restart Status (随時)
* Current Status before and after the earthquake (随時)
* Operating Records of Nuclear Power Plants (随時)
* Developments in Energy and Nuclear Policies after Fukushima Accident
 in Japan (随時)
* Trend of Public Opinions on Nuclear Energy after Fukushima Accident  
in Japan (随時)

[福島事故情報専用ページ] 「Information on Fukushima Nuclear
Accident」 (随時)
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■原産協会役員の最近の主な活動など

[今井会長]
・11/15 平成24年度 第4回理事会
[服部理事長]
・11/9  韓国原子力産業界代表団との会談
・11/12 第4回テーマ別原産会員フォーラム
・11/15 平成24年度 第4回理事会
・11/16  プレスブリーフィング「最近の原子力規制を巡る動向などについて」
・11/18(日)~11/29(木) N-20出席に伴うパリ(フランス)出張、ハイレベルエネルギー年次大会登壇に伴うブラチスラバ(スロバキア)出張     

[佐藤常務理事]
・11/9  韓国原子力産業界代表団との会談
・11/12 第4回テーマ別原産会員フォーラム
・11/15 平成24年度 第4回理事会


■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【43】

スイスの原子力開発事情と原賠制度
 今回は、水力資源が豊富なスイスの原子力開発事情と原賠制度についてQ&A方式でお話します。

Q1.(スイスの原子力開発事情)
スイスの原子力開発はどのような状況ですか?

A1.
・ スイスでは、電力需要の約6割が水力、約4割が原子力で賄われています。
・ 連邦政府の主導により早くから原子力開発が進められており、現在は5基340.5万kWの原子力発電所が運転されています。
・ チェルノブイリ原発事故(1986年)などを受けて国民投票により原子力発電所の新規建設が1990年から10年間凍結されていましたが、2003年に実施された国民投票では凍結延長が否決され、近年は建て替えに向けて動き出していました。
・ しかし福島原発事故を受けて連邦政府は既設炉の段階的閉鎖と建て替えなしの方針を打ち出したため、2034年には全ての原子炉が閉鎖されることになります。


【A1.の解説】
 スイスでは、アルプス山系の豊富な水力資源を利用して、発電電力量の約6割を水力が占め、また、約4割を原子力が担っており、この両者により電力需要のほとんどが賄われていると言えます。これは、スイスが化石燃料に恵まれない内陸国であることによるものであり、事実、一次エネルギーの約6割は輸入に頼っているのが実情です。

 そこで、スイスでは連邦政府の主導により早くから原子力開発が進められてきました。原子力の平和利用を目的とした法整備は1946年から進められ、1959年には原子力法が制定されて、1962年に実験炉の建設が始まっています。
現在はベツナウ(PWR 38万kW 2基)、ミューレベルク(BWR 39万kW)、ゲスゲン(PWR 103.5万kW)、ライプシュタット(BWR 122万kW)の合計5基340.5万kWの原子力発電所が運転されています。

 スイスにおいて原子力は水力と並んで重要なエネルギー源と位置づけられており、1970年代後半から1980年代前半にかけて国民の大半の支持を得ていましたが、TMI原発事故(1979年)やチェルノブイリ原発事故(1986年)などの影響により反原発の動きが高まりました。

 スイスでは直接民主主義が採用されていることから、原子力政策などの重要事項は国民投票によって決定されます。そこで、1990年には「原子力モラトリアム」を求める国民投票が可決され、2000年までの10年間、原子力発電所の新規建設が凍結されていました。
その後、2020年以降に電力需給の逼迫が予想されるなか2003年に実施された国民投票では、新規建設の凍結延長や脱原子力を求める発議が反対多数で否決され、これを受けて連邦政府は2005年に原子力法の改正により新規建設の凍結を解除し、電気事業者も建て替え計画に向けて動き出しました。

 しかし福島原発事故(2011年)の発生により、2011年5月にスイス連邦政府が既設炉の段階的閉鎖と建て替えなしの方針を打ち出し、両院はこれを可決したため、スイスの原子炉は2019年から順次閉鎖され2034年には全ての原子炉が閉鎖されることになります。


Q2. (スイスの原賠制度)
スイスの原賠制度はどのようになっていますか?
 

A2.
・ スイスの原賠制度は、1983年3月18日に制定された「原子力損害の第三者責任に関する法律(LRCN)」に規定されており、無過失責任、責任集中、賠償措置の強制、国の補完的救済等、原賠制度の基本的原則が規定されています。
・賠償措置として10億フラン、更に利息・争訟費用1億フランの合計11億フランを保険契約する義務が規定されていますが、運転者の責任は無制限です。
・保険で補償されない場合は連邦政府が上記の11億フランまでを補償します。また、大事故により運転者、民間保険会社、連邦政府が有する資金力が、全賠償請求を上回る場合、連邦議会が政令により賠償金支払い制度を作って対応します。


【A2.の解説】
 スイスの原賠制度は当初、1959年12月23日に制定された連邦原子力法により賠償措置に関する事項が規定されていましたが、現在は原賠制度を規定する独立した法律として1983年3月18日に新たに制定された「原子力損害の第三者責任に関する法律(LRCN)」とその関連法令に規定されています。

 スイスの原賠制度は運転者の責任を無制限と明記している点が特徴です。原子力施設運転者は無過失・無限責任を負い(3条1項)、原子力施設運転者以外は責任を負わない責任集中が規定されています(3条6項)。運転者の免責事項は被害者の故意、被害者の重大な過失によって生じた原子力損害のみです(5条)。

 また、賠償措置として最低10億フラン、更に利息と争訟費用のために最低1億フランの民間保険に加入が義務づけられています(11条1項、2項及び施行令)。異常な自然現象、戦争、テロ行為により発生した原子力損害、損害発生から10年間請求されなかった場合、核物質の喪失・盗難・投棄・所有の終了から20年間請求されなかった場合については、民間保険では填補されないため(11条3項及び施行令)、連邦政府が11億フラン(うち利息・争訟費用が1億フラン)まで補償します(12条)。この政府補償や後日判明した損害(13条)のために運転者は連邦政府に負担金を支払うことになっており(14条)、運転者が連邦政府に支払った負担金とその利息によって連邦政府は原子力損害基金を設立します(15条)。なお、特例として、連邦政府は一般財源をもって、外国で発生した原子力事故などの被害者への補償等が行われます(16条)。

 運転者、民間保険会社、連邦政府の有する資金力が、大規模災害により発生したすべての損害請求に対して十分でないと予想される場合、連邦議会は政令により制度を作って適切に配分することとしています(29条)。

 また、国外で発生した原子力損害がスイスの運転者の責任であり、当該国がスイスと同等の賠償制度を有している場合には、相互主義の観点からスイスの原賠法に基づく賠償が行われるとしています(34条)。

 スイスはパリ条約とブラッセル補足条約に署名していますが、批准はしていません。また、2009年3月に改正パリ条約と改正ブラッセル補足条約を批准しましたが、これらの条約が発効するまではパリ条約とブラッセル補足条約の批准は無効としています。


より詳細な解説はこちら


◇    ◇


○ 原産協会メールマガジン2009年3月号~2011年10月号に掲載されたQ&A方式による原子力損害賠償制度の解説、「シリーズ『あなたに知ってもらいたい原賠制度』」を冊子にまとめました。

 冊子「あなたに知ってもらいたい原賠制度2011年版」入手をご希望の方は、有料[当協会会員1000円、非会員2000円(消費税・送料込み)]にて頒布しておりますので、(1)必要部数、(2)送付先、(3)請求書宛名、(4)ご連絡先をEメールで genbai@jaif.or.jp へ、もしくはFAXで03-6812-7110へお送りください。

 シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」のコンテンツは、あなたの声を生かして作ってまいります。原子力損害の賠償についてあなたの疑問や関心をEメールで genbai@jaif.or.jp へお寄せ下さい。
                    

 
■げんさんな人達(原産協会役・職員によるショートエッセイ)

          

アヒル君とミレーの「落穂拾い」の出会い

 桂歌丸師匠の落語ネタ風に言うと美術の成績がアヒル(2点)の私とミレーの「落穂拾い」の出会いは、中学三年生の時で、夏休みの宿題の模写が最初でした。当時の私は、マジックハンドのような模写機を所有しており、それを利用したところ、日頃の私からは想像できないくらい出来栄えがよかったので、担任に問い詰められて真っ青になったのを覚えています。その時には、正直に認めたということで大目玉はありませんでした。

 それから20数年後、フランスのオルセー美術館で偶然にも本物と対面しました。そこに展示されていることすら知らなかったので、なんとも言えぬ感動と昔の友人に会ったような親しみを感じたのを覚えています。

 その後、最近に至るまで何度も対面するうちに、描かれている当時のフランスの社会事情や労働者の置かれていた状況に大変興味をそそられて、美術書を読み漁りました。

 絵の中には、3人の小作人の女性が描かれていますが、夕方のある時間帯は貧しい農民に対する施しとして落穂を拾うことが許されていたそうです。自分の家族のために作業で疲れた重い腰を折り曲げて落穂を拾っている画面を通して、小作人たちの労働の過酷さと大地と共に生きる人間としての誇りと逞しさを描き出しているのが感じられます。また、この絵の表題は、旧約聖書のルツ記によるもので、同テーマで他の画家の作品もありますが、ミレーの絵画が一番であると思います。

 このように絵の背景を知れば知るほど、見れば見るほど絵に対する愛着を感じてきます。以前は、絵画を鑑賞するだけでしたが、その背景を調べたり想像したりする謎解きのような楽しさを感じさせてくれた心に残る作品の一つです。
 この背景を知った喜びは、探究心を加速し、ミレーの他の画家への影響にも興味が出てきました。


 驚くことにもっとも影響を与えたのではないかと言われているのがゴッホです。あの「ひまわり」や「オヴェールの教会」等があまりにも有名ですが、初期の時代においてはミレーの絵を模写し、更には農民の生活を描いた「ジャガイモを食べる家族たち」などは出色の出来であると思います。大画家が大画家に学ぶ姿を想像しただけで興奮します。

 このように画家の生い立ち、画風の変遷、絵画に隠された背景とその謎解きへの興味は果てしなく広がってきます。
 例えば、モデリング(立体感の表現)の観点からミレーを見ると、彼もシャルダンやフェルメールに影響を受けているとの学説も興味深いです。

 画家やその作品への興味は、ミレーから始まり、ジェリコー、クールベ、ドラクロアへと拡がり、モネ、ルノワール、シスレーら印象派の作品にやすらぎと身近さを感じ、ダビンチの「最後の晩餐」の科学的知識に裏打ちされた構図の見事さ、人間業とは思えないミケランジェロの「ピエタ(彫刻)」のキリストを抱きながら悲しみに暮れるマリアの繊細で巧みな表現力、ラファエロの「小椅子の聖母子」のやさしさ溢れる女性美の表現は、圧巻の一言です。想像しただけで鳥肌が立ち、クラクラする様なめまいと陶酔感に誘われてしまいます。

 このように西洋絵画や彫刻への興味は果てしないですが、一方で、日本にも俳句をはじめとしたすばらしい文化があると思います。高浜虚子の俳句理論である「客観写生」という概念は、絵画のように直接、目の前の情景を描いているわけではありませんが、17文字の表現により、それぞれの読者の心の中に情景を描かせるという、すばらしい芸術文化があることを思うと日本のすばらしさも世界に誇れるものだと思います。

 いくつになってもピヨピヨとあちこち好奇心を示すアヒル君ですが、アヒルはアヒル、何年たってもアヒル君を卒業できない私です。

 最後にクイズです。
 ダビンチ、ミケランジェロの作品にビーナスや三美神のような女性の裸体の絵画がないのはなぜでしょうか?(KAZU)




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