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原産協会メールマガジン12月号 2012年12月26日発行 |
Index
□理事長コメント「新政権に期待する- 国民の信頼回復を-」を発表
□高レベル放射性廃棄物の地層処分について -大学における対話集会の開催2-
□ 「JAIF地域ネットワーク勉強会・第5回意見交換会」を開催
□ITER/BA対応検討会を開催
□第19回日仏原子力専門家会合(N-20)を開催
□スロバキアエネルギー年次大会において服部理事長が講演
本文
□理事長コメント「新政権に期待する- 国民の信頼回復を-」を発表
○当協会は17日、今回の衆院選の結果を受け、理事長コメントを発表しました。
全文はこちらをご覧ください。
http://www.jaif.or.jp/ja/news/2012/president_column08%28121217%29.pdf
□ 高レベル放射性廃棄物の地層処分について -大学における対話集会の開催2-
当協会は、東京電力福島第一原子力発電所の事故により大きく損なわれた原子力に対する社会からの信頼回復の一助とするため、将来を担う若い世代である大学生を中心に、事故後のエネルギー政策および高レベル放射性廃棄物の処分問題について意見交換する活動を行っています。今年の10月から12月までの3か月間では、福井県、東京都、大阪府、神奈川県、愛知県、石川県、宮城県の1都1府5県にある7つの大学において、『一緒に考えませんか。原子力のこと!廃棄物のこと!』と題した意見交換会(対話集会)を8回実施しました。
対話集会では、①「福島事故後のエネルギー政策」、②「今後、原子力発電をどのように進めるかに関係なく解決しなければならない課題、高レベル放射性廃棄物の地層処分」、についての情報を提供し、その後、学生さんと質疑応答・意見交換を行う活動を展開しています。開催にあたっては、当協会の高レベル放射性廃棄物処分問題に関するシンポジウムや理解活動など、これまで原産協会と交流のあった先生方のご協力をいただきながら、大学の授業枠において実施しています。10月以降に実施した大学7校での対話集会の概要は下記のとおりです。
2012年10月1日、福井大学(福井市)での対話集会 福井大学 工学部 建築建設工学科の学部学生および大学院生の約30名の学生さんと意見交換しました。 |
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2012年10月10日、早稲田大学(新宿区)での対話集会 早稲田大学 理工学術院において“原子力理工概論”を履修している約50名の学生さんと意見交換しました。 |
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2012年10月15日および22日、関西大学(高槻市)での対話集会 関西大学 社会安全研究科・社会安全学部の約140名の学生さんと意見交換しました。 |
2012年10月25日、東海大学(平塚市)での対話集会 東海大学 工学部 原子力工学科の約100名の学生さん・先生方と意見交換しました。 |
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2012年11月5日、中部大学(春日井市)での対話集会 中部大学において“地域と防災”を履修している約30名の学生さんと意見交換しました。 |
2012年11月26日、金沢工業大学(野々市市)での対話集会 金沢工業大学 工学部 電気電子工学科および“電気エネルギー発生工学”を履修している約400名の学生さんと意見交換しました。 |
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2012年11月299日、東北大学(仙台市)での対話集会 東北大学において一般教養科目を履修している約50名の学生さんと意見交換しました。 |
対話集会(意見交換)で学生さんから出た主な質問・意見について以下に紹介いたします。
<福島第一原子力発電所の事故について>
・ 説明の中で、福島事故に関して、原子力発電には改良する余地があるから、今後も原子力を推進することができると言われていたが、本当にあの事故は防げることができたのか教えてほしい。
・ 原子力発電に関しての質問であるが、福島での発電所が爆発した事故の様子をテレビで見たが、原子力関係者があの映像を見たときに、どう思ったのか教えてほしい。
・ 福島の原子力発電所が水蒸気爆発したが、最新鋭の発電所では同じようなことが起こり得るのか。
・ 原子力発電は電力の安定供給に必要であると思っているが、福島での事故について、今後は安全強化の対策が必要になると思うが、具体的にはどう進んでいるのか知りたい。
<国のエネルギー政策について>
・ 今後、20~30年後のエネルギーについて議論するにあたり、高速増殖炉などが運用されれば別だが、今の原子力エネルギーを国産エネルギーであるということに違和感を持つ。国産エネルギーとは、自国内で賄えるエネルギーと考えるのであるが、そうすると太陽光や風力、石炭のエネルギーというイメージを持つ。原子力エネルギーを今の時点で国産エネルギーと見なすのは如何なものか。
・ 日本の現状で、原子力エネルギーの燃料の備蓄はどのくらいあるのか教えてほしい。
・ エネルギー・環境会議で出されたゼロシナリオなどは、2030年を目標としているが、何故、もっと短い5年後、10年後としないのか。ここで、具体的な数字を出していけばよいと考えている。スケジュールは決まっているのか。
・ 今後20~30年のエネルギーを国民から意見を伺う時に、もっと20代、30代の意見を尊重した方がよいのではと思う。
・ 国はなぜこれまで原子力発電を推進して来たのか?
・ 原子力に依存しない社会というが、グリーンエネルギー開発のメドはどのようなものか?
・ 原子力発電所は、今回のような事故が起きるとその影響は広範囲となり、修復には大きな費用がかかるが、それでも原子力発電はコストが安いと言えるのか?
・ 原子力発電の効率が、さらに高くなる見通しはあるか?
・ 原子力発電は、再生可能エネルギーと比べると、1日を通して安定に供給できることがメリットと考えるが、それ以外のメリットは何か?
・ 原子力発電を将来ゼロにする中で、何で再処理をやるのか?
・ 原子力エネルギーと他のエネルギーの比較の議論では、火力発電から出る二酸化炭素量のデータを廃棄物総量として使ってはどうか?
・ 革新的エネルギー・環境戦略報告書が閣議決定されず、参考扱いとされたのはなぜか?
・ エネルギー源の比率で、原子力の比率を下げ、再生可能エネルギーの比率を上げていった時に、2030年に原子力ゼロというのは本当に可能なのか。
・ 風力発電に関して、海上での設備は台風や津波などが来ても大丈夫なのか。
・ 日本のエネルギー自給率が4%ということだが、エネルギーが海外から輸入されない場合、日本はどうなるのか。
・ 事故後も政府は原子力発電所の輸出の活動を行っているが、日本において原子力発電所をすべて止めた場合、輸出は継続できるのか。
・ プラグイン・ハイブリッドの自動車を普及させるとしたならば、例えば充電器の普及があるが、2020年までに普及させるためには、何が課題となっているのか教えてほしい。
・ 化石燃料で発電する場合と、ウラン燃料を用いて原子力発電を行う場合の発電コストを比べると、原子力発電の方が、事故処理を行うのにコストがかかるので、火力発電より高いと思うが、本当のところはどうなのか。
・ ゼロシナリオや15シナリオでは、火力発電を進めていくとのことであるが、将来、燃料である石油や天然ガスが無くなったらどうするのか、何か対策は行われているのか知りたい。
・ ゼロシナリオや15シナリオでは、原子力発電が減った分、再生エネルギーや火力で補おうとしているが、再生可能エネルギーは出力が不安定であり、バックアップの電源も必要となってくると思うが。
・ 化石燃料の石油や石炭、ウラン燃料などはいずれ無くなってしまうが、未来のエネルギーについて、何か考え出されていることはあるのか。
・ ゼロシナリオでも15シナリオでも、今必要な発電量を考えなければならず、温室効果ガスの排出量は、京都議定書の1990年の基準と比べても現実、6%も増えている。省エネを実施したのにもかかわらず、温室効果ガスの排出は増えているので、何%削減できたなどの話を言うこと自体、如何なものかと思うが。
・ 今回の説明では、中立の立場において説明がなされたと思うが、安全性や経済的にいろいろな判断をすると、今後は原子力を減らすべきなのか、それとも利用していくべきなのかについて、先生はどのように思われるのか。
・ 現在、原子力発電所近傍の活断層の評価がなされているが、大飯原発の調査結果では、大学の先生の評価が分かれている。このように、評価が分かれた場合、どのような結論が出されるのか。
<高レベル放射性廃棄物の処分問題について>
・ 安全に関する説明は、たくさんの方が行っているが、危険なことも一般の方は知りたがっている。地層処分について、安全とは逆の危ない状況などについての説明が聞きたい。
・ 地層処分の閉じ込め能力について、ガラス固化体が壊れたらどうなるのか。
・ 地層処分を行う費用はどの位かかるのか。
・ 処分場建設の費用には、完成後の管理費用も含まれるのか。
・ 諸外国、とくにフィンランド、スウエーデン、フランスでは日本よりも先行して処分事業が進められているが、これらの国では処分完了後も、廃棄物を再度、取り出せると聞いているが、日本では同じようなことを考えているのか。
・ 国内の処分場の候補地に関しては、処分に適しているところ、適していないところはわかっているのか。わかっているならば、処分に適しているところからアプローチする方がよいと思うが、何故、そうなっていないのか。
・ 日本学術会議での報告書の中に、不安材料として活断層や地震、火山などが挙げられているが、原子力事故以降、そもそも日本での原子力発電所の建設は正しかったのだろうか。ヨーロッパのような安定した地層がある地域と日本は状況が違うのでは。日本での地層処分には漠然とした不安がある中で、処分場を受け入れることがなかなか難しくなってしまうのではないかと思う。
・ 地層処分に関する研究開発を行っている場所や機関などについての情報を紹介してほしい。
・ スライド資料で示されたガラス固化体の発熱量や放射線量のグラフは、ガラス固化体何本分に相当するのか。
・ 高レベル放射性廃棄物の最終処分において、NUMOの展望が見えていない中、どのように合意形成を進めていくのか。また、海外はどのように合意形成していったのかについて話を聞きたい。
・ 今試験を行っている幌延や瑞浪は、最終処分場になる可能性があるのか。教えてほしい。
・ 処分場が完成して地層処分した後に、断層や火山などが見つかった場合はどうするのか知りたい。
・ 学術会議から原子力委員会への提言があったが、私は個人的にガラス固化体からの放射線を何かのエネルギーに使用できないものかと考えている。これほどリッチなエネルギーが出ているとの認識で、1個1個を適切な大きさにして、完全に管理した状態でエネルギー源と見なして、われわれが使えるシステムを考えることはいけないことなのか、意見を伺いたい。今の法律上に問題があることはわかるが、廃棄物としてではなく、再利用というきれいなストーリーにしては如何か。
・ 高レベル放射性廃棄物処分は、まだ日本では実施していないのか。また、原子燃料は濃縮して燃料として使っているが、処分する場合は、逆に希釈することは検討されたことはあるのか。
・ 地層処分場は主にトンネル工事だと思うが、処分場を建設する費用を含めても、原子力発電は火力発電よりもコストは安くなるのか。
・ 処分問題では、住民の安全に関する合意形成はどうしていくつもりなのか。安全は本当に納得されているのか。推進側が安全と言っても、住民は反対と言うが、こんな中での合意形成はどうしていくのか。
・ 南海トラフでの大きな地震が想定されているが、大丈夫なのか。
・ 3.11が発生してからは、原子力発電が安全・大丈夫と言われても、津波が来れば想定外の被害が発生するのではと考えてしまう。安全対策がなされているとの前提はわかっていても、もし、高レベル放射性廃棄物の処分で、何か失敗した時には、何らかの対策がとられているのでしょうか。
・ 高レベル放射性廃棄物の地層処分では、地層に閉じ込められたガラス固化体から放射性物質が漏れ出し、地上が汚染されることはないのか。
・ 平成19年以降、高レベル放射性廃棄物の処分場の誘致に関わる動きはあるのか?
・ 高レベル放射性廃棄物の処分場については、この土地に埋めたら大丈夫というような議論が、まず先にあるべきと思うのだが、そのような議論はあるか?
・ 現状、ガラス固化体は1,700本あるとのことだが、貯蔵されている使用済燃料も含めるとトータルどの程度になるのか?
・ 原子力への取り組みが大きく変った中で、地層処分施設はいつ頃作ることになるのか?
・ 埋設後、処分場はどのようになるのか?
・ 日本学術会議が提案する暫定保管は、1ヵ所に集めて保管するのか?
・ 直接処分についての研究開発は着手されているのか?
・ 高レベル放射性廃棄物処分場の誘致について地元の理解を得るのが難しい現状は分ったが、理解を得るため、今後どのようなことを考えているのか?
・ 高レベル放射性廃棄物処分の実施において、日本は海外に比べ10年遅れたというが、それはなぜか?
・ 廃棄物の話を聞くのは初めてである。現在、高レベル放射性廃棄物はどのように、どれだけ保管されているのか。
・ 高レベル放射性廃棄物を地下の処分場に運ぶ際は、どのようにして行うのか。
・ 放射線は危険だということを聞くが、強いレベルの放射線を浴びた場合、人体にはどのような症状が出るのだろうか。
・ 地層処分について、フィンランドの例が示されたが、フィンランドは割りと安定した地盤と思う。日本の場合は地震や断層も多く、福井県の原子力発電所の近傍にも活断層の存在が指摘されているニュースを見たが、日本で処分を行う場合、地面に埋めて安心できる場所は本当にあるのか知りたい。
・ 現在、高レベル放射性廃棄物は地層処分する方法となっているが、宇宙処分や海洋投棄など他の方法はあるのか。
・ 廃棄物問題では処分が必要との説明であったが、処分ができないならば、原子力発電所を無くすという考えが必要になってくる。何故、処分は未だ実施されていないのに、原子力発電所は無くならないのか。
・ 六ケ所村などで行われている使用済燃料の貯蔵や廃棄物処理の方法については、今ではその技術や考え方が一般の方にも浸透してきているが、ガラス固化体を技術開発していた頃には、それを積極的にエネルギー源として使えるようにしていこうという発想があってもよいと思うが、実際、そのような検討はなされたのか。
・ 高レベル放射性廃棄物の宇宙処分について、打ち上げ費用が今の何分の1になったら現実的になるのか。
・ 高レベル放射性廃棄物の処分候補地がまだ決まっていないとの説明であったが、今後、最終処分候補地の確保に向けて、どのような取り組みを考えているのか。
・ ガラス固化体を保管している六ケ所の貯蔵庫について、津波や地震などで施設が破壊され、ガラス固化体が破損しないかどうかの心配はあるが、福島事故はどのような評価がなされているのか。
・ 地層処分において、深さはどのように評価されて決まっているのか、もう少し詳しく知りたい。
・ 高レベル放射性廃棄物を海溝に処分する方法について、議論はなされなかったのか。
・ 高レベル放射性廃棄物処分場が断層の影響を受けた場合の評価について、JAEAの評価の説明があったが、断層が直撃する場合はどのくらいの影響があるのか教えてほしい。
・ これまでいろいろな自治体から処分場誘致をめぐる動きがあったが、ことごとく断念されている。このような状態が続き、場所が決まらない場合は、どうするのか。
・ 説明の中で、フィンランドやフランスでは地層処分地が決定したとのことであるが、海外で処分地が決定した背景は何だったのか、日本でも参考にできることはあるのか知りたい。
□ 「JAIF地域ネットワーク勉強会・第5回意見交換会」を開催
当協会JAIF地域ネットワークは、10日、11日(火)の2日間、福井県敦賀市および美浜町にて「JAIF地域ネットワーク勉強会・第5回意見交換会」を開催しました。(=写真下)
JAIF地域ネットワークは2008年6月に発足し、メンバー相互の情報交換や交流を通じて正確な情報の共有を図り、意見を交換することによって社会の原子力に対する理解促進を目指す活動を行っています。(メンバー構成はおもに教育関係者、消費者団体関係者、原子力推進団体関係者など、現在、個人62名、および7団体がメンバーとして参加しています。)
勉強会・意見交換会初日は、敦賀市にある福井大学附属国際原子力工学研究所にて、「最近のエネルギーについて」「原子力人材育成への取組みについて」をテーマに、同研究所 山野 直樹特命教授(原子力防災・危機管理部門 および 国際交流・プロジェクト推進部門)にご講演いただいた後、参加メンバーが小グループに分かれて、グループことに違うテーマで意見交換を行いました。また、二日目は美浜町へ移動し、美浜町民の方々を交えた意見交換会を開催しました。(参加者:10日:26名、11日:34名)
敦賀での意見交換会 | 美浜での意見交換会 |
2日間の意見交換会のテーマは、「原子力の正確な知識をどのように伝えるべきか」「立地地域から消費地に伝えたいこと」「福島第一原子力発電所事故から見えてきたこと」など、事前に参加メンバーより募集しました。
各グループからは、「立地地域から声を発していく重要性」「“推進と反対”という二項対立ではなく共通する思いを見出していくべき」「「これからは世界の中の日本という捉え方をして考えていきたい」など様々な意見が出されました。
参加メンバーからは、「各地域のメンバーとの意見交換は大変参考になり良かった」「山野先生の講義はわかりやすかった」「シェールガスや燃料電池等、知りたいことを学ぶことができた」「地元だけの活動だと周りが見えていない状態になりがちだが今回のような意見交換は視野が広がり考えも広がった」等ご意見をいただきました。
□ITER/BA対応検討会を開催
当協会は、核融合エネルギーフォーラムが設置した「ITER/BA技術推進委員会」に対する産業界の対応を主な目的として種々の問題に対応するための「ITER/BA対応検討会」を4日、開催しました。
検討会では、(1)核融合エネルギーフォーラムが開催したITER/BA技術推進委員会、ITER科学技術検討評価WGの状況報告として、ITER理事会(第10回)、科学技術諮問委員会(STAC)における検討状況や、BA活動の概況についての報告、(2)文部科学省が開催した核融合研究作業部会の状況報告として、報告書叩き台の記載事項(ITERの次の段階である原型炉に向けた課題、必要な取り組みと体制)の報告、(3)ITER/BA成果報告会(11/21(水)開催)の結果報告があり、産業界として技術を保つための方策などについて意見交換が行われました。
なお、同検討会の実施後、ITER/BA対応検討会メンバーによる懇親会が実施されました。
当協会は、11月19、20日の2日間、パリ(フランス)にて「第19回日仏原子力専門家会合(N-20)」を開催しました。
N-20会合は、日仏両国の原子力関係者が、原子力開発計画、その背景となる基本方針、また当面する諸問題について意見や情報を交換することにより、双方の相互理解と協力を促進し、ひいては世界の原子力平和利用開発の円滑な推進に寄与することを目的として、1991年以来、ほぼ年1回のペースで、日本とフランスで交互に開催しているものです。
第19回となる今回の会合では、フランスからはベルナール・ビゴ原子力・代替エネルギー庁(CEA)長官、日本からは服部拓也原産協会理事長をはじめとする約25名が参加し、福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえた安全対策や両国のエネルギー政策について、率直な議論を行いました。
N-20会合は非公開ですが、議論の成果を共同声明にまとめ、以下の点について協力していくことを確認しました。
○ 日仏は、利用可能な最善の技術と最高級の安全レベルを有する原子炉を通じて世界の原子力開発に関与するとともに、持続可能な原子力開発の一環として閉じた燃料サイクルを推進する意思があることで一致。
○ 福島事故の教訓を踏まえて強化された安全基盤がしっかりと確立され、日本の原子力発電所の再稼動、および仏のエネルギーミックスの主要な柱としての原子力発電の継続の前提になっていることを確認。
○ 日本は、仏と協力して最高水準の安全基準を国際的に推進するために福島事故から得られた知見を活用する重要性を強調。
○ 燃料サイクルにおいて、日仏協力の長い歴史は貴重な財産であり、将来さらに継続していくべきであるということで一致。
共同声明はこちら。
当協会の服部理事長は11月26、27日、ブラチスラバ(スロバキア)のスロバキア外務省会議場にて開催された「スロバキアエネルギー年次大会」にて講演しました。
スロバキアエネルギー年次大会は、スロバキア外交政策協会が主催し、EUとスロバキアのエネルギー政策へのより良いソリューションを提供するため、2007年から毎年開催しており、今回が第6回の大会です。
今回のテーマは、「EU共通のエネルギー政策とスロバキアのエネルギー安全保障」として、2011年12月に策定されたEUの「エネルギーロードマップ2050」がスロバキアのエネルギーと経済に与える影響、南北エネルギー回廊を中心とした中欧における天然ガス供給のインフラネットワークの進展、中欧における電力および天然ガス市場の自由化、EUのエネルギー効率指令の達成状況と熱供給のためのバイオガスとバイオマスを中心とした再生可能エネルギーの見通し、日本の福島事故後のEU諸国における原子力発電の行方等が議論されました。
服部理事長は、第5パネル「岐路に立つ原子力」において、日本における福島第一原子力発電所事故の教訓とエネルギー政策の状況について講演しました。質疑応答では、会場より服部理事長への質問が集中し、日本の今後のエネルギー政策の行方について、スロバキアの高い関心が伺えました。
当協会は6日、原産会員フォーラム・全体会合を東京・如水会館で開催しました(=写真)。
講演会では、日本エネルギー経済研究所特別顧問で前国際原子力機関(IEA)事務局長の田中伸男氏が、「ポスト福島のエネルギー安全保障戦略-2012年版IEA世界エネルギー見通しを踏まえて」と題し、IEAのWorld
Energy Outlook 2012に基づいた講演を行いました。
田中氏は、新興国の動向が世界のエネルギー市場を左右する。中国、インド、中東の生活水準に支えられ、世界のエネルギー需要は2035年までに1/3以上増加すると説明しました。さらに、国際的エネルギー安全保障の将来という点で、IEAは1974年の第一次石油危機を契機として設立されたが、今後は中国、インドの取り込みが課題だと指摘しました。
また、福島第一原子力発電所事故の教訓として、①国際的に共有すべき原則的教訓、②安全性を確立する措置、③電力供給の安定性確立、④それでも災害が起こってしまってからの回復措置について指摘し、重要なことはこれら教訓を世界と共有することにより、世界の原子力発電がより安全となることだと強調しました。
最後に21世紀のエネルギー安全保障は、短期的危機対応とともに持続可能な電力供給のための多様な電源の確保であると指摘しました。
会場の様子 |
当協会の年末年始の休業期間を下記の通りとさせていただきます。
【休 業 期 間】 平成24年12月28日(金)~平成25年1月6日(日)
【業務開始日】 平成25年1月7日(月)
□原産協会HP(一般向け)の更新情報 ( http://www.jaif.or.jp/ )
*国内、海外ニュースは毎週および随時更新しております。
・「原産協会事務局年末年始休業のお知らせ」ならびに「原産新聞からのお知らせ」(12/17)
・理事長コメント「新政権に期待する ―国民の信頼回復を― 」を掲載(12/17)
・福島第一原子力発電所1~4号機の廃止措置等の状況 (随時)
・福島原子力発電所に関する環境影響・放射線被ばく情報 (随時)
・福島地域・支援情報ページ (随時)
地元自治体の動きやニュース、地元物産・製品等の情報を掲載中
・「日本の原子力発電所(福島事故前後の運転状況)」を掲載 (随時)
□会員向けHPの更新情報( https://www.jaif.or.jp/member/ )
・「新年会員交流会」開催のご案内(12/11)
・「第5回原産会員フォーラム(全体会合)」配布資料を掲載(12/10)
・【日本の原子力発電所の運転実績】11月分データを掲載(12/7)
・米国原子力エネルギー協会(NEI)の報告書「原子力輸出管理」を掲載(11/30)
□英文HPの更新情報( http://www.jaif.or.jp/english/ )
・Atoms in Japan:英文原子力ニュース(AIJ) (随時)
・Fukushima & Nuclear News (毎日更新)
・Status of the efforts towards the Decommissioning of Fukushima Daiichi
Unit 1-4 (随時)
・Environmental effect caused by the nuclear power accident at Fukushima
Daiichi nuclear power station (随時)
[Information]
*JAIF President's Comment on Expectations for the New Administration(12/20)
*JAIF President's Comment on Creation of the Japan Nuclear Safety
Institute (JANSI)(12/4)
* Stress Test and Restart Status (随時)
* Current Status before and after the earthquake (随時)
* Operating Records of Nuclear Power Plants (随時)
* Developments in Energy and Nuclear Policies after Fukushima Accident
in Japan (随時)
* Trend of Public Opinions on Nuclear Energy after Fukushima Accident
in Japan (随時)
[福島事故情報専用ページ] 「Information on Fukushima Nuclear
Accident」 (随時)
[服部理事長]
・12/4~12/9 ASME ワークショップ出席・日米官民原子力ラウンドテーブル出席に伴う
ワシントンD.C.(米国)出張
[佐藤常務理事]
・12/6 第5回テーマ別原産会員フォーラム
イギリスの原子力開発事情と原賠制度
今回は、米国に次いで世界で2番目に原子力損害賠償制度を法制化したイギリスの原子力開発事情と原賠制度についてQ&A方式でお話します。
Q1.(イギリスの原子力開発事情) イギリスの原子力開発はどのような状況ですか? |
A1.
・ イギリスは1950年代に天然ウランを燃料とするガス冷却炉を自主開発して導入し、現在、ガス炉16基、加圧水型炉1基の合計17基1149.2万kWの原子力発電所が運転されています。
・ 17基あるイギリスの原子炉のうち15基はフランス電力の現地法人が所有していますが、その運転はそれとは別の会社が行っています。
・ イギリスでは原発の新規建設が凍結されたこともありましたが、北海ガス田の枯渇や地球温暖化問題を背景として2008年以降は新規建設を促進する政策が採られており、複数の事業者が具体的な新規建設計画案を提示しています。
・ なお、1957年に発生したウィンズケール1号炉の火災事故は国際原子力事象評価尺度(INES)でレベル5に相当し、イギリス史上最悪の原子力事故とされています。
【A1.の解説】
原子力開発初期の1950~60年代には、イギリスはウラン濃縮や重水濃縮のプラントを持っていなかったことから、軽水炉や重水炉ではなく、天然ウランを燃料とする黒鉛減速炭酸ガス冷却型炉(GCR)を商業用に開発し実用化しました。その後1960~70年代に改良型ガス冷却炉(AGR)を開発し、現在はガス炉16基、加圧水型軽水炉(PWR)1基の、合計17基1149.2万kWの原子力発電所が運転されており、原子力の比率は総発電量の15%程度を占めます。
イギリスでは電力自由化によりM&Aが活発化した結果、17基のうち15基の原子炉(AGRの全基)をフランス電力の英国法人であるEDFエナジー社が所有しており、その運転はブリティッシュ・エナジー社の子会社であるBEジェネレーション社が行っています。
1986年に発生したチェルノブイリ原発事故をきっかけとしてイギリスでは原子力開発に消極的な立場が取られ、新規原子力発電所の建設が凍結されたこともありました。しかし、北海ガス田の枯渇や地球温暖化問題を背景として2008年1月に「民間事業者が競争原理で原子力発電所を建設できるよう環境整備を行う」という原子力政策が発表され、以降は新規建設促進のための様々な制度改革が進められています。その結果、複数の事業者が具体的な新規建設計画の案を提示しており、EDFエナジー社がセントリカ社と組んで進めているヒンクリーポイントCプロジェクトでは160万kW級のEPR2基分について原子炉圧力容器鍛造契約が結ばれています。
なお、1957年10月11日に軍事用プルトニウム生産炉であるウィンズケール1号炉(黒鉛減速空気冷却炉)において発生した火災事故は、大量の放射性物質を放出させるに至り、イギリスのみならず欧州大陸に拡散したため、国際原子力事象評価尺度(INES)はレベル5となって、イギリス史上最悪の原子力事故とされています。
Q2.(イギリスの原賠制度) イギリスの原賠制度はどのようになっていますか? |
A2.
イギリスの原賠制度は「1965年原子力施設法」に規定されており、原賠制度の基本的原則である無過失責任、責任集中、責任限度額、賠償措置、国家補償などが網羅されています。
・ イギリスの原子力事業者の責任限度額は1億4000万ポンドであり賠償措置額も同額です。免責事由は戦闘上の敵対行為に起因する場合に限られており、自然災害に関してはいかなるものも免責とはなりません。
・ イギリスはパリ条約、ブラッセル補足条約に加盟しており、パリ条約加盟国でない国に対しては、当該施設法に基づく原子力損害の賠償は行われないことになっています。
【A2.の解説】
イギリスの原子力安全規制については、原子力施設に関して1946年に制定された「原子力法」を基本とし、実質的な安全規制においては原子炉の設置、運転等の規制を定めた1965年の「原子力施設法(NIA65)」及び安全規制機関の設置・権限等を定めた1974年の「労働保健安全法(HSWA74)」に基づいて実施されています。その他の関連法として、「放射線防護法(1970年)」、「放射性物質法(1993年)」、「電離放射線規則(1999年)」、「原子力セキュリティ規則(2003年)」等があります。
イギリスは米国に次いで世界で2番目に原子力損害賠償に関する法制度を作った国です。イギリスの原賠制度は1959年7月9日に成立した「原子力施設(許可及び保険)法」(1960年4月1日施行)において、原子力施設と核物質の取り扱いに関する許認可とともに規定されました。この法律はパリ条約とブラッセル補足条約を批准するに当たって1965年8月5日に大幅に改正されて「1965年 原子力施設法」(1965年12月1日施行)となり、その後も責任限度額等の見直しなどが行われています。
1965年原子力施設法は原子炉等の原子力施設の設置、運転等の規制を定めたものですが、そのうち原子力賠償責任に関する事項は、第7~11条において“原子力事故により何人にも原子力損害を与えないことは被許可者の義務である”と規定した上で、第12~14条にその義務違反に対する賠償請求権を定めています。また、第15~17条には賠償請求に関する事項、第18~21条には賠償の保証に関する事項が規定されており、原賠制度の基本的原則である無過失責任(7条)、責任集中(12条)、責任限度額(16条)、賠償措置(19条)、国家補償(16条、18条)などが網羅されています。
イギリスの責任限度額は1億4000万ポンドであり賠償措置額も同額となっています。免責事由は戦闘上の敵対行為に起因する場合に限られており、自然災害に関してはいかなるものも免責とはなりません(13条)。請求権の消滅時効は原子力事故が起こった日から30年、盗難・紛失等が起こった日から20年とされています(15条)。請求額が責任限度額を超える場合や、責任保険の請求権が消滅する10年経過後の請求、盗難・紛失等から20年経過後の請求、被許可者に責任がない輸送手段への損害に対する請求等については、政府に請求を申し立てることができます(16条)。なお、原子力事故が起きてから一定の期間内に一定の地域に居たことを証明できるような登録措置(23条)も規定されています。
イギリスの制度(本施設法に基づく限りでは)はパリ条約の加盟国でない国で発生した原子力損害について補償しないことになっており、また、パリ条約加盟国の外国原子力事業者によりイギリス国内で発生した原子力損害についてはイギリスの制度が適用されますが、当該国の法律で定める範囲を限度とすることが規定されています(17条、21条)。
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