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原産協会メールマガジン6月号 2013年6月25日発行 |
Index
□平成25年度定時社員総会を開催
□理事長コメント『説明責任について-原子力規制委員会に望む-』を発表
□「量子放射線利用普及連絡協議会」第17回会合を開催
□「JAIF地域ネットワーク第7回意見交換会」を開催
□若手リーダー育成のためのIAEA主催「原子力マネッジメントスクール」を開催
□WANO隔年総会で服部理事長が講演
□チェルノブイリ原子力発電所視察等でウクライナを訪問
□第28回日台原子力安全セミナー参加者募集
本文
□平成25年度定時社員総会を開催
当協会は6月19日、日本工業倶楽部で平成25年度定時社員総会を開催しました(=写真)。平成24年度決算案、理事選任について諮り、満場一致で原案どおり承認されました。
また、報告事項として、平成24年度事業報告、平成25年度事業計画・予算および公益目的支出計画実施報告書について説明をしました。
総会の冒頭、今井敬会長は挨拶の中で、「当協会は、福島の復興なくして日本の原子力の再生なし」を胸に刻みながら、放射線理解促進活動や除染に関する活動などを今後も継続して続けていくことにより、地域の方々のお役に立てればと考えている。」旨を述べました。
規制基準に関しては、「国際的な基準から乖離した規制や審査の遅滞は、発電所の運転再開の遅れをもたらし、地元経済の疲弊や産業の空洞化とともに、化石燃料の輸入量の大幅増加による、さらなる国富の流出を招くこととなる。」と指摘しました。
また、「我々、原子力産業界は、単に規制要求を満たすだけでなく、自らがより高い安全性を目指して、不断の努力をしていく。」と述べ、「当協会も、原子力への信頼回復を目指し、事業者の安全性向上に係る取り組みを、内外に広く情報発信するなど、透明性の一層の向上に努めていく。」と強調しました。
総会には来賓として、佐藤ゆかり・経済産業大臣政務官が臨席しました。
佐藤ゆかり・経済産業大臣政務官は、「復興をさらに加速させていくためには、まず福島第一原子力発電所の廃炉を着実に実施に移していくということが欠かせない最重要な課題の一つである。」と述べられました。
また、原子力発電所の再稼働については、「所管の電力会社、電気事業者が最終的に判断をされるわけだが、原発の立地自治体、地域住民の皆様方への、ご理解、ご協力のお願いについては、当然ながら電気事業者任せにするのではなく、国としてもこれからしっかりと説明の作業に真摯に取り組んでいきたいと考えている。」述べられました。
□理事長コメント『説明責任について-原子力規制委員会に望む-』を発表
当協会は6月14日、理事長コメントとして「説明責任について―原子力規制委員会に望む―」を発表しました。
このコメントは、原子力規制委員会に対して、原子力立地自治体等により、説明を求める声があげられているとの最近の報道に接して、原子力安全に関する信頼回復に繋がることを目的として発表したものです。
詳細はこちらをご覧ください。
http://www.jaif.or.jp/ja/news/2013/president_column16_130614.pdf
当協会は6月6日、都内で「量子放射線利用普及連絡協議会」第17回会合を開催し(=写真下)、ルイ・パストゥール医学研究センター基礎研究部インターフェロン・生体防御研究室室長の宇野 賀津子氏から、「低線量放射線の生体への影響と食の重要性~科学者としてできることは何か」について、(独)放射線医学総合研究所放射線防護研究センター上席研究員の神田
玲子氏から、「放射線による健康影響とリスクコミュニケーション」について、ご講演いただきました。
「今からの生き方で20年先、30年先が違ってきます!」これは、宇野氏が福島に行ってまずお話しすること。宇野氏は、エイズパニックが起きた際に、科学者の無責任な発言が感染者の登校を困難に追い込んだことから、科学者としての責任を果たすことの重要性と、今後の福島での低線量放射線の害を克服する方法として、抗酸化食、つまり、緑黄色野菜と果物をしっかりと摂取することを提案。福島での講演会では、地元の放射線量の測定を行い具体的なアドバイスを行うと共に、福島の方から「偉い先生に来ていただくより、アロマテラピーの方が歓迎」と言われた事から、以前からあたためていた化粧療法の導入を提案し、乳液を使ってのハンドマッサージを施した後に講演を行うという活動を行っています。
神田氏は、まず現在行われているリスクコミュニケーションの問題点として、放射線の理解を妨げるいくつかのハードルがあることを解説した後、リスクを受容する/しないは情報の受け手が判断するものとして、そのための情報提供が重要であると述べました。また今後、コンセンサスコミュニケーションが重要になるという見方を示し、線量限度と参考レベルといった制限値の違いや防護の最適化について説明。最後にリスクコミュニケーションは特効薬でも万能薬でもないこと、リスクコミュニケーションを行う側が大きな精神的ストレスを抱えることもあるので、職業として行う場合は職場の配慮も必要といった意見を述べました。
講演後、低線量放射線のリスクやリスクコミュニケーション等について、活発な意見交換がなされました。
詳しくは、以下をご覧ください。↓
(議事メモ・公開)
当協会のJAIF地域ネットワークは、6月3日、東京・東海大学校友会館で行われた「第9回原産会員フォーラム」に合わせ、同会場にて「JAIF地域ネットワーク第7回意見交換会」を開催しました。(=写真)
JAIF地域ネットワークは平成21年6月に発足し、メンバー相互の情報交換や交流を通じて、正確な情報の共有を図り、意見を交換することによって、原子力の平和利用が推進される社会を目指す活動を行っています。メンバー構成は主に、全国各地のオピニオンリーダー、教育関係者、消費者団体関係者、草の根グループなど。(現在:個人70名、8団体が登録)
意見交換会には、全国各地のJAIF地域ネットワークメンバー22名が参加し、平成25年度のネットワークの活動のひとつとして、“福島の復興に貢献するためには「何をするべきか」について”
をテーマとして意見交換を行いました。 各電源立地地域のメンバーからは、「まず現場を知ることが大事。福島や女川の被災者と直接意見交換をし、復興に貢献できる活動をしたい。また、意見交換により得られた知見を、地元地域での広報活動に生かしていきたい。」との意見が多数出ました。
JAIF地域ネットワークでは、平成25年度に、メンバーがそれぞれ行う福島および女川など被災地域の復興に寄与する活動を支援していきます。
□若手リーダー育成のためのIAEA主催「原子力マネッジメントスクール」を開催
当協会は、日本原子力研究開発機構、東京大学、原子力人材育成ネットワークと共同で、IAEAが主催する「原子力マネッジメントスクール」を5月27日~6月10日、東京(前半)と東海村(後半)で開催しました。本スクールは,原子力発電新規導入国における若手リーダーの育成を目的しており、今回で2回目の日本開催です。
今年度は、スクールの前半部を東京大学(本郷キャンパス・山上会館)で開講し、6月3日から茨城県東海村に移動しその後半部(第2週目)を実施しました。講義内容は、エネルギー政策、原子力安全、原子力社会学、原子力プロジェクトの進め方など広範にわたり、原子力プロジェクトのマネジメントを担う人材の育成を意識したものでした。講義と並行して全期間中を使った研修生同士のグループプロジェクトが実施され、最後にプレゼンテーションが行われました。また、テクニカルツアー、エンジニアリング現場、タービン工場、原子炉機器工場、研究炉、燃料工場、発電所など多岐にわたる施設の見学も実施されました。
研修生は、アジア、アフリカ、中東等から計13カ国合計17名、国内人材の国際化の観点から、電力、メーカー等からも14名の研修生が参加しました。今後、人的ネットワーク構築に寄与することも期待されます。
参加者がそろっての記念写真 |
当協会の服部理事長は5月下旬、モスクワで開催された世界原子力発電事業者協会(WANO)の隔年総会に参加し、福島での事故の原因・教訓そして原子力の将来に向けた課題について講演しました。
総会は5月20日、21日の2日間、世界各国から約800名の方が参加し、天野 IAEA事務局長、ラコスト前仏国原子力規制庁(ASN)長官、ロマノフ・
ロスエネルゴアトムCEO、八木電気事業連合会会長、服部理事長他が講演を行いました。
[服部理事長の講演概要]
・人類に「生きることの意味」を問いかけていると言われた、印象派画家の巨匠ポール・ゴーギャンの晩年の大作「我々は何処から来たのか、我々は何者だ、我々は何処へ行くのか」を引き合いにした。
・福島第一原子力発電所事故を経験した今、我々がなすべきことは何か?何よりもまず、事故の根本原因を明らかにし、事故の教訓を引き出す必要がある。我々が今後も原子力を利用していくのであれば、原子力技術を本当に管理できるのか、安全に管理するために何が必要かを、改めて我々自身に問いかける必要があるのではないか。
・同発電所事故の要因は、組織の構成員に想像力の欠如、原子力発電所を運転する事業者として常に「問いかける姿勢」が十分でなかった。さらには、初期トラブルを克服し、安定的な運転が可能となった頃から、知らず知らずのうちに、「規制の要求事項を守ることが安全を確保すること」と考えるようになり、結果として、安全性向上のために不断の努力を続けることを怠ってしまった。
・過去の事故の教訓は、1979年3月のTMI事故:安全確保の「ヒューマンファクター」、1986年4月のチェルノブイル事故:運転管理に責任を持つ組織の「安全文化」の重要性であった。そこで、福島第一発電所事故の教訓は、「緊急時対応」であると考える。
・「緊急時対応」とは、以下の4つであり、いずれも管理(マネジメント)システムの問題である。①設計基準を超えるような事態に至った際の「設計の頑健性」、②設計基準を超えるような事態に至った際のアクシデントマネジメントを含めた「緊急時対応」、③緊急時に至った際の内部への情報連絡と外部への情報発信を含めた「情報伝達」、④設計基準内に留まらずそれを超えた事態まで想いを巡らせる「安全文化」
・安全確保の第一義的責任は事業者にある。原子力発電という技術を取り扱う以上、単に規制上の要求を満たすに止まらず、「想像力を巡らせて、必要な準備を整えておく責任があり、その責任を果たすことの出来る事業者は、原子力を取り扱う資格がある」ことを強調したい。
・緊急時に備えて準備すべきこととしては、以下3点を挙げる。①頑健なハードウエア(即ち頑健に設計された設備)、②柔軟なソフトウエア(即ち状況の変化に柔軟に対応することができるように準備された管理システム、即ち、組織・体制や手順書など)、③このように準備されたハードウエアとソフトウエアを、高い安全文化を持って使いこなす、優れた能力を有する人(私はこれをヒューマンウェアと呼ぶ)。
講演の様子 |
地元メディアからインタビューを受ける服部理事長 |
当協会の服部理事長は5月22日~24日の3日間、ウクライナにて、チェルノブイリ原子力発電所の視察及びウクライナ原子力関係機関を訪問。チェルノブイリ立入禁止区域庁・ホローシャ長官、国立戦略問題研究所・イエルモラエフ所長、ウクライナ原子力フォーラム・リャブツェフ理事、原子力発電所安全問題研究所・クリュチニコフ所長他と会談を行いました。
これまでに多くの日本人がウクライナを訪問していますが、ウクライナの方からは、日本はどうしたいのかが分からないと、不審感を抱いていました。そこで、一方的に質問するのではなく、丁寧に説明し、お互いを理解することが必要であると感じました。
環境・天然資源省 チェルノブイリ立入禁止区域庁 ホローシャ長官との会談概要
・ホローシャ長官からは、「経済的にも、被ばくの観点からも、さらに廃棄物を減量する観点からも、しばらく放置し、除染するのが良いのではないか。」「福島の状況では、除染を大規模に行うことは難しいのではないか。特に山林があるから。ウクライナの経験では山林除染はあまり効果が無かった。」「除染の費用は高い、さらに除染後の保管場所が問題となる。また、山林で除染すると下流の地域に影響する。」などの意見を伺いました。
国立戦略問題研究所 イエルモラエフ所長との会談概要
・イエルモラエフ所長からは、「ウクライナと日本の専門家が一緒に“濃縮しないウランを使った研究”をしてはどうか。」「日本と共同のプロジェクトを行い、チェルノブイリと福島とに有効ではないか。例えば、汚染水処理とかはどうか。」「サマースクールを行って、例えば、福島に2~3週間集まり、講義やセミナーをして意見交換することはできないか。」などの意見を伺いました。
ウクライナ原子力フォーラム リャブツェフ理事との会談概要
・リャブツェフ理事からは、「ウクライナではチェルノブイリ事故以降、原子力を一度止めたが、経済危機により再開した。そこには、政策に対する一般公衆の理解があったと考える。」などの意見を伺いました。
ウクライナ原子力フォーラムでの会談 |
原子力発電所安全問題研究所 クリュチニコフ所長との会談概要
・クリュチニコフ所長からは、「日本の発電所は海沿いにあり、 海水放出しても十分に希釈されるため、放出しても問題ないのではないか。」、「チェルノブイリもその川沿いにある。ウクライナの人口4,500万人のうち3,500万人が川沿いに住んでいる。もっと汚染水についても研究しないといけない。」、「我々が欲しい福島第一に関するデータを教えてもらえない。また、福島第一発電所の中に入りたいと言っても、ダメであった。」「日本ともっと具体的な研究や課題に取り組みたい。関心があれば研究所や福島でのラボなど、それぞれの課題に応じて取り組んではどうか。ウクライナの科学アカデミーでは、相互協力のメモランダムがある。」などの意見を伺いました。
クリュチニコフ所長との会談 |
チェルノブイリ原子力発電所視察概要
・チェルノブイリ発電所及び周辺施設等を訪問し、セイダ第一副所長他から説明を受けました。
・チェルノブイリ発電所は、1号機が1977年、2号機が1978年、3号機が1981年、そして事故を起こした4号機が1983年に竣工しました。
・事故後、原子力を全て閉鎖しようという動きがありましたが、経済危機・電気不足により、原子力を継続することとなりました。ちなみに、チェルノブイリ発電所1号機が1996年、2号機が1991年、3号機が2000年まで運転を継続していました。
・1986年の4号機事故当時、5号機、6号機が建設途中でしたが、事故後に建設中断が決定され、現在も工事用クレーン、足場が据えられたまま放置されています。
・4号機の廃止措置には、TRU(超ウラン元素)除染と化学除染の2ステップ必要となるとの事です。しかし、詳細はこれから研究を続けて検討する必要があり、まだ4号機の現場の25%は入れていない状況でした。
・2012年にチェルノブイリ1号機の廃止措置FS(feasibility study)を開始しています。一方、事故を起こした4号機については、2045年に廃止措置を開始し、2064年完了予定です。
・1~3号機の廃止措置費用は、40億ドル(68百万ドル/年)を見込んでいるとのことでした。
・廃止措置の課題についても、様々な関心事項があり、前向きに取り組んでいるとのことです。
・チェルノブイリ発電所では、常時2,700人が働いており、そのうち、4号機の新シェルターに850人が働いています。
事故を起こした4号機 | 建設を中断した5号機 |
建設中の新シェルター |
当協会は7月23日、台湾の原子能委員会、台湾電力公司、核能研究所、放射性物質管理局、中華核能学会と共催により、第28回日台原子力安全セミナーを東京の如水会館で開催します。
当セミナーは、台湾との間で原子力安全に係わる情報・意見の交換ならびに相互理解と交流を促進するため、1986年以来、台湾原子力委員会をはじめとする関係機関との共催により、日本と台湾で年1回交互に開催しており、今回は日本での開催となります。
台湾では一昨年11月、既存の6基の原子炉に40年の運転期間を設定し、段階的に閉鎖することを発表しており、安全技術の向上を通して社会の信頼を回復する必要があります。
今回のセミナーでは、福島事故後の復旧・復興に係わる日本の取組について報告し、情報を共有して日台双方の原子力安全の一層の向上を図ります。
参加費、プログラム等詳細については、こちらをご覧ください。
http://www.jaif.or.jp/ja/kokusai/28jptw_seminar_announcement.html
当協会が実施している「輸送・貯蔵専門調査会」では、平成25年度の会員を募集しています。
同調査会では、原子燃料物質等の輸送および貯蔵に関する研究・技術開発動向、ならびに関連法令や技術基準の国際動向の現状などに関し、講演、関連施設の見学、意見交換を通じた専門情報の提供・交流活動を実施しています。当調査会の場を一層活用して頂くため、輸送貯蔵関係の若手技術者に貢献すべく、平成20年度より準会員制度を設けて、多くの方が参加できるように定例会合を開催しています。
昨年度の主なテーマは、①Ramtransport2012報告、②関西電力におけるストレステストおよび地震・津波対策、③東日本大震災による女川原子力発電所被害状況の概要および更なる安全性向上に向けた取り組み、④海上技術安全研究所における輸送リスク評価の取り組み、⑤放射性医薬品・RI輸送の現状と課題、⑥福島第一原子力発電所の使用済燃料管理計画、⑦原子力規制委員会及び核燃料輸送物等の安全規制についてなどでした。 今後も原子力開発利用の進展状況や会員のニーズに対応して活動を展開してまいりますので、多数の皆様のご参加をお待ちしています。
詳細はこちらをご覧ください。
http://www.jaif.or.jp/ja/seisaku/yuso/index.html
会場風景 |
当協会では、避難を余儀なくされている地域団体への支援・協力活動の一環として、避難生活を送る富岡町住民が立ち上げた自治会(福島市及び県北地区在住富岡町民自治会)
の方々を対象とした、放射線に関する勉強会を開催しています。本勉強会にて議論された内容を多くの方々に知っていただくために昨年、自治会との協働で対話集を作成しましたが、今回、昨年作成以降に開催した第6~8回の勉強会分を追加し、更新しました。
この勉強会は、放射線の基礎知識を中心に、わかりやすい講義と質疑応答を充実させた形で、ゆっくり確実に理解を深めていただくのが目的です。
第1回(2012年5月)から第8回(2013年4月)までの勉強会は、主に福島市周辺の借上げ住宅で避難生活を送る富岡町民のために作られた交流スペース「富岡町さくらサロン」(福島市及び県北地区在住富岡町民自治会が管理)で開催され、第5回目(2012年8月)の勉強会では、川内村での除染現場(除染中のお宅や仮置き場)の見学と共に、川内村在住で農業者の秋元 美誉氏との交流会も行いました。
勉強会風景農業者・秋元氏との交流会風景 |
「『放射能・放射線に関する勉強会 in 富岡町さくらサロン』対話集」 はこちら。 (※対話集は、昨年作成した第5回までの勉強会分に第6~8回分を追加したものです。) |
□原産協会HP(一般向け)の更新情報 ( http://www.jaif.or.jp/ )
*国内、海外ニュースは毎週および随時更新しております。
・「平成25年度定時社員総会」における今井敬・原産協会会長挨拶(6/20)
・理事長コメント『説明責任について-原子力規制委員会に望む-』(6/14)
・6月22日(土)放射線授業支援実践報告会開催のご案内(6/13)
・「英国原子力産業調査報告」および「英国原子力発電所新規建設調査団報告」
(6/6)
・第28回日台原子力安全セミナーへの参加ご案内(6/5)
・「世界の原子力発電開発の動向2013年版」を刊行(5/21)
・福島第一原子力発電所1~4号機の廃止措置等の状況 (随時)
・福島原子力発電所に関する環境影響・放射線被ばく情報 (随時)
・福島地域・支援情報ページ (随時)
地元自治体の動きやニュース、地元物産・製品等の情報を掲載中
・「日本の原子力発電所(福島事故前後の運転状況)」を掲載 (随時)
□JaifTv動画配信
・「第47回 放射線についてのQ&A-環境編-」(5/17公開)
http://www.jaif.or.jp/ja/jaiftv/archive49.html
・「第48回 放射線についてのQ&A-食品編-」(5/17公開)
http://www.jaif.or.jp/ja/jaiftv/index.html
□会員向けHPの更新情報( https://www.jaif.or.jp/member/ )
・「英国原子力産業調査」および「英国新規建設調査団報告」の関連資料を掲載(6/7)
・【日本の原子力発電所の運転実績】5月分データを掲載(6/7)
・「第9回テーマ別原産会員フォーラム」配布資料を掲載 (6/6)
・日米原子力ワーキンググループ「福島原発事故後の共有する戦略的優先課題に
関する提言」の和訳文を掲載(6/5)
・「第8回原産会員フォーラム(全体会合)」を掲載(5/29)
・第46回原産年次大会概要報告を掲載(5/28)
□英文HPの更新情報( http://www.jaif.or.jp/english/ )
・Atoms in Japan:英文原子力ニュース(AIJ) (随時)
・Fukushima & Nuclear News (随時)
・Status of the efforts towards the Decommissioning of Fukushima Daiichi
Unit 1-4 (随時)
・Environmental effect caused by the nuclear power accident at Fukushima
Daiichi nuclear power station (随時)
[Information]
* JAIF President's Comment on NRA's Accountability(6/18)
*"The UK Nuclear Industry Experience," Presented by NIA in April
2013(6/6)
* Press Release: JAIF Annual Report on World Nuclear Power Plants 2013(5/23)
* Nuclear Power Plants in Japan as of May 22, 2013 (5/22)
* Stress Test and Restart Status (随時)
* Current Status before and after the earthquake (随時)
* Operating Records of Nuclear Power Plants (随時)
* Developments in Energy and Nuclear Policies after Fukushima Accident
in Japan (随時)
* Trend of Public Opinions on Nuclear Energy after Fukushima Accident
in Japan (随時)
[福島事故情報専用ページ] 「Information on Fukushima NuclearAccident」 (随時)
[服部理事長]
6/18 Nuclear Pools’Forumでの講演(於:京王プラザホテル)
6/19 H25年度定時社員総会(於:日本工業倶楽部)
6/23~6/30 フィンランドの原子力施設視察とロシア国際フォーラム参加
[佐藤常務理事]
6/6 敦賀市長訪問
6/7 北陸原子力懇談会総会出席のため金沢出張
6/19 H25年度定時社員総会(於:日本工業倶楽部)
我が国の原子力損害賠償制度の課題(1)原賠制度が果たした役割と原子力損害賠償の実際
2011年3月11日の東日本大震災に伴って発生した福島原発事故においては、未だ十数万人もの住民が避難を余儀なくされている状況下で、この未曾有の原子力事故に関わる膨大かつ多様な損害賠償問題が提起され、これらの問題に適切に対処すべく賠償処理が進められています。
そこで今回から複数回に分けて、今回の原発事故で顕在化した制度上の問題や、我が国が原子力損害賠償に関する国際的な枠組みに参画する際の留意事項の観点から、我が国の原子力損害賠償制度の課題についてQ&A方式でお話します。
今月はまず、原賠制度が果たした役割と原子力損害賠償の実際についてお話します。
Q1.(原賠制度が果たした役割) 福島原発事故の損害賠償において、原子力損害賠償制度はどのような役割を果たしましたか? |
Q2.(原子力損害賠償の課題) 我が国には原子力損害賠償制度があったにも関わらず、福島原発事故の賠償に関して多くの議論があったのは何故ですか? |
A2.
今回の原発事故の損害賠償については、原賠制度の主要項目に関して以下のような意見や考え方などが示されています。
・ 原子力事業者の免責規定:原賠法上には一般条項として免責規定が設けられていましたが、地震による津波に起因する今回の原子力事故が果たして原賠法の免責規定に該当するのかどうか、免責の場合の国による被災者への救済はどのようなものか、など大きな議論を呼びました。
・ 損害賠償措置制度:1200億円の賠償措置は一定程度には機能しましたが、今回のような過酷事故による大規模な原子力災害にはとても有効とは言い難い結果となりました。これについては事故後に急遽制定された原子力損害賠償支援機構法により当面の原子力事業者に対する資金援助等の仕組みが構築されています。
・ 原子力事業者の責任限度:我が国では事業者の賠償責任は無限とされているため、賠償措置額をはるかに超えた賠償負担は事業者の資力を大きく超過することとなり、その対処方法に関する多様な意見が出されました。
・ 国の責任:原賠制度に基づき原子力事業者が一義的に責任を負うとする一方で、当初より国策として原子力発電を推進し、許認可に密接に関与してきた国家の責任についての考え方が議論されました。
・ 原子力損害に関わる賠償の困難性:制度に基づき設置された紛争審査会・紛争解決センターによる賠償指針・基準の策定や和解の仲介によって、被害者への迅速・公平な賠償が進んでいますが、事故により原子力損害特有の問題も顕在化しており、これらは原子力損害賠償を一層困難なものにしています。
【A2.の解説】
今回の原発事故の損害賠償に関する主な論点は以下の通りです。
○原子力事業者の免責規定
・ 原賠法上、原子力事業者が原子力損害の賠償責任を免責されるのは「異常に巨大な天災地変」又は「社会的動乱」によって生じた事故の場合と規定されていますが、その具体的な判断基準は法令には規定されておらず、原賠法制定の際の国会審議においても、免責規定における異常に巨大な天災地変の大きさや、免責に該当した場合の国の被災者に対する措置の内容などについて議論がありました。
・ 福島原発事故は、地震のエネルギーが関東大震災(M7.9)の約40倍の規模であること、貞観大地震(869年に陸奥国東方沖で発生したとされる巨大地震)のM8.3~8.6よりも大きく1000年に一度の規模であること、津波の遡上高(陸へ上がった津波が到達した標高)は想定を大きく超える14~15mであり異常に巨大であること、通常の不可抗力を認定するための判断基準から見れば常識的には当然に免責にあたること、などから、「異常に巨大な天災地変」に相当するため免責に該当するという見解があります。
・ 一方では、地震の規模も津波の遡上高も全く予想できないようなものではないこと、原子力施設は科学技術の発展に応じた最新の知見による対応が必要であって免責事由も事故時において判断すべきであること、免責事由とされるにはそれが唯一の事故原因であって原子力事業者による人災の要素が含まれている場合には免責されるべきでないこと、などから、原子力事業者の免責事由に該当しないとする見解もあります。
・ これについて、政府においては「異常に巨大な天災地変」とは、まったく想像を絶するような事態に限られるものであるとし、「一義的責任は東京電力にある」という見解を出しており、また東京電力は支援機構法に基づく国の資金援助を申請することで、今回の原発事故が事業者の免責事由に該当しないということを前提に賠償措置が進められています。
○賠償措置制度
・ 我が国の損害賠償措置額1200億円は、世界でも米国(約1兆2200億円)とドイツ(約3200億円)に次いで世界で3番目に高額ですが、米国やドイツでは民間保険契約に巨額の原子力事業者の相互扶助を上乗せした制度であり、より高額な損害賠償措置制度を現在の保険市場に依存するには限界があります。
・ 事故後に制定された原子力損害賠償支援機構法では、米国やドイツの賠償措置制度のような原子力事業者による拠出方式とさらに国による資金調達の援助とを組み合わせて、賠償措置額を超えた賠償責任に対処する仕組みを構築しています。この仕組みは、賠償額が事業者の資力を超えた場合、その企業の株主や取引金融機関等のステークホルダーの責任をどのように処するかといった問題は残されたままですが、当面の賠償資力の確保に対しては有効に機能しています。
・ また、東京電力福島第一原子力発電所の原子力損害賠償責任保険の契約更改にあたり、事故の状態が未だ継続しており、かつ原子炉等の著しい破損状況や高放射線量の環境が事故以前の状態である平常時に比べて非常にリスクの高い状況にあることから、保険市場における受入れが困難となる中で契約更改に至らず、東京電力は供託により1200億円の賠償措置を履行しました。このことは過酷事故が発生したような場合の原子力施設に係る賠償措置のあり方について、さらなる検討を促す出来事であるといえましょう。
○原子力事業者の責任限度
・ 我が国では原子力事業を進めるうえで被害者保護の優先が不可避であることなどから、原賠制度導入時より原子力事業者の責任に限度を設けない無限責任制が採用されています。
・ 一方では、もともと国際的な原賠制度の基本的原則を踏まえて原子力事業者に無過失責任、責任集中を負わせているのであるから、事業者の責任限度についても殆どの国の原賠制度と同様に有限責任制にするのが適当であるとする意見もあります。
・ 実際、過酷事故に伴う大規模損害を生じた場合には、現実問題として民間企業である原子力事業者の賠償資力には限度があることや、また仮に原子力事業者が法的整理に至った場合、その後の被害者に対する賠償の実施をどのような方法で履行するのかといった大きな問題があります。
○国の責任
・ 原賠制度の責任集中という原則からすれば、全ての責任は原子力事業者に集中しており、仮に事業者以外の原子力関係者に起因して原子力損害が生じても当該関係者の賠償責任は問われないことになりますが、ここで国の責任についてはどうかということが俎上に上がりました。
・ これについては、原子力事業は各国とも自国のエネルギー政策と密接に関連しており、原子力施設の建設・運転は国が規制し許認可を与えていることから、仮に国の安全指針等の不具合や国の規制権限の不行使などといった事実が存在し、国家賠償法の適用要件に該当する場合、原賠法上における事業者への責任集中の原則があっても、原賠法の原子力事業への参入者に対する責任負担回避の原則や原賠法の法益を侵すものではないとの事由により、国家賠償責任が認められ得るとの見解があります。また、状況によっては、原子力事業者と国の共同不法行為責任ないし不法行為責任の競合という考え方が発生することになるとの見解もあります。
・ この他にも、例えば、損害賠償の責任集中や国家賠償責任の法解釈論とは全く別な経済学的な視点として、最安価損害回避者の理論 という見地から、最安価損害回避者は原子力事業者であり、国の監督や規制は最低限の安全性を確保するためのものであるから、事業者がこれらを遵守さえすれば後は国が責任を負うというものではないとする意見もあります。
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○原子力損害に関わる賠償の困難性
・ 事故発生から1ヵ月後の2011年4月11日に原子力損害賠償紛争審査会が設置され、多数の被害者の生活状況等が損害の全容の確認を待つことができないほど切迫しているという事情に鑑みて、2011年4月28日の第一次指針、8月3日の中間指針など、原子力損害に該当する蓋然性の高いものから順次、原子力損害の範囲の判定の指針が提示されました。また、当事者同士の主張が食い違う場合は「原子力損害賠償紛争解決センター(紛争解決センター)」が和解の仲介を行っており、対処する要員の拡充、迅速な処理体制・方法の構築、賠償基準の策定など種々の対策を講じていますが、大量の申立てに対して迅速に解決できているとは言い難い状況が続いています。
・ 今回の原発事故の賠償においては、一般の不法行為責任における賠償とは異なる賠償項目・賠償対象者・賠償対象期間・賠償金額の算定方法など原子力損害に特有な賠償問題を含んでいます。これらの要素は、賠償の範囲の判定、指針・基準の策定、個別事案の処理等に多大な困難性をもたらしています。
・ このような例として、精神的損害の考え方、自主避難者の損害賠償及び避難区域周辺に居住する人の損害賠償、風評被害及び間接被害の範囲、避難区域内の財物損害の考え方、自治体の損害などが挙げられます。
・ これら指針や基準に対しては、実態に即していないという被害者からの批判がある一方で、これまでの学説や判例で定まっていない風評被害について因果関係を認めていることに疑義を示す意見もあります。
以上に挙げた項目の他に、支援機構法における遡及適用、除染費用の取扱、賠償の枠組みでは解決できない問題などがありますが、これらについては次回以降に取上げてまいります。
ただそこにあるおだやかさ:紫陽花
2011年6月堀切菖蒲園にて |
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2012年6月松戸の本土寺にて | 2012年6月、同じく本土寺の近くで |
2012年6月、近所の庭先で |
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2012年7月箱根ガラスの森美術館にて | 2013年5月箱根湿生花園にて |
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