JR常磐線の竜田~富岡間の運転再開に際して

2017年10月25日

一般社団法人 日本原子力産業協会
理事長 高橋 明男

 10月21日、2011年の東北地方太平洋沖地震および福島第一原子力発電所事故の影響により不通となっていたJR常磐線の区間のうち、竜田駅(福島県楢葉町)~富岡駅(同富岡町)間(約6.9km)の運転が再開された。津波で流された富岡駅舎は新たに造られ、駅舎に隣接した物販・飲食併設店舗「さくらステーションKINONE」も運転再開にあわせて新設された。運転再開に向けこれまで取り組んでこられた関係者の方々に、あらためて敬意を表したい。また、不通区間として残る富岡駅~浪江駅(同浪江町)間(約20.8km)については、2019年度末までの運転再開を目指すこととされており、引き続きご尽力をお願いしたい。

 富岡町では、今年4月1日に一部の帰還困難区域を残して避難指示が解除されて以降(一部は3月下旬から)、複合商業施設「さくらモールとみおか」の全面開業、福島第一原子力発電所の廃炉に向けた研究開発・人材開発の中核施設となるJAEA廃炉国際共同研究センター国際共同研究棟の運用開始、郵便局や銀行等金融機関の営業再開、富岡駅前でのホテルの開業など、復興を後押しする動きが着実に進んでいる。同町には、東北地方太平洋沖地震および福島第一原子力発電所事故以前から教育・商業・行政の各施設が数多く立地されていたが、その富岡町でこうした生活環境の整備がまた一歩進むことは、周辺自治体にとっても大きな意義があると考えられる。

 今回の運転再開に際しては、地元の方々から「こうして再び電車が走るようになり、それに乗ってたくさんの人が富岡町に来てくれるのはとてもうれしい(富岡駅職員)」、「地元住民として歓迎する。駅前にはホテルもオープンし、今後タクシー営業の再開などにより町が活性化していくことを期待している(富岡町商工会会長)」、「喜ばしいことだ。富岡町の復興はまだまだこれからだが、ぜひ全国の皆さんに富岡町の「今」を見に来てほしい(富岡ホテル代表取締役)」といったお声を伺っている。今回の運転再開が、地域の復興に向けた大きなステップとなり、住民の方々の帰還などにつながることを願ってやまない。

 当協会は、引き続き福島の地域の皆様の声に耳を傾け、復興に向かっている福島の「今」を国内外に広く発信していく所存である。

JR常磐線の運転再開状況
(2017年10月21日時点)

福島県HP(復興情報ポータルサイト)をもとに作成
 <JR常磐線の状況>
   http://www.pref.fukushima.lg.jp/site/portal/jrjoban.html
 <避難指示区域の状況>
   http://www.pref.fukushima.lg.jp/site/portal/list271-840.html

以 上

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