[原子力産業新聞] 1999年11月11日 第2012号 <2面>

BNFLのMOXデータ問題
関電、最終報告書を発表

4号機用測定データには不正なし

英国原子燃料会社(BNFL)の関西電力向けウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の外径測定データに疑義があった問題で、関電は1日、高浜発電所4号機向けに輸送されたMOX燃料の測定データには、不正はなかったなどとする最終報告を発表した。

この問題は、関電が高浜発電所3・4号機で使用を予定しているMOX燃料ペレットの製造を行っているBNFL社の検査員が、同3号機で使用するMOX燃料193ロットのうちの22ロットについて、レーザーマイクロメーターを用いた外径測定抜き敢リ検査を実施せず、過去のデータを流用したというもの。事態を重く見た通産省・資源エネ庁は直ちに関電に対し、同測定データについて詳細な調査を行うよう指示。また調査が適切に行われていることを確認するために、職員2名をBNFLへ派遣していた。

このほど関電がまとめた最終報告書によると、調査の結果、高浜3号機向けMOX燃料ペレット外径以外の測定データについては問題はなく、不正は3号機向けMOX燃料ペレット22ロツトのみと判断したという。また同4号機向けMOX燃料の測定データについては、不正はなかったと判断したとしている。

また関電は再発防止策として、BNFLに対しては、1.不正が出来ないよう、外径測定データの読み取りおよび記録を自動化するなど測定装置を改善する、2.品質保証用検査の重要性に関する教育を実施するとともに、検査員の資格認定制度を改善する、3.検査員の所属を製造部門から品質保証部門へ移すとともに、監査を充実するなど品質保証体制を改善する、といった対策を。また関電自身や元請けメーカー側は、1.元請けメーカーからBNFLへ常駐監督者を派遣するなど外注先に対する監査体制を強化する、2.メーカー、協力会社、外注先に対して品質保証に係わる教育の充実および検査データの確認など、共通的に品質保証体制の充実を求める、などして、再発防止を図るとしている。

一方、MOX燃料の取リ扱いだが、高浜4号機向けについては現地における輸入燃料体検査を実施し、3号機向け燃料については、不正のあった22ロツトのペレットが組み込まれた燃料棒は使用せず、新たに製造するペレットおよび燃料棒を用いて組み立てなおすとしている。

報告を受けたエネ庁は、調査内容について原子力発電技術顧問会の意見も聴取した上で、関電の報告内容を「妥当」とするとともに、同社に対しては原子力発電の安全管理に対する信頼を損なうものであることから、1日付けで、再発防止に万全を期するように指示をした。


Copyright (C) 1999 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM,INC. All rights Reserved.