[原子力産業新聞] 1999年11月11日 第2012号 <3面> |
IAEA、地層処分で早急な対応勧告国民合意の不足指摘、加盟国に各種支援を約束国際原子力機関(IAEA)のM・エルバラダイ事務局長は1日、米国デンバーで開催されていた放射性廃棄物の地層処分施設に関する国際会議で講演し、高レベル放射性廃棄物(HLW)の最終処分を検討している国は現時点で可能な対策を早急に取るよう促した。 講演の中で同事務局長は、国際的な専門家達の意見の集約としてHLWの地層処分は実行可能であり、その安全性は現在の技術で評価できると指摘。しかしながら、原則的に効果があるはずの既存技術も、一般大衆の合意を十分に得られないという大きな壁のため実行に移せていない点も認めている。 事務局長はまた、HLWの総量は年々増加しており、各国がその処分に関して直ちに判断を下さねばならない責任を負っているとの認識を改めて表明。この問題解決のために必要なプログラムを、一般大衆が十分理解し、受け入れられるような明解かつ透明性のある手法で策定するよう関係各国に訴えた。政策決定プロセスにおいては一般大衆の関与が非常に重要であり、対策が遅れれば中間貯蔵施設の確保など短期的な解決策が必要になって来る点も付け加えた。 これらの策の実行に際し、エルバラダイ事務局長はIAEAとしては様々な方法で加盟各国を支援する用意があると強調しており、例として処分選択肢とその内容についての情報交換の強化、助言サービスや最先端技術に関する協力の提供などを挙げた。さらには、処分に係わる国際安全基準の設置や多角的な訓練フォーラムや協力プロジェクトの開始を検討していることも明らかにしており、地下研究施設における処分技術の安全性が実証され、本格的な地層処分場の建設と操業に繋がることをIAEAは期待していると結んだ。
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