[原子力産業新聞] 1999年11月11日 第2012号 <3面>

OECD/NEA、通報システムを実験

2000年問題に対応

経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)は2日、原子力発電所でコンピュータの2000年問題に対処するシステムの実験を世界各国の参加・協力を得て10月15日に成功裏に終えたと発表した。

電力産業界では年号が2000年に切リ替わる際、原子力を含めた発電ブラントの送・配電システムや通信および情報システム、機器設備などが影響を受ける可能性がある。このような影響を避けるため、NEAは同じ目的で米国原子力規制委員会(NRC)が実施していた演習と調整した上で、年号切り替え時に世界中の原子力発電所の状況データを取り込めるよう設計した「2000年問題・緊急警告システム(YEWS)」の性能を実験調査したもの。

YEWSはインターネットを基盤とする信頼性の高い専用通信システムで、原子力発電施設の運転状況のほか、接続している送電グリッドの安定性や電気通信に関する情報まで瞬時に受信できる。しかし、緊急時通報システムなどほかの連絡システムとは異なり、切り替え時のトラブルと同様、影響を受けなかった場合の状況も把握する機能が備わっている。さらに、報告を受け付ける敷居が既存のシステムよリ低いため、放射線関係の事象の際にも受信機能が制約を受けることはない。

YEWSのサービスは無料で、実験の実施にあたりNEAは世界中の規制当局および原子力運転者に参加を呼びかけた。最終的にNEAの加盟非加盟とは無関係に米、英、仏、独、加、日本など25か国が参加を果たしている。


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