[原子力産業新聞] 1999年11月18日 第2013号 <1面>

自民党行革推進本部
「安全委に調査権を」 規制体制強化策まとめ

自民党行政改革推進本部は11日、JCO臨界事故の教訓を踏まえた原子力安全規制体制の強化策をまとめ、小渕恵三首相に提出した。この強化策は同本部が素案を作成し、科学技術庁と通産省が具体的にまとめたもので、同本部がこれを了承した。原子力安全委員会の機能強化策を示すとともに、省庁再編に伴う原子力安全規制体制の円滑な移行に備えた措置を講じるとしている。

政府は今臨時国会で原子力関係法制を整備し、科技庁や通産省などの臨時立ち入りを可能とする等規制内容の充実を図りたいとしており、同強化策は関係省庁の安全規制のあり方を中立的立場からチェックする機能強化のため、原子力安全委員会に、1.運転段階も含め随時、原子力事業所等において所定の調査ができる、2.調査結果を踏まえ、科技庁や通産省等に対し適切な措置を求め、その内容を公表する、等の措置を講じることを挙げている。

また、2001年1月からの省庁再編では、原子力安全委員会が内閣府へ移管され、原子力のエネルギー利用に関する安全規制は経済産業省へ一元化されることになっている。同強化策はこれらの円滑かつ確実な実施のため、関係省庁でタスクフォースを作り規制関連事務の引き継ぎに遺漏がない措置を講じるとしている。

その他、1.高度な技術能力をもつ民間人も含めた専門家を積極的に活用し原子力安全委員会事務局の技術的能力の向上、中立性の強化を図る、2.原子力関係法制の整備に伴い決定される「原子力保安検査官」「原子力防災専門官」の人員を確保する、3.原子力関連施設に勤務する職員が増加し、その責任も重くなることから職員の処遇改善を図る、等、安全規制のための人材確保を図るとしている。


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