[原子力産業新聞] 1999年11月18日 第2013号 <2面> |
[長期計画] 長計策定会議 臨界事故後、初の会合「原子力の必要性再論を」本質論相次ぐ、計画の性格付けにも言及原子力委員会の長期計画策定会議(座長・那須翔東京電力相談役)は15日に第4回会合を開き、事務周からのJOO臨界事故に関連した分科会での論点の他、事故調査の進展、防災法、補正予算要求など一連の動向について説明が行われ、各委員が意見交換した。 鳥井弘之日経新聞論説委員は、将来に向けて科学技術と社会の関係も変化しつつあるとした上で、今回の事故を日本の原子力政策がより好ましい方向に進展する契機とし、長計策定に当たっても、従来路線の踏襲ではなく「アカを落とす」つもりで「彼らの原子力から私たちの原子力」へと脱皮させる必要性を述べた。 また、都甲泰正サイクル機構理事長は、これまでの長計は資源エネルギー庁の長期エネ需給見通しを実現するためのものだったとし、新しい長計の策定に際しては「国として原子力が本当に必要か」をポイントに原点に戻って議論することを求めた。一方、吉岡斉九大教授は他のエネ開発にも競争的な予算配分を図るなど、原子力に偏ったエネ政策を見直すことを指摘。さらに、弁護士の石橋忠雄氏はこの事故が核燃料サイクル政策に打撃を与えたと懸念し、今後海外に与える影響についても配慮していくことを訴えた。 秋元勇巳三菱マテリアル社長は、リスクを正当に理解できるデータの提供を求め、総合的な放射線被曝の理解を深めることが重要だと指摘した。 この他、原子力産業界での安全文化醸成に向けたネットワーク構築の動き、事故後の風評被害に対する適切な広報、放射線についての国民の理解促進などに関する声もあった。 那須座長は、長計策定の審議を開始してすぐ発生した事故を「天のいましめ」と捉え、引き続きこれを踏まえて議論していくこととした。
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