[原子力産業新聞] 1999年11月18日 第2013号 <5面> |
[核不拡散シンポ] 最近の動きを懸念核不拡散軍縮シンポ、核兵器国ら9か国参加世界平和研究所(中曽根康弘会長)と読売新聞社が共催する「核不拡散・核軍縮国際公開シンポジウム」が5日、東京都内で開かれた。 これは前日と5日午前中に、世界主要15か国から21名の専門家が出席して開かれた「核不拡散・核軍縮国際会議」の成果を広く知ってもらうため開かれたもの。会議参加国の名からか、日、米、独、仏、英、中、露、インド、パキスタンの9か国の代表者がパネリストとして出席した。 冒頭、基調講演を行った中曽根会長は、核不拡散・核軍縮の流れに逆行する最近の情勢について、「核不拡散条約(NPT)への参加拡大に影響が及ぶ恐れがある」と懸念を示すとともに、冷戦後の新しい世界秩序を構築するためには「まず核問題処理の方針が一致しなければならない。皆が一丸となって取り組まなければならない大問題を21世紀まで持ち越そうとしていることを我々は互いに認識すべきだ」と指摘した。 同シンポでは、同会議において98年の印パにおける核実験や米上院の包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准否決、ロシアで依然としてSTARTIIが批准されていないことなど、国際的な核不拡散・核軍縮体制に後ろ向きな動きに対して緊急措置が必要であることで一致したことを明らかにした。 さらにNPTの普遍性を高め、核不拡散体制を強化することの必要性を指摘。そのためにとるべき措置として、1.さらなる核実験の禁止、2.平和的核エネルギー使用の検証強化、3.ロシア当局による核兵器および核分裂物質の適切な保全・安全管理能力の強化、4.核物質および技術輸出の国家統制を発展・実施するための協力の強化、5.国家の核に関する行動の透明性の強化、などが提案されたとした。
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