[原子力産業新聞] 1999年11月25日 第2014号 <1面>

[ウラン探鉱] サイクル機構所有、海外U権益に6社継承意欲

コンソーシアムを組織

サイクル機構は9月以降、海外に所有するウラン探鉱権益を我が国企業等が継承する意思があるかどうかの確認をウラン資源確保対策委員会(加盟29社、1機関)を通じて行っていたが、同委員会から5日、6社が権益の継承について協議を希望しているとの回答を得た。同機構が権益を持つ海外ウラン鉱区はカナダ15件、豪州3件、米国1件、アフリカ2件の計21件。継承希望があったのは、このうちカナダの14件分(他の1件は近く権益切れになるため海外売却を予定)で、鉱山企業2社と商社4社がコンソーシアムを組んで継承したい意向という。

国内6社が収益継承の意向を示したことを受け、サイクル機構としては今後はこの14件に絞って詳細協議を開始し、来年3月末までに基本合意契約を結び、9月頃までに権益を譲渡したい考えだ。

カナダの権益鉱区で実際に開発ができるようになるのは2015年頃と見られている。仮にコンソーシアムがこれらの鉱区を継承することになれば鉱区の維持費等が必要になるが、維持費等の一部はすでに開発段階に入っているミッドウエスト鉱区からの対価収入を充てることになる。

一方、我が国企業が意思を示さなかったカナダ以外の鉱区については基本的には海外企業等に売却することになる。豪州のアーネムランドウエストはパートナーである加カメコ社が関心を示しているという。同機構としてはこれらも2000年度末までに決着をつけたい意向。

関係者によると、今回6社が継承の意思を示したのは、海外企業に譲渡することへの懸念、権益評価の結果はリスクが意外に小さく、維持費や初期投資も思ったほど大きくないことなどの理由があったのではと推測しているが、6社は「当面5年間は様子を見てみたい」との考えを示しているという。

なお、過去30年以上にわたって海外ウラン探鉱技術のノウハウを持っているサイクル機構としては、今後とも技術協力が必要とされていることから、人を通じて協力していく方針だ。同機構は国内企業に対して、海外権益の譲渡に当たっては、1.譲渡対価の支払いは成功延べ払い(純益の10%)、2.カナダの全権益を譲渡する場合はミッドウェスト鉱床に関する権利の対価収入を維持費に活用する、3.譲渡後は最低5年間は権益を保持する、の条件を掲げていた。


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